始まり
ピピピッ、ピピピッ
ある部屋にコール音が鳴り響く。
部屋の主である少女が手元のボタンを押すとモニターが現れた。
「なにかしら?」
『所長、最後の適正者が先程到着しました』
「…そう、なら検査が終わる頃にマシュを迎えに行かせなさい。スケジュールの変更は無しよ」
『わかりました』
プツリと言う音と同時にモニターが消えると少女は両手の指を絡めそこに自身の額をあてる。
暫くの間そうしていた少女だったがやがて――
「…やるわよ、オルガマリー・アニュミスフィア」
決意を決めたかのようにそう呟くのだった。
―――
――
―
始めましてマシュ・キリエライトといいます。
私たちは今、人理定礎崩壊を防ぐべく特異点F―冬木―に来ています。
人理定礎崩壊とか特異点についてですが説明が面倒なので他のSSやWikiを読んで下さいって何を言っているのでしょうか私は?
冬木に
そのあと直ぐにランサーのサーヴァントに襲われましたが、キャスターのクー・フーリンさんの手助けのお陰で何とか撃退に成功しました。
戦闘終了後、学校で身体を休めて今後の方針を話し合い、聖杯があるという祠に向かう事になりました。
祠へと向かい、つい先ほど辛うじてセイバー―反転したアーサー王ーを撃退することに成功。
正直、所長の指示で戦闘経験を積んだり、クー・フーリンさんからの
アーサー王消滅後、クー・フーリンさんも「今度はランサーとして呼んでくれよな」と先輩と約束を交わして座に帰ってしまいました。
別れは寂しかったですが、召喚に応じてくれたらまた会える。そう思いカルデアに帰還しようとするその直後の事でした。
拍手の音と同時に死んだと思われたレフ教授が現れたのです。
ですがこの気配は、
「あ、ああレフ! レフ!!」
っ駄目です所長! レフ教授に近づいては!!
「やぁオルガ」
「レフ、会いたかったわ」
「ふっ私も会いたかったよオルg「ガンドッ!!」ぶほぁっ!?」
…………へ?
「ガンドッ! ガンドッ! ガンドッ! ガンドッ! ガンドッ! ガンドッ!」
「がっ!? きさ、ま、やめっ」
あ、あの、所長?
「ガンドォォォォオオオッ!!」
―――
――
―
悪い夢をみたわ。
それも飛びっきりに悪い夢を
燃え盛る街でスケルトンやサーヴァントとの戦闘
重傷を負った47人のマスター候補生。
100を超えるのスタッフの死亡。
紅く染まったカルデアス。
そして――
そこから先を考えると身体の震えが止まらなくなる。
少しすれば落ちついたけれどそれでもやっぱり小刻みに身体が震えるし、何より一人で居るのが恐い。
誰か、誰かいないの?
「こんな夜更けにどうしたんだいオルガ?」
一人廊下を彷徨っているとレフが声をかけて来たわ。
そっちこそ遅くまでどうしたのか聞くと明日に備えてシバの再調整をしてたみたい。
その様子は私の良く知っているいつもの穏やかな姿。
…正直、今一番レフと会うのが恐かったけれど、それよりもレフを信じたいという気持ちが勝って夢の内容を話したわ。
全部話し終えたところで幾分が気持ちが落ちついてきて、夢の事であんなに脅えて「まだまだ君も子供のようだね」なんてレフに呆れられちゃうかしら?
もし言われたら顔を真っ赤にする自身があるわ。いえ、これを口実に添い寝してもらうなんて///
「…ふむ、イレギュラーは早めに対処しておくかね」
え?
おなか、痛い
どうしt……
―――
悲鳴を上げて布団から飛び起きる。
荒くなった呼吸を落ちつかせてから恐る恐る服を捲ってみると刺し傷なんて何処にもない。
また、悪い夢? でもあの痛みは――
事の詳細を確かめるべくシバの調整をしているであろうレフの所へ向かったわ。
シバのある部屋に着くと丁度作業を終えたみたい。
後片付けをするスタッフを尻目にレフに「私を、カルデアを裏切っていたのかと」問い詰める。
けれどレフには「…疲れているようだねオルガ」と言われ、周りからは「また所長がヒステリーを起こした」とまるで相手にされない。
嘘じゃない! 本当よ!!
夢で見た内容を話したりしたけれど聞いてもらえず、そのうちレフに「わかった一先ずロマニのところに行こう」と身体を抑えつけられる始末。
離してよ! この裏切り者!!!
「ちっ…下等生物が私の手を煩わせおって」
そんな言葉が聞こえたのと同時に私の胸元から何かが貫いたわ。
あ、これ、レフの手…
―――
何もかも信じられず自室の隅っこで布団を被って過ごす。
通信機器は全て破壊済み、時折外から人の声が聞こえたけれど布団を深くかぶってやり過ごしているとそれも無くなったわ。
何も考えずボーっと無駄な時間を過ごす。
外では私に変わってレフが進行役を務めてレイシフトの準備を進めてる頃かしら?
ふふっこれで私も終わりね。
そんな自嘲の笑みを浮かべていると突然部屋が爆発に包まれた。
―――
自分の部屋は駄目、どこか爆発に巻き込まれない場所に逃げなきゃ…。
そう思ってこっそり部屋を抜け出したけれど、何処に隠れても駄目。
爆発に巻き込まれるか、瓦礫の下敷き、酸欠で死ぬ事もあれば、レフに見つかって逃げようとして殺される事もあったわ。
そして幾度か繰り返すうちに施設内に私に隠れ過ごす場所が無いと言う事を思い知らされた。
中が駄目ならば外よ。と非常口を破壊して飛び出す。
後ろからスタッフの声が聞こえたけれどそれを無視して猛吹雪の中を我武者羅に突き進む。
けど、そんな無鉄砲が長続きするはずがなく、暫くすると体力がつきて雪の地面に倒れたわ
今度は凍死かしら? そんな事を考えていたら突然浮遊感を感じ、気がついたらいつもの部屋に居たわ。
―――
いつものようにレフや心配するロマニをやり過ごしてこっそりと部屋を抜け出す。
今回は何処に隠れようかしら? とそんな無意味な事を考えながら目に着いた部屋に入る。
部屋の中は初期のレイアウトのままで、誰も使ってないみたい。
使ってないなら丁度いいわ。今回はここで終わりにしましょう。
部屋に入りベッドに倒れ込む。
私、何をやっているんだろう。
どこに逃げても結局は死ぬ運命なのに、どうしてこんなことを……
そんな事を考えた時だったわ。
部屋のドアが開いて――
「あ、あれ? ここで合ってる…よね?」
――“48番目のマスター候補生”―藤丸立香―と出会った……いいえ、再会したの。