ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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23話更新、今回は長いです。


姉妹二組と野獣が一匹!

 時に高坂穂乃果の提案は有無を言わせずに決定してしまう事がある。決して仲間達が消極的でも他力本願などでもない、一言で言ってしまえば彼女の人柄…人徳の様なものなのであろう。穂乃果には信用してみたくなる…信頼を寄せたくなる魅力があるのだ。高坂穂乃果をμ'sのリーダーにし、失敗をしながらも皆と成長していけるのはその為もあるだろう。

 そして今、彼女の真価が発揮され石田小鳥は本日…高坂家へ泊まる事となったのであった。小鳥は自宅アパートへ着替えを取りに行く途中で園田海未と南ことりを送り、二人からは強く念を押されてしまっていた。

 

“小鳥さん、女四人の中で取り返しの着かない行動は絶対にしないで下さい、絶っ対ですからね!!”

 

 あの眼力の前に小鳥はたじろぎ、同じ名前ではあるが自分とは全く正反対の南ことりからは少々含みのある注意を受けた。

 

“出来れば、絵里ちゃん以外は女の子として意識しないで下さい。穂乃果ちゃんも雪穂ちゃんも亜里沙ちゃんもみんな………“女の子”だから…。”

 

 その時に見せた苦笑は本気で友達を心配したものだと、小鳥は理解した。言っている意味はイマイチではあったが、自分でも解ってはいた。大人…家主が居ない家に女四人が寝泊まりし、一晩とはいえ此から大人の男性が一人加わるのだ。小鳥は今更ながら冷や汗が出て来るのを感じた。自分から手を出さない自信はある、しかし冗談でも彼女達に迫られたりした場合…心中の野獣を閉じ込めたままに出来るか、正直分からない。

 

(…ハァ、アイツら妙に俺に懐いている節があるからな。

ああ、足取りが重いぜ…。)

 

 しかし小鳥は絵里が自分に…何故かランジェリー姿で迫る妄想をしてしまい無意識ににやける。そして正気を取り戻した途端にあまりの背徳感に堪えられず電柱に頭を打ち付けてクラクラと頭を回した。そうして“のっそりのっそり”と歩き、自宅アパートへ帰り着替えを用意して…やはりのっそりのっそりと高坂家へとゆっくり戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、高坂家では夕飯の用意をしていた。台所を仕切っているのは何故か絵里で唐揚げと味噌汁を作り亜里沙と雪穂は協力してサラダを盛り、穂乃果は…炊飯器で御飯を炊き終わって“おこた”に入ってテレビを見ていた。其処へ盛り付けたサラダをテーブルに持ってきた雪穂が姉を一喝する。

 

「ちょっとお姉ちゃん、やる事ないならもう一つテーブル持って来てよ!」

 

 此に穂乃果はコタツに潜り込みカタツムリに成りきる。

 

「私は蝸牛、手足がないので無茶無理難題モーマンタイなのよん。」

「意味解らんのよ、この馬鹿姉っ!」

 

 すると高坂姉妹のやり取りを聴いていた絵里が顔を出し、右手に包丁を持って…ちらつかせた。

 

「そう、こんなに大きい蝸牛がいるならもう一品…“エスカルゴ”でも加えようかしら?」

 

 そう言って包丁の刃先を人差し指で軽くなぞった。それを聴くや穂乃果は慌てふためいてコタツから飛び出、廊下側へと逃げ込んで頭をひょっこりと出して絵里を覗き見した。

 

「かっ、蝸牛なんていないですよ絵里ちゃん、今は冬だよ冬!」

 

 しかし今度は絵里の様子がおかしく、人差し指をジッと眺めて肩を震わせていた。

 

「……どしたの、絵里ちゃん?」

 

 穂乃果に問われた絵里は半べそ顔で振り返り人差し指を穂乃果に見せる。

 

“えっ、指先に赤い縦線が…!?”

 

 穂乃果は唖然とし、先程冗談で包丁の刃先をなぞって切れたのだと気付き更に呆れてしまう。

 

「痛いよ…亜里沙~。」

 

 涙目になり…切り口を咥えて助けを求める絵里だが、亜里沙がやって来て姉の頭をガツンとチョップした。

 

「アウッ!?」

「もうお姉ちゃんも穂乃果さんに負けず劣らずです、サッサと指出して!」

 

 そう叱咤をして指先に絆創膏を貼ってあげて穂乃果と一緒にテーブルを頼み、出来ていた唐揚げと味噌汁の盛り付けを雪穂と一緒にやって夕食の準備を完了…小鳥が帰るのを待った。

 

 すると直ぐにピンポーンと呼び鈴がして穂乃果がダッと飛び出した。

 

「絵里ちゃんにはお出迎えさせないもんねーっ!」

「ちょっ、待ちなさい穂乃果!」

 

 穂乃果を追って絵里も飛び出し、残された妹二人は騒がしい二人に深く溜め息を吐いた。

 そして玄関、穂乃果は引き戸の向こうの石田小鳥と解る影に合い言葉を求めた。

 

「さ~小鳥さん、合い言葉を答えて初めて家に入れますよ~。」

「…お祭娘、お前は本当にかしましい。」

「…では言います。

“止めろお、止めるんだあ”!」

「“ジョッカーッ”!」

「ピンポーン、さあ我が家へどーぞ!」

「何でお前が仮面のりダーを知っている!?」

 

 穂乃果と小鳥のやり取りの意味がサッパリ解らない絵里は小さく呟いた。

 

「もう、エリチカお家帰りたい…。」

 

 しかし、何故であろうか…絵里は小鳥に無邪気に笑いかける穂乃果にうっすらと暗いものを感じてしまう。ヤキモチ…、いや…もっと深い何かだが、絵里にはまだそれが何かは解らなかった。

 そして食卓に座る姉妹二組と野獣一匹、石田小鳥はテーブルこたつが二つ並んだ上座へ座らせられ、右側に高坂姉妹…左側に絢瀬姉妹が座り絵里と穂乃果が小鳥側で妹二人はお互いの姉をジト目で見つめた。そして小鳥は食卓に並んだ鶏の唐揚げの山盛り皿、均等に四人分に分けられたカラフルなサラダ、御飯茶碗の隣に置かれた豆腐とワカメの味噌汁を見て一人感動をしていた。

 

「やべ…なんか胸にグッと来た。

こういう食卓囲むのって…お袋としかねえんだ俺、だからすげー感動した。」

 

 少し涙腺が脆くなり上を向く小鳥に絵里達は優しく笑いかけ、夕飯を食べ始めた。

 絵里に御飯をよそってもらい、大盛の御飯茶碗を受け取る小鳥。二人は目が合った時に妙な照れくささを感じてしまい互いに頬を赤らめて視線をそらす。穂乃果は雪穂に御飯炊いただけだと罵られて小鳥に助けを求めるが小鳥は一言でバッサリと切り捨てた。

 

「どっちが姉か解らんな、お前ら。」

「ニョホ~~~ウ、それは酷いよ小鳥さん!?」

 

 ヤケになり鶏唐をバクバクと食らい雪穂と亜里沙も負けじと唐揚げの山に箸を伸ばす。

 

「お姉ちゃん唐揚げ食べ過ぎい!」

「ほおへふ、ほほひはんひほほほひへふははい!」

「亜里沙ちゃん何言ってるか解んないよ、口の中の物呑み込もう。」

 

 亜里沙がホフホフと口の中の物で頬張った顔がリスかハムスターを連想させ、絵里も穂乃果もみんな笑ってしまい亜里沙は口をとんがらせてやはり鶏唐とお米を頬張った。

 

「小鳥さん、唐揚げの味…、どうですか?

お口に…合いますか?」

「ああ、すげーうめえよ。好物になるぜ、この唐揚げ。」

 

 小鳥の悪戯小僧な笑顔を見て絵里も自然な笑顔となり、お米を口に運んだ。

 夕食を終えて一休みを取り、次はお風呂となった時に小鳥は自分を一番にいれさせて欲しいとかおを真っ赤にしながらお願いをして来た。…理由は…。

 

「聞くんじゃねえ!」

 

 …との事であった。しかし、コレに女性陣は反対をした。

 絵里曰わく。

 

「男性の入った後って…、何か嫌。」

 

 亜里沙曰わく。

 

「やっぱ、小鳥さんの後って…恥ずかしいな…。」

 

 雪穂曰わく。

 

「絵里さんと同じ!」

 

 そして穂乃果曰わく。

 

「私疲れたから早く寝たいな~。」

 

 この一言に絵里と妹組は引っ掛かるものがあったが、四対一となったので石田小鳥は最後に風呂へ入る事となった。そして穂乃果~雪穂~亜里沙~絵里~小鳥の順番に決まり、亜里沙までお風呂を終えて絵里の番となる。三人は二階へ上がり、一階は湯船に浸かる絵里と居間で待つ小鳥だけであった。

 小鳥は穂乃果と雪穂が用意してくれた布団を引いて居間のテレビを独り占め状態で視聴、最初は絵里が直ぐ側でお風呂へ入っている事実に悶々としていたが、テレビを見ている内に眠くなり…そのまま寝息を立て始めていた。

 

「………さん?」

 

 とても聴き良い声が聴こえた気がしたが眠いので無視をする。

 

「……りさん?」

 

 “り”さん、小鳥は自分は中国人ではないし眠いので無視を決め込む。

 

「…とりさん?」

 

 小鳥は“鳥”ではなく人間なのでやっぱり無視を…。

 

「小鳥さんっ!」

 

 突然耳元で大声がして敷布団の上で横になっていた小鳥は勢いつけて飛び起きた。パチクリと目を覚まして小鳥は傍らに座る風呂上がりの絵里の顔をマジマジと見つめた。

 

「何で俺の部屋に絵里が居るんだ!?」

「寝ぼけてるわね…。小鳥さん、私まで終わりましたからお風呂ですよ。」

 

 優しい響きの声に小鳥は髪を下ろした湯上がり後の絵里を見つめ続け、彼女から薫る匂いもあり完全に彼女に魅入られる。

 

「小鳥…さん?」

 

 彼の顔が少しずつ近付き、絵里もドキドキしながらも動く事が出来ずに体を強ばらせ…目を瞑る。そして二人の唇が近付いたその時…。

 

「小鳥さーーーん、お風呂終わったあーーーっ!?」

 

 …と言う大声と同時にいきなり居間の戸が開き、穂乃果と雪穂、亜里沙が姿を見せた。その刹那、小鳥はうつ伏せに倒れ込んで枕で顔を隠し、絵里は俯せた小鳥の背中に飛び乗ってすかさず正座、下から“ぐえっ!?”と悲鳴が聴こえたが知らぬ振りをする。三人は冷たい視線を二人に向け、暫し沈黙が流れた。

 

「ええと、小鳥さん寝てたみたいだから今起こしてお風呂入ってもらう所なのよ!」

「“モガッ”!」

 

 慌てる二人に疑念は残るが、ソレは一先ず置いておき…亜里沙は天使な笑顔を見せながら悪魔も惑う冗談を口にした。

 

「小鳥さん、亜里沙やお姉ちゃん、穂乃果さんと雪穂ちゃんが入った後の湯船は気持ち良いよ♪」

 

 コレに穂乃果と雪穂、そして絵里がカチコチに固まり、彼女を背中に乗せていた小鳥は小刻みに震え出した。

 

「亜里沙、お前って奴は…!」

 

 石田小鳥が先に風呂へ入りたかった理由はコレであった。今は真冬、シャワーのみでは体は温まらない。…しかし女子学生達が入った後と云うのは“経験”のない彼には煮え湯の様な物である。

 

(俺は変態じゃねえ、しかし絵里達が入った後の風呂は俺にとっちゃあ五右衛門風呂と同じ様なもんなんだよ!!)

 

 本人はそう思っていても既に亜里沙から誤解のウィルスは三人に感染しており、小鳥が枕に埋めた顔を覗かせると…其処には宿主を除き皆が感染のせいで角と牙を生やして小鳥を睨みつけていた。

 

『小鳥さ~~~~ん!!!』

「俺は潔白だ……。」

 

 彼の消え入る様な声は三人によるドタバタな私刑でかき消されたのであった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は深夜の二時。床に着く寸前まで文字通り遊んで皆が寝静まった頃、穂乃果は寝惚けながらトイレに行きたくなって一階へと降りた。用をたしてトイレを出ると、何を考えているのやら戸を開けてソコに寝ている人物を見おろした。

 

(…何でこんな所に寝てるのよ、“お父さん”は…。)

 

 高坂穂乃果は寝ぼけていた。居間に寝ているのは石田小鳥なのに彼を何故か父親と勘違いをし、何を思ったのか掛布団を捲り中へと潜り込み、丁度良く伸びた腕を枕にして小鳥と一緒に寝付いてしまった。穂乃果は小鳥の寝る布団の温かさに心地良い微睡みを感じ…深く眠りの中へと落ちていってしまったのであった…。




ことり「南ことりです。
次回の“そのまんま美女と野獣”はとんでもないです、それだけです。
私と小鳥さんが結婚したら石田コトリが二人とか考えた人はピコピコハンマーで殺ります。
朝倉南の子供とか言った人も殺っちゃいます。
あっ、ドミネーター見つけちゃった♪」
ひな子「ことり、手を放しなさい?」
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