ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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 例え冬でも水着回は出来るのだ!!


そうだ、温水プールに行こう!!

 年が明けて元日も過ぎ、三が日は三日目。ラブライブ地区予選はμ'sがライバルであるアライズを下して優勝した。年明けは小鳥と絵里は互いに顔を合わせたが小鳥は仲間と颯爽の新年会、絵里はμ's三年の三人で神田明神のバイトで分かれていた。そして石田小鳥は今日もガソリンスタンドにて忙しく仕事に明け暮れていた。其処に店長が小鳥に声をかけてきた。

 

「小鳥君、ちょっといいかな?」

「うす、何ッスか?」

 

 尋ねると店長は笑顔を見せて“何かの券”を二枚出した。

 

「これ、温水プールのチケット二枚、僕ん家は行けなくなって余っちゃったんだよ。

他のバイトの子達も要らないって言われてね~、小鳥君…プール行きたくない?」

 

 小鳥は暫し考えた。仲間と一緒に行くか…。いや、常吉はインディーズバンドの方が忙しいだろうし幸三には妻子がいる。木場はそろそろ保育園が始まる前準備がある。竜次は…分からない。秀虎は仕事か或いは“彼女”とデート。何より…。

 

「男の海パン姿なんか見たくねえ…。」

 

 小鳥は溜め息を吐くが、ハッと頭に浮かんだビジョンがあった。それは…()()()()()()()姿()であった。小鳥はデカい掌で店長の券を持った手をガシリと包み込み、その驚いた顔をガン見した。

 

「有り難く頂きます、店長!」

「うっ、うん、楽しんでね…?」

 

 そして定時から残業を通して仕事も終わり、小鳥は帰宅途中ながら早速絵里にお誘いの電話をした。

 

《もしもし、小鳥君?》

「もしもし違うよ絵里()()()、ことりだよ~、こ・と・り♪」

 

 ちょっとした悪ふざけで小鳥が裏声を使って“おっとり娘”の真似をしてみたら、…無言で電話を切られてしまった。もう一度携帯を鳴らし電話は通じたが向こうからは何も話してこなかった。

 

「絵里…、俺だ…、石田小鳥だ……。」

「小鳥君…、次、こんな電話かけてきたら…別れるからね!」

「分かった、もうしねえ。…絶対しねえ。」

 

 小鳥は絵里をからかおうとした事を謝り、温泉プールの話を切り出した。

 

「プール?

この真冬の直中に行くの?」

《おうよ、ウチの店長から招待券二枚貰ったから~、もう一枚は亜里沙によ。》

「…でも……」

 

 絵里は戸惑っていた。まだ付き合い始めて十日も経っていない彼に肌を晒け出す事を…。石田小鳥がどれだけ自分を大切に思ってくれているのかは去年の事件で理解している。…が、絵里自身が生理的な羞恥心を拭えるのか…なかなか自信が持てない。何より、彼…石田小鳥のパンツ(海パン)一丁の姿を見なければならないのだ。

 

「そんな~、小鳥()()の裸なんて…、はづかしいよ~~♪♪」

 

 …と、火照った頬を両手で仰ぎながら絢瀬亜里沙が何時の間にか絵里の部屋に入り込んでベッドに座る姉の隣でハシャぎ、姉は何時の間に入り込んだのか分からない妹の奇行を見つめて呆けていた。

 

《んだ、亜里沙が居るのか?》

 

 しかし絵里は応答せず亜里沙のほっぺたをこねくり回していた。

 

「ムニムニムニムニムニムニムニムニムニうううをぬええうちわんムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニやああめえとぅえうムニムニムニムニムニ……っ!?」

「全く何時アナタを連れて行くって言ったのよ、亜里沙!

まだ行くとも決めてないしっ!」

 

 ムニムニとこね回す絵里の手を何とか掴み止めて亜里沙は反論する。

 

「わぅ、私も小鳥さんと温水プール行きたい、さっき小鳥さんチケットを私にくれる話してたもん!

大体去年一昨年、みんなで海行ったら知らない男の人達の視線独り占めしてたじゃん、今更小鳥さんの視線恥ずかしがる方が変よ!」

「べっ、別に…、小鳥…くん、…に見られて恥ずかしいなんて、そんな……」

 

 急にモジモジし出した姉を余所に亜里沙は放ったらかしの絵里のスマホを取り電話に出た。

 

《小っ鳥さ~ん、温水プールお姉ちゃんもオッケーだよ。

私と多分雪穂も行くからよろしくね♪》

 

 そう一方的に約束が成立して電話が切れた。しかしソコに水着姿を見せるのが恥ずかしい絵里と…彼女と初の二人だけのデートと行きたかった小鳥の意志と思惑は一切亜里沙の独断により無視されたのであった。

 

「…キャラ変わったな…、亜里沙…。」

 

 帰宅途中の小鳥はLEDの電灯の下に立ち尽くし…、二人だけのデートが流れてしまった事実を嘆いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして何だかんだと待ちわびた当日、小鳥と絵里達は朝早めに駅で待ち合わせをして合流した。意外にも一番遅い…と云っても一足程遅い程度に時間内に高坂雪穂が来て四人、絢瀬姉妹もあれだけ騒いでもやはり楽しみにしていたのだろう…ニコニコが隠せない顔付きである。

 

「“ニッコニッコニー”ってやったらいいんじゃね?」

「小鳥君怒るわよ?」

 

 そう眉毛をつり上げるが口元は笑っている絵里である。…が、どうも雪穂の様子がおかしい事に亜里沙が気付いた。

 

「雪穂どうしたの、ちょっと表情が暗いよ?」

「うう…、亜里沙、絵里さん…小鳥さん、私、失敗しちゃったかも知れない…。」

 

 小鳥と絢瀬姉妹は並んで首を傾げ、雪穂は更に俯く。…と、何処かで聴いた事のある声が聴こえて来た。

 

「えっっりいちゃあああああん、うをっまたせえええええええ!」

 

 その声の主を見た小鳥のこめかみにビシリと青筋が走った。

 

「おい絵里、さすがにコイツはどういうこった!?」

 

 声のトーンが低い小鳥に絵里もちょっとドキリとして潔白である事を伝えた。

 

「私は言ってないわよ!」

「私も…!」

 

 続いて亜里沙も伝えたが雪穂が涙ぐみ、大声で大陳謝した。

 

「だから私が悪いの、本当にごめんなさああああい!!!!」

 

 その心からの謝罪に乗っかり高坂穂乃果率いる二年一年組計六名が小鳥達と合流し、余りに予定していなかった状況に小鳥はガクリと膝を落とし項垂れたのであった…。

 




 水着回は次回に繰り越しなのだ…。
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