スタンドの村   作:野々村あこう

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仲間

「というわけで、青葉さんの見つけたという敵をこれから探し、指輪を奪い取る作戦に出ようと思います。青葉さんは一応敵らしき人物の顔を見たんですよね?でしたら、村を歩き回って探して、それからみんなで攻撃しようかと思います!」

 

美鈴の自信たっぷりな発言に、まだ名前も知らない少年が手を挙げた。

 

「このただっぴろい村を適当に闊歩して青の王を見つけられるとは思いませんが」

 

その言葉に美鈴は息を詰まらせ、慌てて口を開いた。

 

「で、ですが、敵はまだ私たちの顔がバレてないでしょうし、見つけ出すチャンスと思うんですよ!」

 

「その青葉さんも、一応敵一人に顔見られてるんですよね?一緒に行動したらアウトな気がするんですが」

 

少年の追い討ちに、美鈴のそばでお茶を飲んでいたミシェルがクスリと笑った。

 

 

「えっと、まぁおっしゃる通りです。このように私一人で作戦立てたとしてもうまくいく自信はないです。というか穴だらけだったことを今痛感しています。ですから、皆さんの協力をお願いしたいと思います。まだみんなの名前も知りませんし。そこで、まずは親睦を深めるために、自己紹介をしませんか?」

 

その言葉を最後に、美鈴は頭を下げて腰を下ろした。

隣に座るミシェルが、母のような優しいまなざしを見せたので、彼女の表情からようやく緊張の色が薄くなった。

 

「まぁ、それもそうですね。赤の王がデスクワークしかしてこなかった10代女子だってのと、このサラリーマンっぽい青葉さんだっけ?が敵の顔を覚えて帰ってきたってこと以外わかんないしね。勝利にチームワークは必要ないと思うけど、名前は知ってて損しないな。うん」

 

そう言うと、少年は機敏に立ち上がって深々とお辞儀をして見せた。

 

「こんにちはみなさん。そして、美鈴さん、俺たちを信用し家に招いてもらい、大変喜ばしく思っています。俺の名前は神霊煉(シンレイレン)といいます。戦闘員として駆り出されてました。戦うことしか能のない俺ですが、美鈴さんの熱い想いに心打たれましたので、どうか俺を刃に使ってやってください」

 

彼の眼はまっすぐと赤の王を見つめ、そして熱を帯びた言葉は少女に安心感さえ与えた。

 

 

「神霊さん、ありがとうございます。私の仲間うちで、唯一の戦闘員ですので、いろいろと大変かと思われますが、これからもどうかよろしくお願いします」

 

「もちろんです。俺の力を思う存分村のための槍として扱ってください」

 

少年の戦闘経験はかなり高いのであろう。彼の言葉からは全く迷いを感じることはなかった。

それを聞き終えて、青葉悠は立ち上がり、自身の名前とスタンド能力が無いにほぼ等しく戦力にはならない悔しさを語った。それから一呼吸おいてから、最年長の彼が昨日の夜の出来事について切り出した。

 

「まず、お話ししたいことが2つあります。1つ、私は確かに青の組織らしき人物を4人確認しました。例の会議で呼び出されたのは8人、今この場に4人集まっていますから、広場で見かけた4人は間違いなく青の者でしょう。しかし、お恥ずかしい限りですが、指輪をだれが所持しているのかまでは確認しておりません」

 

青葉はその日の夜に見たものを思い出しながらつづけた。

 

「あの日、紫色の煙を広場にいた3人が浴びて眠りについていました。明らかにあれはスタンド攻撃によるものだと思われます。それが、仲間割れによって起こったものなのか、第三者による攻撃なのかは分かりませんが、警戒が必要であると思いまして、3人の身に着けているものなどの確認はしませんでした」

 

「4人いたとおっしゃってましたが、もう一人はどこにいたんですか?口論になったんですよね?」

 

そう訊ねたのは美鈴だった。青葉は彼女の質問にうなずいてから口を開いた。

 

「その後、青の王の元につくために来たという男がいました。名前は影山蛭谷です」

 

その言葉に、一瞬神霊の顔つきが変わったが、それに気づいたのは青葉だけであった。

美鈴は青葉にさらに質問を続けた。

 

「では、その影山さんが3人を眠らせた本人では?」

 

「おそらくその線はないと思われます。影山本人が、眠らされた3人を見て驚いているようでしたので」

 

スタンド使いがスタンドを使いこなすのは当たり前であるため、覇理了のスタンドディープ・パープルがまさか言うことを聞かず能力を誤射したなど、だれも想像することはできなかった。そのため、青の王の元へ向かう以前に、第三者を恐れて会議は硬直していた。

 

ルール上、第三者が指輪をすべて手に入れたとしてもボスとして認められることになっているため、組織会議に呼び出された8人以外も敵である可能性は高い。彼らは存在しない敵を想定した作戦も練る必要があったのだ。

 

 

「ったく、しゃらくせえ。ようは青の王やその仲間ぶっ殺して指輪奪えばいいって話だろ?」

 

沈黙した室内で、突然立ち上がったのは神霊煉であった。

彼は迷いのない表情でスティック菓子を口にすると、玄関へ足を向けた。

 

「少なくとも1人だけは俺の知り合いだ。そいつ捕まえるなり拷問するなりして青の王をとっ捕まえればいいんだろうが」

 

「そうですが、どこに行くんですか?」

 

青葉が慌てて質問すると、神霊は面倒くさそうに振り返って「茶屋だよ。影山蛭谷は俺と同じく戦闘員。一度一緒に仕事したときに話を聞いたんだよ。毎日3時に茶屋でべっぴんさんと会話するのが楽しみだってな」そう答えた。

 

青葉が慌てて腕時計を見ると。針はちょうど3時頃を指し示していた。

 

「まぁ見てなって。ちゃっちゃと指輪、ゲットしてくるからよ」

 




神霊煉(シンレイレン)
戦闘が大好きで、能力もそれを支えるものとなっている。
ところが、自分のその性格をできるだけ隠そうとするため、よく猫を被ったように優しくなったりする。
基本優しいときは嘘をついているので注意が必要。
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