超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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46 反逆への決意

今日も寝れない。

いまだに頭の中で記憶や思いが混然としている。

もうすっかり深夜だが、俺は篠宮家のすぐ外で星を眺めていた。

綺麗だな。

自分が小さく思える。

 

「悩んでる顔してる」

 

いつのまにかエリカが俺の横に来ていた。

 

「ん、まあ。ちょっとね」

 

「そうやって背負い込むところ、そっくりね」

 

俺は星から目を離し、エリカを見た。

 

「そっくり?」

 

「ええ。滝空ユウに」

 

エリカは空を見上げた。

気づいていたのだ。俺が彼女の知っている男ではないことを。

 

「知ってたのか」

 

「知ってるわよ」

 

当然といったように、エリカは言った。

 

「この目で見たもの。ユウの死体を」

 

エリカは少しうつむきがちになった。

今現在、プラネテューヌには「こちらの次元の滝空ユウ」の死体が保管されている。

それを見ていないはずがないのだ。

少し考えればすぐわかることだったのに、あまりにもうかつだった。

彼女をだましていることがばれた。

 

「あなたは誰なの?」

 

エリカの目がまっすぐ俺を貫く。

 

俺は観念して、正直にことを話した。

別の次元から来たことを。

 

 

 

 

 

「へえ、別の次元…ね」

 

「信じてもらえないのも…」

 

「信じてないわけではないわ。現にあなたみたいな人がいるわけだし」

 

すこし含みのある言い方だったが、この際それはどうでもいい。

重要なのは彼女が俺について感づいていたことだ。

 

「私はどんな人だったの?」

 

文字通り異次元の話をしたのにもかかわらず、エリカは気にしていない様子で話す。

 

「どんなって……どうなんだろうな。正直に言えば、よくわからないかな」

 

「わからない?」

 

エリカが首をかしげる。

 

「うーん、最初の方は考えてることわかってるつもりだったんだがな……」

 

旅を経るごとにどんどんエリカの、「俺の知っている篠宮エリカ」の考えていることが分からなくなった。

ついには禁忌と呼ばれる術にまで手を出しているようだし。

 

「……きっと…」

 

エリカは呟く。

 

「きっと根本は変わってないわ」

 

「根本?」

 

寂しそうな表情を見せる彼女に俺は問いかける。

 

「私のことだもの。きっと心の底の底で思っていることは変わってないはずよ」

 

エリカの言っていることが、俺には理解できなかった。

 

「底の底…」

 

俺の心の底には何があるのだろう。

「破壊衝動」が消えてしまったいま、俺の底には何が残っているのだろうか。

「滝空ユウ」の根本にはいったい何があるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「…あんまり、手間かけさせないでよね……それと、ごめん。辛い役を、押し付けるわ…」

 

「アンタにしかできないの……だから、お願い!お願いだから!」

 

「う…ぐっ…!思ってたよりは、痛くない…大丈夫だから……ね?」

 

「ロムちゃん…二人一緒だから、怖くないよね…?」

 

「ラムちゃん、ずっとこのままで…」

 

「あなたを信じていますわ。絶対に世界を救うんですのよ」

 

「それじゃ、ね。ネプギア、ユウ。一緒に頑張ろうね」

 

「ユウさん、どうか」

 

 

 

 

「どうか世界を救ってください」

 

 

 

 

 

またもや寝覚めは最悪だった。

まるで何かが憑いているかのように身体が重い。

相変わらず「底」なんてものはわからなかったが、おかげで先が少し見えてきた。

俺がやること、すべきこと。

「責任」といってもいい。なんなら「約束」とでも

そう、俺には自分を押しとどめてまで果たすべき「約束」がある。

ビリビリに破れたそれが塵になる前に、いやもう塵と化してるかもしれないが。

俺の中のどこかに残ってるそれが完全に消えるまでに果たす。

 

「少しはすっきりしたかしら」

 

リビングへと降りると、エリカがそんな言葉を投げかけてきた。顔どころか身体ごと背を向けて。

 

「せめてこっちを見てから言ってくれ」

 

「見なくてもわかるわ」

 

エリカはおもむろにこちらに振り向いた。

 

「わかってるつもり」

 

今までに聞いたことのないような、力のない声だった。

もし俺が彼女の知っている「滝空ユウ」ならば、エリカは自信満々に、それこそ「つもり」だなんて言葉を使わずに宣言していただろう。「わかっている」と

 

「行くのね」

 

「ああ」

 

迷いを振り切った顔をしているであろう俺に、エリカは近づく。

 

「ずっとこのままは無理だってわかってたわ」

 

そういうと、エリカは懐から小さな四角形のものを取り出した。

「安全祈願」と書かれたお守りだ。

 

「気休めよ」

 

「いや、心強いよ」

 

エリカの願いが詰め込まれた小さなそれを受け取る。

繋がりが消えてしまうとでも思っているのだろうか、じっと俺を見るエリカ。

だが、俺には彼女の想いを汲んでやることはできない。

彼女の知っている「滝空ユウ」の言葉ではないから。

俺は振り向いて、一歩一歩向かっていく。

戦いの場へ。

 

これは自分自身との戦いだ。

これは自分自身への反逆だ。

「破滅」という自分自身への、

凶悪であり脆くもある俺の「衝動」への反逆(リベリオン)

 

 

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