超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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34 決行!女神救出作戦

翌日、俺はすっきりとした気分で起き上がることができた。

昨日のネプギアの言葉を聞いて、しっかりと休息を取ることができたのだ。

 

 

 

シェアクリスタルができたとイストワールが言ったとき、すでに誰ひとりとして欠けることなく集まることができた。

 

 

 

「みなさん、準備はよろしいでしょうか?」

 

イストワールが一人ひとりを見渡す。

 

「ひゃい!ばっちりでひゅ!」

 

「ダメじゃねえか」

 

緊張のあまり噛むネプギアだが、やるときはやる子だから心配はしていない。

 

「ふふ、大丈夫ですよ。ネプギアさんたちなら、必ず成功させてくれると信じています」

 

イストワールもネプギアを信頼しているようだ。

 

彼女は輝く結晶、シェアクリスタルを取り出した。

それは以前ルウィーで作ってもらったものとは比較にならず、イストワールほどの大きさがあった。

 

「さあ、これが皆さんの集めてくれたシェアで作ったシェアクリスタルです」

 

神々しく光るそれは、見ているだけで心が浄化されそうだ。

 

 

「わあ、おっきいわね」

 

「きれい…」

 

「これだけのシェアがあれば…」

 

「はい。きっとねぷねぷを助けられるです!」

 

 

女神救出が目の前にまで迫ってきている。

そのことがみんなのやる気を奮い立たせる。

 

「では、私は転送装置のコアとなって、みなさんをギョウカイ墓場へ送ります。向こうには私の声しか届きません。ですので、何か起きても、こちらから手助けをすることはできません」

 

頼りになるのは、自分たちだけって事か。

 

「くーっ、いよいよだよ!いよいよ本物の女神さまに会えるんだね!」

 

「…この日のために、頑張ってきたんだよね」

 

REDは相変わらず、5pb.も変わらず自分のやるべきことをしようとしている。

 

この日のために。

 

半ば成り行きだったが、俺も今は本気で女神を救おうとしている。

それも彼女たちの気持ちを近くで見ていたからなのかも。

 

「あなた達!絶対にベールお姉様を助けてくるのよ。これは命令よ!」

 

「ユニ、期待しているよ。ノワールと一緒に戻ってきてくれることをね」

 

「みなさん、どうか御無事で…」

 

 

教祖たちも俺たちを見送る。

早く女神と会いたいのは教祖も一緒なのだろう。

 

イストワールが手に持ったリモコンのような物のスイッチを押した。すると、二メートルほどの光の柱が現れた。

 

この光に触れれば、そこはもうギョウカイ墓場だ。

 

 

「はい…それじゃ、行ってきます!」

 

 

それぞれの意思を持って、光の柱へ踏み込んでいく仲間たち。

 

 

みんながギョウカイ墓場へ行ったことを確認し、さあ俺も、といざ踏み出そうとしたとき

 

 

 

「おっと、待ってもらおうか」

 

 

目の前に露出度の高い服を着ている紫髪の女性が現れた。

 

女神化したネプギアたちのように、プロセッサユニットのようなものを装備しており、背中には翼まである。

違うのは、そのパーツ一つ一つから禍々しい力を感じることだ。

 

 

 

「お前は…」

 

「マジェコンヌ四天王の一人、マジック・ザ・ハードだ」

 

 

トリックやブレイブたちと同じ、マジェコンヌ四天王を名乗るマジック・ザ・ハードはにやりと笑った。

 

俺は刀を抜き、構える。

 

 

こいつ、相当強いな。

少なくとも、今まで戦ってきた誰よりも。

 

 

「なんの用だ。邪魔しに来たのか?」

 

「いいや、お前と話しに来ただけだ。滝空ユウ」

 

 

そのセリフ通り、マジックからは敵意を感じない。

 

 

「ユウさんには手出しさせません!」

 

「ユウさんに用があるなら、僕たちを相手にしてもらおう」

 

 

教祖たちが俺をかばうように前に出る。

 

 

「私はたんに、その男と話したいだけだ。それとも、望み通りお前たちを切り刻んでからにしてやろうか?」

 

 

マジックが手に大鎌を持った。

 

ヤツの思い通りになるのは気が引けるが、教祖たちが殺されるのを黙って見ているわけにもいかない。

 

「俺が一人残ればいいのか?」

 

「ああ、そうすれば他のやつらには危害は加えない」

 

 

嘘はない。

何を考えているのかは分からないが、少なくとも戦う気も暴れる気もないようだ。

 

 

「……わかった」

 

「ユウさん!」

 

 

イストワールが俺を止めようとするが、俺は制した。

 

ここでマジックに好き勝手させるわけにはいかない。

最低でも、女神救出まで足止めする必要がある。

 

 

「大丈夫だ。先に行くように、ネプギアたちに言ってくれ」

 

 

 

 

 

                   △

 

 

 

 

 

「みなさん、無事に到着しましたか!?」

 

 

Nギアからイストワールさんの声が聞こえる。

 

 

 

光の柱に導かれ、私たちはギョウカイ墓場にたどり着いた。

 

久しぶりに来たけど、やはりここは慣れない。

 

赤く染まった空、さまざまなものの残骸。

何よりもこの空気が、私たちを拒絶するような息苦しさが嫌になる。

 

 

「はい。ちゃんとギョウカイ墓場に…」

 

 

後ろを見てみると、みなさんちゃんと移動できたみたいだ。

 

 

いや、一人

 

ユウさんがいない。

 

 

「ユウさんが突如現れたマジック・ザ・ハードに『話がある』と言われ、そのままついていきました」

 

 

イストワールさんが切羽詰まったように、いや実際切羽詰っている。

 

 

 

マジック・ザ・ハード

 

 

私とお姉ちゃんたちを一人で相手にして、その圧倒的な力を見せつけたマジェコンヌ四天王の一人。

 

 

「ユウが!?」

 

「早く戻らないと!」

 

「まってくれ!」

 

騒然とする私たちを、ケイさんが止める。

 

「君たちに危害を加えないことを条件に、彼はついていったんだ。今君たちが戻れば、彼のしたことが無駄になる」

 

「でも…」

 

「君たちがやるべきは、女神を救出することだ。それが、ユウさんのためになる」

 

 

 

 

 

                   △

 

 

 

 

 

プラネテューヌの街から離れ、俺とマジック・ザ・ハードは外へ出ていた。

 

俺が目覚めた場所によく似た、あたり一面草原の場所。

 

ここなら間違いがあったとしても、被害は最小限に抑えられる。

 

 

「それで、なんの用だ?」

 

「部下から聞いたぞ、貴様の力を」

 

 

部下、というのが誰を指しているのか。

おそらくトリックとブレイブのことを言っているのだろう。

あの二人とも、俺を見て何かを言って去っていった。

 

 

俺の力

 

 

ブレイブが言うには『犯罪神の力』

 

 

「犯罪神の力ってやつか?悪いが、何も知らないぞ俺は」

 

「それも聞いている。どうやら記憶喪失らしいな、貴様は」

 

 

どうやら俺のことを調べ上げたらしい。

 

いや、『聞いている』という発言から、誰かが喋ったのか。

 

 

マジックは懐から透明な結晶を取り出した。

前に下っ端たちが使ったような、力を増幅させるものとはまた違うもののようだ。

 

 

「なんだそれは?」

 

「お前のために創った、人間の記憶を映し出す結晶だ」

 

俺のために?

 

わざわざそんなものを作ったっていうのか?

 

 

「そんなものを、なぜ…」

 

「貴様の力を解明し、私たちの力として利用するためだ」

 

 

偽りもなくそう言うマジックの表情は、にやりと笑ったままだ。

 

本当に俺が「犯罪神の力」を持っているなら、確かにこいつらは利用するだろう。

 

 

 

だが知りたい。

 

 

俺の正体を。

 

俺が何をしたのかを。

 

 

 

「ユウ!」

 

不意に、叫ぶ声が聞こえた。

 

声のする方には、オルガがいた。

 

 

「オルガ」

 

「そいつは危険だぞ…」

 

武器を抜いているオルガはマジックを指差した。

 

 

「わかってる。それでも、これしかないんだ」

 

 

だが、なかなか足を踏み出せない。

 

 

あれが本当に記憶を映し出すものなのか

 

そうだとして、俺の失った記憶は映し出されるのか

 

 

失った記憶を、俺は知るべきなのか

 

 

 

「まずはお前が試すか?」

 

 

怖気づく俺を見て、マジックが、結晶をオルガへ投げた。

 

マジックを睨みつけたまま、オルガは受け止めた。

 

オルガに何かが起こることもなく、結晶の色だけが変わっていった。

 

 

 

透明だった結晶には、オルガが見た様々な光景が映った。

 

 

 

 

 

ともに特訓をしていた俺が。

 

一人森を歩き、モンスターに出会ってしまったときのことも。

 

時が経ち、一緒に旅をしていたときのことも。

 

ネプギアたちを救出し、旅を続けて女神を救出したときのことも。

 

 

 

 

そして、大剣を持った俺が人々を蹂躙していく姿も。

 

 

 

 

 

そこで、オルガは結晶を落とした。

過去が思い出されて、ショックを受けたんだろう。

 

 

過去にオルガが感じた感情は、結晶を通して俺にも伝わってきた。

嬉しさも、恐怖も、怒りも、憎しみも。

 

 

俺は魅せられたように、オルガが落とした結晶に近づいた。

これは本物だ。

 

 

これで真実が全て明らかになる。

 

 

「さあ触れてみろ、ユウ。そして、その力を見せてみるがいい」

 

 

 

 

                  △

 

 

 

 

 

「ぐああああああ!退屈だ!暴れたあああああい!!」

 

「ひい!お、落ち着いてください!ジャッジ・ザ・ハード様!」

 

「危ないっちゅ!武器を振り回さないでほしいっちゅー!」

 

 

ギョウカイ墓場の奥では、巨大な斧を振り回す巨躯の墓守ジャッジ・ザ・ハードと下っ端とネズミがいた。

 

 

「このままではヒマで死ぬ…ヒマ死するうう!もう貴様等でいい!相手をしろおおお!」

 

「む、無理っすよ!相手になるわけねえですって!」

 

「下っ端が相手をすればいいっちゅ。肉体労働は得意だっちゅ!」

 

「テメエ、またこっちに押し付ける気かよ!大体こんなの、肉体労働に入るかっ!」

 

「はあ、はあ…もう限界だ…貴様等まとめてブッ飛ばあああす!」

 

 

ジャッジが限界点まで達したとき、私たちはそこまでたどり着いた。

 

 

「あれは、あの時の!…って、なんか仲間割れしてます?」

 

私が助けられたとき、一度戦ったことのあるジャッジ・ザ・ハードを目にした。

 

 

「下っ端さんとネズミさんがやられてるですね」

 

「はっ!テ、テメエ等…よく来てくれた!さあ、早く相手を変わってくれ!」

 

「ああ、コンパちゃんっちゅ!やっぱりコンパちゃんは天使だったっちゅ!早く助けてほしいっちゅー!」

 

 

下っ端たちは私たちのそばに来て、懇願するように祈る。

 

 

「ものすごく歓迎されてるね」

 

「うれしくない歓迎ね。あいつらを助けてやる義理はないんだけど」

 

「でも、どっちにしろあいつは倒さないといけないんだよね?」

 

「…勝てる、かな?」

 

 

不安の言葉を口にしてしまう。

 

 

「ちょっと。ここまで来て、何弱気になってるのよ」

 

「そ、そうじゃないんだけど…あの人にも一度負けてるし、だからその…」

 

「はあ…あのね。その時にアタシはいた?いなかったでしょ」

 

「そーよ。私たちが一緒で負けるはずないじゃない!」

 

「…ネプギアちゃんなら、大丈夫」

 

「もし弱気になってるなら…ボクの歌で勇気づけるから」

 

「ネプギアは強いよ。アタシが言うんだから間違いないよ!」

 

「みんな…」

 

 

そう。あの時は私は弱かった。

みんなもいなかった。

 

そのみんなの言葉に、私は勇気づけられる。

 

 

「ギアちゃん。みんなの信頼には応えないとダメですよ?」

 

「まったく、いつまでも世話が焼けるんだから…ほら、いい加減シャキッとしなさい!」

 

「はい…はい!」

 

ぎゅっと、剣を握る。

お姉ちゃんたちを助けて、ユウさんも助ける。

 

私にできることを、やるんだ!

 

 

「心は決まったようですね」

 

「ならば、今こそ私たちが力を貸すとき」

 

「がんばって。絶対に勝ってください」

 

「さあ、私たちの、力を…」

 

 

ゲイムキャラのみなさんが、私に力を与えてくれる。

 

四色の光が私を包んだ。

 

女神化した私のプロセッサは紫のビキニのような、今までよりも露出の高いものに変わっていたが、力は比べ物にならない程になっていた。

 

「すごい…力が、溢れてくるみたい…ありがとうございます。今の私なら、私たちなら…絶対勝てる!」

 

「ちょっとー!いつまで喋ってるんですかー!?早く何とかしてー!」

 

「ジャッジ・ザ・ハード様!新しい相手が来たっちゅ!女神候補生っちゅよー!」

 

「ぬぬぬ?女神、候補生…おおお!あの時取り逃した相手っ!く、くくく!あの時の屈辱、忘れはせん…今度こそ八つ裂きにしてやるううう!!」

 

 

下っ端たちの叫び声に、ジャッジ・ザ・ハードがようやく私たちに気づく。

 

ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃんも女神化し、私たちは臨戦態勢になる。

 

 

 

今度こそ、絶対にお姉ちゃんを救ってみせる!!

 

 

 

 




駆け足で来ました女神救出戦。
ここからはガンガンシリアス予定です。あくまで予定
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