ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

23 / 35
ラブライブ更新でっす!


祭りの後は夜会の準備を…

 絢瀬絵里と高坂穂乃果は部活を終えた後に妹達を迎えに行って高坂家に帰宅したのだが、その騒然とした現状に絶句…、只立ち尽くすしかなかった。実家の店側はキープアウトのテープで囲まれ、周囲はパトカーのサイレンが鳴り響いて三台程の救急車が止まり何人もの救急要員が慌ただしくしていた。彼方此方から呻き声が聴こえ、野次馬達がキープアウトのテープの外に集まる明らかに高坂家で事件が起きた直後である。穂乃果はへたり込みそうな足を踏ん張り、この恐怖に呑まれそうな心を奮い立たせる。…だが雪穂が泣きそうな顔を向けて姉を呼んだ。

 

「お姉ちゃん、お父さんとお母さんは!?」

「あっ…!」

 

 ハッとした彼女の目に飛び込んで来たのは救急員が運ぶ担架でそれを見た途端に穂乃果の表情が歪ませて担架へと駆け出す。

 

「穂乃果、落ち着いて!!」

 

 絵里の声も耳には届かず、穂乃果は黄色のテープを潜って担架を無理矢理に止めた。

 

「お母さん!!

お母さ……っ、ぁぁぁ、…んん??」

 

 

 穂乃果は担架で運ばれていた人物の顔を見ると、泣き顔はまるで冷めていくかの様に平静なものとなり、一言だけ呟いた。

 

「・・・・“だれ”??」

 

 担架に運ばれていたのは穂乃果が全く知らない若者であった。彼は穂乃果の質問には答えず、というか彼女自体に気付かず、喉から搾り出す様な呻き声を洩らしながら蒼白した顔を歪めていた。

 

「いてえ…、うでいてえよぉ…。」

 

 思えば辺りから聴こえてくる呻き声は皆若者達のもので救急員が悪急くしながら手当てをして救急車に乗せている。そして…、当の高坂夫婦は…、警察官から事情聴取を受けていた。

 

「…だからですね、あの若い子達がお店に乗り込もうとしたから最初は脅かして帰ってもらおうとしただけなんですう!」

 

 何やら焦りながら警察官に事の成り行きを説明しているのだが、その祈る様な両手に握られていたのは木刀で、隣の父は無言ではあったが職人の白い割烹着には何と飛び散った血が染み付いていた。高坂姉妹と絢瀬姉妹が夫婦と警官の所へ駆け寄り、それに気付いた母親が涙目になった顔を娘達に向けた。

 

 

「穂乃果~、雪穂~、ごめんね~、お母さんとお父さん…“前科者”になっちゃうかも知れない!?」

 

“何をやらかしたんだ、この夫婦はっ!?”

 

 そんな事を考える姉妹に母親は涙をポロポロ落としながら謝り、親父もまた娘達に拝み手で謝った。穂乃果と雪穂はもう何が何やらサッパリ解らず、警官と一緒に両親の話を聞く事とした。

 発端は一見被害者に見える若者達が和菓子屋穂むらの店頭に集まり、お店の戸を故意に壊した事であった。高坂夫婦は十人いる若者達…チーマーの集団と対峙し、高坂妻が彼等にいなくなる様木刀を振るって求めたが、チーマー達は夫婦を馬鹿にした嘲笑をして金属バットや警棒を振り回して夫婦に襲いかかった。…コレが“いけなかった”。

 高坂夫は頭に振り下ろされた金属バットを素早く避けてカウンターで顔面に正拳突きを叩き込んだ。…チーマー達は沈黙、唖然とした顔で倒れた仲間を見下ろす。

 するとチーマーの二人が素手で高坂妻を捕まえようと襲いかかった。…が、何と彼女は容赦なく木刀を右肩へ振り下ろし一人を撃破、もう一人は左横っ腹に中段を決めて倒した。肩をやられた男は両膝を付いて呻き、横っ腹をやられた男は泡を吹いて昏倒していた。そして惨劇は起きる。相手の戦力を理解した夫婦は残り七人を蹂躙、誰一人自分で立てる者はおらず…近所の人が警察に通報する羽目となったのである。コレは目撃者の一人の証言で眉唾ではあるが、若者達を叩きのめしていた高坂妻は笑いながら若者達を木刀を振るっていたそうだ。

 絵里と亜里沙は兎に角、穂乃果と雪穂まで目を点にして実の両親を見つめ、両親は両親で泣きっ面をしながら警官に困り顔を向けられていた。

 

「穂乃果の御両親…、“強かった”のね…。」

「そ…みたい、娘である私が知らなかった衝撃の事実。雪穂は知ってた?」

「いや、私はお母さんが剣道やってた事くらいしか知らなかった…。」

「…おば様もおじ様もハラショーです…。」

 

 二つの姉妹はこの驚愕の現状をなかなか受け止め切れず、取り敢えず石田小鳥に連絡をする事とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、家主の居ない高坂家の居間には長女の高坂穂乃果と次女の雪穂。絢瀬絵里に妹の亜里沙。彼女達を心配して来たμ'sメンバー…幼馴染みの南ことりに園田海未。そして絵里から連絡を受けて駆けつけた石田小鳥がいた。彼はこの事件を知った時、悔しげに俯き…彼が働くガソリンスタンドで起きた出来事と自分の過去を話し、その内容に対して海未が石田小鳥を責め立てた。

 

「つまりは貴方の昔の因縁相手が亜里沙ちゃんや雪穂ちゃんだけでなく、穂乃果のおじさんとおばさんまで襲ったんですか!!

それは結局、石田小鳥の昔の“悪事”が穂乃果達を危険に晒したと云う事なんですよねっ!?」

 

 海未は真ん中の卓袱台に身を乗り出して“バンッ”と叩き、小鳥を睨んだ。

 

「申し訳ない、本当にすまないと思っている。」

 

 小鳥は一言の謝罪を口にして頭を下げる。

 

「海未、もうやめて。小鳥さんの過去を責めても何にもならないし、小鳥さんが悪い訳ではないんだから。」

 

 絵里が彼の弁護をするが、海未は聞く耳を持たず彼女にも苛立たしくぶつかる。

 

「ですが暴力団のリーダーは石田さんが昔対立していた相手だったから逆恨みで穂乃果や絵里達を狙っていると云う事ではないですか、なら石田さんが関わったりしなければ此程話が拗れたりは…っ!?」

「海未ちゃん、ダメだよそれ以上は!」

 

 ことりは海未が口走ってしまった言葉が言ってはいけないものと感じて海未を止めるが、それを聞いた絵里が右手を大きく振り上げた。…しかしその手が海未の頬を打ち付けたりはせず、絵里は少し驚いた顔で自分の手を掴み止めた石田小鳥を見た。

 

「絵里…、心配してくれたダチに手を上げちゃいけねえよ。」

 

 そう言って小鳥は手を離し、彼女も手を下げた。

 

「ごめん、海未…。」

「いいえ…、よくよく思えば…、石田さんがいなければ亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんが危なかったんですよね…。」

 

 時に何も知らない一般人が裏社会にフラリと迷い込んでしまう。…そしてそうなれば出口はそう簡単には見つからない、場合によっては裏社会の魑魅魍魎共に骨までしゃぶり尽くされてしまう。そして今、絢瀬姉妹と高坂の家族が迷い込んだ状態で魑魅魍魎共に目を付けられてしまっている。

 小鳥は何とか彼女達を金城達から引き剥がしたいと思うのだが、自分が関わってしまった事で更に危険な状況にしてしまったのも事実で高坂夫婦が襲撃されたのも金城からの本気を示した脅迫である。自分達が彼のいるガソリンスタンドに乗り込んで石田小鳥の目を自分に向けさせて同時間に駄菓子屋穂むらを手下達に襲わせたのだ。しかし手下達が高坂夫婦に返り討ちに遭ったのだけは予想外ではあったろう。

 …だが効果はあった。高坂夫婦は今日一日は警察の事情聴取帰って来れず、家には高坂姉妹と絢瀬姉妹のみである。例え園田海未と南ことりが高坂家に宿泊してもいざ襲われればお互いを守るなどは出来ないであろう。警察の巡回もまた空いてしまう時間帯があり、…かと言って小鳥が一日中見張りをするなど出来る筈もなく、上田秀虎や親友達に頼むのも限界がある。正直、八方塞がりであった。

 皆が皆…頭を抱えたその時、高坂穂乃果が立ち上がり突拍子もない事を言い出した。

 

「そうだ、今日は小鳥さんに家に泊まってもらおう!」

 

 亜里沙も雪穂も海未もことりも…、そして絵里と小鳥も目を点にして彼女を見上げた。

 

 

(この“お祭娘”は何を言っておるんだ!?)

 

 石田小鳥の心中に先程までとは違った奇妙な不安が広がり、絵里は絵里で頬を赤らめたまま惚けた顔をして固まっていた。




海未「園田海未です。
えっとですね…、次回はお泊まりのお話だそうです。しかし更新日は未定です。
あの~、何故私が次回予告をしなければならないのでしょうか…?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。