ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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 最新話更新、地区予選で原作の9話目です。此処の流れはほぼ原作通りです。


雪降りし後に少女達のラブソング

 ラブライブ地区予選当日の朝、ひんやりとした部屋で絵里は目を覚ました。ベッドから起き上がって降りると空気の冷たさに思わず身震いをしてしまう。今日は午前中までは雪…曇った窓を手で拭いて外を見るとかなり積もっていて空は曇り雪はかなりの量で降って来ていた。

 

「会場…、大丈夫かしら?」

 

 そう呟いて今日の支度をして亜里沙より先に家を出て希と合流、三年生最後なので矢澤にこのマンションへと向かう。玄関の前に到着して朝っぱらのにこにーのツンデレを堪能…ジト目で睨みながら玄関の中に入れてくれた。

 

「ありがとう、にこ。」

「別にコレぐらいはね。それに…」

 

 

 かなり意地悪な笑みを浮かべるにこに対して絵里の背筋を寒気が下から上へと駆け上がった。

 

「なっ、何…?」

 

 イヤな予感はにこが印籠の如く突き出したスマホの画像にて的中した。

 

「さあ絵里、この画像について短めに説明をしなさい!」

 

 絵里は青醒めた。その画像とは、マンション出入口側にて二人が抱き合った画像であった。あの時…、絵里は全く周りを気にしていなかった。例え別のマンションの住民が通っても分からなかったであろう。ではその時の石田小鳥ならどうだったか…絵里は考えた。

 

(…駄目だ、きっと小鳥君もまた気付いてなかった筈。

でもこの画像を一体誰が…!?)

 

 そう思った彼女の眼前に同じ二人のハグした画像が向けられた。しかしそのスマホはにこの物ではなく…。

 

「ジャーン、亜里沙ちゃん芸能カメラマンになれるかもね♪」

 

 希のスマホの画面に写し出されており、絵里はガックリと項垂れた。スクープ画像を取ったのが妹の亜里沙で、恐らくは亜里沙から希に~希からにこに拡散されたのだろう。…だとしたら他のμ'sメンバーにも、そして穂乃果にも渡っているかも知れなかった。

 

「まさか…、もうメンバーみんなにその画像…渡ってたりとか…しないわよね…!?」

 

 質問はしてみたが希はニコニコしながら答えず、支度を終えたにこが来たので三人で秋葉原に向かう。しかし其処でも案の定凛や真姫に画像の件について突っ込まれ、花陽は鼻息を荒げて迫って来た。

 

「スッ、スッキャンッ、ダラスッッ!!

スキャンダルなのです!

絵里ちゃんこの画像はどーゆー事なのですか!?」

「あはっ、ははは…、はぁ~。」

 

 絵里は渇いた声で小さく笑い、とても深く長い溜め息を吐き出し、ガラス壁から外に視線を移す。外の会場は雪が朝よりも多く降っており、風もまた強くなって来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 音ノ木坂学園の説明会も終わり雪吹く中を受験者とその親達ががゾロゾロと帰って行く。…だがこの後直ぐにラブライブの秋葉原会場へ向かう筈の穂乃果に海未…ことりは雪が吹き荒ぶ外のせいで足踏みを強いられていた。

 

「ダメ、お父さんに車出してもらうにも雪のせいで道が動かないんだって!」

 

 スマートフォンで家に連絡をしていた穂乃果が声を上げ、二人の顔が強張った。去年のラブライブは穂乃果が急な風邪を引いて辞退し、彼女達のライバルと云える“アライズ”と言う三人チームが優勝…穂乃果は口にはしないがその時の責任を今も引き摺っている。また自分のせいでラブライブに出場出来ないと思うと居ても立ってもいられなかった。

 

「海未ちゃん、ことりちゃん、行こう!」

 

 穂乃果の言葉に海未とことりは頷いて三人は出入口に立つが、最早吹雪と言って過言はなく、一秒とも無駄には出来ない程であった。

 しかし既に校門まで辿り着くまでに積雪に足を取られて歩き辛く、前からは降雪が吹雪となって進み辛く、三人娘は折れそうになる心を必死に耐えて一歩…また一歩と歩を進める。クラスの友達が雪をかいてくれた道にまた雪が積もり始めており穂乃果達が気落ちしてしまいそうになった途端、吹雪が止み視界が広がった。

 

「えっ、コレって…!?」

 

 穂乃果が惚けて呟き、海未とことりが笑顔で周囲を見渡した。

 

「道の雪が……。」

「すごいよ、()()()!」

 

 何と穂乃果達のクラスだけでなく、学園全生徒が秋葉原へと続く道の雪を退けてくれていたのだ。そして穂乃果の同級生である…此方も三人娘のヒデコ、フミコ、ミカが穂乃果達の方へ来て事情を話した。

 

「みんなもμ'sの為に出来る事をしたいって集まってくれたんだよ。」

「雪かきは私達に任せなさい!」

「そして穂乃果達は“アレ”に乗って行くんだよ。」

 

 そう言って同級生の三人娘が同時に指差した先には、何と真っ黒い人力車が置いてありその周りに背の高い男性が三人立っていた。一人は見た事のない…オールバックにした髪型に左頬に傷のある少し凄みのある男性だったが、もう二人は希の彼氏である上田秀虎と…一番背が高い三本傷の怖面をした知る人ぞ知る石田小鳥であった。

 

「よっ、カシマシ三人娘共。」

 

 小鳥の怖面を見た途端に穂乃果の心から不安がなくなり、笑顔で彼の側に駆け寄って海未とことりも穂乃果に付いて行く。

 

「あの~、この人力車はどうなされたのですか?」

 

 そう海未に聞かれたので秀虎が答えた。

 

「少し前から小鳥と相談してたんだよ、当日雪が積もったら君達を助けてやれないものかってね。丁度俺の知り合いに区役所勤めがいてソイツが人力車持ってる人知ってるっていうからその人紹介してもらって格安でレンタルしたんだよ。」

 

 秀虎の話に穂乃果達は感嘆の声を上げた。

 

「流石は希ちゃんの彼氏だ!」

「ええ、格が違います!」

「人力車乗ってみたかったんだ~♪」

 

 秀虎を褒め称える三人娘に小鳥は少々面白くないのか、自分を指差して自己主張を始める。

 

「確かに秀虎さんもすげえが俺もレンタル代割り勘で出してるんだぜ!」

「嘘つけ、お前割り勘所か四分の一くらいしか出してねーだろ。

金はほぼ俺と秀虎さんとで出したんだよ。」

 

 左頬に傷のある男性がゲラゲラ笑いながら小鳥の嘘を暴露し、小鳥はギャッと悲鳴を上げてその男…国見竜次を非難した。

 

「テメッ、竜次、いきなりバラすんじゃねえぞこのロリコン!」

「何とでも言えよ、“にこ”に気がある事がバレてる以上今更俺がおたつくとでも思ったか。」

 

 国見竜次は小鳥に勇むと、此方を見ている三人娘の方を向いて自己紹介を始めた。

 

「そう言や紹介まだだったな。

俺は国見竜次、小鳥のダチで秀虎さんの舎弟の一人だ。

…そして…、お前さん達の仲間にいる矢澤にこの従兄だ!」

『エエエエエエエエエエエエッ!?!?!?』

 

 穂乃果、海未、ことりの悲鳴が心地良くハモったので竜次は“掴みはOK”とばかりに御満悦な笑顔となった。…が、少々ハシャいだせいで時間の方を気にしていなかった。小鳥は三人娘を人力車に乗せて後ろの右側に秀虎が付き、左側に竜次が付き、石田小鳥が引き手となり座席は三人娘がぎゅうぎゅう詰めに座った。

 

「うっ、ちょっとキツい!」

「いえ…、ちょっと所ではないかと…?」

「でも、何だかあったかいな。」

 

 そんな会話をしていると人力車が持ち上がり斜め前だった三人の角度が上がった。

 

「ウッシイ、お前ら飛ばすぞお!!」

 

 小鳥が威勢良く啖呵を飛ばし、穂乃果もそれに乗っかって“オーッ!”と掛け声を送る。しかし秀虎は調子に乗っている小鳥に諫める。

 

「おい小鳥、普通に歩いていけ!

徒歩でも充分間に合う、調子こいて人力車壊したら元も子もないんだからな!」

 

 秀虎の正論に続いて竜次の常識が小鳥を諫めた。

 

「小鳥よ~、人力車壊した時の弁償額シッカリ考えろよ!

お前が加減なしに引いたらこんなの粉微塵なんだからなあ!」

 

 すると人力車に座っていた南“ことり”がしょんぼりして俯いき、涙目になってしまっていた。

 

「なんか…、わたしがおこられてるみたい…。」

「こっ、ことりちゃんじゃないから!

南じゃなくて石田だからね、元気出そう!」

「そ、そうですよ、ことりは何もしていないんですから!

ほら、石田小鳥さん、出発シュッパツ!」

「おっ、応よ。」

 

 小鳥は同じ名前の南ことりに申し訳なく思い、ゆっくりと人力車を走らせた。後ろで人力車を押す二人も何か居たたまれない感じになり、小鳥に合わせて人力車を押したのであった。

 

「…秀虎さん、俺あの娘が小鳥と同じ名前なんて知らなかったんだけど…。」

「あぁ、俺もスッカリ忘れてたからな…。」

 

 人力車はゆっくりながらと言っておきながら三人足早に進んでいき、恐らくは穂乃果達が走るよりも早く秋葉原に着きそうであった。前方周囲では音ノ木坂の学生が総出で積雪を掻き分け、小鳥達が押す人力車は力強く進み…、吹雪いて来た雪を穂乃果達は三本の傘を広げて重ね防いだ。そんな最中で掻き分けられた雪道を踏みしめて一生懸命人力車を引いて走る石田小鳥の背中を傘の隙間から見ていて穂乃果は見惚れてしまっていた。

 

(そっか、絵里ちゃんはこの背中に惚れたんだね…。)

 

 そして秋葉原に入り、穂乃果達は小鳥達三人は橋の向こうには待っていた絵里達メンバーがいて、穂乃果達は御礼を大きな声で言い会場へと急いだ。竜次は向こう側にいる矢澤にこを見、上田秀虎も東條希を見つめ、小鳥もまた…絢瀬絵里と遠くから見つめ合っていた。

 

「やっぱ、見なきゃ勿体ねえよな、μ'sのステージ。」

 

 そう切り出したのは意外にも秀虎であった。どうやら彼も小鳥達と同じでμ'sの踊り歌う姿は動画でしか見た事はなく、東條希の歌う姿がナマで見たいのだそうだ。

 

「そうだよな、俺もにこの踊ってる姿見てぇぜ!」

「だよな、なら人力車返しに行くのは後だよな!」

 

 三人見合って“グッ”と親指を立て合い、人力車を押してμ'sの方へと向かった。

 そしてラブライブ関東地区予選が始まった。色々な学校のスクールアイドルがパフォーマンスを行い、前回優勝スクールアイドルであるアライズも最高のステージを魅せてくれた。…そして順番はμ'sとなり小鳥や秀虎、竜次の粗野な男心が高鳴った。歌う曲は“Snow halation”、メンバーみんなで作ったラブソング…。会場は小鳥達やメンバーの家族達にクラスメイト、学園の皆がジッと始まるのを待つ。

 軽やかなピアノが奏でられ前奏が始まりμ'sが登場し、Snow halationを歌い始めるのであった。




にこ「何、竜兄ってば私に気があったんだ!
そっ、そうね、従兄弟っ同士だっ、だけど、いっ一応、おっ、おっ覚えといてあげるわよ、竜兄が私を……、すっ、すっすっ…スットコドッコイ!!」

竜次「誰がスットコドッコイだ色物娘!」

真姫「フンッだ、何よデレデレして!
次回は…、何コレ、カンペ真っ白じゃない、やる気無しよね全く!!」
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