ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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閑話休題

しのぶ「ほっ、ほのかちゃん、アレを見てっ、見て見て見てえっ!!」

ほのか「どうしたんですか、しのぶさ…、なっ、なっ、なななななっ!?」

絵里「…なに?」

亜里沙「さぁ…?」

金髪同盟『金髪美少女おおおおっ!!!!』

 そして街角撮影会が始まったのだった…。

アリス「しっ…しの~、グスン。」


只のJKでは納得いかない

 本日は日曜日なので秋葉原の中央通りは歩行者天国となり、通行止めになっている車道を歩行者が埋め尽くしていた。絵里と小鳥達ご一考も“ホコ天”を渡り、裏通りのスクールアイドルショップを目指す。そしてその間に絵里は自分が所属するスクールアイドル…μ'sについて話していた。

 

「すげぇな、学校の廃校決定を覆すなんてよう。

本当に見る目変わっちまうぜ俺。」

「見る目って…、今まで私達をどう見てたんですか?」

 

 絵里に聞かれた小鳥は顎に手をあて、暫し考えて答えた。

 

「ん~とな~、お祭娘とおっとり娘と眼力娘と猫娘とお米娘とツンデレ娘と色物娘と巫女さん。」

 

 お祭娘は穂乃果、おっとり娘はことり、眼力娘は海未、猫娘は凛、お米娘は花陽、ツンデレ娘は真姫…と皆〇〇娘と付けられているがにこに至っては“色物”娘と少々ヒドい気がした。

 

「何か徒名みたい、それにどうして希だけ職業なんですか?」

「どうしてって、巫女さんだからだ。」

「うっ、…そうですか。

…じゃあ、私の事は…どう見てました…か?」

 

 絵里の意外な質問に小鳥は横目に彼女を見て微かに頬を赤らめた。

 

「絢瀬か…、やっぱ……、なぁ、JKだ。」

「JっKぇ…、ですか。

確かに私は女子高生ですけど……。」

 

 絵里は不満げな顔で小鳥を睨むと、プイッとソッポを向いてしまった。

 

「うわ~、アニキ女の扱いなってねぇな。」

 

 トオルが小鳥に対して苦言を言うと野口が同意しながらもトオルをバッサリと斬る。

 

「そうかもだけどトオル君は彼女いないでしょ?」

「……俺は千絵をこの手で大学に行かせるまで、女は作らないっス!」

「何年かかるんだい?」

「野口君だって女いないっしょ!」

 

 そんな会話も絵里は無視して前を楽しげに喋りながら歩く亜里沙と千絵の後ろに付いた。

 

「千絵ちゃん、彼処の並びにスクールアイドルショップがあるわよ。」

「あっ、看板見つけた!

絵里さん亜里沙さん行こう!」

 

 千絵は嬉しさを溢れさせて二人の手を引っ張ってお店の中に入り、その後に野口も真剣な眼差しとなり店内へと足早に急いだ。

 

「野口君、何か“キリッ”としてたっスね、アニキ?」

「そだな、野口君アイドル好きだからな。」

 

 小鳥とトオルは店頭で足を止め、外からハシャぐ千絵達と…真剣な眼差しで品定めを始める野口を見守っていた。

 

「ちょっと兄貴と小鳥くん、荷物持って貰いたいんだから来てよ!」

 

 突然店から出て来た千絵に捕まり、二人は店内へと引きずり込まれてしまった。

 店内に入った小鳥は四方八方を飾るスクールアイドル達のポスターやタペストリー等を見てその怖面を強ばらせた。まるで女子高生達の視線が自分に向いている様な疑似感覚に捕らわれ、落ち着く事が全く出来なかった。

 

(やべえ、やべえやべえやべえ、昨日借りたAV…“女子高生もの”だったから悶々としちまうぜ!)

 

 そんな中、小鳥はふと一枚のポスターに目が止まった。小鳥はそのポスターから目が離せなくなってジッと眺め続け、それに気付いた絵里は声をかけられずに小鳥の様子を頬を染めながら見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スクールアイドルグッズの買い物も一段落してトオルは妹の荷物を持たされ、一先ずお昼を取る事とした。

 一行は小鳥と野口がお薦めするオムライス専門店へと入るが、メニューを見て四人は小鳥と野口が入りたかった理由が解った。

 

「スゴい…、重さ3kgなんて無理でしょ!」

 

 千絵がメニューを呆れがちに見て絵里と亜里沙が頷く。

 

「メニューの写真見てるだけでお腹膨れそう…。」

「コレ、本当に食べるの!?」

 

 亜里沙に聞かれて小鳥はニヤリと笑って頷き、野口とも頷き合い何の意味やら二人してガッツポーズを取った。そんな二人をトオルは溜め息混じりに一言申した。

 

「いや~、野口君はもう痩せたり太ったりを繰り返してるからもう知らんけど…、アニキは太っちゃヤバいでしょ!

ぶっちゃけアニキ顔、昔の“QP”時代に戻って来てますよ!」

 

 …と、一瞬ではあったが、トオルは彼の鋭い視線が自分に向けられた事に気付いた。そして次に見た小鳥はその視線とは反対にコミカルにトオルに向けて小指で“×”を作って見せた。

 

(何で小指なんだよ?)

 

 トオルは心の中で突っ込みを入れてチラリと絢瀬姉妹を見、小鳥の言いたい事は理解した。

 しかし絵里はトオルの話をしっかり聴いていて小鳥に聞いてきた。

 

「石田さん、QP時代って何ですか?」

 

 トオルと野口はギクッと息を詰まらせるが、小鳥は普通に答えた。

 

「QPっつうのは俺の中学から高校ん時の徒名だよ。

前髪がキューピーみたいにハネてっからよう、よくそう呼ばれてたんだ。」

 

 

 絵里と亜里沙はまじまじと小鳥の前髪を見る。…が、真ん中の毛が軽くカールを巻いている程度で二人にはイマイチ分からなかった。

 

「近い内に高校ん時の写真見せてやんよ…。」

 

 そう言ってくれはしたが、絵里はその時の彼の表情がとても寂しく感じられたのだった。

 

「おーーーい、えriモガッ!?」

 

 突然、女の子が誰かを呼ぶ声が店内に響き、絵里達はお店の出入り口を見るが、其処には会計を済ませているお客とウェイトレスしかいなかった。

絵里は不審に思ったが、亜里沙に“此方とは関係ないでしょ”と言われたので取り敢えず気にするのはやめた。

 そして絵里達は注文を終えるが、小鳥と野口が本当に3kgスペシャルオムライスを注文したので四人は本気で呆れてしまった。更に大皿に盛られた巨大なオムライスが並び、その圧巻さに絵里、亜里沙、千絵は引いてしまう。

 

「“小鳥くん”、野口君…、本当に食べれるの?」

 

 千絵が心配そうに尋ねた時、後ろの席から変な奇声が聴こえた。

 

「こっこと…っ!?」

 

 絵里達は後ろの席へ視線を向けると、“ゴンッ”とぶつけたかの様な音がしたかと思えば、その席の人物達はテーブルの下に隠れて姿を見せなかった。絵里はあまりに奇特な行動が怖かったが、誰か頭をぶつけた様に思えたので取り敢えず尋ねてはみる。

 

「あの……、大丈夫…ですか?」

 

 すると女性の…まるで鼻を摘んだ様な声で返事が返って来た。

 

「いだ~~い、いや、だいじょーぶ、じょぶだよ~、いだい…。」

「此方は御心配なく、お食事をお楽しみくだはい。」

「…良きにはからえ?」

 

 絵里…、そして小鳥には後ろの席の人物達が誰なのか大体察しは付いた。特に絵里は姿を隠した人物達“三人”の正体も分かってしまった。

 

(コレは…石田さんの名前が“当人”にバレたわね…。)

 

 しかしその当人達のあまりにも残念な行動はμ'sのファンだと言ってくれた千絵にはあまりにも申し訳なく、“後ろのメンバー”にはあくまで正体不明でいてもらう事として此以上は関わるのを止める事にした。

 そして全員のオムライスが揃い皆で美味しく完食、小鳥と野口も見事に3kgを完食した。その後も服などの買い物をして気付けば空は暗く…もう夕方の6時を回っていた。トオルと千絵兄妹に野口は改札口の前で絢瀬姉妹、小鳥と向き合う。

 

「アニキ、絵里さんに亜里沙ちゃん、今日は本当にありがとうっス。」

 

 トオルから感謝をもらい、絵里は彼に笑いかける。

 

「此方こそありがとうございます、今日は姉妹で良い息抜きになりましたよ。」

「とても楽しかったです!

ねっ、千絵ちゃん。」

 

 亜里沙からの言葉が嬉し過ぎて千絵はまたも涙を浮かべてしまう。

 

「うう…、私もスゴく楽しかったです!

ありがとうございます、絵里さん、私“ラブライブ”応援してます!!」

「スクールアイドル活動頑張って下さいね。」

 

 絵里は千絵と野口の激励に強く頷いて感謝にと二人と握手を交わし、小鳥はそんな光景をとても優しげな微笑みで嬉しそうに見つめていた。…と、トオルが気付いた様に小鳥に聞いて来た。

 

「そう言やアニキ、スクールアイドルの店で何か買ってましたよね、何買ったんスか?」

 

 トオルの意地の悪い笑みに小鳥は顔をしかめる。

 

「何だっていいだろ、サッサと帰れ!」

 

 何とも冷たい言葉だが何処か温かい言い方にトオルは気持ちの良い笑みに直して言った。

 

「アニキ、みんなで“帰り”を待ってますよ。」

「あぁ、主任達によろしくな。」

 

 トオル達は改札口を通り抜け、電車のホームへと向かった。見送りを済ませた小鳥は絢瀬姉妹と帰路を共にする。その途中で亜里沙にお店で何を買ったのかと小鳥は聞かれたのだが…、“教えん”と一言で断った。

 

「ぶ~、小鳥さんのケチ!」

 

 小鳥は亜里沙に行きでは名字で呼ぶようにと言ったが帰りの今は特に正す事なく亜里沙の膨れっ面をガハハと笑いながら楽しむ。

 しかし、絵里は小鳥が何を買ったのかを見ていたので知っていた。彼が大切に持っている小さな紙袋にはスクールアイドルμ'sのメンバーである絢瀬絵里の真っ白なワンピースドレスで踊る姿が写されたプロマイド…、最初は彼女のポスターをガン見していたのだが買う勇気が出ず、其処に見つけたプロマイドを万引きの如く取って隠しカウンターへと持って行ったのだ。その時の女性店員の戦々恐々とした表情と石田小鳥の茹で上がった蛸の如し真っ赤な顔を思い出し、一人含み笑いを始めるのであった。

 




12話書き終えました。次回は12.5話…後ろの席の三人娘の話になります。

因みに冒頭のネタは“きんいろモザイク”です。
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