早く何とかしないと…
クラスでは今、もうじき行われるクラス対抗戦の話題で持ちきりになっていた。
ずいぶんと賑やかだ。
「こんだけ期待されてんだ。負けたらどうなるか…分かってるよな?織斑」
「怖いこと言わないでくれよ…負けないように努力はするけどさ…」
ちゃんとリアクションできる余裕があるなら大丈夫だろう。
「そういやジャーヴィス、他のクラスの代表は分かるか?」
脳内ではなく普通に声に出して問いかける。
『はい。今のところ、専用機所持者が代表なのは1組と4組だけのようです』
四組か…誰なんだろうなー。
何て事を考えていると、
「その情報、古いよ」
なにやらちっちゃいツインテールが、いつの間にかドアの前に立っていた。
『情報更新。二組の代表は、中国代表候補生、
「遅いぞジャーヴィス。もうちょい情報収集能力を上げろ」
『善処致します』
「鈴…お前、鈴か?」
「なんだ、知り合いなのか?お二人さん」
「ああ、俺の幼馴染だ」
あっ。なんか嫌な予感。
俺は少し織斑と距離を取る。
「い、一夏!誰なのだ、その女は!」
「そうですわ一夏さん!」
案の定絡まれてた。
「だから幼馴染だって。それにしても鈴…」
「なによ?」
「カッコつけてるみたいだけど、似合わないぞ?」
「なっ…何てこと言うのよアンタはぁっ!」
まぁ実際こいつがやると、ちびっ子が見栄張ってるようにしか見えんな」
「口に出てるわよ!」
おっと失敬。
にしてもこいつ、織斑と同じくらい弄りがいがありそうだな。
こりゃ楽しみ……あ。
「なぁ凰さんや」
「なによ!」
ズパァン!
「休み時間は終わりだ。自分のクラスへ戻れ」
「ち、千冬さん…」
「織斑先生、だ」
教えてやろうとしたのだが、少し遅かった。
「ま、また来るから!逃げないでよね!」
涙目になりながら捨て台詞を吐き、凰は去っていった。
けっこう好みだったが…どーせ織斑に惚れてるだろうな、ありゃ。
「あいつが代表候補生、か…」
織斑が呟く。
どうやら過去に何かあったらしいが…
ま、俺には関係ない話だろう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
何事もなく昼休み。
織斑ラバーズ三名と、その当事者は放っておいて、俺は一人でさっさと食堂へ向かった。
あいつらと関わってたら多分相当面倒な事になると、俺の頭脳が叫んでいたからだ。
『この学園でぼっち飯とは、なかなかレベルが高いですね。ご主人様』
『ぼっちではない。ウルフだ。今の俺は孤高な一匹狼なのだ』
『そういうことにしておきます』
トレイを片付けて食堂から出ていく時、なにか騒がしかった気がするが、何もなかったと自分に言い聞かせてとっとと帰ってきた。
やっぱ女子力って怖えわ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
(俺には)特に何事もなく放課後。
寮に戻ってきた織斑の頬には、季節外れの紅葉がついていた。
「訓練してたんじゃなかったのかよ…」
「いやそうなんだけど…アイツなんであんなに怒って…」
アイツというのは恐らく凰の事だろう。
怒っていて、なおかつその理由に織斑が気づいていないという事は…
「どうせ、昔の約束をお前が忘れてたとか、そんなオチだろ?はいはいワロスワロス」
「なんで分かるんだよ?!」
…本当に当たるとは思わんかった。
仕方なくその後しばらく愚痴に付き合ったが、どう考えても鈍感すぎるこいつが悪いと思う。
「なぁ織斑」
「なんだよ?」
「馬に蹴られて死ね」
「酷くねえ?!」
こいつの性格は一回死なないと変わらないだろう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
翌日の放課後、アリーナにて。
「さーて織斑。今日は俺が相手したる」
「お、お手柔らかに…」
二日連続でアリーナを借りれたのはラッキーだったなと思いつつ、織斑が白式を展開させるのを待つ。
「お前授業でも言われてたけど、展開が遅いぞ?」
「咲のだって遅いじゃねえか。なんか面倒臭そうだし」
失敬だな。
「いいだろロマンがあって。ちょっと面倒なのは認めるが」
白式の展開が終わったようなので、こちらも展開、もとい変身する。
『ご主人様、本日はどうなさいますか?』
「そういや決めてなかったな…織斑、俺にどんな風に戦ってほしい?」
織斑の特訓なわけだし、ある程度の要望は聞いてやろう。
「そこは咲に任せるよ。ただ勝負にならないようなのは勘弁な」
ふむ…何でもいいって言われると逆に悩むんだよな…
「んじゃあ超高速戦闘を想定してみるか。ジャーヴィス」
『畏まりました』
俺は眼鏡を外してダブルドライバーにし、腰に押し当てる。
ベルトが腰に巻きつくと同時に、自分の手に転送されてきたメモリのスイッチを押す。
【Accel!】
メモリを挿入し、さらにドライバーに直接転送されてきたメモリも奥まで差し込み、
「変っ……身っ!!」
このメモリ使うときはこうじゃないとな。
【Accel! Bird!】
足元から風が巻き起こり、体にアーマーが装着される。
「
『変わった組み合わせも良いではありませんか』
左右で濃淡の若干の違いはあるものの、ボディはほぼ真っ赤と言って差し支えなかった。
ただ…
「な、なぁ咲、体の色はともかく、目の色も昨日と違うんだが…」
「マジで?」
どうやらアクセルメモリの効果で青くなっているらしい。
仕方ないね。
「まぁこれはそういうもんだ。気にすんな」
「なんだかよく分かんねえけど…じゃあ、こっちから行かせてもらうぜ!」
雪片弐型を構えた織斑が突っ込んでくる…だが。
「遅ぉい!」
一瞬で後ろに回り込み、殴り飛ばす。
なんかこればっかやってる気がするな。
「織斑、良いことを教えてやろう…」
「な、なんだよ…?」
「お前に足りないものは!それは!情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてェなによりもォォォオオオオッ!!!!!!」
急加速して織斑を蹴り飛ばす。
「ぐあぁっ!」
「速さが足りない!」
「何だよそれ!てか早口だな!」
某アルター使いの如く言ってやった。一回やってみたかったんだよねこれ。
「まぁ速さが足りないのは事実だ。さあ俺の攻撃を避けて見せろ!」
「無茶言うなーーーー!!!!」
その後特訓する事数十分。
寮に帰る時の織斑は、
「速さが足りない…速さが足りない…」
と、光を失った目でぶつぶつ呟いていた。
次回は戦闘パート…
上手く書けるように頑張ります。
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