IS×仮面ライダー AtoZの所持者   作:GENERAL

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勢い余って(ry
ラウラ回だからね。仕方ないね。


第二十話 せめて若者らしく

突然の叫び声で、俺の意識は一気にそちらへ引っ張られた。

 

「何だよ…あれ…」

 

目の前には、黒く蠢く謎の物体があった。

気持ち悪っ。

 

「デュノア!大丈夫か!」

 

「僕は大丈夫だけど、彼女が…」

 

彼女ってオイ…

 

「ぐ…あ…ああああアアアアアアァァ!!」

 

辛うじて、銀色の髪が呑み込まれていくのを確認できた。

 

「ジャーヴィス…アレが何か分かるか?」

 

『ミスボーデヴィッヒのISの機能のようですが、ハッキングは無効で……失礼、能力判明、ヴァルキリー・トレースシステム。過去のヴァルキリー、即ちミス織斑の動きをトレースするシステムです』

 

「あの鬼教師の動きをって…それ勝ち目あんのかよ…」

 

そもそも何であれは発動した?何の目的があって?

分からん事だらけだ。

 

『非常事態発令、トーナメントの全試合を中止、状況をレベルDと判定、直ちに避難を』

 

アナウンスが響き、観客席にシールドが張られる。

 

織斑は戸惑っているが、無理も無い。

自分の姉がトレースされているのだ、恐らく怒り心頭だろう。

 

「あいつ…千冬姉の剣を…」

 

それ見た事か。

見たことも無い真っ黒な顔してやがる。

 

「織斑はとりあえず落ち着け…こちら茅野、先生、教師部隊は?」

 

通信を繋ぎ、本家鬼教師に尋ねる。

 

「誰が鬼教師か…もう直ぐ向かわせる。それまで耐えろ」

 

「無茶言いなさる…」

 

一度は世界の頂点に立った者の相手をするなんぞ、俺には荷が重すぎる。

ただ今は…

 

「あの子を助けないと…」

 

拳を握りしめ、自分に喝を入れるために叫ぶ。

 

「主人公じゃねえよなあああ!!!!」

 

「咲!」

 

織斑の声が聞こえる。

仮にこの世界の主人公が元々は織斑だったとしても、今は、今だけは、俺がやらなければいけない。

自分で望んだ世界なんだ。自分で片を付けないと、あの馬鹿神に何言われるか。

 

「吐き出しやがれ贋作があああああァ!!」

 

腹に向かってパンチを繰り出すが、剣で防がれる。

あの武器さえ何とかすれば恐らくは…

となると…

 

「ジャーヴィス…俺の考えてる事は分かるな…?」

 

『…』

 

剣を避け、拳を当てて弾きながら、ジャーヴィスとの会話を続ける。

 

「無茶だってのは分かってる…けど頼む、この後好きなだけ叱ってくれて構わないから、だから!」

 

『…転送完了。どうか、御無事で』

 

左腰に若干の重み、そして右手には新たなメモリが転送される。

サンキュー、ジャーヴィス。

 

【Joker!】

 

「切り札はいつも自分だけ、ってなァ!」

 

【Violence! Maximum Drive!】

 

【Joker! Maximum Drive!】

 

二本のメモリをマキシマムスロットに叩き込む。

後は野となれ山となれ、だ。

 

「ハァッ!」

 

紫と赤色のオーラを纏い、上空へ飛び上がる。

本日五回目のマキシマムドライブ、どうなる事やら。

 

「これが俺の全力、全開!ライダアァァァァァ…」

 

向こうも剣を構え、突っ込んでくる。

姉弟ってのは良く似る物らしい。

 

「キイィィィィッック!!!」

 

Wの体が二つに分かれ、其々がキックを繰り出す。

剣と足がぶつかり合い、激しい光を放つ。

 

「壊れろおおおおオオオオオオオ!!!」

 

ピキッ…

 

俺の叫びに呼応するように、剣に罅が入ってゆく。

そして…

 

ベキッ…バキィン!

 

「もう一丁おおおおおオオオオ!!!」

 

半分に割れた内のもう片方の体も、敵機に突き刺さる。

 

「見つけた!」

 

突き破った機体の中に、ボーデヴィッヒさんを見つけた。

咄嗟に抱きとめ、更に突き破り、貫通する。

…したは良いのだが…

 

「ちょっ、待っ、止まれ、止まってくれええええ!!」

 

ライダーキックの勢いが付きすぎた為か、このままだと壁と熱いキスをする羽目に…

 

「咲!」

 

お?

 

織斑が止めてくれたのか…

 

「おぉう…サンキューな織……む……」

 

何か叫ぶ織斑が見えるような、見えないような…

俺の意識は、そこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

そして、現在。

 

「馬鹿」

 

「ごめんなさい」

 

「阿呆」

 

「すんません」

 

「コミュ障」

 

「仰る通りで」

 

「眼鏡」

 

「いや今お前着けてないから眼鏡じゃ…」

 

「返事は?」

 

「…ハイ」

 

絶賛叱られ中である。

怪我はしてないけどアホみたいに疲れて動けないので、寝ながらではあるが。

ちなみにジャーヴィスは実体化、つまり人の状態で俺に説教をしている。

姿が完全に妖狐×僕の御狐神君でビビったなあ…最初は。

ちなみに声も変わって、完全にcvゆうきゃんになっている。

 

「好きなだけ説教をしていいと言ったのはどなたですか?」

 

「私です。ハイ」

 

「ちなみにまだ言いたい事の十分の一も言っておりませんので、そのつもりで」

 

「勘弁してくれ…」

 

「咲―、皆で見舞いに…って誰?!」

 

突然織斑達が見舞いに来た。賑やかだなぁオイ。

 

 

 

 

 

 

その後、見舞いに来てくれた織斑達と色々な話をした。

 

「そういや織斑、もうSE無かった筈だろ?何で最後動いてた?」

 

「僕のISからエネルギーを渡したんだよ。まぁ無駄になっちゃったけど…」

 

IS同士でエネルギーの遣り取りができるのか。裏山。

 

「というか咲も凄かったぞ!最後のあの…ライダーキックって奴!」

 

「そういえば言ってたね…ねえ、何でライダーなの?バイクに乗ってる訳じゃないのに」

 

ぐはっ。

 

「さ、最近は車に乗るライダーも居るから…多少はな?」

 

「「「「「…?」」」」」

 

「そ、そういやボーデヴィッヒさんはどうなった?確か引き剥がせたと思うんだが…」

 

「ああ、それなら」

 

織斑が隣のカーテンをめくると、そこには安らかな寝顔を浮かべるボーデヴィッヒさんが居た。

 

「咲ってばお姫様抱っこしたまま気絶したんだぜ!いやー皆にも見せたかったなー!」

 

「黙らせろ、ジャーヴィス」

 

「何か仰いましたか?」

 

こ、この野郎…

俺をおちょくってそんなに楽しいか…

 

「お、お姫様抱っこ…咲が…ククッ…」

 

「オゥ凰…喧嘩売ってんなら買うぞ…?」

 

「あら、その体であたしに勝てるのかしら?」

 

「上等だゴルア!」

 

「病室で騒ぐな馬鹿者!」

 

スパァン!

 

織斑先生何時の間に…

 

「俺今回頑張ったのに…」

 

「私は教師部隊が向かうまで耐えろと言ったのだ、馬鹿者。あまり無茶をされては、こちらも迷惑だ」

 

「すんません…」

 

 

 

 

 

ついでとばかりに織斑もシバかれ、部屋には俺とボーデヴィッヒさんだけとなった。

ジャーヴィスは待機状態に戻っている。

 

「んぅ……私は…一体……」

 

お。

 

「目ぇ覚めたか?」

 

「茅野…咲…」

 

「いやまぁ、話せば長くなるんだが…」

 

俺はボーデヴィッヒさんに、VT(ヴァリキリートレース)システムの事、その後の戦闘の事を話した。

 

「私が…望んだからか…」

 

「そう聞いてるぞ。まぁ、他にも色んな要因があったらしいが…」

 

………

 

(空気が重い…)

 

俺はこう言った空気が非常に苦手だ。前にもあったけど。

ヘルプミージャーヴィス。

 

『ご自分でどうにかなさってください』

 

『酷ぇ…』

 

ゴホン、と咳払いをし、話しかける。

 

「えっと、だな…ボーデヴィッヒさん」

 

「ラウラで良い」

 

えっ?

 

「じ、じゃあ…ラウラ、さん?」

 

「さんもいらない」

 

ちょいちょいちょい。

俺が女子を名前で、しかも呼び捨てで呼ぶなんて前世含めて人生初なんだけど?

束?あれは女子じゃない。断じて。

 

深呼吸を数回し、ようやく決心できた。

 

「ら、ラウラ…」

 

どことなく満足げな顔を浮かべているのは気のせいだろうか。

横顔だからよく分からん。

 

「ラウラは、その…織斑先生に憧れてたんだよな?」

 

「ああ…あの人のように強くなりたいと、そう願っていた…」

 

でもなれなかったと、か細い声で付け加える。

 

「私は弱い…出来損ないの烙印を押され、教官に憧れる余り、あんな紛い物の力まで求めてしまった…私は…」

 

「ラウラ」

 

少し強い声で呼びかける。

 

「その…これは受け売りなんだが…」

 

また深呼吸をする。

落ちつけ俺。これまで読んできた本の知識をフル動員するのだ。

 

「『君の人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう』」

 

「…?」

 

「何て言うかさ…もう少し、気楽になっても良いんじゃね?俺なんて、ここに来るまでは…まぁ常識外れな奴と一緒に居たけど…一般人でさ、でも、ここに、この世界に来て常識がひっくり返った。世界すげえなー、って思い知らされたんだ」

 

「……」

 

ボーデヴィッヒさん、いや、ラウラは俺の話を黙って聞いている。

 

「だから、その……あああ上手く言えねえ!とにかく!もうちょっと青春を謳歌してみようぜって事だ!以上!」

 

言うだけ言って、俺は布団に包まった。

なんだか恥ずかしい締め方になってしまった…

穴があったら入りたい…

 

『コミュ障なのに無茶をするからです』

 

『うっさい』

 

 

 

 

 

 

 

………

……

「肩の力を抜く、か…」

 

その日ラウラは、初めて深く眠ったという。

 




前回のはライダーキックじゃないのかって?
ライダーキックって名前のライダーキックは少ない物です。
つまりそういう事です。(錯乱)
ご指摘ご感想、お待ちしております。
あ、妖怪アパートの幽雅な日常、皆さん是非読んでみてください。
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