「よっしゃ、着替え終わったし行くか」
「うん」ダキッ
奈美は勇気が靴を履き終わり、玄関の鍵を掛け終わると同時に勇気の腕に抱きついた。勇気は突然の事に少しビックリした後に顔を真っ赤にさせて頬をパンパンに膨らませて奈美を睨む。
「ムーーー」ムッスー
「はうぅ……」キュン
が、逆効果。睨む視線は背が自分よりも大きい奈美には上目遣いにしか見えない。
勇気は少し不機嫌になって奈美の腕を少し強引に振りほどく。と、同時に奈美が凄く残念そうな顔をする。
「えぇーーー、いいじゃん腕くらい」
「恥ずかしいからやめろ」
「照れてるの?」
「………さっさと行くぞ」
「あっ、待ってよ~」
勇気は顔をプイッと反らしてスタスタと歩いて行く。それを追いかけるように奈美が追いかけていく。
二人の目的地は最寄りの駅。ここからだと歩いて15分位だ。
奈美は心の中で映画館で兄を愛でるプランを練りながら歩く。愛しい兄の背中を見ながら。
~駅~
真夏の陽射しの中、歩くこと15分。漸く駅に着いた二人は取り敢えず近くにあった自動販売機でジュースを買うことにした。
奈美は一矢サイダー。勇気はオレンジジュース。真夏には炭酸飲料をグイッと飲みたい。が、勇気もスポーツマンなので炭酸は出来るだけ控えている。決して身長がどうのこうのと言うわけでは無いらしい。本人曰く。
「「プッハー」」
渇いた喉に冷たい飲み物が入ってくる感覚がする。
奈美は兄との間接キスを狙うべく、オレンジジュースをせがもうと兄を見る。と、そこにはジュースの冷たさで眉間の辺りがキーンとしている兄がいた。
「萌えポイント100」ハァハァ
「いてて……っておいこら、何が萌えポイントじゃそれから講習の面前で発情すんな気持ち悪い」
「言葉攻めも……いぃ」////
「はぁ、お兄ちゃんはこんな駄目な妹を持って残念だよ」
「でも出来の悪い子の方が可愛いっていうじゃん」
見事な立ち直り。天晴れである。
勇気が妹とイチャイチャs「あ"?」スミマセン。
勇気が妹に手を焼いているとホームの方から電車の線路を走る音が聞こえてくる。急いで二人はホームへ行き、電車に乗り込む。
二人は電車に揺られ、揺られる。
そうしていると目的の駅に着いた。電車に乗っていた時間は20分位だったろうか。電車のドアがプシューという音を上げて開いた。
「さぁあと少し。歩くぞ」
「うん!!」
二人の影は一歩ずつ映画館へと向かって行った。
そして駅前の交差点の勇気達が歩いた逆側で一人の少女が振り向いた。
「今のは……島ヶ原さんでしょうか?……気のせいかな?」
緑色の突飛な髪色をした少女は前を向いて再び歩み始めた。
短めですスミマセン。