絶対絶望馬鹿   作:閻魔刀

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プロローグ2

「殆ど喧嘩に近い形で出て行っちゃったけどどうしよう…… 支部長無事かなぁ……」

 

 吉井明久は未来機関から支給されたヘリに乗ってとある場所に移動していた。

 物思いにふけりながらヘリを操縦する明久だったが、未来機関から勝手に出た時に支部長と喧嘩になり、雄二直伝のプロレス技を叩き込んでから出ていったのである。

 

 

「おっと、そろそろ着きそうだな……『旧・文月学園跡地』に……

そうだ! 遅い気もするけど、一応今の持ち物を確認しておくかな……」

 

 ヘリを自動操縦に設定して置き、持ち込んだ持ち物を確認する。

 

装備:対モノクマ用ハッキング銃・未来機関正規構成員用スーツ

 

持ち物:『きれいな水・4リットル』『砂糖』『塩』『乾パン(常人なら1週間分)』

 

 文月学園の跡地に到着した明久がすぐに向かった所は『2-F』の教室であった。

 当時の思い出を懐かしんでここに来た人が居るかも知れない…… その可能性に賭けてみる為であったのだが……

 

「やっぱりいないか…… 本当にどうしよう、あんな家出同然に出てきたから今更土下座しても許してもらえそうにないし……」

 

 溜息をつきながら当時、明久が使っていた机に座り、食事を取る事にした。

 

『うん、やっぱり未来機関特性乾パンは美味しいな。 さすがは僕が企画して作っただけの事はあるね。

せっかくだし、みんなにも食べてもらいたかったなぁ………… ハァ~~~~~…………』

 

 余計な独り言の為に余計に落ち込む明久。 コロシアイ生活の生き残りの仲間と一緒にいた時はとても楽しくて、皆で料理を食べた時だけは(明久が料理担当になった)嫌な事を忘れていられた……

 そう思うと、少し悲しくなって来て、涙が出てきそうになってきた……

 

 

 

「もう少しだけここを散策してみよう…… もしかしたら何か見つかるかもしれないし……」

 

 そう言いながら散策をしていた時に思い出すのは、文月学園にいた時の思い出だった。

 2年に上がってFクラスの教室に入ろうとした途端に悪友に罵られた事やその悪友を姫路の為に試召戦争を起こすために相談した時の事。

 

「ははっ、あの時の雄二って自信満々に言っていたよね……」

 

 Bクラス戦で脅されていた姫路を助ける為にBクラスの教室の壁を破壊して、脅迫犯であるBクラス代表を女装させた事。

 

「根本くん、ざまぁ!」

 

 結局雄二のせいでAクラスに負け、設備をさらに落とされた事。

 

「あの時の事は、未だに思い出しただけでもムカムカするよ」

 

 清涼祭の時に皆が慌ただしくしていた時の喧騒や、試召戦争大会で滅茶苦茶な手を使いまくって優勝した時の事。

 

「清涼祭の準備をするべき時に僕たちは野球なんてしていたんだよね…… そう言えば常夏コンビとは終始ずっと敵だったんだよね…… いくら姫路さんの転校が掛かっていたとは言え、校舎を破壊するのはやりすぎだったかな……」

 

 強化合宿でもろくに勉強せず、集団覗きをやらかした末に一週間も停学処分をくらった時の事。

 

「あの時の脅迫犯って、清水さんだったんだよね…… あの子の罵倒でもいいから、今は知り合いの声が聞きたいよ……」

 

 強化合宿の後、美波に恋愛感情があると勘違いさせたことが原因で大喧嘩に発展した時の事も……

 

「あの時は美波に悪いことをしちゃったな…… いくらまな板でペッタンコでガサツで乱暴な女の子だからって、それでも心が傷つかないなんて言う事はなかったんだよね…… それを知っていたはずなのに、あの紋土の事も大神さんの事も止める事ができなかったよ…… 二人共、本当にごめん……」

 

 学園長の設定ミスのせいで召還獣が妖怪化した時に3年生と肝試しをした時の事。

 

「あはは、あの時のボーズ先輩の格好は汚かったな…… 今でも少し吐き気がするよ。

でも、瑞希さんの事を罵倒した分は謝らせたし、ちょっとだけすっきりとはしたよ……

あの後から、瑞希さんとの恋が進んでいったんだろうね……」

 

 召喚獣を使った野球大会では、姫路によるデッドボールが、今でも若干トラウマになり気味でもある……

 

「あの時はグロかったなぁ。 うっ…… 桑田くんのオシオキを思い出してしまった…… オェェェ……」

 

 少し吐きそうになり、トイレに急いで向かう明久。

 落ち着いてきた所で、明久は2-Aの教室に向かいだす……

 

 

 そこで明久は2回目のAクラスとの戦いでは、本当に惜しいところまで行っていた事を思い出す。

 

「最期に学園長と3年生が邪魔したせいで、決着がうやむやになっちゃったんだよね。 あの時の試召戦争、最後までやりあったらどっちが勝っていたんだろう……」

 

 最後の3年との決戦では3年Aクラス代表『高城雅春』と姫路の因縁を断ち切り、実はお互いに両思いだった姫路と付き合えるかも知れないところまで行ったのに、学園長のせいでそれがパァになってしまったとお互いに落ち込んだ……

 

「だけど、その日の夜に希望ヶ峰学園から手紙とパンフレットが届いてきて、才能として認められて……」

 

 学園中を周っていた明久はいつの間にか、2-F教室に戻って来ていた……

 

「ははっ…… 本当に懐かしいや…… みんな…みんな本当に…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこで何やっているんだよォォォォォォォォォ!!」

 

 懐かしすぎる思い出にふけり、絶望しかけている明久は、つい教室の扉を殴り壊してしまう。

 

「みんな…… みんな、本当にどこだにいるんだよ…… 僕は絶望なんてしてないよ。 無事なら未来機関に保護してもらえるように頼んでみるから…… 誰かいたら、お願いだから返事をしてくれよォォォォ!!」

 

 泣きながら叫ぶ明久。

 そんな明久は、目の前にある黒板に目が行っていた。

 その黒板には、見覚えのある人物の写真とその人物が書き込んだと思われる案内文らしきものが書かれていた。

 

「え~っと、なんだ……『バカの机を見てみろ』って、これ雄二の写真!? 隣に霧島さんがいるけど…… そう言えばあの二人、人類史上最大最悪の絶望的事件の間にどさくさにまぎれて正式に恋人になっていたような……」

 

 『バカの机』というのがなんなのかが分からないでいる明久は、一度考え込んでしまう。

 

「全く、『バカの机』なんて、雄二も失礼だな! Fクラスにはみんな絶望的なまでのバカしかいないじゃないか!」

 

 あはは、と笑う明久。

 

「そういうあなたは『超高校級のバカ』だったはずですよね、吉井明久?」

 

 いきなり謎の人物に後ろから声をかけられた明久は『ウワアアアアアアアアアアアアアア!!!』と驚きながら後ろに飛び退いてしまう。

 その人物は男の様だが、妙に髪が長く、その奥に隠れる赤い目と無表情な顔で明久を見据えている……

 

「ちょっと、あんたは一体なんだよ!?」

「わたしの正体なんて、そんなことはどうでもいいんですよ。 今一番重要なのは、あの黒板に書かれている文字ですよ。 あの文字には『バカの机を見てみろ』と書いてありますね?」

「そうなんだよ、本当に失礼しちゃうよね? それでそのバカの机に指定された奴はどうしようもないバカだと言われているようなものじゃないか?」

 

 明久の言葉を効いた髪の長い男性はそのまま黙り込んでしまう……

 そして、乾いた笑みを見せ、そのまま適当な机を探す為に覗き込む。

 その男性は探すこと数分で簡単にうさぎのマークが描かれた日記帳を見つけ、それを明久に投げつける。

 偶然か必然か、その机は希望ヶ峰学園に編入する前に明久が使っていた机だった。

 

「あ、ありがとう……」

 

 『妙に重いな……』と思わせるぐらいの速度で投げつけられた明久は驚きながらも、一応お礼を言い、その中身を見ていく……

 そこにはこう書かれていた……

 

 

 

 

 ○月×日:みんな散り散りになってしまいました…… 明久君は無事に希望ヶ峰学園に避難してくれていたようです。

 少しさみしいですが、私も頑張って生き延びたいと思います。 ファイト・オー!!

 

「ははっ、やっぱり瑞希さんの日記帳だったか。 一度ここに戻ってきてはいたんだ……」

 

 ○月○×日:どうにか美波ちゃん、葉月ちゃんと合流できました。 でも美波ちゃんの方もご両親が行方不明だそうです…… 

 

「そんな…… いや、今は美波と葉月ちゃんが無事だっていうことだけでも喜ぶべき……」

「まだ喜ぶのは早いかもしれませんよ? 続きを読んでみましょう」

 

 男性が速く読むように急かしてくる。

 明久も実際に気になるのか、適当に返事をしながら続きを読んでいく

 そこには彼女が外で過ごしてきた時の出会いと別れ、超高校級の絶望との戦い、絶望に制圧されてしまった街などの情報が日記形式でびっちりと書き込まれていた……

 そして、日記帳のページが後半に差し掛かって来た時、とても重要な情報が書き込まれているページにたどり着く!

 

 △月××日:美波ちゃんが、耳寄りな情報を持ってきてくれました! 私たちが皆で遊びに行ってきた海水浴場から30キロ離れた離島で、『塔和シティ』という街が出来上がっていて、そこは唯一『人類史上最大最悪の絶望的事件』の影響を受けていない安全な街だそうです!! ここからでは少し遠いですが、私たちも危ないですし、それ以前に葉月ちゃんももう限界です。 ここはこの情報を信じてこの街に向かいたいと思います。

 明久君、この日記帳を明久君の机に入れておきます。 もし、希望ヶ峰学園の方で何かがあって、ここに来ることがあった時にこの日記帳を見てくれることを信じています。

 お互い、希望を捨てずに頑張って生き延びましょう!!

 

 

 

 

 

 

 

「……良かったですね、吉井君。 貴方の思い人もこんな世界で立派に生き延びているようですよ?」

「うん、瑞希さんも無事で良かったよ。 それに次に向かうべき場所も分かったし、ようやく希望が見えてきたよ!!」

「そうですか、それは喜ばしい事ですね。 さあ、もうこんな所で思い出にふけりながら腐るのは終わらせるべきです! 急いで彼女の元に行ってあげなさい」

「うん、そうすることにするよ! ありがとう、お互い頑張ろうね。 ……あっ、よかったらお礼にこの乾パン、よかったらあげるよ。 僕が腕によりをかけて開発したものだから味は保証するよ!」

 

 男性に励まされ、彼女の日記帳を見つけることができたおかげで元気を取り戻した明久は、お礼に乾パンを3日分程あげた後、そのまま学園の運動場に停めてあったヘリに乗り、そのまま塔和シティへと向かって行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???side

 

 

 

「ふふっ、お互い頑張ろう……ですか。 そんな風にお礼を言われたのはいつからでしょうか?」

 

 ヘリに乗り、塔和シティへと向かっていく明久を見届けた男性はケータイを取り出し、何処かに電話をかける。

 

「もしもし、召使い君かい? 今そっちに『バカ』を焚きつけてそっちに送ったから……」

「ちょっ! カムクラ君、一体何をしてくれたんだい!? 君は一体何を考えてるの!?」

 

 召使いと呼ばれた人物は迷惑そうにしながら驚いていた。 その怒りようは、迷惑行為ばかりをする人物に向けるそれと全く遜色がないほどだ……

 

「まあ、いいじゃないですか? 結局の所、彼がそこに行くための時間が早まっただけのことなんですから」

「そんなことを言っているんじゃないんだよ! ようやく、この街に入ることができたのに、その地点で計画が頓挫なんていくらボクでも嫌だよ!!」   

「しかし、彼も本当にバカですね。 僕が仕掛けた物の矛盾に気が付けなかったのですからね」

 

 乾いた笑いがFクラスの教室に響く…… まるでそうするべきだからそうしたかのように……

 

「え? いきなり何を言ってるの!? 電話の向こうにしかいないボクではそこでどうなっているのかなんてわからないんだけ……(ツー・ツー・ツー……)」

 

 召使いが困惑しているにも関わらず、全く意にも介さずに電話を切るカムクラ。

 彼が仕込んだ物、それは教室の黒板にあった。

 そもそも考えなくても分かるはずなのである。

 

 

 《なんで姫路の日記帳への手掛かりへのヒントを坂本が書いたと思うのか?》

 《そもそも、一度教室に来た時には無かった手掛かりが散策から戻った途端に書き込まれていたのか?》

 

 謎と呼ぶにはあまりにも単純すぎた矛盾に気がつかないのも無理もない話だった。

 あの時のカムクラは、明久にとって思い人の行き先への手がかりを与えてくれた恩人でもあるのだ。

 多少怪しい要素があるとは言え、協力的な人物からの真実味のある情報を与えてくれた人物を、果たして疑うことができるだろうか……

 

 

 

 少なくとも、明久には感謝こそすれ、疑う事など「出来なかった」のだ。

 その結果、気がついて当然の矛盾に気が付かずに、わざわざお礼まで言った後に大慌てで塔和シティに向かって旅立ってしまったのだ……

 

 

 

 

「アア…… 本当にツマラナイ…… あまりにも単純すぎてとてもツマラナイですよ……」

 

 




ここまでがプロローグになります。

明久がかなり危ないことになっていますね……
因みにここでいうFクラスの教室とは、3年生と戦った後で手に入れた教室になるので、Cクラス相当の設備の教室が手に入っている設定です。
なので、ここで『教室の机』と書いてあるのは一応誤記ではありません。

念の為に、バカテスは最終巻の後のタグを入れておきたいと思います。

皆の感想を待っていま~す。
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