IS×仮面ライダー AtoZの所持者   作:GENERAL

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ダラダラ書いてたら遅く、長くなりました…



第二十四話 流れを変える切札

結局あの後十分ほどそのままでいたが、ジャーヴィスに声をかけられて意識が戻った。

らしい。

危ない危ない。

 

「よ、よーし、折角だし何かやるか!ジャーヴィス!」

 

無理やり声を上げて謎の空気を吹き飛ばす。

このままだと呑まれかねん。

 

さて、折角の海、これはあのメモリを使ってみる他無いだろう。

手に転送されてきた深い青色のメモリのスイッチを押す。

 

【Ocean!】

 

大洋の記憶、オーシャンメモリ。

確か固有能力は体の液化だったか?

使うと不思議なことが起こりそうな気がして未だに使っていない。

さてどうなるのやら。

 

 

……

 

 

「……何も起こらんな」

 

特に何かが起こる気配は無く、波の音と女子達のはしゃぐ声が響く。

体にも特に変化はないようだ。

 

「生身じゃ使えないのか…」

 

今所持しているメモリの中には、稀にこういった生身では使えないメモリがある。

確かユニコーンも使えなかったな。

地味にショックだ。

 

『変身されないのですか?』

 

「知ってるか?出席簿って凶器になり得るんだぜ?」

 

「あの出席簿ってそんなに痛いんだ…」

 

「お前も一回食らえば分かる」

 

デュノアは優等生だからか、叩かれている所を見たことは一度もない。

羨ましい。

 

「おーい咲!何やってんだ!?」

 

向こうから織斑が走ってくる。

修羅場は終わったのか?

 

「何か用か?」

 

「いや、向こうでビーチバレーやるって言うからさ」

 

「だから?」

 

「勝負しようぜ!」

 

まーた面倒臭い事を…

だが乗った。

 

「ラウラとデュノアはどうする?」

 

「それじゃあ、僕が一夏側で」

 

「私は咲側だな」

 

コートのある場所に行って、説明を受ける。

てっきり三人ずつかと思ったら、この四人だけでの2対2となった。

まぁビーチバレーは普通2対2でやるか。

 

「さて…織斑、手加減はいるか?」

 

「そんなんいらねえよ!いつでも来い!」

 

自信満々で叫ぶ織斑。学習しないなぁコイツ。

 

「…本当に良いんだな?後でウダウダ言わないな?」

 

「大丈夫だって!」

 

そこまで言うんだったら遠慮はすまい。

 

【Joker!】

 

「「え」」

 

織斑とデュノアの声がシンクロする。

手加減無しっつったのはそっちだぞ?

 

「さ、咲…念のため聞くけどそれの効果って…」

 

「単純な身体能力の強化だよ。じゃあいくぜー」

 

メモリは水着のポケットに突っ込む。

こうしておけばしばらくは発動しっぱなしになるだろう。

左手でボールを投げ上げて…

 

「SMASH!」

 

一瞬だけ俺の作画がアメコミ風に変わったような気がしたがそんな事はどうでも良い。

右手から放たれたボールはかなりの速さでネットを飛び越え…

 

「へぶっ!」

 

「一夏―!?」

 

…織斑の顔面に吸い込まれた。

 

「お前はトスのやり方も知らんのかー」

 

「いや速すぎて見えねえって…」

 

「遠慮はいらねえって言ったのは何処の誰ですかー?」

 

とりあえず煽っていく。

なるべくウザい声で。

 

「クソッ…次は取る!」

 

「言ったな?」

 

 

 

 

 

 

 

その後は俺のサービスエースのみで15点稼ぎ、勝負が決まった。

織斑は泣いていた。仕方ないね。

それにしても…

 

「…ッハァ……も、もうダメだ…一歩も動けん…」

 

10分程度とは言え、流石にメモリ使いっぱなしは無理があった。

全身の倦怠感と疲労が尋常じゃないレベルだ。

 

『調子に乗るからです』

 

「反省してる…だが後悔はしていない…」

 

その後は砂浜に倒れ込んで動けなくなった俺を織斑が埋めにかかったり、それを見ていた女子達に悪乗りされて散々弄られたりと、まぁ色々あった。

スイカ割りのスイカにされなくて本当に良かった。

 

「皆さーん!そろそろお昼の時間ですよー!」

 

「「「「はーい!!」」」」

 

旅館の方へ女子達が戻ってゆく。

織斑も。

 

「ちょ、おい!織斑!この状態で放置すんじゃねえ!オイ!」

 

してやったり、とでも言いたげな顔でこちらを向く織斑。

後で絶対シバく。

 

後に残されたのは、体が埋められて一部を盛り上げられたり旗が立っていたりと悲惨な事になっている俺だけだった。

 

「仕方ないか…ジャーヴィ「私を忘れていないか?」…ラウラ…」

 

俺の顔の方に立ち、こちらを見下ろすラウラが居た。

海に入ったのだろうか、濡れた髪と体に嫌でも目が行く。

 

「ほら、肩を貸そう。なんならお姫様抱っことやらをしてやっても…」

 

「肩でお願いします」

 

砂の中から引っ張り上げられて、ラウラの肩を借りてフラフラと歩く。

とは言え、身長差がかなりあるので、肩に手を置いているだけだが。

 

「何か…この前から情けないとこばっかだな。俺」

 

「その程度で咲を嫌いになったりなどしないぞ?私は」

 

「ははは…」

 

乾いた笑いしか出ねえ。

ラウラさんマジ男前ッス。

俺の立場?ああ、あいつなら死んだよ。元々無かったけど。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

時はキンクリしてその日の夜。

あの後は昼飯を食って普通に遊んだ。

飯を食ったら体力も戻ったしな。

 

そして今は…

 

「ほら咲、あーん、だ」

 

「いやラウラ、それ普通男が女にやるもんだから」

 

大広間3つを繋げた大宴会場で、全員で夕食を取っていた。

畳の上に正座するなんて、随分久しぶりだ。

ちなみに席は俺の正面に織斑、その右にデュノア、左にオルコット、といった感じだ。

ラウラは俺の右隣である。

 

「ならば咲が私にしてくれ」

 

「俺にそんな度胸はありません」

 

「むぅ…」

 

膨れっ面をしているようだが、極力見ないようにする。

昼間の事がフラッシュバックして顔が赤くなるのは避けなければばらない。

目の前に織斑居るし。

 

「そういえば、二人の部屋はどこになったの?」

 

「ああ、それがさ…」

 

織斑がデュノアに部屋に関する一部始終を説明する。

周りの女子達が聞き耳を立てているのがバレバレである。

まぁ仕方ないか。

 

「咲って偶にとんでもない事するよね…」

 

「臨海学校に来て自分で部屋を借りるなんて普通しませんわ…」

 

「いや、教師と生徒が同じ部屋で寝る方がおかしいだろ?」

 

少なくとも前世でそんな事は無かったね。

 

「じ、じゃあさ、後で部屋に行ってもいい?」

 

「私も行きたーい!」

 

「私もー!」

 

デュノアが声を上げると、そこから連鎖していくように声が上がりだした。

当のデュノアは…暗い顔だ。ついでにオルコットも。てかオルコットの暗い顔は正座してるからだな。慣れてないのだろう、さっきから体をずっともぞもぞさせていた。

足突っついたら絶対面白いだろうなあ。

 

「部屋に来るのは良いけど、消灯時間になったらちゃんと帰ってくれよ?でなきゃ鬼が…」

 

…殺気!

 

スパァン!

 

「誰が鬼か馬鹿者」

 

突然後ろに現れたことに関しては最早気にしない。

俺は出席簿を白羽取りで受け止めていた。

 

「誰も織斑先生だなんて言ってませんよ。それとも何です?自分が鬼だという自覚がってちょっと待ってこれ以上力籠められたら流石に耐えられない」

 

「そうかそうか」

 

徐々に鬼の金棒、もとい出席簿が顔面に近付いてくる。

ヘルプミー織斑。

 

「ち、千冬姉、その辺でやめ…」

 

「織斑先生だ」

 

ズパァン!

 

「何で俺が…」

 

俺の救難信号が伝わったのだろうか?

織斑自ら受けに行ってくれた。

その心構えは嫌いじゃないわ。

 

 

その後はまぁ何事も無く食事は進んだ。

強いて言うなら織斑が女子の対応に追われていた位か?

とりあえず俺には何事も無かった。

ラウラは膨れてたけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

温泉と言えば旅館、旅館と言えば温泉である。

という訳で二人で露天風呂に入っていた。

男子である俺と織斑は一部の時間しか使えないが、これだけ広い風呂をほぼ一人占めできるのだ。贅沢言ったらバチが当たる。

 

「あ゛ぁ゛~極楽ぅ~」

 

下半身は湯の中、上半身は石の上に寝そべり、だらけきっていた。

 

「咲、見てみろよ!すんげえ良い景色だぞ!」

 

「あーはいはい、後で見…zz…」

 

「起きて下さい」

 

「あべしっ!」

 

いきなり実体化したジャーヴィスに叩き起こされた。解せぬ。

てかそれよりも…

 

「…着替えて浸かったらどうだ?」

 

今のジャーヴィスの格好はスーツである。

風呂とスーツ…流石に合わないな。

 

「私は入浴を必要としません」

 

「良いから入れって。服が脱げないってこた無かっただろ?」

 

以前聞いてみたところ、服は拡張領域に収納されていて、それを引っ張り出して着ているのだと言っていた。

タオルの一枚ぐらい入ってるだろう。

 

「…ご主人様の命とあれば」

 

素直にスーツからタオル一丁に着替え、湯に浸かる。

しっかし絵になるなぁ。まぁ姿は御狐神君だしな。

 

 

「「「……はふぅ……」」」

 

 

三人の男の腑抜けた声が、露天風呂に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なぁにこれぇ…」

 

温泉から部屋に戻ってくると、部屋の前にすんごい人だかりが出来てた。

気分は某大佐の如く。

 

「あ、織斑君、茅野君!」

 

「遊びに来ちゃいました!」

 

確か他の女子に部屋は教えていなかった筈。

どこから情報が漏れたのかと辺りを見回す。

 

「…お前らか」

 

一番部屋に近い位置にいる専用機持ち4人、あと篠ノ之に呼び掛ける。

 

「わ、私はただ、一夏さんに呼ばれたから来ただけでして…」

 

「なっ…一夏!何でセシリアだけなのよ!」

 

「い、いや俺はただ…」

 

 

…阿鼻叫喚とは正にこの事か。

こんな事してたらまず間違いなくアレが来るな。

という訳で…

 

「織斑、行くぞ【Zone!】」

 

「え?うわっ!」

 

織斑の腕をひっつかみ、部屋の中に瞬間移動する。

生身の状態でも超短距離なら他の奴と一緒に転移できるのはこの前知った。

 

「つつ…いきなり何を…」

 

「静かにしてろ。多分もうすぐ…」

 

 

『何をしている馬鹿共!!!』

 

 

「…ほら来た」

 

襖の向こうから鬼の声が聞こえると同時に、ドタバタと走って行く音がする。

正直助かったな。あんなん対処しきれるかっつの。

 

「邪魔するぞ」

 

「じゃあ帰ってくださいな」

 

織斑先生といつものメンバーがぞろぞろと入ってくる。

さっきまでの平穏を返せ。

 

「特例を認めてやったんだ、これくらい許せ」

 

「…」

 

そこを突かれては何も言えない。

 

「まぁ先生は良いとしてお前らは…何で立ちっぱなんだ?」

 

「い、いや、織斑先生も居るし…」

 

「別に気にすることないだろ。適当に座れや」

 

俺は窓際の小さい部屋(広縁と言うらしい)の椅子に腰かけ、織斑と先生は俺の目の前、その他の連中は先生を囲むように座る。

 

「……葬式か?」

 

思わず突っ込みを入れる。

いつもは煩いぐらいなのに、今は全員若干下を向いて静まり返っている。

 

「仕方がない、織斑、少し席を外せ」

 

「えぇっ!?何で俺だけ…」

 

「早くしろ」

 

先生の言う事に従い、織斑は部屋を出て行く。

あれ?

 

「俺は良いんですか?先生」

 

「お前にはあまり関係の無い話だからな。聞かれても問題は無いだろう」

 

「はぁ…」

 

一体何を始める気だ。この先生は。

 

 

「さて、茅野」

 

「……あぁ、ハイハイ」

 

若干の期待の籠った眼でこちらを見てくる。

何となく言いたいことは分かったので、備え付けの冷蔵庫から缶ビールを取り出し、先生に放る。

ついでに他の奴らの飲み物も適当に。

 

「金は後で払おう」

 

「別に良いっすよこんくらい。我儘聞いて貰いましたし」

 

自分用に取り出したコーラを煽り、答える。

 

「お前らも飲めよ、別に金は取らんから」

 

俺の一言で硬直が解けたのか、飲み物に手を付けていく。

 

「さて、前座はこのくらいにして…」

 

お、本題に入るか。

一体何を話すつもりなのか…

 

「お前ら、一夏(アイツ)の何処が良いんだ?」

 

「……は?」

 

重大な話かと思ったら目の前で恋バナが始まった。

何を言ってるか分からねーと思うが以下略。

 

「そ、そんな事いきなり言われても…」

 

「こ、困りますわ…」

 

これが恋する乙女って奴かー…

 

「私は特に何も…」

 

そう答えたのはラウラ。

いやまぁ、うん。何も言うまい。

 

「ふむ…デュノア、お前は?」

 

「ひゃいっ!?え、えっと…優しい所、です…」

 

…この中で一番自分の感情に素直なんじゃね?デュノアって。

いやあくまで比較したら、だけど。

 

「では…茅野の事はどう思っている?」

 

「本人目の前に居んぞコラ」

 

「固い事を言うな」

 

酔っぱらってやがるなこの教師。

 

「咲は…まぁ…」

 

「…友達?」

 

「ですわね…」

 

「お、おぅ…」

 

そんな微妙な顔で言わなくてもいいじゃないか。

泣くぞ。

 

「私は咲の事が好きです」

 

「ちょっ!?」

 

ラウラの口から特大の爆弾が投下されてしもた。

 

「え、私初耳なんだけど!?」

 

「私もですわ…」

 

「僕は昼間に…あんなの見せつけられたら…ね」

 

一発、二発、三発。

もうやめて!俺の精神力は0よ!

もう勝負はついたのよ!

 

「ほう、そうかそうか…茅野、幸せにしてやるんだぞ?」

 

…ホント何言ってんのこの教師。(白目)

 

「う…うあああああああああ!!!」

 

あまりにも恥ずかしくなり、悲鳴を上げて部屋を出ていく。

もうやだあの人。

 

 

部屋にはポカンとした顔の専用機持ち達と、笑い声を上げる鬼教師が残っていた。

 




テストなんて無かったんや…

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