超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】 作:ジマリス
「では、無事にゲイムキャラの力は得られたのですね」
辞書のような本に乗った少女、イストワールが安心したように言う。
こんな妖精みたいな人?がいるなんて…。
俺たちは都市プラネテューヌの教会に来ており、教祖であるイストワールに今まであったことを報告していた。
ここプラネテューヌは女神パープルハートが治める国であり、四国のなかでも技術水準が高い。
そのおかげかどうか、話に聞いていたよりかは治安はいくらかましに見える。
すでに自己紹介は済ませているが、どうもこのファンタジー的な存在が気になる。
モンスターと戦って何言ってんだって話だが。
どうやら俺がジロジロと観察しているのが気になるらしく、イストワールは落ち着かない雰囲気だった。
「あ、あの……」
「ああ、気にしないで」
俺が話の続きを催促すると、コホンと咳をしてからイストワールは話し出す。
「しかし、マジェコンヌもゲイムキャラの存在に気づいているようですね」
「あの下っ端さん、次はラステイションって言ってたです」
「急いで追いかけましょう」
ネプギアの表情を見て、イストワールは安堵のため息を漏らす。
「ネプギアさんは、もう吹っ切れたみたいですね」
「あ…はい。ユウさんのおかげで…」
「ん?俺?……そ、そうね。いやー危ないところだったね」
かっこいいセリフが思いつかなかったから誤魔化した結果がアレなんて言えないな…。
「ありがとうございます、ユウさん。私たちの手伝いもしてくれるなんて」
イストワールが頭を下げる。
「記憶を取り戻すついでだよ、ついで」
ううむ、礼を言われると照れるなあ。
「ああ、そうです。もうひとつ大切なことがありました。ラステイションとルウィーにはそれぞれ、ネプギアさんと同じ女神候補生がいます。彼女たちにも協力を頼んでみてはどうでしょうか」
「ノワールさんと、ブランさんの妹さんですね」
ノワールとブラン。それぞれラステイションとルウィーの女神だ。何度かその姿を見たことがあるが、候補生は見たことがないな。
こんな現状で協力を頼んでも簡単に受けてくれるとは思えんが、話だけでも聞いてもらおう。
「それじゃ、とりあえずはラステイションね!」
アイエフが先頭をきって歩き出す。
下っ端に先を越されないように、早めに行動しないとな!
「私の方でもユウさんのことについて調べておきます。なにか進展があったら連絡しますね」
「ありがとう」
イストワールの親切に礼を言う。
アイエフの話によれば、知識の量は半端じゃないらしいが、どうも思い出したりするのに時間がかかるらしい。
気長に待つとしますか。
とりあえず向かうはラステイション!
俺たち一同はラステイション行きの電車に乗り、対面式の座席に座った。
「記憶喪失って言うけど、どの程度のことまで覚えてるんですか、ユウさん?」
俺の隣に座っているネプギアがサンドイッチを頬張りながら問いかける。
「どの程度……ねえ」
俺はいま一度、自分の覚えていることを思い出す。
「この世界のことはわかるんだよな。女神のことも知ってるし……」
えーと、プラネテューヌはネプテューヌ、ラステイションはノワール、ルウィーはブラン、リーンボックスはベールがそれぞれ守ってるんだったな。
女神候補生については知らなかったけど。
「あとはプラネテューヌ近郊のダンジョンとかも知ってるな。プラネテューヌ在住らしいし」
「あら、プラネテューヌの住人なのね」
「どこの出身です?」
「それはわからん。ただ、プラネテューヌの人っていうことしか覚えてない」
自分の曖昧な記憶はひとまず置いておこう。
きっとすぐに思い出せるさ。
俺もサンドイッチを食いながら窓の外を見た。
重厚なる黒の大地、ラステイションが見えてきた。
「わあ、ここがラステイション…」
ネプギアが目を輝かせる。
ネプギアは機械が好きらしく、せわしなく目移りしている。
「ああ、楽しそうだなあ。いろいろ見て回りたいなあ…」
「今はガマンしなさい」
アイエフが遮るように言う。
俺たちにはやるべきことがたくさんある。
やりたいことは我慢我慢。
「そ、そうですよね。よし、今日はガマン…」
我慢……
「あいちゃん、これから行くアテはあるんですか?」
「とりあえずはギルドね」
ギルドでは情報収集もでき、寄せられているクエストをクリアすることで女神の力の元であるシェアの回復も可能だ。
「あ、ネプギアネプギア!最新式の掃除機があるぞ!!」
すぐそばの家電量販店のウインドウに掃除機が置いてあった。
我慢できなくなった俺は目を輝かせ、ネプギアを呼ぶ。
「あ、ほんとだ!」
ネプギアも即座に反応し、再び目を輝かせる。
「これ凄いんだよな、変わらない吸引力を持ってて…」
「詳しいですね、ユウさん。しかも最近ではコードレスのも出てて…」
「ちょっとあんたたち!早速脱線してるじゃない!」
アイエフが怒鳴る。
「機械とエロスは男のロマンなんだよ!!!」
俺は力説する。
ガションガションと動くかっこいい機械はまさに「男」を体現してると思わないか!?
しかも最新式となったらそりゃもう見るしかないよね!
……まあ掃除機はガションガション言わないですけどね。
「あんまり人がいないですね」
機械に目移りするたびにアイエフに怒られながら、ようやくギルドについた。
中はかなり広いが、人はまばらにしかいない。
「それだけマジェコンヌの影響が強いんでしょうね」
とりあえずアイエフとコンパは情報収集、俺とネプギアは仕事をもらうことにした。
「「すいません、クエストをもらいに来たんですけど」」
受付につき、ネプギアが言うのと同時に別の人も同じセリフを言った。
「え?」
「ん?」
ネプギアと同じくらいの年頃の黒髪ツインテール少女がこっちを見る。
「アンタたちもクエスト受けに来たの?」
「そうだけど」
俺が答える。
「ふーん、強そうに見えないけど大丈夫なの?」
「えええ……初対面でそんなこと言う?そっくり返すよそのセリフ」
今時の子どもというものに軽くショックを受けた。
って言っても俺も子どもかもしれん。
実際何歳くらいなんだろうか、俺って。
鏡に映った自分を見る限り20前後だとは思うけど…。
「アタシはいいの、超強いし。それに一日も早く追いつかなきゃいけないしね」
「追いつかなきゃ?」
「あーこっちの話。で、アンタたちはなんでクエスト受けに来たの?」
「街の人たちを助けて、少しでも女神のシェアを回復するためだよ」
あ、ネプギアの回答すごい真面目。
わかるわかる。損する性格な。
これやって、って言われて疑問なく受けちゃうやつね。
真面目すぎて肩の力落とせないやつね。
「ふーん、アタシはユニ。アンタは?」
「ネプギアだよ。よろしくね」
ユニとネプギアは同じくらいの年頃ということもあって、すぐに意気投合した。
なんか疎外感受けるのが寂しい。
「ネプギア。よかったらこれから一緒にクエスト行かない?」
「うん、いいよ。一緒に行こう!」
二人はクエストを受け、アイエフたちのもとへ向かった。
あの…………俺もいるんですけど……