超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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前半回想。24話のときの話ですね


33 悪魔だとしても

 

 

 

「待て、オルガ!」

 

逃げ出したオルガを追って走り続けた俺は、真実をつかむために必死だった。

何度もオルガを呼び、止めようとする。

 

「……」

 

ついに観念したのか、オルガはやっと走るのをやめ、止まった。

 

 

「なんで逃げるんだ。俺を追っていたんじゃないのか?」

 

遠くではステージの喧騒が聞こえた。

 

オルガはゆっくりとこちらを振り向いた。

 

「…私には、もうわからないんだ。何をすべきか、何をしたいのか」

 

オルガの考えていることや悩みは、今の俺にはわからない。

 

 

「教えてくれ、オルガ…」

 

それを知るためにも、俺がしたことを知るためにも、彼女の口から聞き出すしかない。

 

 

「俺は、俺たちは…別の次元の人間なのか?」

 

 

 

 

 

 

「ああ、そうだ。私たちはこことは違う、こことよく似た次元から来た」

 

 

 

 

あっけなく、真相が掴めた。

 

ケイの予想は当たっていた。

 

 

つまり、ここと同じように女神たちや犯罪神が存在した世界からやってきたと。

 

 

「崩壊寸前のその世界からイストワールの力を借りて、私とエリカは移動してきたんだ」

 

オルガは続ける。

 

「普通、次元を移動するにはそれなりのシェアが必要なんだが、イストワールは最期の力を振り絞って私たちをこの世界へ送ってくれた」

 

 

「……崩壊寸前まで追い込んだのは…」

 

 

「お前だ。ユウ……実際に、私もエリカもその現場を見た」

 

 

嘘だ、とは言えなかった。

 

 

戻らない俺の中の記憶が、時折顔を出す衝動が、すべてを混乱させる。

 

 

「俺が……やったのか…」

 

 

「ネプギアたちと共に女神を救出したあと、お前は私たちを戦いから遠ざけた」

 

前の世界を語るオルガの声は震えていた。

 

 

「お前たちが四天王と戦っている間に、プラネテューヌに攻めてきたマジック・ザ・ハードと戦い、負傷した私たちが治療を受けている間、ユウが一人でギョウカイ墓場に向かったと聞いた」

 

オルガはうつむいた。

 

「戻ってきたお前は、まるで別人のようにすべてを破壊していった」

 

 

ギリっ、と歯ぎしりの音が聞こえた。

悔しさのあまりかそれとも怒りか、オルガが発した音だった。

 

「『俺は滝空ユウだ』と、『女神を殺した』と、お前の口から聞いた。現に、イストワールも言っていたよ。女神はもういないと」

 

オルガはふう、と深呼吸をする。

 

「お前から逃げて、生き残ったのは私たちだけだった」

 

つまり、俺たちのいた世界には今は誰もいないことを意味する。

 

誰もいない世界。

 

 

 

女神も

普通の人間も

平和も

 

 

混沌さえそこには存在しない。

 

 

 

ただ破壊の爪痕があるだけ。

 

 

 

「本当に、俺だったのか?」

 

「ルウィーで見せたお前の力。あれは私たちの世界で見た悪魔の力そのものだった」

 

キラーマシンを殲滅したときの俺の力のことだろう。

今でもはっきりと覚えている。

ただひたすらに破壊を求めていた、「オレ」を。

 

 

「何があったんだ、ユウ。お前に一体何が…」

 

「俺にも…わからない」

 

 

望んでいた答えを得られなかったオルガの表情はだんだん暗くなっていく。

 

 

「今はお前を殺す気はない。だが、また世界を破壊するようになれば、今度は容赦しないぞ」

 

そう言い捨てて、オルガは去っていった。

 

その言葉には殺気は感じられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別の世界の人間……」

 

「そうだ。そして女神殺しであり、世界を破壊した者でもある」

 

「そんなの…」

 

「おそらく本当だ」

 

ケイやイストワールの調査、そしてオルガやエリカの言葉がそれを証明している。

すべてをそのまま信じるのは危ういが、彼女たちの言葉には一切の嘘が感じられなかった。

 

 

「……何があったんですか?」

 

「それはわからない。知っているのは、まだ戻らない俺の記憶だけだ」

 

 

もしかしたら、予想以上の過去かもしれない。

本当に、俺がすべてを破壊したのかもしれない。

 

それでも、俺は真実を知らなければいけない。

 

この世界を守るために。

 

 

 

 

「…ユウさん。それでも私はあなたを信じます」

 

 

ネプギアの目はまっすぐ俺を捉えていた。

 

 

 

「前の世界のことが本当でも、ユウさんが世界を今まで私たちを助けてくれたことも本当のことです」

 

 

たとえ俺が破壊者だったとしても

 

 

たとえ俺が女神を殺した人間だったとしても

 

 

 

 

いままで一緒に旅をした「滝空ユウ」を信じる。

 

 

そのネプギアの言葉は、俺の心を軽くしてくれた。

 

 

 

 

「私は、今のユウさんを信じています。何があっても誰かを助けることを諦めない、お人好しのユウさんを」

 

「お人好しはお前もだろ」

 

ネプギアにデコピンする。

 

「あいたっ」

 

 

「ありがとな、ネプギア。ちょっとは楽になったよ」

 

 

額を抑えるネプギアに礼を言う。

 

ネプギアの周りに仲間が増える理由が、俺にもわかった。

 

 

「はい。明日頑張りましょうね!」

 

「ああ、絶対に女神たちを救ってやる」

 

 

 

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