超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】   作:ジマリス

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6 片鱗

「おじゃましまーす」

 

教会の扉を開ける。

待ってましたと言わんばかりにケイが出迎える。

 

「やあ、無事材料を揃えてくれたようだね。お疲れ様」

 

ユニが一緒にいることも言及してこないところを見ると、リアルタイムで情報を取得してるみたいだな。

若干怖い。

 

「相変わらずこっちの行動は全部お見通しってわけね」

 

「お見通しなのはこっちだけじゃないみたいだけどね」

 

ケイが俺に向けてウインクする。

ああ、あの自称防衛隊の男のことか。

 

「じゃあ、情報を教えてもらおうか」

 

宝玉と血晶を渡し、早速ゲイムキャラの情報を聞こうとする。

 

「だいぶ時間かかっちゃったし、早くしないと…」

 

「既にだいぶかかってしまったなら、もう少し遅れてしまっても構わないだろう?」

 

焦りで、少し興奮気味のネプギアを落ち着かせたあと、ケイはゆっくりとネプギアを見据えた。

 

「さて、それではギョウカイ墓場での出来事をお伺いしようか」

 

「う…分かりました…」

 

 

 

 

 

 

 

「…そう、ノワールは無事か。よかった…」

 

敗北、女神捕縛、アイエフとコンパによる女神救出。

ギョウカイ墓場で起きた一連の出来事を話し終えると、安堵のため息を漏らした。

やっぱりノワールのこと気になってたんだな。

 

このツンデレボーイッシュめ。

ラステイションというのはどうもツンデレが集まる国みたいだな。

 

「そんなに心配してたんならもう少し協力的でもよかったんじゃないの」

 

「こちらにも色々と考えがあってね。ああ、そうだ」

 

ケイは手に持っていたファイルを俺に渡した。

 

「これは?」

 

「君について調べたことだよ」

 

そうか、俺のことについても条件を出していたな。

俺は渡されたファイルを仕舞った。

また落ち着いた時に見よう。

 

「さて、次はこちらの番だね」

 

ケイはネプギアに一枚の紙を渡す。

そこにはゲイムキャラがいる場所が書かれていた。

 

「ありがとうございます。これでようやく…」

 

「ただ…素直にあなた方の要求が飲んでもらえると思わないほうがいい」

 

「頑固ってことか…まあなんとかするさ」

 

ラステイションは面倒くさい性格の奴が集まるのか?

 

「さ、一緒に行こ。ユニちゃん」

 

「ううん、アタシは残るわ」

 

ネプギアが手を指し伸ばすも、ユニは首を横に振った。

 

「そ、そう…」

 

しゅん、とするネプギア。

 

「べ、別にアンタがどうこうってわけじゃないの。ちょっと思う所があって……」

 

「まあまあネプギア。ユニはお前のこと大好きだから気にすんな」

 

「なあっ!?何言ってんのよ!」

 

面倒くさいけど弄りやすい。それがラステイションクオリティ。

 

「へへへへへへへ!」

 

顔を真っ赤にして追いかけてくるユニをかわしつつ、俺は教会を出る。

 

「なかなかいい性格してるね、ユウさん」

 

くすくすと笑いながら、ケイは俺たちを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲイムキャラがいる場所は、セプテントリゾートだった。

俺が血晶をとった場所よりもさらに奥。

ケイにもらった地図を片手に進む。

 

「それは…」

 

俺はコンパの方を見る。

 

「ネズミ…か?」

 

いつの間にかコンパは通常の何十倍もの大きさのネズミを抱えていた。

 

「はい、そこで倒れていたので治療してるんです」

 

「またそんなの拾って……」

 

「ユウさん!ちゃ、ちゃんと面倒みるですから!」

 

「ダメだ!返してきなさい!」

 

「何してんのよあんたたち」

 

コントに混じらず、アイエフは白い目で俺たちを見る

 

「それより、情報通りならこの近くのはずよ」

 

「お、あったあったアレだ」

 

セプテントリゾートの最奥部、そこには黒いディスクのようなものが浮いていた。

初めてゲイムキャラを見た時にはバラバラになっていたが、やはりディスクみたいな形だったんだな。

ゲイムキャラはプラネテューヌのと同じように黒い光を放っている。

 

「あなたがラステイションのゲイムキャラですか?」

 

「ん?お前は、プラネテューヌの女神…いや、女神候補生か」

 

ネプギアの問いに、落ち着いた声が返ってくる。

 

「あの、お願いします!私と一緒に来てください」

 

「唐突だな。わけもわからないまま同行などできるはずもない」

 

「女神たちがギョウカイ墓場に囚われているんだ。力を貸してほしい」

 

急に望みを言ったネプギアに変わり、俺が説明した。

もうちょっと落ち着いてから話しようぜ、ネプギア。

 

「…そうか。薄々と気づいてはいたが、やはり女神はよその地に囚われていたか」

 

ゲイムキャラは嫌な予想が当たったことで、すこしだけ落胆した声で言った。

 

「ならば尚の事、お前たちと一緒に行くわけには行かない」

 

 

 

「ん?ここはどこっちゅか?」

 

ゲイムキャラの同行拒否に反論しようとしたそのとき、コンパの抱えているネズミが起きた。

 

「喋った…!」

 

ネズミが喋ったことにまず驚く。

動物が喋るのは初めて見るな。

 

「あ、気がついたですか?」

 

ネズミは自分を抱えているコンパをじーっと見つめている。

 

「ネズミさん?」

 

「ちゅ…!あ、あの…お名前は、何というでちゅか?」

 

「私はコンパです。よろしくお願いしますね」

 

コンパがニコッと微笑むと、ネズミの目がハートマークになった。

 

「コンパちゃん…マジ天使…」

 

「ちょっと、今大事な話してんのよ。ジャマしないで」

 

「いやだって、ネズミが喋って…」

 

「何言ってるっちゅ!この世にコンパちゃんより大事なことなんて…」

 

アイエフに反論しようとしたネズミは、ゲイムキャラを見ると飛び上がった。

 

「ああああああ!そこにいるのは、もしかしてゲイムキャラ!?」

 

自らの足でゲイムキャラに近づく。

 

「あああ今日は幸運な日っちゅ!そうだ、コンパちゃん。一緒にあいつをやっつけるっちゅ!」

 

やっつける……ってことは…。

 

「お前マジェコンヌか?」

 

「そうっちゅよ!ゲイムキャラをやっつければご褒美がもらえるっちゅ!」

 

「このネズミさん、敵の一員だったの~!?」

 

REDが武器を構え出す。

お前の武器ってけん玉かよ。

 

「ダメです!この方を倒したりしたら、ゲイムギョウ界が…」

 

「そうっちゅ!また一歩マジェコンヌの物へと近づくっちゅ!女神もいない、女神を信じる者もいないゲイムギョウ界なんて、あっという間に我々のものだっちゅ!」

 

女神のいない世界。

その言葉は俺の頭にフラッシュバックを起こさせた。

 

 

 

 

 

 

 

荒廃した世界。

 

何もなくなった世界。

 

誰もいなくなった世界。

 

もう誰も、この世界を守るやつはいない。

 

 

俺はそんな世界を……知っている?

 

 

 

 

 

 

 

「やめてください!」

 

「…コンパちゃん?」

 

「わたしは、女神さんたちを助けるために旅をしてるです…ネズミさん、あなたは私の敵です!」

 

コンパにしては珍しい「敵宣言」にネズミがショックを受けた。

 

「がーん!て、敵!?敵ってことは嫌いってことっちゅか?」

 

「大っ嫌いです!世界をこんなにしたマジェコンヌなんて、大っ嫌いです!!」

 

「大っ嫌い!?しかも二回言われた!?…う、う…うわああああん!!」

 

ショックを受けたネズミはそこかしかを壊しはじめる。

 

「あはは、暴れだしたよ~」

 

「笑ってる場合じゃないでしょ」

 

 

オレはドロドロとしたドス黒い感情を抱えながらネズミに近づく。

暴れるネズミの頭を掴み、俺の視線と同じになるまで持ち上げる。

 

「お前らのものにはならない」

 

自分でも驚くほどの低い声が出ている。

この前の正体不明の声と同じ声だ。

 

「女神のいない世界なんて、無しかないんだよ」

 

さっきまでの威勢は消え、おびえている。

 

「あばばばばば」

 

このままではまずいと思ったのか、ネズミは懐からディスクのようなものを取り出し、少し離れた地面に叩きつけた。

ディスクは割れ、黒く光ったかと思ったら、そこには巨大な狼、フェンリルが現れていた。

 

「この野郎…」

 

ディスクからモンスターを召喚できるのか。

オレはネズミを遠くに放り投げた。

 

「ちゅーーーーーー!?」

 

ネズミは以前の下っ端のように海へ落ちていった。

 

オレは背中の大剣を抜き、ぐるん、と大剣を一回転させ構える。

 

フェンリルは鋭く前足を繰り出した。

オレは大剣でその攻撃をガード。

 

「この程度か?」

 

その攻撃にはなんの重みも感じなかった。

フェンリルはさらに二、三度攻撃を繰り返すが、オレはそれを大剣で流す。

危険種と言われるフェンリルを相手にするために本気を出そうとしたが、買い被りだったみたいだ。

 

 

所詮はモンスター、オレに破壊されるのを待つだけ。

 

 

オレはフェンリルを押し返し、蹴りを繰り出す。

巨体にも関わらず、フェンリルは吹き飛んだ。

 

「邪魔しやがって…」

 

フェンリルは体勢を立て直し、向かってくる。

フェンリルのタックルをかわし、今度は拳を食らわせる。

それが相当効いたのか、フェンリルはその場にうずくまってしまった。

 

オレは大剣をぐるんぐるんと回しながらフェンリルに近づいた。

 

「これで終わりだ」

 

ぐっと大剣に力を込める。

 

 

「デュエルエッジ!!」

 

 

横一閃に大剣を振る。

その一撃でフェンリルは真っ二つになり、消えた。

 

「ユウ…さん?」

 

ネプギアは信じられないものを見ているような目でオレを見た。

 

 

 

 

 

 

 

「重いっ」

 

突然、大剣が重くなったように感じ、まともに持つのが難しくなった。

苦労して再び背中に装備する。

あれ、なんで大剣をもってるんだ?

 

「ユウ、あんた…今の…」

 

「ん、今のって?」

 

「こ、怖かったですぅ」

 

コンパがビクビクと怯えた目で俺を見る。

 

「俺、なにかしたのか?」

 

あのネズミを掴んだところあたりから記憶がないんだが。

というかそのネズミもいないんだが。

 

「ううん、どうなってるんだ?」

 

「自覚ないの?」

 

「だからなんのだよ」

 

「あんたがあのネズミを放り投げて、その大剣でフェンリルを倒したのよ」

 

「ええ?」

 

この大剣を?

こんな重い大剣を使ったっていうのか?

額に手を当てて考えるも、そんな記憶は全くない。

 

「…あれが、今のゲイムギョウ界に仇なす敵か」

 

流れを切るようにゲイムキャラが言った。

 

「そうよ。ちなみにその敵にアンタの居場所が知られちゃったわけだけど」

 

「そのようだな。しばらくは身を隠さねばなるまい」

 

「だったら私たちと一緒に来てよ!」

 

「それはできぬと言った」

 

「むー、頭かたいなあ。今はゲイムギョウ界全体があんな感じなんだよ!自分の住むトコさえ守れればそれでいいの!?」

 

お、REDにしてはいいこと言うな。

 

「ユウ、今失礼なこと考えたでしょ」

 

REDがこっちを向く。

いやいや、ナニモオモッテマセンヨ。

 

「守っているだけでは、守れぬものもある、か…女神候補生よ」

 

「はい!考え直してくれましたか?」

 

「やはり私は、この地を離れるわけにはいかぬ。古の女神との約束は破れぬ。だがこの地を離れずとも、力を貸すことはできる。私の力の一部をそなたに託そう」

 

ゲイムキャラから小さな黒い光がネプギアの元へ向かう。

 

「え…あ…!」

 

光はネプギアの手元まで来ると、消えた。

 

「これが私にできる精一杯だ。女神を…ゲイムギョウ界を、よろしく頼む」

 

「ありがとうございます!」

 

「それと、君」

 

ゲイムキャラは俺のほうを向いた……のかどうかはわからないけど、話しかけてきた。

 

「俺か?」

 

「君のその力は……どこで手に入れたものなんだ?」

 

「その力っていうのが何を指してるかわかんないけど、おれ自分のことについての記憶がなくなってるからなあ……」

 

だから答えられないっていうのが本当のこと。

一旦帰ったらさっきのことについて皆に聞いてみるか。

 

「そうか……」

 

「何か知ってるのか?」

 

「いや、なんとなく嫌な感じがしたのでな」

 

「ふーん?」

 

かくしてゲイムキャラの力(の一部)を手に入れた俺たちは一旦ラステイションに戻ることにした。

 

 

 

 

 

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