ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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11話を更新です。


野獣は女神を知らなかった

 秋葉原駅の電気街側改札口の向かい側で待ち合わせをしているであろう若者達が一組、一人は秋葉原でよく見る様なバンダナに丸い縁の眼鏡、少し皺の付いたジャケットの前を開けた隙間からはアニメの美少女キャラの顔が覗いたシャツの所謂オタク風の太った青年と反対に今時の若者が着るカジュアル系で少し不良っぽい青年…、そして彼の傍らには小学生くらいの赤いコートを着極した女の子の三人が周りをキョロキョロと見渡していた。オタク風の太った青年…“野口”が時間を見て苦笑いをして言う。

 

「約束の時間より40分早く着いちゃったからまだ“親分”は来てないね。」

 

 そして不良っぽい青年…“トオル”が彼に答える。

 

「そうっスね~。

でも俺達電車の都合もあったし、“アニキ”時間は結構守る人だから意外に早く来てくれるかもしんね~っスよ。」

「“小鳥くん”早く来ないかな~、早くスクールアイドルのグッズ見たいよ~。」

 

 トオルに続いて彼の妹でもある“千絵”は人が沢山行き交う周囲に圧倒され、早く此処から動きたくて仕方なかった。

 そんな人混みの中から野口は眼鏡を直して目を凝らすと、その向こう側から単発に三本の切り傷が刻まれた丸顔を見つけた。彼等の同僚であり、友達であり、慕うべきアニキと親分の石田小鳥の目立つ顔が其処にあった。

 

「トオル君、千絵ちゃん、親分来ましたよ。

オーーイ、おやぶーーーん…んんあああっ!?!?」

「アニキー、こっちっスよーーっおおあああっ!?!?」

 

 人混みが晴れるに連れ、小鳥の両脇を歩く美女と美少女二人にトオルと野口は“あんぐり”と顎が外れたかの様に大口を開け、千絵は美女の方…絢瀬絵里を見て丸い瞳を爛々と輝かせた。

 

「よう、久し振りだな、野口君にトオル・・・んっ?」

 

 何やら二人の様子がおかしく…、小鳥は首を傾げると、突然二人は小鳥にしがみついて“ヒガミヤッカミ”を爆発させた。

 

「親分何ですかその登場、その方々はどうしたんですかああっ、ナンパ、ナンパしたんですか、どちらにしても両手に…“両手に花”なんて全然聞いてないですよ~~!!」

「アニキ、“JK”って嘘じゃないっスかああ!!何スかこの美人さんはああっ、すんごい美人さんじゃないっスかああ、それにソッチの美少女なんてフランス人形みたいじゃないっスかああ、聞いてないっスよ~~~!!」

「え~い煩い、絢瀬はちゃんとJKだ!

…因みに絢瀬妹はJCだ。」

 

 小鳥はウザいとばかりに二人を散らし、その状況を絵里は呆れがちに…亜里沙は楽しげに見ていた。

 

「亜里沙、石田さん度々“JK”って言葉を使うんだけど…、意味知ってる?」

「ああ、JKは女子高生の略だよ。ローマ字に直してjosiのJとkouseiのKでJK。

因みに女子中学生はJC。」

「…どうしてそんな略し方をするのかしら?」

「んん…、分かんない。」

 

 二人は日本倫理の複雑な事情が理解出来ず、此の件は深く考えるのを止めた。…と、そこで絵里は何時の間にか自分の傍らに来ていたトオルの妹…千絵に気付いた。

 

「あっ、初めまして、石田さんの知り合いで絢瀬絵里って言うの。よろしくね?」

「絢瀬亜里沙です、よろしく♪」

 

 二人は自己紹介するも何やら惚けた顔で絵里を見つめ続ける千絵に彼女は少し苦笑いになってしまうが、千絵はその可愛らしい顔を真っ赤にして大声で挨拶をしてきた。

 

「はっ、はっ、はじめまして、千絵と言います!!

わっ、わたし、い今、すすすすっごいカンドー“しめぷ”…っ!?」

 

 千絵は舌を噛んだのか両手で口を押さえると、小鳥達が茶々を入れてきた。

 

「噛んだか?」

「噛んだっス。」

「噛みましたね。」

 

 千絵はビシッと小鳥達を指差し怒鳴りつける。

 

「ウルサい、兄貴達だまれっ!!」

 

 そしてまた絵里に振り返り熱い視線を向けて高らかに伝えた。

 

「わっ、わたっ、わたし、“ミューズ”の…」

 

 此処で小鳥がまた茶々を入れる。

 

「石鹸か?」

「違う、小鳥くんだまれっ!!」

 

 そしてまた絵里に向き直って一呼吸をして、一息で言い放った。

 

「わたし、“μ's”の…絢瀬絵里さん大っファンです、まさかμ'sの絵里さんに会えるなんて思いもしませんでした!!

今日1日、よろしくお願いしますっ!!」

 

 千絵は嬉しさと感動のあまり、目尻に涙まで溜めて絵里の目を見続ける。そしてそんな彼女の言葉が嬉しかったのか、絵里も円満な笑顔となって千絵に右手を差し出した。

 

「うん、私も思いも寄らない女の子に出会えて嬉しいわ。

宜しくね、千絵ちゃん。」

 

 千絵は目の前にある絵里の右手に更に感動してポロポロと涙を落とし、彼女の手を両手で強く握り締めた。

 

「ハイッ、絵里さん、亜里沙さんもよろしくお願いします!!」

 

 挨拶をされた亜里沙も笑顔でもう一度“よろしく♪”と返した。

 トオルは以前千絵と一緒にμ'sの動画を観ていて改めて絵里の顔を見て思い出し、ポカンと口を半開きにして惚け、野口もトオルと全く同じ顔をして驚いていた。

 

「美人さんだと思っていたらスクールアイドルだったのか…。」

「似てはいると思っていたけど、まさかと思ってましたよ…。」

 

 そう呟いて二人はジト目で小鳥を睨んだ。

 

「美女と野獣…っスよね?」

「ビューティーアンドビーストだね。」

 

 小鳥は二人のヤッカミを流し、絵里を見つめたままに二人に尋ねた。

 

「なぁ、“ミューズ”って何だ?石鹸の名前じゃねえのか?」

『…ハイッ!?』

 

 トオルと野口の声がハモり、小鳥は腕を組み首を傾げる。…どうやら彼は本気でμ'sの事はおろか、存在すら知らないでいた様であった。

 絵里はそんな会話を聴き、小鳥の様子を見てふと思った。

 

(そうだ、石田さんにμ'sの事教えてなかったわ…。)

 

 取り敢えず、後でμ'sと自分の事を小鳥に話してあげようと思う彼女であった。




トオル君の妹の千絵ちゃんはほぼオリキャラです。
QP(原作)では一巻に台詞無しの1コマ…しかも後ろ姿しかないのでスクールアイドルとμ'sと絵里が大好きなミーハーJSに捏造しました。
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