ありそうでなさそう   作:壬生咲夜

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こんな86はちょっとイヤだ

これはレーナが自らの過ちを謝罪し、改めて皆と交流をとりたいと話し、シンエイから所属している全プロセッサーの名前を聞き、生き残ってるプロセッサーからそれぞれ挨拶を返して貰った時のことだ。

 

『あ、すみません』

「どうかしましたかハンドラーワン?」

『アンダーテイカー、貴方の名前をまだ教えていただいてなかったと…』

「ああ、すみません忘れてました。アンダーテイカー、シンエイ・ノウゼンです」

『ノウゼンっ!? あの、もしかしてショーレイという方をご存知ですか?』

「っ……兄です。どうしてその名を?」

『以前、命を助けて頂きました。恩人です』

「…そうですか」

 

この時、ライデンらは奇妙な繋がりがあったもんだなと思っていた。

 

 

次の言葉が続くまでは

 

 

『では、貴方が話しに聞いていたシンたんさんなんですね』

「ブフォッ!!??」

 

(え、シンが?)

(あの鉄仮面野郎が?)

(我らが死神殿が?)

 

(((((動揺してコーヒー噴いた!?)))))

 

(((((てか今なんて言ったあの女!?)))))

 

「ゲホッ、ゴホッ……ハンドラーワン、今のは……」

『えっ? あっ! し、失礼しました!! ショーレイさんから貴方の事をお話しされたときにシンたんシンたんと言われてたので、ついそのまま……』

 

(あの無表情顔でシンたんwww)

(クールぶった顔でシンたんwww)

(ダメだ、腹痛ぇwww)

 

「(あいつら後でぶん殴る…)…いえ、大丈夫です。今日はもう遅いので、本日の通信は此にてーー」

 

この時、戦隊面々の思いは一つだった。

 

「「「「「(こんな面白い話、終わらせるわけには行かない!)」」」」」

 

「まぁ、待ってくれよハンドラーワン」

「おいライデン何を――

 「それ捕まえろ~!」

 「神妙にしろ死神殿~!」

 「ちょっと大人しくしようかシン君♪」

 「ゴ、ゴメンねシン!!」

 ―――お前ら…」

 

隊員それぞれがシンを羽交い締めにしたのを横目に確認したライデンは再び口を開く。

 

「実はシンのやつ、昔の…幼い頃の記憶が無いらしくてな」

『えっ、そうなんですか!?』

「ああ、そうなんだよ。だから、こいつに兄貴から聞いた小さい頃の話をしてやってくんないか? シンの為にも…」

『それでしたら後で本人に伝えてあげれば…』

「イヤイヤだからこそだ。俺たちの隊長であり大事な仲間なんだ。仲間の事(特に面白い話)は死ぬまで覚えて置きたいんだ」

『で、ですが許可無く他の方の話をするのは…』

 

「明日、俺たち死んじゃうかもしれないんだぞ(嘘泣)」

 

『うっ、わ、わかりました」

 

ハルトの定番のセリフが決めて(カイエが死んだばかりなのもある)となり、少しだけ話すつもりだったが、戦隊員らの合いの手もあってガッツリと話してしまうことになった。

 

曰く、

 

◆お兄ちゃん子でいつも後ろを付いてきた

◆おんぶや肩車をせがる仕草がホント可愛い。

◆頼ってもらえるよう、ワザとそう仕向けたことがある。

◆笑った顔がマジ天使

◆幼馴染の子と本気のかくれんぼをしたら相手を泣かせた事がある

◆割と強めの説教をしたら泣いて不貞寝をし、暫く口をきいてくれなかった。

◆俺の弟の泣き顔マジプリティ

戦場(ここ)に来る前、正気でなかったとはいえ、シンに酷いことをしてしまった。

◆土下座で謝って仲直りをしたい

◆許してくれなければ、ゴミを視る目をしながら頭を踏んでほしい

 

 

『私、一人っ子何ですけど、ご兄弟ってこんな感じなんですか?』

 

「「「「「いや、それは無い」」」」」

 

兄弟・姉妹の居た戦隊員らの言葉に、まぁそうだよなと一人っ子組は内心で頷いた。

 

「……ハンドラーワン、流石にこれ以上は明日に響きますので通信を終わりにしますがよろしいですね」

『あ、す、すみません! 長々とその色々話し込んでしまい…』

「…構いません。それではまた明日」

『はい、おやすみなさい』

 

パラレイドを切るとゆらりと立ち上がるシン。

その姿に流石にやり過ぎてキレたかと思い声をかける。

 

「シ、シン?」

「………本で知ったことなんだが」

「お、おう…」

 

「人は頭に強い衝撃を受けると記憶を失う事があるらしい」

 

(((((コイツ(シンのやつ)記憶がなくなるまで()る気だぁっ!!!???)))

 

「お、おい落ち着けシンたん!」

「そうだよいったん冷静になろうシンたん!」

「話し合おうぜシンたん!」

 

「…フッ」

 

その晩、スピアヘッド戦隊隊舎にて【真夜中の鬼ごっこ】が開催され、近隣の森まで隊員らの悲鳴や謎の鈍い音が響いたとか…。

その騒動は整備班長(アルベリヒト)が怒鳴り込んでも収まらず、朝方まで続いたらしい。

 

翌日、隊員の9割が(自称)記憶喪失と頭部のダメージで使い物にならず、当日の哨戒任務はシンが(自室から)一人で索敵をしたらしい。

 

 

 

そして、数カ月後

 

≪シンたぁぁぁぁんっ!!!!!≫

 

 

 

 

 

 

 

『…ライデン、お前達は雑魚の相手を頼む』

≪シンたんっ!≫

『お、おう! シンお前は…』

≪シンタァァァン…≫

『クソ兄貴を仕留めてくる』

≪シ~ンたん♡≫

『そ、そうか、その、頑張れよ』

≪シンたん! シンたん! シンたん!≫

『……ああ』

≪シィィンタァァァン!!≫

 

素直に頼られた事が嬉しかったが、ちょっとだけ内心複雑な思いを抱いたライデンだった。

 

(そういや、兄貴を見つけたって言ってたとき、ヤケにキレてたのはあの叫びが原因か…)

 

そう一人納得し、セオらと共に雑魚の相手をするのであった。

 

 

 

さらにそれから数年後、

 

≪シンたん!≫と叫ぶレギオンが出現し、第86独立機動打撃群(ストライク・パッケージ)の面々が腹部にダメージを負って一時戦闘不能に陥る事件が発生。

戦隊長自らが激戦の末に討伐したものの、何故が翌日に一部記憶喪失を自称する隊員が相次いだとか…。

 

なお、このレギオンは何度討伐しても時折ふらっと現れては、味方の様な行動をとり、最終的に戦隊長へ敵対行為(じゃれつき)をとるらしい。




ショーレイが超絶ブラコンだったらこうなるのかなと思って書きました。
レーナと戦隊員は原作よりも早くにそれなりの仲へと進展するが、やはり原作通り5名まで減ってます。

あと、シンは最初レーナに口止めを依頼しましたが、輸送ヘリが来ても「まだ話したりねぇ!」と語り続けており、当時の戦隊員(全員既に戦死済)や整備員、ごく一部の輸送隊は知ってると話して膝から崩れ落ちるというのも考えましたが、話に入りきれないので省きました。
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