ちょこっと。
『女子しかいないとか楽園じゃねーか、などと思っていた時期が私にもありました』
『ご主人様、お気を確かに』
だってさー、すんごい見られてるんだよ?視線を感じるってのを初めて体感したよ?ほんと怖いわ。侮ってたわ。女子力。
視線を感じてそわそわしているのは左隣の主人公君も同じようで、視線が泳いでいる。
なんで原作知識ないのに分かるのかって?いや雰囲気で分かるだろ。
俺がいなかったら男はこいつ一人だったわけだし。
などと考えていると、教室の扉が開いて先生(?)が入ってきた。
なんで(?)なんてつけてるのかって、見た目が随分…なんというか、幼かったからだ。
ある一部分を除いては。
「私は副担任の山田 真耶と言います。一年間、よろしくお願いします」
『ジャーヴィス、サイズは?』
『後でしばきますよご主人様』
倫理観にうるさいやつだ。倫理君とでも呼んでやろうか。
なんて会話をしていると、いつの間にやら主人公君が自己紹介を始めていた。
「えっと…織斑一夏です」
ほうほう、それで?
「…以上です!」
ちょっとずっこけかけた。あ、クラスメイトは殆どずっこけてら。
山田先生が涙目になってる。可愛い。
『ジャーヴィス、写真は?』
『超高解像度で撮影、保存しておきました』
さすがジャーヴィス。やればできる子。
ちなみにジャーヴィスは、いつもは俺のISの待機状態である高性能眼鏡で待機している。
ただのアクセサリーじゃないのは束に弄られたからです。はい。
ちなみに神眼鏡じゃないよ。グラスオンはできないよ。
「もう少しまともな自己紹介をせんか馬鹿者」
いつの間にやら凛とした雰囲気の女性が入って来ていて、一夏が叩かれていた。
やだあの音怖い。
「げぇっ、関羽!?」
なんであの子火に油注いでんの?馬鹿なの?
当然もう一発叩かれ悶絶していた。他人の不幸で飯が旨い。
「山田君、クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
「いえ、副担任として当然のことです」
山田先生が頬を赤らめている…え、なに、ソッチ系だったの?山田先生。
「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物にするのが仕事だ」
なかなか良い声をしてらっしゃる。
などと思ったのも束の間、
「「「「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」
これはひどい。
黄色い悲鳴が教室を埋め尽くし、なんかすんごいカオスになっていた。
耳栓がなければ即死だったな。
『つまり私のご主人様はたった今お亡くなりになったということでしょうか』
『黙らっしゃい。耳栓なんぞ用意してなかったし、そもそも言葉の綾だ。』
ちょっとカッコつけたっていいじゃない。人間だもの。
「キャー!本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「キライジャナイワ!」
なんか今混ざってなかったか?
具体的には変なオッサンが
「毎年毎年、私のクラスだけ馬鹿者が集まるようだな…」
それ多分違うと思う。
頭を抱える先生を見つつ、山田先生はおろおろしていた。可愛い。
「え、ええと…で、では次の人、茅野君、お願いします」
お、来たか。
「茅野咲です。何故か検査に引っかかった哀れな子羊です。好きな物は特撮、嫌いな物はすぐに暴力を振るう輩です。一年間、よろしくお願いします」
なにやら織斑先生の顔が引きつっていたが、気にしない。
暴力反対。
「なんか地味だよね~」
「でも顔はよくない?」
そりゃ日本人だからな。地味なのは仕方ないだろう。
俺は別に金髪でもないし、目の色も普通だし。
顔は整っている(とジャーヴィスに言われた)が。
教室全体がざわつきかけたが、
「静かに!」
おお、一発で教室が静かになった。
鶴の一声とはこういうものなのだろうか。
ちょっと違うか。
「自己紹介はまた次回にする。一時間目はISについての基礎知識を学んでもらう。各自準備をしろ」
おお、こわいこわい。
まぁ基礎知識というかISについては大体束に教えてもらったし、なんとかなるだろう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
特に何事もなく一時間目は終わり、休み時間である。
「なぁなぁ」
織斑が話しかけてきたけど、どうしよう。
まあ返事しないのも悪いだろうし、
「なんぞ?」
「俺、織斑一夏。えっと、茅野だっけ?これからよろしくな!」
「あ、ああ。よろしく」
こいつコミュ力高すぎねぇ?
私のコミュ力は53万ですってか?
ちなみに俺は人と関わるのは得意ではない。
前世でもそうだったし、多分これは治らないだろう。
とりあえず、
「苗字で呼ばれるのは好きじゃないんでね。咲でいい」
「そうなのか?じゃあ、改めて、よろしくな!咲!」
「おう。よろしく」
とりあえず友達にはなれたようだ。
最初っから嫌われるとか勘弁だからな。
ふと、織斑の後ろに誰か立っているのに気が付いた。
「織斑、そいつはお前に用があるみたいだぞ」
「え?」
黒髪ポニーテール…そしてでかい…なかなか可愛いじゃないの。
ストライクではないが。
「箒、久しぶりだな。」
随分と変わった名前だな。
「ひっ…久しぶりだな。一夏」
顔が赤い…あっ(察し)
「ええっと…邪魔するようで悪いんだけど、どちら様で?」
「あ、ああ。すまない…篠ノ之 箒だ。よろしく頼む。茅野」
しののの?
「ひょっとして、ウサ耳付けた博士と知り合いだったりする?」
「ウサ耳…ああ、篠ノ之束は私の姉だ」
…偶然って怖いね。
「これはどうも、お姉さんにはお世話になりました」
「姉さんに世話に…?」
おろ?伝わってない?
あ、ひょっとして。
「「さっくん」って言ったら分かるかな?」
「ああ、確かに姉さんがよく電話でそんなことを言っていたが…そうか。咲だからさっくんというわけか」
「そういうことです。いやーあの人がいなかったら俺死んでたからね。マジで」
「いったい何があったんだよ…」
「まぁ追々話してやるさ。それよりも織斑、篠ノ之」
「「なんだ?」」
「後ろには気を付けた方がいい」
スパパァン!!
二連続でいい音が響いた。
「席に着け、授業を始める。」
「「はい…」」
席から離れていなかった俺、大勝利。
『コロンビア、とでもテロップを御出ししましょうか?』
『余計な事はせんでええ』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
二時間目も同じような内容だったのだが、ここで織斑が爆弾発言しおった。
「ほとんど全部分かりません」
…一瞬耳を疑った。
え、だってここ基礎の基礎だよ?仮に何も予習してなかったとしても多分余裕な所よ?
それを分からないと申すかこの主人公は。
「えぇっと…全部ですか?」
ほら山田先生涙目になってるじゃん。可愛いけど。
「織斑、入学前に参考書は読まなかったのか?」
まさかあんなでかいのを見落とすはずが…
「ああ、あれなら古い電話帳と間違えて捨てちまった」
うん。こいつマジモンだわ。
マジモンの馬鹿だわ。
「必読と書いてあっただろうが馬鹿者」
ズパァン!
本日四回目の出席簿アタックが一夏へと襲い掛かる。
あんなのを何発も受けて育ってきたのだとしたら、あの馬鹿さ加減も頷ける。
「再発行してやるから一週間で覚えろ。いいな?」
「はい…」
そこはアッハイと答えるべきだろう織斑よ。言った後のことには責任持てんが。
そんなこんなで二時間目終了である。
机に突っ伏している織斑を横目に見つつ準備を終わらせて眼鏡で五分アニメを見ていると、
『ご主人様、お客様です』
ジャーヴィスが話しかけてきた。どうやら誰かが話しかけてきているようだが、
『今忙しい、後にしてくれと伝えろ』
『畏まりました』
何やら騒ぐ声が聞こえる気がするが、残念ながら今の俺はイヤホンをしている上に眼鏡で視界が埋まっているのだ。
残念だったな誰かさん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
…三時間目終了後。
「今度こそ話を聞いてもらいますわよ!」
「誰だアンタ」
こんな反応になるのも無理はないだろう。
いきなり上から目線で話しかけてきやがって。何様のつもりだ?
『先ほどのお客様です』
『うまいなジャーヴィス』
『有難う御座います』
「ちょっと!聞いていますの!?」
「あー聞いてる聞いてる。何の用だ?」
「まぁなんですのその態度!?」
想像以上に面倒だな…
「(おい織斑、何とかしろよ)」
「(ええ?なんで俺に振るんだよ?)」
ヒソヒソ声で喋っている俺達二人が気に食わなかったのか、金髪ドリルのお嬢様はさらにまくしたてる。
「わたくしに話しかけられるだけでも光栄だというのに、これだから極東の猿は…」
「あぁん?」
ちょっと今のは聞き捨てならんな。
「おいアンタ、名前は?」
「知らないというのですか、このわたくしを?イギリス代表候補生にして入試主席、このセシリア・オルコットを?」
「へー代表候補生か。そりゃすごい」
「な、なぁ…」
織斑がおずおずと話しかけてくる。
「代表候補生って、なんだ?」
………
「織斑、お前ってほんとバカ」
「なんだよ!?しょうがないだろ!?」
とりあえず織斑でも分かるように説明してやった。
「へー、つまりエリートって事か」
「そう!エリートなのですわ!」
あーもううざい。どうにもこういうタイプの人間は苦手、っていうか嫌いだ。
ご退場願おう。
『ジャーヴィス、Pだ』
『畏まりました』
その声が聞こえるか聞こえないかの間に、俺の手には少し大きなUSBメモリが握られていた。
まさか学園で最初に使うのがこれになるとはなぁ…
心の中で愚痴を吐きつつ、メモリのスタートアップスイッチを押す。
【Puppeteer!】
「セシリア・オルコット、席に着け」
「なっ…!?か、体が勝手に…」
まるで操られているかのような動きで、オルコットは席に戻っていってしまった。
いやまぁ俺が操ってんですけどね。
「さ、咲、今のは?」
「さーね。それより席に着け、先生来たぞ」
何やら腑に落ちない様子の織斑だったが、織斑先生を見て姿勢を整えていた。
分かりやすいやつだ。
スイッチを押すだけで使えるって中々チートっぽいですが、精々人一人操るのが限界です。
しかも強靭な精神力を持つ人には聞きません。
他のメモリも同様です。