超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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37 迫る刃

「みなさん、本当によくやってくれました。今回の作戦成功で、ようやく先が見えてきました」

 

 

お姉ちゃんたちを救い、教会へと私たちは戻った。

 

だが、今はお姉ちゃんとユウさんがいない。

 

「…お姉ちゃんたちは?」

 

「もっといっぱい、お話したいことあるのにー!」

 

「そうですわ!三年ぶりの再会だというのに…アタクシとベールお姉様の逢瀬をジャマするというの!?」

 

ラムちゃんにまじって、チカさんも不満を垂れる。

どちらかというと、チカさんの方が必死だけど。

 

「落ち着いてください。今は休息が必要なんです。女神たちには一刻も早く力を取り戻していただかないといけませんから」

 

「二人とも。少しブラン様を休ませてあげましょう?ね?」

 

「教祖たるものが子供のようなワガママを言っていては示しがつかないよ」

 

「ぐ…わ、分かってるわよ!少しの間だけの辛抱だものね…」

 

 

他の教祖さんたちがなだめるように言う。

三年ぶりに会いたいという気持ちも痛いほどわかるけど、今はお姉ちゃんたちをゆっくり休ませてあげたい。

 

「ユウさんは?」

 

私は辺りを見渡した。

マジック・ザ・ハードに連れられたものの、無事に帰ってきたことはケイさんから聞いている。

だけど、その姿がいっこうに見えない。

 

 

「ユウさんは…」

 

「ユウさんも、今は休息が必要だ。特にキツいダメージを受けたということではないけど、時間がかかるだろうね」

 

いーすんさんを遮り、ケイさんが説明する。

 

「どういうこと、ですか?」

 

「今は無事だよ。だけど落ち着く必要があるんだ」

 

「要領を得ないわね。どうしたのよ」

 

「僕の口からは言えないね。だけど、当分の間はユウさんなしということもあり得る」

 

それ以上言わないケイさんに、私たちは追及できなかった。

いったい何が起こったのか分からないけど、ケイさんを信じることにした。

 

 

「みなさんも長旅で疲れがたまっているかと思います。この機会にゆっくり休んで…」

 

いーすんさんの言葉を遮って、突然地震が起きた。

それほど強い地震ではなく家具が少し揺れるぐらいだったが、あまりに突然のことなので、私たちは驚いた。

 

「な、なんですか!?」

 

「揺れ方が、おかしい…」

 

「これは、ギョウカイ墓場の方から…?いったい何が起きて…」

 

 

いーすんさんがギョウカイ墓場から何かを感じ取ったのか、嫌そうな顔をする。

 

やがて地震は収まった。

 

「収まったか。しかし気になるね」

 

「あの…私、見てきましょうか?」

 

倒した以上、ジャッジ・ザ・ハードの仕業ということはないはずだ。

しかし、なにやら嫌な予感がする。

 

「それは…しかしみなさんも少し休息を…」

 

「いいわよ。どうせ、ただ待ってるってのも落ち着かないし」

 

「私たちもいくわよ。ね、ロムちゃん?」

 

「うん…気になる」

 

ユニちゃん、ラムちゃん、ロムちゃんが賛同する。

 

「いいんじゃないかしら。本人たちがこう言ってるんだし」

 

「…分かりました。ですが十分注意してください。どんな事態が起きているか、まったくわからない状態ですから…」

 

 

犯罪組織が攻めてきたときのことも考え、私たちは女神候補生四人だけで行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「特におかしいところはないですね」

 

ギョウカイ墓場にきたものの、おかしいところはなく、むしろ前に来た時よりも落ち着いた雰囲気だった。

犯罪組織の勢いが減っているせいか、モンスターも少ない。

 

「気にしすぎだったんじゃない?」

 

「…油断しちゃ、ダメ…」

 

「油断する気はないけど、こうまで何にもないとね」

 

 

そう話していると、ギョウカイ墓場の奥から誰かが話す声が聞こえた。

 

奥にいたのは、マジック・ザ・ハードと、ユウさんだった。

 

「ユ、ユウさん!?」

 

マジックと親しそうにしゃべっているユウさんを見て驚く。

無事に帰ってきたはずじゃなかったのか。

 

刀はなく、大剣のみを装備している。

 

「ユウ、アンタなにやってんの?それに、隣の奴は誰?」

 

そういえば、ユニちゃんたちはマジック・ザ・ハードとは初対面だった。

 

「三年前、私が…お姉ちゃんたちが全員で挑んでも勝てなかった相手…」

 

「こいつが?」

 

「じゃあこいつが、お姉ちゃんのカタキってことね!」

 

「…お姉ちゃん、生きてるよ?」

 

「あの時の女神候補生か。いろいろ動き回っていたようだが、それも終いだ」

 

大きな鎌を取り出したマジックだったが、ユウさんが手で制する。

 

「待て、オレがやろう」

 

声が低い。あのユウさんだ。

あの黒い力を見せた、別人のようなユウさん。

 

「何言ってんのよ、ユウ」

 

大剣を抜いてぐるんぐるんと回すユウさんに、ユニちゃんは当然の言葉を投げる。

 

ここにユウさんがいる理由も、大剣をこちらに向ける理由も、マジックと一緒にいる理由もわからない。

 

「まだ、ユウは何も言ってないのか」

 

ユウさんはため息をついた。

 

 

「オレはユウじゃない」

 

「こいつはドゥーム・ザ・ハード。私たちの新しい仲間だ」

 

 

ユウさんとマジックが、意味の分からないことを言ってくる。

 

「はあ?」

 

「まあ詳しくはこいつをユウに渡せばわかる」

 

ドゥーム・ザ・ハードは私に向かって、小さな透明の結晶を投げた。

それを受け取ると、その結晶には私の今まで過ごしてきた過去が映し出された。

 

これはいったい…。

 

「生きて帰れたら、の話だがな」

 

ドゥームはニヤリと笑うと、また大剣をぐるんぐるんと回した。

 

 

「変身」

 

 

リーンボックスの時のように、黒い光がドゥームを変身させる。

前と同じく、黒い模様がドゥームの体表を蠢いている。

 

「さあ、平和への第一歩だ」

 

 

 

 

                 △

 

 

 

 

「はあ…」

 

 

俺は誰にも見つからないように教会を抜け出して、最初に目覚めた草原へと赴いていた。

 

ため息が止まらない。

原因は、取り戻した俺の記憶だ。

 

全て思い出した。

 

かつての仲間が言った真実を。

 

 

さらに悪いことに、俺の中から「ドゥーム・ザ・ハード」なんて敵も生み出してしまった。

もっと悪いことに、あの剣もドゥームに持ち去られてしまった。

 

 

事態は最悪。

 

それでも、俺は動けなかった。

戦う気力も、考える気力も、生きる気力でさえ俺の中から消滅していく。

 

俺はいったいどうするべきなのか。

 

その答えは出ない。

出したくない。

 

今の俺には元の次元に帰る力もないし、違う次元に逃げる力もない。

 

この世界を救う力すらないのだ。

 

 

「見つけたわ、ユウ!」

 

 

俺に向かって叫んできたのは、女神化したネプテューヌだった。

それだけじゃない。ノワールもブランもベールも上空を飛び、俺を見下している。

 

回復したのか?

それにしては早いな。

 

「身体の調子はどうだ?」

 

「正直まだ全快とはいかないけれど、それでもあなたを放っておくわけにはいかないわ」

 

「なんだと?」

 

「デュエルエッジ!」

 

ネプテューヌがいきなり俺との間合いを詰め、太刀を一閃してきた。

 

すんでのところで避けることに成功する。

 

 

よく見れば、ネプテューヌが俺に対して敵意のある目で見ていることに気付いた。いやネプテューヌだけじゃない。

みながみな、敵意を持っている目をしている。ラムとロムのように洗脳されているのか?

いや、洗脳してもあまり意味がないことはもう知っているはずだ。

だとしたら考えられるのは…本人の意思で襲ってきているということ。

細かく言えば、「本人の意思で襲うように仕向けられている」。

 

それができるのは、俺が知る限り一人。

 

「ヴォルケーノダイブ!」

 

ノワールが急降下と共に地を叩きつけ、その衝撃で地面がえぐれる。

間一髪で避けることができたが、衝撃が伝わり、俺は吹き飛ばされた。

 

「くそっ、なんだってんだ…」

 

 

なんとか立ち上がった俺の目の前に、ブランとベールが迫ってきた。

 

 

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