超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】 作:ジマリス
私の全力の攻撃は、ジャッジ・ザ・ハードに見事命中した。
ジャッジはそのまま、ガラクタの山に突っ込んでいった。
「うおああああああ!!」
だが最大出力のM.P.B.Lを受けてなお、ジャッジ・ザ・ハードは立ち上がった。
ところどころに穴が開き、パーツが崩れ落ちてもジャッジはその闘気を失わなかった。
「よし!」
「もう少しよ!」
私たちは確信した。
勝てる。
「調子に乗るなッ!!」
だけど、その確信はすぐに打ち砕かれることになった。
ジャッジは斧の柄を地面に突き刺した。
「審判の刻!!」
突き刺された斧から、とてつもない衝撃波が迫ってくる。
「危ない!!」
私はみんなを衝撃波から守るために、前へ出た。
目の前まで衝撃波が迫ってきた。
「ネプギア!」
ユニちゃんの声がすぐ後ろから聞こえた。
この攻撃は私だけが受け止める。
そうすれば他のみんながトドメをさしてくれる。
「ダメ!」
ロムちゃんが、かばうように私の前に立った。
△
目の前の光景が信じられなかった。
黒い煙が収まったと思ったら、ユウが二人になっていた。
一人は刀を持ってうずくまり、もう一人は大剣を持ってニヤニヤと笑っている。
「そんな…」
ユウの記憶を覗いた私にはわかった。
これは最悪の事態だ。
「会えて光栄だ。滝空ユウ」
「オレは滝空ユウじゃない」
大剣を持ったユウがうずくまるもう一人のユウを見下す。
「お前を野放しにするわけにはいかない!」
刀を持ったユウが、大剣ユウに襲い掛かろうとしたが簡単にいなされてしまった。
勝てない。
あの圧倒的な力を持つマジック・ザ・ハードでさえ、邪悪な気配を発するユウには及びもしないだろう。
「実力も申し分ないな」
マジックが大剣ユウへ話しかける。
「お前と共に歩めるのは私だけだ」
「オレはこの世界を壊す。お前も殺すぞ」
ニヤリとマジックは笑う。
「喜んで受け入れよう」
「………」
大剣ユウは、少しの間考えた。
「世界を滅ぼすまでだ。それまでは手伝ってやる」
△
ジャッジ・ザ・ハードが放った衝撃波は私には届かなかった。
受け止めたのは、私の前にいるロムちゃんとラムちゃん、ユニちゃんだった。
「どうして…」
私をかばった三人は、あまりのダメージに女神化が解けてしまっている。
「ネプギアちゃん、一番強い…」
「そんなあんたが倒れてどうするのよ」
「わ、わたしはロムちゃんを守ろうとしただけだけどね!」
三人で力を分散したこともあって、少しだけ余裕があるみたいだ。
私は三人作ってくれた隙を逃すわけにはいかない。
ジャッジ・ザ・ハードを倒して、お姉ちゃんを救う。
もう無力な思いは嫌だ。
もう守られるだけは嫌だ。
誰も助けられないのは嫌だ。
私は力を使い果たしたジャッジ・ザ・ハードを見据える。
そしてもう一度、力を最大まで高める。
今度こそ、絶対に倒す!!
「消えて!!」
「バ…バカな…そんなバカな!このオレが…」
武器をジャッジ・ザ・ハードに向ける。
「M.P.B.L!!!」
「…認めぬっ!こんなの、認められるわけが…ぐ…ぐああああああっ!?」
私の最大の一撃は、今度こそジャッジ・ザ・ハードを貫き、消滅させた。
ジャッジ・ザ・ハードがいた場所には、何も残っていない。
「………」
しばらく、私たちは沈黙していた。
もうしばらくして、私たちは勝ったことを実感した。
「勝った…勝ちました!私、勝てましたよ!」
「当然よ。あんな奴に何度も負けてたまるもんですか」
「でもすごいです!あの時は逃げるしかなかったのに、今度は勝てたです!」
ジャッジを倒せた喜びに、私たちは湧き上がる。
「まあ、喜ぶのは後にしましょう。ネプギア。シェアクリスタルを」
「はい!」
ジャッジがいたところよりも奥、お姉ちゃんたちが囚われている場所へ近づく。
私がアイエフさんに救出された時と同じく、いやそれよりも前、三年前と同じくお姉ちゃんたちは苦しそうな表情で、縛られたままだった。
「お姉ちゃん、こんな苦しそうに…」
「…お姉ちゃん」
「もう、早く助けてあげてよ!」
「うん。お姉ちゃん、待っててね。今…」
急いでシェアクリスタルを取り出し、掲げる。
眩い光が辺りを包み、収束する。
「う…あ…?」
「この光は…」
「体が、癒されていくようですわ…」
「動ける…解放、された…?」
お姉ちゃんたちが、目を覚ました。
自分たちを縛っていたコードを引きちぎり、地面に立つ。
「お姉ちゃん!」
「…お姉ちゃん…!」
「ラム、ロム…あなたたちが助けてくれたのね」
白いプロセッサユニットをまとっているブランさんがほほ笑んだ。
ラムちゃんとロムちゃんが、ルウィーの女神ブランさんへと飛び込む。
ブランさんの青みがかった銀の短髪が少し揺れる。
「うわーん!お姉ちゃーん!」
「ふぇ…ぐすっ…」
「子供みたいに泣くんじゃないの…ごめんなさい、心配をかけて」
ブランさんは女神化したらキレやすくなるんだけど、今はさすがに優しい顔で妹たちを撫でている。
「あ、あの…」
「…遅かったわね。もっと早く来てくれるかと思っていたわ」
銀髪の女性、ノワールさんがユニちゃんへとほほ笑む。
「ご、ごめんなさい!アタシ、まだ全然、お姉ちゃんみたいには…」
「何を謝ってるのよ。まあ、だいぶ成長はしたみたいね。ありがとう、助かったわ」
「う…お姉ちゃん…!」
いつも素直じゃないノワールさんも、今回はストレートにお礼を言った。
「ネプギア…会いたかった…」
紫の髪と装備を持つ私のお姉ちゃん、ネプテューヌが私の頭をなでる。
「お姉ちゃん…本物だよね?本当に、私…助けたんだよね?」
「ええ。あなたが助けてくれた…ありがとう。頑張ったわね」
三年ぶりに聞く声に、私は感激した。
大好きなお姉ちゃんに会えた。
大好きなお姉ちゃんの声を聴けた。
大好きなお姉ちゃんを救うことができた。
私は、お姉ちゃんの胸に飛び込んだ。
「お姉ちゃん…うわああああん、お姉ちゃああん!」
「ごめんね、一人ぼっちにさせて…これからは、ずっと一緒にいるから…」
涙が止まらなかった。
この時をずっと夢見て、この時を待ち望んで旅をしてきたのだ。
「わあ…感動の再会だね!」
「ううう、わたしもねぷねぷとお話ししたいです」
「姉妹の再会に水を差しちゃ悪いでしょ。ガマンしましょう」
「はあ…みなさん羨ましいですわ。私だけ、出迎えてくれる人がいないなんて…」
豊満な身体を持つ緑髪のベールさんが寂しそうにため息をついた。
「ベール様にはボクが…チカさんも、帰りを待ちわびてます」
そんなベールさんを5pb.さんが励ます。
長かった。
やっと、取り戻すことができた。
泣きじゃくる私たちを、お姉ちゃんたちは優しく受け止めてくれた
△
「墓守がやられたようだな」
マジック・ザ・ハードが呟く。
おそらく、ジャッジ・ザ・ハードが倒されたんだろう。
「だが関係ないな。予想以上の収穫が得られたようだ」
その言葉通り、こちらでは最悪の状況が起きていた。
「さあ来るんだ。滝空ユウ」
「俺は滝空ユウじゃないと言っただろう」
邪悪な気配を持ったユウが、大剣を収める。
「む、そうだったな。なら新しい名前をつけてやろう」
少し考えるように、マジックは額に人差し指を当てた
「今から貴様は……ドゥーム・ザ・ハードだ」
「
ドゥーム・ザ・ハードと名付けられたそいつは、ふふふと笑うマジックとともにこの場を去ろうとする。
私は未だに、身体が麻痺したままだ。
「貴様!」
「勝てないことはお前がよーく知っているはずだろう、ユウ?」
抵抗しようとするユウを、ドゥームが蹴りつける。
「ぐあっ!」
苦しむユウだったが、二人を止めることはできなかった。
「危害は加えない、という約束だ。この場は見逃してやろう」
マジックとドゥームは踵を返した。
「ま、あとは世界の崩壊を指をくわえて見ているがいい。どうせ、この流れはもう止まらん」
不吉な言葉だけを残して。