闇を祓う者 〜破壊と革命の代行者〜   作:黒いファラオ

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今回は彼方くんが……


白騎士とアルテミスの遣い

 ISが完成した。3人で何度も何度も見直し、遂に始まりのIS、『白騎士』が完成した。

 

「良かったな、束姉さん」

「うん! かーくんとちーちゃんのおかげだよ!」

「それで、束。どうするんだ?」

「学会に発表するよ! これで宇宙開発は進歩する!」

 

 

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 結論から言って、受け入れられなかった。こんな物は実現不可能だと言って。まさか、10年後には国の国防の全てをこのISが占めているとは思いもしないだろう。

 

「決めた!」

 

 束姉さんが顔をあげ、突然声を出した。今までずっと何かを考えていた様子だったが、考えがまとまったみたいだ。

 

「世界の軍にハッキングをかけて、4000発のミサイルを国会議事堂に撃ち込む!」

「はい?」

「そのミサイルを『白騎士』で破壊すれば、世界は認めざるを得ない筈!」

 

 俺の記憶によれば、ミサイルは2341発。1000発以上も増えてるんですが。

 

「そんなこと出来るのか?」

「かーくんが手伝ってくれたおかげで、最初束さんが考えていたものよりも高性能になったからね! 出来る筈だよ!」

 

 俺のせいかぁぁぁああ! 手伝ってたら、昔のことを思い出して楽しくなってきちゃって、いろいろ付け足しちゃったせいか! 調子に乗っちゃいけないね!

 

「ちーちゃん、頼める?」

「私はいいが……、あまり言いたくはないんだが、彼方ではダメなのか?」

 

 適任だと思うんだが、と言いながら束姉さんに訊く。だが勿論それは出来ない。何故なら……、

 

「無理なんだよ……。何故かISは女性にしか動かせない……」

 

 因みに、ISが何故女性にしか動かせないのかは解らなかった。

 まあ、俺は動かせちゃうんだけどね。ルナに適性貰ったから。ただ、動かしたら大変なことになるから、内緒で俺に対してのプロテクトを掛けておいた。騙してゴメンね、姉さん達。あと、勝手に弄ってゴメンね、白騎士。

 

『いえ、私は気にしてませんよ』

 

 ……? なんか聞こえる。幻聴かな?

 

『残念ながら、現実です』

 

 え? 誰? 何処にいるの?

 

『貴方の前にずっといるじゃないですか』

 

 前を見てみると、千冬姉さん。じーっと見る俺を不思議そうに見ている。そして、俺を抱き上げる。……なんでさ。

 

『千冬姉さん?』

『そんなわけないでしょう』

『そりゃそうだ』

 

 前にいたのは千冬姉さんだけじゃない。その奥には『白騎士』もいた。千冬姉さんじゃないとなると、答えは一つしかない。

 

『白騎士のコア人格だよな?』

『そうです。シロナと呼んで下さい』

 

 ホントにあったんだコア人格。いつからいたの?

 

『兄さんが私にプロテクトを掛けたときからです』

『え? まじで? というか、兄さん?』

『はい。父さんもありましたが、歳を考えて』

 

 六歳で父はないな。

 

『なんでその時にはもういたの?』

『神の力を持った兄さんがコアに干渉したからじゃないでしょうか? プロテクトをかける前に何かしましたか?』

 

 衝撃の事実発覚。コア人格があるのは、俺が原因だった! プロテクトを掛ける前に、俺は女性にしか動かせない理由を探っていた。たぶん、その時だろう。まあ、それはいいとして。なんで会話できるの?

 

『ルナ様に頼んで』

『…………ルナ』

『はいはーい! 本編には約三話ぶりだね! ルナだよ!』

 

 軽いメタ発言をしながら、会話に参加してくる。

 

『ルナ、コア人格が出来たのって、俺が原因?』

『たぶんね。私(アルテミス)は多産の神でもあるからね』

『なるほどねぇ』

 

 みんな忘れてるかもしれないけど、俺は未だに千冬姉さんに抱き上げられたままだ。少し現実の会話に戻る。

 

「ちーちゃん、大丈夫?」

「分かった。しかし、束。武器はあるのか? 素手でミサイル破壊は勘弁だぞ。流石に痛い」

「痛いじゃ済まないよね!?」

 

 やっぱりこの義姉はおかしかった。公式チートは伊達じゃない!

 

「一応造っておいたんだよね。これ!」

 

 束姉さんがコンソールをいじると、一つの剣が現れた。

 

「これが『雪片』だよ!」

「なるほど、これがあればいけるかもしれない……」

 

 やる気に満ちている千冬姉さんを見て、姉さんとシロナに訊く。

 

「千冬姉さん『シロナ』」

「なんだ?」

『なんですか?』

「『そんな装備で大丈夫か?』」

「大丈夫だ、問題ない」

『大丈夫です。問題ありません』

「私は束の親友で、一夏とお前の姉だからな」

『私は兄さん達3人に創られましたから』

 

 そりゃ安心だな。ただ、ネタに的確な返しをしてきたのが驚きだよ。

 

 

 こうして、白騎士事件が起ころうとしている。そして、俺が本格的に原作に関わることになる。4000発は流石にきついだろうし、仕事が増えたのは俺のせいだしね。姉さんに怪我してほしくないし。手伝わせてもらうよ。

 

 

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「なあ、ルナ」

「何? 彼方くん」

「姉さん、全部ミサイル破壊出来ると思う?」

「大半は壊せるだろうけど、ある程度は通り抜けるだろうね」

「やっぱりか。じゃあ手伝うとしますか。ルナ」

「はいはーい」

 

 手を繋ぎ、言葉を紡ぐ。

 

『私は貴方』

『貴女は俺』

『今ここに交わりて一つの神とならん』

 

 ユニゾンにも大分慣れてきた。まあ、毎晩ISの練習でユニゾンしてたからね。ヴァルヴレイブに乗り込む。おかげで、ISの操縦にも慣れた。

 さて、ここからどうしよう。このままヴァルヴレイブで介入すれば、速効でばれるだろうし……。そう考えていると、左腕からカードが飛んできた。思わず手に取るとそれは、今まで見たことの無いカードだった。

 

「ルナ、このカードって今まで無かったよな?」

『うん。これは、ヴァルヴレイブで私の力を使うときカードだよ』

「ルナの力を?」

『そう。アルテミスの力をね。このカードを使うと機体もアルテミス仕様に変わる。武器も、付き従う妖精(フォロウニュンフェ)とかに変わる』

「ほう、なるほど」

『ただ、デメリットがあるんだよね……』

「まあ、神の力を使うんだ。デメリットの一つや二つあるだろうな」

 

 そう言いながら、手にあるカードを右腰にあるバックルに挿入する。

 

《FORMRIDE ARTEMIS!》

 

 

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 私は今太平洋の上にいる。

 

『ちーちゃん、大丈夫?』

「大丈夫だ。私は私達が創った白騎士(こいつ)を信じている。それで束、ミサイルはどうだ?」

『もうすぐだよ』

 

 そうか。と返しながら、息をつく。そして、あのときの彼方の言葉を思い出す。

 

(守るために殺す剣か……。つくづく前の私は甘かったと思わされるな)

 

 彼方と同じ信念を心に刻んでからというもの、私の剣はキレを増したように思う。そして、剣に重みが増した。これが人を殺すことの重みなのだろう。前まではこんな重みは無かった。ただ、心地いい重さだ。

 

(出来れば、彼方も一緒に居てほしいが……)

 

 そう考えてから、苦笑する。彼方が寄りかかれる場所になると、姉になったのに、むしろ自分達が彼方に寄りかかってしまっている。これではどちらか年上なのか分からない。

 

『ちーちゃん、来たよ!』

 

 束の声が知らせたのと同時に白騎士のハイパーセンサーにミサイルの姿が映る。大きく深呼吸して覚悟を決める。束達の夢を守るとしよう!

 

 

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「始まり……」

『うん。それにしても千冬ちゃんすごいね。白騎士の性能もあるけど、それをちゃんと使いこなしてる』

「姉さん…から」

『確かに……。彼方……!抜けたよ!』

「分かって……! 行……! ………………」

 

 

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 雪片で迫り来るミサイルを両断していく。残りはどれくらいか訊くと、まだ3000発は残っている。一心不乱にミサイルを斬っていると十数発が後ろに通り抜けていった。まずい、荷電粒子砲が間に合わない! そう思っていると、上で何かが光り、一筋の光がミサイルを破壊した。

 

 上を見ると、そこには女神がいた。

 

 いや、正確には女神ではない。しかし、女神と形容する他無かった。その身体は古代ギリシアの人々の様な布のようなもので纏われており、その完璧と言えるボディラインをさらに強調していた。周りには女性のようなフォルムをした何かが浮いている。目元は隠されているが、見えているその口元は妖艶だ。

 その女神は私の方を見ると、

 

「白い甲冑……。白騎士と言ったところでしょうか」

 

 容姿に違わぬ綺麗な声で言った。

 

「手助けしましょう。1対4000は流石に大変でしょうしね」

「お前は……」

「ああ。私のことはそうですね……、"アルテミスの使い"と呼んで下さい」

 

 そう言いながら、ミサイルの方に向かって行く。立ち竦んだままの私に、彼女は振り返り言った。

 

「貴女のその剣は何のためですか?」

「っ!」

 

 その質問はあの時彼方に言われたものと同じだった。もう私は間違えない。

 

「仲間を守るために殺す剣だ」

 

 すると、彼女は彼方に似た笑みを浮かべ、

 

「そうですか」

 

 と言ってミサイルの方へまた向かって行った。

 

「さて、私も行かなければな!」

 

 

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 この後、白騎士とアルテミスの使いを捕獲するために戦闘機や戦艦等が出動するも、その悉くが破壊された。死傷者、負傷者は無く戦闘機等に搭乗していた者、十数人が軽傷で済んだ。つまり、現代兵器は一つのISと神の使いによって全滅した。

 この事件は『白騎士とアルテミスの使い事件』と呼ばれるようになる。

 

 

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 ふぅ、と息をつきながら休む。神の力を使うだけあって、結構疲れてしまった。

 

「原作ではあれより少ないとはいえ、一人で全て破壊したんですよね……」

 

 そう考えていると、私の身体が光に包まれる。その光が収まった後には俺(・)に姿は戻っていた。そして、ユニゾンも解く。

 

「女の姿になるとはね。ビックリ体験だ。女の身体ってあんな感じなんだな。全然違うわ」

「そう? 分からないけど」

「なんていうか、柔らかい感じ」

 

 もう、全然違う。あの時はほとんど意識も女になってたから、あんまり気にならなかったけど、あの時の身体の感じと今の感じでは全然違う。

 

 

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《FORMRIDE ARTEMIS!》

 

 ヴァルヴレイブがどんどん変わっていく。

 金属(てつ)が薄く布の様になって、私(・)の身体を纏っていく。顔は目元だけを隠し、後は露出していて、目の端に自分の金髪が映る。どうやら、髪は伸びているらしい。身体に纏った布状の装甲で少し胸が苦しい。……胸が苦しい? why?

視線を自らの胸にもって行く。そこには姉さん達と同じぐらいとまではいかないまでも、しっかりとしたふくよかな胸があった。大きすぎる訳でもなく、身体との調和がとれている。

…………………………………………ゑ?

 

「ルナサン?ドウユウコトデスカ?」

『だから言ったでしょ、デメリットがあるって。アルテミスは処女神。つまり、女の象徴。だから、力を使うときには女の子の姿になっちゃうの』

 

 ……なるほど。ちゃんと話を聞いていれば良かったんですね。

 

「この姿はいつまでですか?」

『力を使い終わった5分後まで。一応その間も力は使えるよ』

 

 OK  大体分かりました。まあ、この姿なら私が彼方だということにも気付かれませんし、良しとしましょう。注意すべきは姿が戻るときですか。

 

「ミサイルが通り抜けたら行きますよ」

『分かったよ、彼方ちゃん』

「茶化さないでください」

『だって口調が……』

「いいんです。自然とこんな感じになったんですから」

 

 

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 あの時を思い出しながら、思った疑問を投げ掛けてみる。

 

「なあ、ルナ。一つ聞きたいんだけど」

「ん? 何?」

「ディケイドの状態でルナの力を使ったら、やっぱり女になる?」

「うん」

「そっか……」

 

 まあ、滅多にルナの力を使うことも無いだろうし、問題は無いだろ。こうして、初めての原作介入は幕を閉じた。




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