超次元ゲイムネプテューヌ 衝動へのリベリオン【完結】 作:ジマリス
人はオレを見て逃げていく。
憎しみ、苦しみ、怯え、怒り。
様々な感情を見せながら逃げていく。
逃げるなよ。
面倒くさくなるじゃないか。
そもそもお前たちが悪いんだ。
この事態を引き起こしたのはお前たちなんだ。
お前たちが犯罪組織なんぞを信仰するからいけないんだ。
オレは血にまみれた刀を振り回す。
ひと振りごとに一人、逃げ惑う人の命を奪っていく。
ああ、満たされていく。
満足感を得ながら、転がっている死体を踏みつけオレは進む。
「ユウ!」
声のするほうを見ると、紫の髪の少女が俺を見ていた。
「なんのつもりだ!」
少女は怒りの表情を浮かべ、俺を指さす。
「ユウ、お前は…」
オレは刀をくるんくるんと回す。
「悪魔だったのか…?」
絶望した少女の目はまっすぐオレを見据えていた。
「うあああああ!!」
ガバッと飛び起き、周りを見渡す。
宿の部屋だ。
乱れていた息を整え、立つ。
「夢か…」
くそ、最悪な気分だ。
篠宮オルガという女に変なことを言われたせいで、嫌な夢を見てしまったらしい。
そのせいで、汗が大量に出ていた。
「べっちょりしてるよ」
風呂でも入って着替えるか。
しかし……
さっきの夢、やけにリアルだったな。
思い出すともっと嫌な気分になってしまう。
汗と一緒に洗い流してしまおう。
朝食を終え、支度も済ませた俺たちはネプギアたちを迎えるために駅の前で待っていた。
「大丈夫?顔色悪いけど」
「大丈夫大丈夫」
心配そうに俺の顔を覗き込むアイエフ。
そんなひどいか。
ネプギアたちに心配かけないようにしないとな。
俺は気合を入れるために、自分の頬を二度叩いた。
「どう?」
「ちょっと微妙」
それは微妙に顔色が良くなったということでしょうか。
それとも顔が微妙ということでしょうか。
聞くか聞くまいか悩んでいると、ネプギアたち三人が駅から現れた。
「おーい」
別のところに行ってしまわないように、手を振って俺たちの場所を示す。
「あっ、ユウさん!」
ネプギアたちがこちらに駆け寄ってくる
俺は両手を広げた。
「カモン、ネプギア!」
「あ、それはいいです」
「そうですか…」
「ルウィーの教祖ってのはなんか面倒だったりするのか?」
教会への道すがら、質問。
「いえ、特には悪い噂は聞かないわね」
ということはラステイションみたいなお使いを頼まれることもない……といいな。
「えっと、教会に行くにはこの道をまっすぐ行って…」
「ねーねー。向こうのほうがなんか騒がしいよ。行ってみようよー」
REDが俺の袖を掴む。
女の子のこういう仕草いいよね。
「寄り道してる時間なんて…ん?あれは…」
騒がしい方を見てみると、何やら紙を配っている人がいた。
「はーい。みんな寄っといでー!楽しい楽しい犯罪組織マジェコンヌだよー!マジェコンヌに入信すれば、どんなゲームもタダで遊べちゃう!好きなだけゲームし放題だよー!」
下っ端だ。
「はあ。なんでビラ配りなんて惨めな真似しなきゃなんネェんだろうな」
下っ端はため息をついたあと、地団駄を踏む。
「それもこれも、アイツ等がジャマばっかしくさってくれたから…!」
「あいつらって、わたし達のことですか?」
「そうそう、テメエみたいなトロそうなボケ女と、クソチビガキんちょと、生意気タカビーと、ませた嫁女と、ふざけた気取り男…」
「あら、これでも礼儀正しい方だと思ってるんだけど」
とアイエフ。
「クソチビ…うう、そんなにちっちゃいかなあ」
とネプギア。
「そんなこと言うなら、嫁にしてあげないんだから!」
とRED。
「ぶっちゃけ否定できない」
と俺。
「ん…うおわっ!テメエ等!こんなとこまで追ってきやがったのか!?」
「それは俺たちの方が聞きたいかなあ」
行く先々で現れやがって。
他よりも会う回数少ない俺でもしつこいって思ってるんだぞ。
「クソッ、流石に分が悪いか…おっ。おい、そこのガキ!」
「ふぇ…?」
下っ端は近くを歩いていた、水色と白色の帽子と服を着た茶髪の幼女を捕まえた。
「へへへ、コイツは人質だ!手ェ出せるなら出してみな!」
「汚い…」
まさか幼女に手をかけようとするとは…
「やめてください!その子は無関係です!」
「うるせェ!犯罪組織が汚ネェのが当然だろうが!」
「ふぇぇ…助けて、ラムちゃ…」
下っ端は幼女を抱えたまま、脱兎のごとく逃げた。
「あってめえ、この野郎!!」
見失わないように俺たちは追う。
「ロムちゃん?ロムちゃーん?もう、どこに行ったのよー。ここで待っててって言ったのに…」
俺たちとは少し離れたところで、ピンク色と白色の帽子と服を着た茶髪の幼女がキョロキョロと誰かを探していた。
下っ端が逃げた場所はルウィー国際展示場。
かつては観光名所だったのか、ルウィーが開発した機械や、名産品などが展示されている。
今は使用されてないらしく、展示物はホコリや氷に覆われている。
「はあ、はあ…ここまでくりゃ大丈夫か」
「ふぇー…ふぇぇー…」
恐怖からか、幼女が泣き出した。
「幼女泣かせやがってテメェ!!」
俺はすぐに追いつき、下っ端を非難する。
「うわっ、もう追いついてきたのかよ!」
「そりゃもう幼女レーダーがバリ3だよ!!」
「はあはあ、ユウさん速いです…」
俺の後ろからやっと、ネプギアたちが追いついてきた。
「さあその子を放せ!」
「バ、バカ言うな!大事な人質を手放せるかよ!それともテメエ等、人質を無視して手を出すつもりじゃねえだろうな!」
「……」
「……」
しばらく続いた沈黙を破ったのはREDだった。
「どうするつもりだったの?」
「まあ勢い……でいけたらいいかと。ご都合展開的なアレで…」
「つまり、何も考えずに追いかけてきちゃったですね」
「………」
コンパの鋭い一言に返す言葉も無い。
「へ、へへ、へへへへへっ!テメエ等真性のバカだな!」
「反論できないのがムカつく」
「ど、どうしましょう?これってかなりピンチですよね?」
「ユウを追いかけてる間に何か考えておけばよかったわ」
「ん?」
なにやらゴオオオオという音が聞こえた。
上か?
「へへへ、テメエ等動くなよ…」
「お前は動いたほうがいいけどな」
「は?」
「ロムちゃんを、返せえーーーー!」
突然、誰かが超スピードで展示場の屋根を壊し、下っ端にぶつかった。
「ぎゃあああああ!!」
下っ端は勢いよく吹っ飛び、ロムは幼女は自由になった。
ぶつかった誰かは人質であった幼女を抱きしめる。
「ロムちゃん、大丈夫だった?」
「ラムちゃん…!ラムちゃあああん…!」
下っ端にぶつかった幼女、ラムは誘拐された幼女と同じ背丈で、手には杖を持っていた。
しかも、ネプギアと同じようなピンクのプロセッサユニットをまとっている。
「おー、女神だ」
ルウィーの女神候補生が思わぬところで見つかった。
「ロムちゃんをユーカイするなんて、絶対許せない!ロムちゃんも変身して!こいつ、コテンパンにしちゃおう!」
「ん…(こくり)」
誘拐された少女、ロムが光に包まれると、ラムと同じような姿となって現れた。
「あれが、ルウィーの女神候補生、達」
ルウィーって女神候補生二人なんだ。ずるい
「「アイスコフィン!」」
ラムとロムは二人で杖を合わせると、巨大な氷の塊ができた。
その氷はまっすぐ下っ端に衝突、そのまま壁を突き抜けていった。
「覚えてろおおおお」
「大勝利ー!わたし達ってばさいきょー!」
「さいきょう…」
Vサインをし、はしゃぐラムとロム。
「わー、カッコいいなー!さすが、アタシの将来の嫁だね!」
「えええ、幼女も入ってんのかよそれ。ますますわからんくなってきたわ」
そこでようやく、ラムが俺たちに気づいた。
「ん?誰、この人たち?」
「助けようと、してくれた…」
「ふーん。でも助けてくれなかったんでしょ。じゃあタダの役立たずね」
ラムの歯に衣着せぬ物言いが、心に刺さる。
「今回ばかりは、何も言い返せないわね」
「ユニといいこいつらといい、初対面の人に失礼な事を言うのが最近の流行なの?俺の心をブレイクしたいの?」
「二人がルウィーの女神候補生なの?」
ネプギアが二人に問いかける。
「そうよ。ルウィーの最強双子女神。ラムちゃんロムちゃんとは私たちのことよ!」
自分で言っちゃうのね。
まあ俺も似たようなもんだけど。
「会えてよかった。あのね、私も女神候補生なの。お姉ちゃん…じゃなくて、ネプテューヌの妹で…」
「ねぷてゅーぬ?ってことは、えっと…」
「…プラネテューヌ」
「そうそう、あなたプラネテューヌの女神なんだ」
「うん、それでね、お姉ちゃんを助けるために…」
「…てことは私たちの敵ねっ!」
「…敵(びしっ)」
ネプギアの言葉を遮り、敵宣言してくる女神候補生たち。
「きっとルウィーのシェアを横取りしに来たんだわ!」
あー、これ話聞かないパターンですわ。
「そんなことしないよ。とにかく話を聞いて…」
「もんどーむよー!かくごー!」
そう言って、二人は杖を構える。
「ど、どどどどうするです?」
「そりゃ人のお話を聞かない子どもにはお仕置きだよ」
俺は刀を抜き、くるんくるんと回した。