ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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やっと更新、この回で一つやり終えただーっ!(後半部大幅修正)


絵里は俺の嫁だと叫びたい

「涼は俺達に隠れて他校の一年をかき集めて…、“壱年連合”なんてもんを造っていた。

アイツは自分や俺達が多人数にボコられて負ける度に“力は数”だと言ってて、ソレを実行しちまったんだ…。」

 

 我妻涼は影で壱年連合を動かし、一番の標的に上田秀虎を襲った。この襲撃で彼は重傷を負って入院し…他の秀虎会メンバーもやられてしまい、木場は他の二年と三年達を纏め上げて“壱年連合”とやり合うつもりでいた。

 

「木場を説得したがもう話し合いでどうこう出来る状況じゃなかった。

俺は壱年連合と木場達がぶつかったその場に涼がいると信じてアイツを探したがいなかった…。警察も出ばって殆どの奴等が補導されたが、ガムシャラに涼を探していた俺は気付いた時には“お巡り”を殴りつけ、投げ飛ばしていた。木場に止められた俺は…公務執行妨害で…逮捕された。高校は中退、涼やツネ、幸三も俺の後に自主退学しちまった…。」

 

 彼が前科を持っていた事実は絵里にとってかなりショックな事であった。小鳥は実刑とはいえ未成年と云う事で少年院に送られ、凡そ三年近い刑期を過ごした。幾ら公務執行妨害とはいえ三年は長い気がするが、実は一度小鳥は奈良岡常吉が過去の恨みから無抵抗のまま私刑に合った事を知り、その仕返しをする為に脱走していたので刑期が長くなったのである。絵里は脱走の件に関してはやはり冷たい視線を送り、物申した。

 

「幻滅しますけど…、小鳥さんは友達思いですね。」

「はは…っ、しかし刑期が追加されちまって、少年院の院長先生達にはこっぴどく怒られたよ。」

「それは当たり前です。

…でも、高校を中退されたお友達の方々や入院された秀虎さん…、それに…我妻涼さんは…どうされたんですか?」

 

 小鳥は先ず奈良岡常吉と鈴岡幸三…上田秀虎の話を始めた。

 

「ツネはよ、実はこの東京でロックバンド始めてかなり成功を収めてるそうだ。

少し前にメンバーにも会わせてもらったけどなかなか気の良い仲間みたいだった。

幸三はさっきも話したが結婚して家業の大工を兄弟で手伝ってる。子供も今が一番可愛いんじゃねえかな。

秀虎さんは今日会った通りだよ、入院した時は心配したが…何事もなく高校卒業して、シェフになる為に俺達より早く上京して夢を叶えて、巫女さんなんて綺麗な彼女つくってんだから本当にビックリしたぜ。」

 

 仲間の話をする時はとても嬉しげに話す彼ではあったが、我妻涼の事になるとその表情は沈んだ。

 小鳥は出所してからは親元を離れて一人暮らしをし、地元のガソリンスタンドで働き始め…最初は彼の高校時代を知っていた主任の山岡金四郎と彼の仲間達が怯えてしまいなかなか打ち解ける事が出来ずにいたが、とある事件で同僚のトオルを助けてからは彼と同じく同僚の野口と仲良くなり、金四郎達とも仲間として打ち解ける事が出来た。

 …だがそんな中で小鳥は町のチンピラをまとめ裏社会の住人となってしまった我妻涼と再会…彼より自分のグループに入ってリーダーになる様言われるが小鳥はそれを拒み、二人の関係に亀裂が走る。そして涼は裏家業で手を組んでいた暴力団と袂を分かち命の取り合いにまで発展、彼が殺し屋に狙われている事を聞きつけた小鳥は彼を助ける為に駆けつけるが其処で見たものは涼の仲間を殺そうと襲ってくる殺し屋達と彼等と同じ目をした嘗ての親友の姿であった。

 

「俺達は殺し屋達をやっつけて危機を乗り切ったが…、アイツは、俺の知らない涼だった。

俺は相手をぶちのめしただけだったが…、涼は殺し屋を獣の眼孔を見せて殺していた。俺はあんなゾクリとする目をした涼を見た事がなかった。」

 

 そして運命の瞬間が来た。戦いを終えて逃げ切った小鳥と涼は以前涼の下にいたが破門された元舎弟の金城に拳銃で撃たれてしまう。小鳥は顔の右側面に一発…右肩下に一発を喰らい、我妻涼は喉に数発撃ち込まれて声帯を破壊された。二人は後を追って来てくれた仲間に助けられて一命を取り留めたが、涼は数ヶ月間の入院の後…その姿を消した。

 それからテレビで涼達の抗争相手だった暴力団の若頭が何者かによって殺されたと云うニュースが流れた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絢瀬絵里はずっと黙ったまま、視線を下に向けていた。小鳥も自分と親友達の話を終え、絵里と同じく沈黙を守る。ふと、絵里は小鳥の顔を見つめ…左頬に手を伸ばした。

 

「顔の何処を…撃たれたんですか…?」

 

 すると小鳥は彼女の手を握り、自分の左耳の手前側に持っていって触れさせた。

 

「多少薄くなって目立たなくなってんだ。銃の事は知らねえが弾の口径が小さくて良かったらしい。

大きかったら耳まで弾けてたんだと。

涼は…其れこそ即死かも知れなかったらしい。」

「どうして、私にそんなお話をしたんですか…?」

「俺の事を…、俺達の事を知ってほしかった。

その上で俺は…、お前に言おうって決めたんだ…。お前はきっと俺みたいな乱暴者を嫌うかも知れないが、伝えたいと…ハッキリ思えたんだ。」

 

 小鳥はじっと…絵里の瞳を見つめ、彼女も小鳥から目を逸らさない。静かな夜闇を公園の電灯が照らし、その灯りの下で石田小鳥は絢瀬絵里に伝えた。

 

「お前の事……、いつからか好きに、なっちまってた…。

…そっ、の~、なっ、何だあ、別に付き合ってくれとかじゃなく…、俺の気持ちを知っていてくれれば良いんだ。」

 

 小鳥の顔がみるみると茹で蛸になり、絵里の頬も色付いた林檎の様に染まる。この寒い夜空の下で二人は体を火照らせ、知らず知らずに寄り添う。しかし絵里は戸惑っていた。小鳥からの思いもしなかった告白は正直に言うなら嬉しかった。しかし今自分はスクールアイドルのμ'sのメンバーとして頑張らねばならない。希の様な付き合い方もあるが、彼女みたいに強いメンタルは持っていない。そして小鳥自身が自分の今の立場を気遣い、此方の返事を求めていないので何を言ったら良いのかが思いつかなかった。

 

「…小鳥さんはずるいです。

昔の話を聞かせてくれたかと思えばいきなり告白して来て…、なのに付き合わなくていいとか…、私はどう貴方の気持ちに応えたらいいんですか!?」

 

 僅かに声を裏返させて小鳥に苛立つ気持ちをぶつける絵里。小鳥は予想外だったのか、面食らったとばかりに絵里を見た。彼女は目尻に涙を少し溜めて俯く。小鳥はそんな絵里の肩を捨て置けず、思わず抱き寄せてしまう。絵里は勢いのまま小鳥の胸の中に納まり、驚いて上を見上げると彼の怖面が目の前にあった。

 

「小鳥…さん!?」

「前言撤回、俺と…付き合ってく“にゃぷ”っ。」

 

 …噛んでしまった…。小鳥は緊張と恥ずかしさで茹で上がっていた頭から急激に温度が下がり、絵里は頬を染めていた乙女の表情が崩れ…頬が膨れて笑いを堪えたオカメみたいな顔付きになってしまっていた。

 

「ププフフ…、もうダメ…。」

「いいぜ、好きなだけわらえよ……。」

 

 小鳥は投げやりにそう言ってガックリと後ろに頭を垂れ、絵里は大声で笑うも小鳥の胸に顔を隠して声を抑えた。

 

「格好つかね~、好きな女の前で情けね~ぜ。」

 

 その時、“ザリッ”と足音がして小鳥と絵里は目が覚めたかの様に足音の方に顔を向けた。すると其処には、マンションに居る筈の亜里沙と…、彼女の同級生であり親友…、そしてあの“お祭り娘の妹”が亜里沙と手を取り合いながらワナワナと震えていた。

 

「あっ…亜里沙、雪穂…ちゃん、何時から其処にいたの!?」

 

 絵里の問いに妹…亜里沙は引きつった笑顔で何を思ったのか左の親指を“グッ”と立てて答えた。

 

「うふ、小鳥さんがお姉ちゃんに告白した所からだよ、二人共ハラショー!」

 

 絵里は亜里沙の言動を聞いて自分の知っている妹とは違う様な気がしてしまった。そしてお祭り娘の妹である高坂雪穂は動揺しまくりであった。

 

「なっ、何も聞いてなどおりませんですよ!

そんな石田さんが絵里さんに告白なんて幻聴に決まってるじゃないですか!

だから、私は聞いていません。聞いてなかった事にして下さい、お願いします~!」

 

 どうやら雪穂も二人をシッカリと告白シーンを目撃している様だった。絵里は観念したとばかりに大きな溜め息をして…、小鳥は疲れたと言わんばかりにやはり絵里と同じく大きな溜め息を吐き、冬の夜空を仰いだのであった。

 




亜里沙「お姉ちゃんと小鳥さんの祝お付き合いを記念して一曲歌います。」

雪穂「曲名は……、
“思い出がいっぱい・ヘビメタver”!!」



(頭縦振り)
~ ウヲトナの階段駆け上れよおおっ!(全力全開フルパワアアアッ!!)
~ガラスの靴など踏み砕きいいっ!(韋駄天衝天ハイパワアアアッ!!)
~少女だった私を過去へと置き去りにして、私は私を貫き未来へ突き進むのよおおおおっ!!!!

絵里「………もう違う歌になってるわ。」
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