超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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38 傷だらけ

 

ドゥーム・ザ・ハードが剣を地面に突き立てる。

その瞬間、その剣から衝撃波が私たちの方へ迫ってきた。

 

「くあっ」

 

「きゃああ!」

 

地面がえぐれるほどの衝撃波によって、私たちはダメージを受ける。

 

ジャッジ・ザ・ハードの「審判の刻」と同じような挙動と力だ。

ただし、ジャッジとは比較にならないほどの凄まじい威力だった。

 

「うう…」

 

たった一撃で、私たちは立てなくなるほどに消耗してしまった。

 

 

「これで終わりだ」

 

トドメをさそうと、ドゥームが力を開放する。

ドゥームの背中にマジック・ザ・ハードのと似たような翼が現れた。

 

「ダメ…動けない…!」

 

さっきよりも強い攻撃を受ければどうなるか。

囚われる、なんて甘いことにはならない。

 

死んでしまう。

 

思わず、恐怖で身体が震える。

 

「させんっ!」

 

聞いたことのある声と共に、電撃が空を飛び、油断していたドゥームとマジックへ直撃する。

 

「オルガ…」

 

「あのときにいた小娘か。実力の差はわかっているだろう」

 

 

ドゥームを遮るようにして現れたのは、篠宮オルガ。

ユウさんの過去を知る女性。

 

その鋭い目つきは以前とは違い、わたし達には向けられていない。

 

「やられたままは性に合わないんでな」

 

マジックとドゥームは忌々しい顔をしながらも、動かない。

どうやら先ほどの電撃には、麻痺の効果があるようだ。

 

「麻痺してるのも今だけだ。逃げるぞ、お前たち」

 

オルガはユウさんと同じような口調で喋る。

 

「何言ってんのよ!ここであいつらを倒したら終わりなのよ!」

 

「今は勝てない。それは分かってるだろう」

 

言い返せなかった。

今の私たちでは、マジックにもドゥームにもかなわない。

 

 

「今は…逃げよう」

 

私はみんなを立ち上がらせ、促した。

みんなも心の中ではどうしようもないことは分かっていた。

 

屈辱の敗走だった。

 

 

「逃げたか」

 

「まあいい、どうせ犯罪神様の復活は止められん」

 

 

 

 

 

                  △

 

 

 

 

 

女神たちの容赦ない猛撃を、ただしのぐことしかできなかった。

 

「テンツェリントロンペ!」

 

ブランが振り回す戦斧を刀で受け止めたが、勢いで体勢を崩してしまった。

 

「レイニーラトナピュラ!」

 

おもいきり隙ができた俺に、ベールが高速の突きを浴びせる。

 

「あぐっ…」

 

シェアが少ない女神が相手とはいえ、心身ともに弱っている俺には痛烈だった。

少し吹き飛び、倒れてしまう。

 

「殺しはしないわ。ただ、あなたを野放しにはできない」

 

「痛めつけて、捕えるってか?」

 

敵意を持った目に、少しひるんでしまう。

 

「あなた次第よ!」

 

ノワールが魔力で剣の刃を伸ばし、俺を斬った。

もう避ける力も気力もない俺は、その攻撃をまともに喰らった。

 

「うっ」

 

殺す気がない、というのは本当だろう。

斬られた腹から少し血が出ているものの、致命傷には程遠い。

だが長時間放っておけばまずいことになる。

 

「ブレイズブレイク!」

 

ネプテューヌが俺に向かって炎をまとった太刀を勢いよく振り下ろす。

だが、その攻撃は俺には届かなかった。

 

「なにやってんのよ、ネプ子!」

 

「ねぷねぷ、やめるです!」

 

アイエフとコンパが受け止めたのだ。

 

そばには、REDと5pb.もいる。

こいつらは女神たちのように「何者か」の影響を受けていないようだ。

 

「あなたたちにもちゃんと説明しますわ。だから、今はその男を渡してくださらないかしら」

 

ベールが向かってくるが、REDと5pb.が立ちふさがる。

 

「いくら嫁でもそれはできないよ!」

 

「女神様、ごめんなさい!」

 

 

各々が女神たちを抑えていたが、突如巨大な剣が俺の頭上に現れた。

 

ネプテューヌの技だ。

 

 

「32式エクスブレイド!」

 

「逃げて、ユウ!!」

 

ようやく気づいたアイエフが、俺に向かって注意する。

 

俺は背中を向けて走った。

 

「うああっ!!」

 

しかし間に合わなかった。巨大な剣が俺の背中を切り裂いた。

 

見えないが、おそらくかなり深い傷を負ってしまっただろう。

 

しかし痛みを我慢して、ひたすらに逃げた。

どこに向かっているのかは、俺にもわからなかった。

 

俺を呼ぶ声が、後ろから聞こえる。

 

誰の声かなんて、わからない。

 

 

 

                  △

 

 

 

 

 

ネプギアを先頭に、私たちは教会へ戻った。

まだ信じ切れていないだろう。早く真実が先決だが、他のみんなにも知ってもらうことが必要だ。

ドゥームがネプギアに渡した透明の結晶でそれが可能になる。

 

ドゥーム・ザ・ハード

あの男の強大な力は、何度か見たことのあるものだ。

私たちの次元で見た、最悪の力。

 

 

 

急いで教会まで近づくと、なにか叫ぶ声が聞こえる。

 

中に入ると、アイエフとネプテューヌが言い争いをしていた。

 

「アンタ、何したか分かってんの!?」

 

「あいちゃんこそ!あの人は危険なんだよ!?」

 

 

「ちょ、ちょっと!なにしてるんですかっ!」

 

ネプギアは二人の間に入って、落ち着かせようとするが、二人はやめなかった。

 

「ユウはそんなヤツじゃないって言ってるでしょ!?」

 

「でも、本当なんだもん!」

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

二人の顔を交互に見ながら、無理やり止める。

 

「ネプ子たちが、ユウを襲ったのよ。世界を滅ぼすなんて言ってね」

 

私たちは驚いた。

 

「お、お姉ちゃん…」

 

「しょうがないのよ、それだけ危険だってことなんだから」

 

候補生たちが信じられないといった目で見るが、女神たちは堂々としている。

まあそうだろう。女神からしてみれば、危険因子をしばらく戦闘できない状態にしたのだから。

 

私も真実を知るまではこんな感じだったのか。

大いに反省しなければいけないが、反省する相手はここにはいない。

 

「お、おにいちゃんはどうしたの…?」

 

「行方不明です…」

 

恐々と聞くロムに、コンパが答える。

 

「世界を滅ぼすという話は、エリカから聞いた話だな」

 

ユウが危険、ということを話すのはいまのところ私かエリカ、それとユウ本人くらいだ。

さらに女神を、これだけ自信をもって行動させられるのはエリカしかいない。

 

「あっ、アンタ!」

 

私を見た途端アイエフが戦闘態勢を取ろうとするが、女神が制する。

 

「あなたがオルガね。聞いたって言うよりかは、見たっていう方が正しいかしら」

 

「記憶を見せられたのか」

 

ノワールのこの様子を見ればわかる。

エリカがいつの間に来たのかはわからないが、女神たちに記憶を見せたのだろう。

 

「記憶?」

 

「エリカの術の一つに、「記憶術」というものがある」

 

「記憶術…!?」

 

イストワールが驚く。

 

「記憶術ってなんですか?」

 

「勉強法?」

 

REDが首をかしげるが、無視する。

 

「扱うのが難しい魔法の一種です。極めれば、記憶の消去やねつ造などもできてしまうという禁忌の技…」

 

ネプギアの疑問に、イストワールは答えた。

 

エリカはユウの力になるため、あらゆる禁忌を手にした。

大半が危険なものだったが、それでもエリカは躊躇わなかった。

 

話してはいなかったが、ユウもうすうす感じていたことだろう。

 

「そのエリカという人の記憶を見てしまったために、安直な行動をとってしまったと」

 

ケイが皮肉っぽく言う。

 

「やはり、ユウさんの言ったとおりになったね」

 

「ケイ、何か知ってるの?」

 

ユニがケイにつめかかる。

 

「うん。いままで集めた情報から、ユウさんはある仮説をたてたんだ。おそらくそれが真実だと僕も思っている」

 

ケイがこちらを見る。

いまここで真実を知っているのは私だけだ。

 

「オルガさん、全てを話してくれないか。」

 

「分かった」

 

即答する。

このまま勘違いをしたままだと、このパーティ内でも仲違いが起き、これからの戦いに支障が出てしまう。

 

それに、みんなにはユウのことをちゃんと知ってもらいたかった。

 

私が言えたことではないが。

 

 

「ネプギア。あの結晶を渡してくれ」

 

手を伸ばした私に、ネプギアは素直に結晶を渡してくれた。

私自身の記憶と私が見たユウの記憶を、その時に感じた感情を見せる。

 

 

これが真相だ。

 

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