ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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…ウミミとカヨチンがヤバい…。


彼氏とは乙女を狂わす媚薬なり

 薄暗がりの神田明神の電灯に明かりが灯り、絵里達μ'sは希の彼氏…上田秀虎の話を興味深々聞いていた。

 

「ありゃあ、去年の秋頃だったかな。

俺が東京にコックの修行に来てそれなりに年が経った頃なんだが…、気持ち的に不安定になって仕事止めようかと思ってた時期だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは去年の秋口だったろうか、仕事の事で悩んでいた秀虎が気晴らしに神田明神を訪れた時に境内を掃除していた希と出会し、希の妖しくも大人びた雰囲気に見惚れた。その日から暇が出来れば度々神田明神へ彼女を見に足を運んだ。彼女を見ているだけで気持ちが落ち着き、心が癒される感覚になっていたからである。

 しかしそんなある日、秀虎は希に怒られてしまう。

 

「コラ、境内は喫煙禁止です!アチコチに表示がありますでしょ!」

 

 どうやら秀虎は希に見取れている内に無意識に煙草を出して咥えていた様だった。まだ火は付けていなかったので直ぐに戻して希に謝った。

 

「わるい、ちょっとボ~ッとしてて、つい手が伸びちまった。」

 

 にこやかに話す秀虎ではあったが、内心突然声をかけられて(怒られて)心臓がドッキンドッキンと波打っていた。希は距離

は開いたまま警戒をしながらも話しかける。

 

「最近…よく見かけますね?」

「あぁ、その…、君を見に来ていた。」

 

 秀虎は正直に答える。そして其れが希の警戒を少しだけ解した。

 

「もしかして…ストーカーさん?」

「違う違う、君に何かしようと…そんなつもりはないさ。

まぁ…、でも怪しまれる行動ではあったよな?」

「そうですね、最初は御賽銭泥棒かと思いましたよ。」

 

 希が微笑み、秀虎は苦笑いをした。その日以降からも秀虎は暇を作っては希に会いに行ってはバイト中の希と世間話をしたりし、友達関係を築き上げて行き…秀虎の方から告白をして彼氏彼女として付き合う様になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秀虎の話を聞いていたμ'sの面々は顔を赤らめた乙女の表情となっており、小さな甘い吐息まで吐いていた。

 穂乃果は火照った頬を冷えた掌で押さえてその気持ち良さにまた乙女心をトキめかせ、余韻に浸る。

 

「希ちゃんいいな~、私も彼氏欲しいかも~?」

「私も…、引っ張ってくれる人いたら良いな~。」

 

 ことりも心地良い夢を想像し、海未もまた脳内妄想を始めていた。

 

「そんな私…、告白なんてされたら……!?

ダメよ、私にはμ'sが、みんながいるの、だから…、そんな目で見つめないで、決心が、決心が緩んじゃう!!」

 

 そして“よよよよ”と泣きながら地面に悩ましげに倒れ込んだ。

 にこはそんな海未を見てプルプルと眉をひそめる。

 

「海未、それ私がやろうとしてたんだけど…!?」

 

 ネタ(?)を奪われたにこはガックリと項垂れ、深く長い溜め息を吐いたのだった。

 個性的に身悶える彼女達を秀虎は笑いを堪えながら見ており、希はそんな彼を窘めた。

 

「駄目よ秀君、みんな乙女なんだから笑ったらいけんよ。」

「いや、だってあの髪の長い娘…、完全に自分の世界に入っちゃってるからっ…プフフッ!」

 

 最早堪え切れない様で秀虎はその場から離れ、御堂の裏へ行ったかと思えば、其方から物凄い馬鹿笑いが聴こえて来た。希は苦笑して秀虎が笑っている方を見ていると、別の方からは花陽がヘンテコなポーズを取りながら何やら叫んでいた。

 

「スキャンダラス、モーメント!!

神様、スクールアイドルの神様、今私達μ'sは今までにないスッキャンダラスな大ピンチを迎えています!

どうか私、小泉花陽にお力添えをお願い致します!

ハレルヤ・スクドル、ハレルヤ・スクドル!!」

 

 もう怪しさ100%の呪文の様な言葉を並べ立てて花陽はクルクルと踊り、凛と真姫は心配そうに花陽を見つめていた。

 

「本当にμ'sの大ピンチだニャ~、戻って来てカヨチ~ンッ!!」

「花陽…、貴女かなりキてるわ…。」

 

 もう恋愛に縁のなかった娘達が乙女心を刺激されて暴走する中で絵里は石田小鳥の隣で上田秀虎との関係を気にしていた。彼は中学高校と“QP”と云うあだ名で呼ばれていたと言っていたが、もしかしたら秀虎はその中学高校の時の知り合いなのかも知れなかった。

 

(小鳥さんて…、どんな中高生だったんだろう…?)

 

 初めて男性に興味を持ち始めた彼女はふと真姫に言われた絡み文句を思い出す。

 

“まあ、絵里は…嬉しい…わよね?”

 

 絵里は一人顔を綻ばせ、隣の小鳥の横顔を見つめ…初めて自分の気持ちをハッキリ自覚した。

 

(そうね…、小鳥さんのコワい顔を見たら気持ちが落ち着いたわ、私。

前にも考えたけど…やっぱり私……。)

「なあ、絢瀬…。」

 

 思い老けっていた時、小鳥に声をかけられて絵里はちょっとビックリしてしまう。

 

「はっ、ハイ!?」

「二人だけで…、話…、出来るか?」

「・・・・エッ!?」

 

 その時の石田小鳥の表情は普段では見れない…、思い悩んだ様な表情をしていたのだった。

 

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