シンエイ・ノウゼン
サンマグノリア共和国軍東部戦線第一戦区第一防衛戦隊「スピアヘッド」の今期隊長を務める彼には異能がある。
それは『死者の声を聞いてしまう』というものだ。
元は『血族の心の声を聞く』というものだったが、
移行、レギオンによって殺され、持ち帰られた彼らの怨念の声が、悲痛の叫びが、いつ、いかなる時、どんなに離れていても聞こえてしまう。
《帰りたい》
《…死にたくない》
《お母さん!!!》
《イタイ、イタイヨ…》
《イヤダ、イヤダァアアアアッ!!!!》
《タ、スケテ………》
こんな声が常日頃から聞こえる。それは一体どんな拷問だろうか………。
通常であれば、とっくに廃人へと化しているだろう。
だが、時にはこんな声もある。
《DTのまま死にたくねぇぇぇええ!!!》
《おっぱいに挟まれて死にたい人生だった……》
《処●のまま死ぬなんてイァヤヤヤアアア!!!》
《読みかけの本を残したままなんて死んでも死にきれねぇえええ!!》
《あ、枕の下に秘蔵の本いれっぱs……》
《あたしの食後のデザートがぁぁあああああ!!!》
お前ら、死に際のセリフがそれでいいのか? と問いたくなる。
たまに
常人であれば戦時下の不意打ちに気を取られて死んでいるところだが、キチガイ共は笑いながら汚物を消毒する。
特殊な環境下で生まれたキチガイは一筋縄ではないのだ!
そして、中にはこんな声も…………。
《アンジュ様ぁぁあああああ!!!!》
《カイエ様バンザァァァアアアイ》
《ミナたぁぁぁあああん!!!》
《レッカ様の為にィィイイイイ!!》
《ミクリィイイン!!》
《マイナたんhshs》
今期スピアヘッド戦隊女性陣が配属される前の戦線でナニをヤらかしたのか気になるところであるが……
「「「「「・・・(ニコッ」」」」」
聞かない方が賢明であろう。
因みに妹扱いしているクレナに関する声が聞こえた場合、即座にシンが処分し、本人には適当な嘘をついたり、若干アホなので言いくるめて納得させている模様。
―――
――
―
ヴラディレーナ・ミリーゼは困惑している。
弱冠16歳で少佐に上り詰めたエリートの彼女であるが、ハンドラーとしてはまだまだ素人。
全滅こそ未だに無いが己が担当する部隊に戦死者を出すこともしばしばあり、その度に謝罪と涙を流した。
今回で最後となる部隊の任務で、あまりの激戦で戦隊長を含めて数名の隊員が死亡。
任務後に伝えるつもりだった
自分のまだ拙い指示に従ってくれた彼らから罵倒を受ける覚悟でその事を通達したのだが、何故か生き残った全員から気まずそうに心配されたり、憐れみや励ましを受けた。
「(え、いったいどう言うこと何ですか?)」
そして彼女は知る。
イカレタ連中によるキチガイな行動を……
配属初日はまだ良かった。
叔父から若干問題のある部隊だと聞いていて、どんな問題児を抱えた部隊だろうと危惧していたのだが、蓋を開けてみれば気さくな人柄ばかりで着任時の挨拶も問題なく終わった。
事前に読んだ資料から、
「(これのどこが問題なのだろう?)」
そう思っていた時期が彼女にもありました。
≪ヒャッハァァアアアッ!! レギオンは皆殺しだぁあああっ!!≫
≪いいレギオンはさっさとくたばったレギオンだ。それ以外はただのクソ蟲だ!!!≫
≪死ね! 死ね!! 死ねぇぇえええ!!!!≫
≪機体が動かないっ!? なら、生身でやるっきゃねぇよなぁああ!!!≫
「(…………こんなの聞いてない)」
今なら納得する。
転属を伝えた際に前部隊員たちの気遣った声が、配属を任命される際にどこか気まずそうにしていた伯父様の表情が………
こうしてレーナは数か月という短い間ではあったがキチガイ共に揉まれたり、軍上層からの嫌みや同僚からの妬みを受け続けた結果………
――数年後――
≪早く指令を、
「
≪≪≪≪≪≪≪
見事に彼ら流に染まった。
なお、後に合流することになる
正直、シンの『死に際の死者の声を聞いてしまう』という設定を知った際、DTだとか処●のくだりを叫んでるのとか居そうだよな~と思い、それを書いてみたくて書きました。
因みに
「シンたぁぁぁん!!」
「死神殿hshs」
「シン君prpr!!」
といった声もあったりするのですが、彼らは「シィィィイインン!!」と叫んでる機体に速攻で破壊されているため、シンが知覚することは無かったりします。