ラブライブ~そのまんま美女と野獣~   作:濁酒三十六

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石田小鳥、一人芝居。


二度寝は自分の為にはならん…が、やめられない

 日曜日の寒い朝、石田小鳥は10時28分に目を覚まして体を起こした。灰色のトレーナーを寝間着にしており、恵まれた筋肉がトレーナー越しに形を見せている。小鳥は寝ぼけて淀んだ目を二回瞬きをさせて六畳一間の部屋にあるキッチンで冷たい水で顔を洗いサッパリさせた。

 部屋の中には先程まで寝ていた布団と小さな卓袱台があり、壁端にあるコンセントからは充電器に繋がれたガラパゴス携帯が置いてあった。小鳥はサッパリはしたが未だ眠気は覚めず、今日はある事情で仕事を休んでしまったので一日暇であり…、二度寝しても大丈夫だと考えると朝飯を食べようとせずにまた生温い布団に入って寝息をかき出し二度寝をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 11時07分、充電中のガラケーより“たいやきくん”の着信音が流れるが、その音は彼に安心感をもたらし、深い眠りにつかせた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 14時11分、今度はメールの着信音…“たいやきくん・オルゴールver”が流れるのだが、その音は更に小鳥を深い深い眠りへと誘った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガバッと被った布団と一緒に上半身を起こした小鳥は枕元の目覚ましを手に取った。…時刻は既に16時29分を過ぎていた…。小鳥はガックリと項垂れ、小さな声で愚痴る。

 

「やっちまった…、二度寝なんかしなきゃ良かったぜ……。」

 

 後悔…先に立たずである。

 彼…石田小鳥は埼玉のとある町にある大手系列の小さなガソリンスタンドで働いていたのだが、其処のガソリンスタンドの店長の知り合いが秋葉原で同じ系列ガソリンスタンドの店長をやっており、年末年始の忙しい時期に応援が欲しいと相談があったので彼が11月~1月末までの三ヶ月間の出向を引き受け、東京に来ていた。

 今日は行きつけの饅頭の美味い和菓子屋の娘である女子高生にお誘いを受けていたのだが、後にその娘の友達だと云う…恐らくはこのアパートの近所に住んでいるかも知れない女子高生…絢瀬絵里から向こうの人数が“九人”だと知らされて怖じ気づき、キャンセルしてしまっていた。

 

(はあ…、“ガキ”の頃は荒くれた奴等の十人二十人は軽く相手していたのによう…。)

 

 実は彼…、中学高校では野郎共との喧嘩乱闘の毎日に明け暮れていた為か、異性との交流にはとんでもなく奥手になっていた。付き合いの長い異性を上げるなら…ぶっちゃけ母親しかいなかった。

 しかし東京に来てから妙に女性と関わる事が多く、その絢瀬絵里と云う女子高生とは奇妙な縁すら感じてはいた。

 

「外人とのハーフかも知れねえが美人っちゃあ美人だな。

…しかしやっぱ女子高生、歳が違うわな~。」

 

 絢瀬絵里の顔を思い浮かべながら着替えをし、あんな娘が彼女なら自慢が出来るものであるなんて事を考える。しかし其処は夢を見たりまではしない。自分の怖面ぶりは最近…、此方も女子高生なのだが一人を卒倒させた程の破壊力がある事を身を持って知ったのだから…。

 

「ありゃあ…、結構ショックだったわ…。」

 

 石田小鳥は着替えを終えてドカジャンを羽織ると、朝昼と食い損ねた飯を食いに秋葉原へ出掛ける事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秋葉原へと着き、人混みの中を遠慮がちに進む小鳥だったが、そんな人混みの向こうに見覚えのある“一行”を見つけた。一人はあの美人な女子高生…絢瀬絵里であった。

 

(全く…婆さんの時と云い、事故の時と云い、縁のある娘だぜ。)

 

 しかし今の彼は“花より団子”、デカ盛りの店を探してガッツリと食事をする為に“アキバ”へ来ているのである。そして彼女達との約束はキャンセルをしている。…ならば…。

 

(今は無視でしょ。)

 

 …と、心の中で林修の真似をして反対方向へ歩き出した。…だがその時、背後より激しいプレッシャーを叩きつけられ、小鳥は立ち止まり…恐る恐る後ろを見ると、何と絢瀬絵里が綺麗な顔立ちをそのまま怒り顔にして此方へ向かって走って来ていた。

 

「なにいいいっ!?!?」

 

 小鳥はこの異常事態に驚いて走り出した。

 

(意味が解らん、何であんな“おっかねえ顔”して追っかけてくんだよ、あのJK!?)

 

 此より石田小鳥捕物帳が幕を開ける。




次回は言ってしまえば鬼ごっこです。
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