絶対絶望馬鹿   作:閻魔刀

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第4話

 朝比奈side

 

 覚悟を決めた朝比奈と工藤の二人はジャケットをこまるに預け、天空に光刺すかのごとき勢いでクラウチングスタートを決めて塔和シティーを囲む海へと飛び出した!

 

「キャー、すごいすごーい!! 朝比奈君、工藤さんも頑張ってー!!」

 

 こまるの声援を受け取った二人はそれに応えるように両手を勢いよく振り回し、常人では及ばない程のスピードと泳法で冷たい水温をものともせずに進んで行く。

 その勢いはモーターボートのそれと何ら遜色の無い程だ……

 

「おいおい、工藤のやつあんなに速かったのか? 俺が目を離した数分の間でどれだけ泳ぎ切ってんだよ……」

「数分じゃないわ。 数十秒よ」

「マジか……」

 

 明久との話を終えて戻って来た雄二も驚きを隠せないようだ。

 朝比奈(姉)が”超高校級のスイマー”と呼ばれる程泳ぎが速い事は知っていたが、まさかその弟もそこまで速いとは思ってもいなかったのだろう。

 その速さにギリギリとはいえ、付いて行く事ができる工藤の泳力も相当なものだろう。

 それだけ二人の覚悟が本物で、皆を助けたい気持ちでいっぱいである事が分かる。

 

「朝比奈君もなかなかやるね。 せっかくだしここでどっちが早く向こう岸に到着するか競争してみようか?」

「よっしゃ! こう見えて俺、姉貴以外で負けた事なんて一度もねーんだぜ? 負けたからって泣くなよ~?」

「よくも言ってくれたね。 ボクも学校の水泳部では負けなしだったんだから、油断してると痛い目見ちゃうかもしれないよ?」

「あはは、それは楽しみだぜ」

 

 そんな話をしながらも二人は確実に島から離れて行く。

 気が付けば、声援を送ってくれる皆の姿が豆粒のように小さくなって見えていた。

 

「待ってろよ皆! オレ達が必ず未来機関の連中を連れ出してやるからな!」

 

 さらにスピードを上げ、向こう岸を目指す二人。

 この調子でいけば短時間で向こう岸にたどり着いて未来機関の人達を連れて来てくれるだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピコン!

 

「ん?」

 

 ピコン!ピコン!

 

「どうしたの朝比奈君?」

「いや…… なんかこの腕輪が光り出してさ……」

 

 二人の耳に聞きなれない音が聞こえだした。

 よく見てみると、朝比奈の腕輪が警告音のような音を出しながら光を点滅させている……

 

「まさか…… 何かの警告じゃないよね?」

 

 工藤の予想通りなのだろうか? 次第に警告音は大きく早くなり出している。

 大急ぎで朝比奈の右手を捕まえながら島に戻ろうとする工藤……

 しかし、行動を起こすには遅すぎたようだ……

 

 

 

 朝比奈side end……

 

 

 

 こまるside

 

 

 

「……………………え? な、何これ…? 嘘…でしょ……?」

 

 目の前で何が起こったのかが理解できず、こまるは放心してしまう。

 それも当然だろう…… 先程まで泳いでいた二人がいた場所で急に海が割れんばかりの勢いで大爆発が起こっていたら唖然としたくもなる……

 

「ゆ、雄二さん…… ど、どうしよう…… 早く助けに行かないと朝比奈君と工藤さんがっ!」

「……まって、行くのは危険」

「助けに行きたいが、あの爆発の正体が分からねぇ。 これ以上の被害を出す訳にはいかねぇんだよ」

「でも、生きてるなら早く助けに行かないと手遅れに……」

 

 助けに行きたいとこまるは怯えながらも叫び続ける。

 

「……おまる、本気で言ってんの?」

「え……?」

「今のを見せつけられて、それでもあいつらが本気で生きてるって思ってんの?」

「……あの爆発、もし喰らっていたら無事では済まない」

「そ…そんな…… 朝比奈君と工藤さん…死んじゃったの? どうして……?」

「理由なんてどうだっていいのよ…… 納得しようがしまいがそれが事実なのよ……」

 

 腐川の言葉がよほど堪えたのか、こまるは膝を付いて泣き崩れる。

 

「…………デコマル、あの二人の事は惜しいがこんな所に居ても危険なだけだ。 一度ここを離れるぞ」

「「なっ!」」

「当然でしょ。 もうこんな所に居てもモノクマの標的になるだけよ」

 

 荷物を纏め、こまるの手を取って橋から離れようとする雄二とそれに賛同して付いて行こうとする腐川。

 だが、全く力が入らないのか、こまるは膝を付いて泣いたままだった……

 

「も……もう無理だよぉ……」

「こまる嬢、お気持ちは分かりますがここであきらめてしまっては彼らの死は無駄になってしまうのですよ?」

「どうせ…死んじゃうんだよ…… 私は皆みたいな凄い人達と違って…何にも出来ない普通の平凡な人間だし… きっとどれだけ頑張った所で皆の足を引っ張って簡単に死んじゃうんだよ……」

「だからこんな所で諦めるってのか? あそこで覚悟を決めて海に飛び込んだ二人の勇気も無駄にするのか?」

 

 雄二とペニーワースも説得を続けるが絶望に染まりつつあるこまるには全く届いていない……

 

「こまる嬢、私は思うのですが人間は皆最初から凄いわけではないのではないかと思うのですよ」

「……え?」

 

 ペニーワースが急に話を変えて来たことにこまるはつい耳を傾ける。

 

「今でこそ”超高校級の御曹司”と呼ばれている白夜様ですが、十神財閥の後継者としての権利を勝ち取る為に様々な努力を積み重ねておりました。

それこそまさに『才能のおかげで完璧な人間になれた』などと言われた時に真っ向から否定し、それを認めさせる事が出来る程に……」

 

 一度しか会ったことが無かったが、その時から上から目線で傲慢な態度を取っている十神の意外な一面に驚きを隠せないこまる。

 

「こまる嬢は確かに今は普通の女子高生かもしれません。 才能ある者の諦めない気持ちや挫折しない心はとても素晴らしいでしょう。

しかし、私はこうも思うのです。 何度も挫けながらも、何度も諦め続けても、それでも奮起して何度でも立ち上がって戦う普通の人物も同じくらい素晴らしい存在ではないかと……」

 

 説得を続けながら手を差し伸べるペニーワース。

 

「ですから、もう一度だけ立ち上がって努力が出来る”普通の女子高生”として頑張ってみませんか? もしここで立ち上がるのならば、私達もこまる嬢が頑張れるようにサポート致します」

 

「…………分かった、もう少し頑張ってみる」

 

 差し出された手をしっかりと握りしめて立ち上がったこまる。

 まだ不安に思う事も多いだろうが、先程まであった絶望感はそれなりに薄れているようだ……

 

「全く、世話が焼けるぜ……」

「でもさ…逃げるって言ってもこれからどうすればいいのかな? 橋はもう無理だし、他に脱出する方法なんて無いよね……」

「言った傍から諦めてんじゃないわよ!!」

「ああ、それなら今明久達が先にここから離れて調べてる所だぞ? ここからしばらく離れた所にある地下鉄の線路を探すとか言ってやがったからそこを目指せば脱出出来るんじゃねぇか?」

「あのバカが居ないと思ったらそんな事してたのね!?」

 

 腐川もなれないツッコミにほとほと疲れ果てたようだ……

 極端に体力を使ってしまったからか、おかしい量の大汗をかいてしまっている。

 

「あれ? でもこんな状況で電車なんて動いてるのかな……? 動いてなかったらどうしよう……」

「だから諦めるのが早いのよ! 電車が動いてなくても線路を歩いて行けば外に出られるかもしれないじゃない!! ……だから、あきらめないで頑張りなさいよ」

 

 立ち上がったかと思ったらいきなりあきらめモード全開のこまるの事を再度励ます腐川。

 そんな光景を見ていたペニーワースも困り顔で苦笑している……

 

「朝比奈君と工藤さんの分まで…って言っていいのかは分からないけど、わたしが頑張らないとね」

「……なら急いで吉井達を追いかける。 ……たぶんまだ近くにいる」

「それなら早く出発しましょう。 少々話しづらいですが、この事実を吉井君達にも急いで伝えなくてはいけませんからな」

「みんな私なんかの為にありがとう…… 絶対に一緒に生きて帰ろうね……」

 

 皆に感謝の言葉を言いながらメガホン銃を構えるこまる。

 その眼には生きたいという気力を取り戻しており、もう心配はなさそうだ。

 

 

こまるside end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久side

 

 

「『モノックマン』……ってなに?」

「さあ? 葉月にも知らないです」

「たしか工藤さん達と一緒に街中を逃げ回っていた時にもこんなゲームがありましたが……」

「姫路さんの話を聞く限りですと一応流行っていたようですね。 ……この街限定で」

 

 一方、先に大橋から出発していた明久達はホテル近くの道に向かい、交番で待ち構えていたサイレンモノクマを0.3秒で倒して先に進んでいたのだが……

 

「なんちゅうクソゲーっすかこれ? 正直オレこんなのに付き合う気なんてねーッすけど?」

 

 雪丸も興味なさ気に見ており、無視してさっさと進みたいようである。

 

「でも扉の向こうは封鎖されてて、しかもモノクマがうじゃうじゃいるんだよ? このゲーム機を動かしてそのゲームをやらないと進めないようになってるんじゃないかな?」

 

 明久の言葉にめんどくさそうにしながら頭を抱える雪丸。

 モノックマンに足止めを食らい、かと言って引き換えしても全く意味の無いこの現状にみんな苛立ちを覚えているようだ……

 そんな彼らに後ろから近づいてくる人物……

 

「あれ? 皆さんこんな所でどうしたのですか?」

 

 その男の姿は異様に髪が長く、長髪に隠れて見えづらいが、その眼は非常に赤く、疑問に思っていること以外の一切を感じさせないほぼ無表情な顔をしている。

 

「あ、あんたはこの街の事を教えてくれた…… どちらさまでしたっけ?」

「「「明久(アニキ)(君)も知らないんかーい!!」」」

 

 明久も一度は文月学園跡地で会っているはずなのだが、名前を聞いていなかった為にはっきりと思い出せずにいたのである……

 

「……………確かにあの時、自己紹介もしていませんでしたね」

 

 彼もそのことを思い出したのか一度咳払いをし、落ち着いてきたのと同時に自己紹介を始める。

 

「わたしの名前は”カムクライズル”と申します。 この街を吉井君に教えたのは良かったのですが、まさかこんな事態になっているとは全く思っていませんでした…… それで皆さんにまでご迷惑をおかけしてしまった事に関しては申し訳ありませんでした」

 

 きっちり45度で頭を下げて謝るカムクラの姿に逆に気味の悪さを覚えてしまう清水。

 だが、彼女以外の全員は全く違和感を感じていないのか、簡単に彼を受け入れて歓迎までしてしまう。

 

「なるほど、それでこの”モノックマン”と言うゲームに足止めを食らって動けなくなってしまっているという訳なのですね」

「そうなんです。 このゲーム機を動かす事が出来れば詳細が分かりそうな気がするのですが……」

「オレ達はこんなものに付き合ってる暇はねーって事で先に進みたいんすけど、なんかこの先にいるモノクマ共に封鎖されていて先にも進めねーんすよ」

「そうですか…… なら、今からこのゲーム機を起動させますので20秒ほどだけ時間をくれませんか?」

 

 そう言いながらカムクラはスーツのポケットの中からドライバーのセットを取り出してくる。

 

「あの……流石に20秒でゲーム機を修理するなんて真似は普通は出来ないと思うのですが……」

「まあ見ていて下さい。 こんなものは所詮機械なんですから、電源が生きていれば……」

 

 開始から15秒…… 一向に終わる気配が無い……

 時間制限が分単位なら超高校級レベルの才能持ちならば何かしらの方法で修理出来ただろう……

 だが秒単位の世界などそれは最早ギャグ漫画の世界の住人のそれに等しいレベルの物理的にありえない常識外れでもありえない……

 そう思っていた明久達はこの後のカムクラの奇行に驚愕する事となる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……チェストォォォォォ!!」

 

 なんと! カムクラは途中で修理をやめてゲームの機体を横から斜め45度の角度で蹴りだしたのである!!

 

「まともに修理なんてやってられっか! 斜め45度の角度で叩けば治るに決まってんだろ!」

 

「「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」」」

 

 さっきまでどうにか修理しようとしていた動作は一体なんだったのだろうか?

 何度も蹴られ、完全にボコボコになってしまった機体を大慌てで回収する明久と雪丸。

 

「昔のテレビじゃねーっすからこれ!! そんな事をしたら壊れるに決まってるっすよ!!」

「さっきまで凄い礼儀正しかったのにキレたらチンピラってどういう性格してるんですか!?」

「ゲーム機がもうボロボロです…… これじゃあもう遊べないですぅ……」

 

 

 

???side

 

「あれっ? 私がモノクマキッズちゃん達に命令して設置させたモノックマン、一個だけ反応が消滅しちゃった?」

 

 モニターらしきものを見て地図を確認しているのは車いすに乗った謎の美少女だ……

 

「モナカちゃんが言っていたモノックマンって確か……」

「気まぐれで作っておきながらクソゲー扱いして没にした完成からわずか30秒で捨てられる予定だったあの?」

 

 モナカちゃんと呼ばれた少女の言葉に反応したのは、妙に大人びた雰囲気を出している少年とピンクのツインテールをした車いすの少女とはまた違った可愛らしい美少女である。

 

「うん、ボクちんが頑張って作った機体を量産してくれたかと思ったら……」

「精神的鍵っ子の蛇太郎は黙ってて下さいな」

「ボクちんの扱いだけ極端に酷い!?」

 

 極端なまでに扱いが酷い、ツギハギだらけの覆面を被っていて明らかに気持ち悪がられている少年は両手を付いて落ち込んでしまう。

 

「全くもう、あのクソゲーだけが魔物共の娯楽だというのにいきなりぶっ壊すなんて酷いですなぁ…… あれはモナカなりのささやかなプレゼントだというのに、本当に魔物共はコドモも物も大切に出来ないどうしようもないクズですなぁ」

 

 プリプリと顔を膨らませてお怒りの少女は指を弾いてモノクマキッズを何人か呼び出す。

 

「ねぇ、今から大門君にこの場所に新しいモノックマンを置いてくれるように伝えてちょうだい」

 

 こくんと頷いたモノクマキッズ達は、数体のモノクマを連れてそのまま部屋から出て行った。

 

 

希望の戦士side end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局カムクラのせいで強行突破を狙わざるを得なかったね……」

「まあ、扉の先にいたモノクマはカムクラのやつがぶっ壊してくれたから別に良いっすけどね……」

 

 明久と雪丸は目の前の光景をみて口を開けて唖然としていた。

 扉の先にあったモノクマの集団が彼一人の手で一方的に破壊されつくされていたのだから……

 

 

「しかもあの動きどこかで見覚えがあるですっ!」

「たしか”ふた〇はプリ〇ュア”の白い方の構えでしたわね……」

「しかも戦闘スタイルも同じだしね…… あの人プリ〇ュアのファンだったのかな?」

 

 しかも彼はサイレンモノクマに見つかり、周辺から多数のモノクマが集まってきたにも関わらず、回転力を生かした打撃や投げ、いなし技でモノクマを翻弄して見せたのだ。

 直接的な攻撃力は雄二や鉄人には劣るだろうが、その格闘センスは彼らを遥かに上回るという印象を受けた程だ……

 

「葉月が聞いてみたですけど一回見たら覚えたらしいですっ! あの後ワカメ頭のお兄ちゃんにモノマネまでしてもらったですっ!」

「「いろんな意味で驚愕の事実!?」」

「みんな何をそんなに驚いているのですか? 先に進みますよ?」

 

 何を驚いているのかが分からないと言った態度のカムクラ。

 封鎖用に使われていたテープのような物を強引に引き剥がし、スタスタと先に進んでしまった……

 

 

 

 

 

 

明久side end

 

 

 

 

 

 

 

こまるside

 

 

「な…… 何やってんだろう?」

「壊されたゲーム機の撤去作業かしら……」

「……わざわざ新しいゲーム機まで持ってきてる」

 

 

 モノックマンルームを強行突破した明久組が先に進んでいる頃、彼らを追いかけているこまる達は奇妙な場面に遭遇していた。

 モノクマキッズ達が作業員服のような物を着込んだモノクマ達と一緒になって、必死にゲーム機の設置を行っていたのである。

 そんな中、こまる達の存在に気が付いたモノクマキッズの一人が勝手に持ち場から離れて歩み寄る。

 いきなりこまるが構えているハッキング銃を指差し、もう片方の手を差し出してきた。

 

「え? もしかしてこれを貸してほしいの?」

 

 こまるの言葉にうなずくモノクマキッズ。

 指差していた方の手を引っ込めてポケットの中から取り出した物は謎のフラッシュメモリーのようなものだった……

 

「こまる嬢、この子にその銃を渡しても大丈夫なのですか?」

 

 何の躊躇も無くハッキング銃をモノクマキッズに貸すこまるの行動に驚いてしまうペニーワース。

 

「大丈夫よ…… このモノクマキッズちゃん、こまる充てにプレゼントを持って来てくれたみたいだからね」

「俺らも翔子と合流する前に一度こんな感じのガキに会ったんだよ。 最初は不安だったが、普通に満タンになるまで弾が補給されてたからな。 だから今回も弾が補給されるんだろうが……」

 

 雄二らが会話をしている間に補給が終わったようである。

 ハッキング銃をこまるに返したモノクマキッズはそのまま本来の作業であるゲーム機の設置に戻ろうとしたのだが、既に作業は終わってしまっていた。

 どうやらこの子一人を残して他の皆は帰って行ってしまったようである。

 

「シクシク……」

「さ、流石に可愛そうになってきましたな……」

「本来の仕事をサボったこいつが悪いだろ」

「……雄二は本当に素直じゃない。 ……可哀想だと思うなら素直に言えばいい」

「いや、割と本気で言ってるぞ?」

 

 そう言いながら軽くゲンコツの要領でモノクマキッズの頭を小突く雄二。

 

「ウエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエン!!」

 

 だが、結構精神的に堪えたようで、小突かれたモノクマキッズは大泣きしながら扉の先に逃げ出してしまった……

 

「あはは…… 雄二さんって意外と容赦ないんですね……」

「イカレたガキ相手とは言え流石に可愛そうになって来たわね……」

 

 雄二の行動に若干引き気味になってしまうこまると腐川。

 

「えーっと弾は満タンになっているのかな~? ってあれ?」

「……こまるちゃん、一体どうしたの?」

「新しいコトダマが追加されてるんです……」

「どんな弾なのよ?」

 

 こまるのハッキング銃を覗き込んでみると複数あるランプの中に新しく桃色の光を放つランプが点灯していたのである。

 

「え~っと…… あった! 今回追加されたコトダマは”オドレ”だそうです。 このコトダマを当てたモノクマを強制的に踊らせる事が出来るって説明書に書いてありますけど……」

「結構強力だが…… 直接的な攻撃力が無いんじゃ使い所がねぇな。 他に何か書いていないのか?」

「あと、『サイレンモノクマ』って言うモノクマに当てると他のモノクマが誘導されて集まって来るそうなんです」

「「サイレンモノクマ?」」

「多分交番の前で転がっていた残骸のモノクマだと思います。 粉々に砕かれていましたから多分……」

「明久達に襲い掛かって来て逆にバラバラにされたってところか…… あのバカが持ってる武器チート過ぎるだろ……」

 

 もし明久達が先行せずに一緒に行動していたらと思うと背筋が凍りそうになってしまう皆。

 この点だけは明久の判断が正しかったと思わずにはいられなかった……

 

「取り敢えずこのゲーム機、動かしてみますね……『ウゴケ!!』」

 

 ひとまず再設置されたゲーム機をコトダマ”動”を使うこまる。

 どうやら今回のゲームは全てのモノクマを吹っ飛ばして全滅させるというルールのようである。

 

「よーし、今度こそなぞなぞ女王を目指したわたしの知恵を見せちゃうぞ!」

「「……これまでに何度失敗してやり直しした挙句に俺(私)の知恵を借りる事になったかが分からないけどな(ね)!」」

 

 坂本夫妻のツッコミ(雄二は+頭へのグリグリ攻撃)に落ち込むこまる。

 だが、今回は明らか様過ぎるヒントがある為、こまるでも簡単に解けそうではあった……

 

 

 

こまるside end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久side

 

 

「オイオイ、これはどっちの入り口を使えばいいっすかね?」

「それ以前に左の階段はシャッターが閉まっていて開かないし、右側に至っては完全に瓦礫が入り口をふさいでて入れないでしょう!」

 

 とうとう地下鉄への入り口にたどり着いた明久達。

 だがヤハリと言うべきか、既に両方とも封鎖されていた様だ……

 

「しかし、どうしましょうか? 左側はシャッターを強引に破壊する事が出来れば簡単に道は開けそうですが……」

「一応、右側も僕が持ってるハンマーで瓦礫を粉砕することで先に行けそうだよ?」

 

 どうやら、明久の持っている武器を利用すれば、強引にどちらの道も突破出来る様だが……

 

「確か吉井君の武器は言刃と言う機能が付いているのですよね? 仮にそれを使ったとして、それぞれの扉に対して何回使えば道を開くことは出来ますか?」

「うーん、右の瓦礫が奥までがっちりと詰まっていたらいくらあっても足りないと思うけど、今見えている分で済むなら大体10発分の力で全部叩き壊す事は出来るかも…… 左側の方なら2発もあれば絶対に開けられると思う」

「皆さんはどうしますか? 少ない言刃で簡単に開ける道を行くか、多めに消費させて移動する道を選ぶか? それとも……」

「「左の簡単に開けられる道で(ですっ!)!!」」

「………………け、結果だけなら予想通りでしたが、ここまで単純だとは思いませんでした」

 

見事な単純さに驚いてしまうカムクラ。

 表情は崩していないが、言葉は完全にしどろもどろになっているのが良い証拠である。

 

「よーし、皆は少し下がって。 このスレッジハンマーの南風で思いっきりぶっ壊す!」

 

 明久の指示通りに皆後ろに下がる。

 そして明久はこれまで片手で振るっている南風を”両手持ち”に切り替えたのである。

 

「言刃”フキトベ”、ダブルリロード」

 

 明久がそう言うと、南風から謎の機械音と共に煙のような物を噴射しだした。

 まるで抑えきれなくなった力が漏れ出すかの様に……

 

「だぁぁぁーっしゃぁぁぁぁぁ!!」

 

 そして、自身の持ちうる力の限界全てまで用いて階段のシャッターに目掛けて攻撃する。

 その結果、攻撃によってシャッターが豪快な音を立てて砕け散り、地下鉄へとつながると思われる道が開かれた。

 

「おおっ! バカなお兄ちゃん凄いですっ!」

「よっしゃぁぁ! アニキのおかげで先に進めるっす!!」

「これは豚野郎から少しだけ格を上げてやる必要があるみたいですわね」

 

 普段から明久に限らず男と言う性別そのものを豚野郎と言って罵っていた清水でさえ評価を改めてやるというあたりその喜びようは尋常じゃない。

 

「明久君、私達もう少しで助かるんですよね? もう安心してもいいんですよね?」

 

 瑞希が大喜びしながら抱きしめて来る。 かなり気恥ずかしそうにしながらも頭を撫で、ゆっくりと引き剥がすことにした明久。

 

「いえ、安心するのはこの街から脱出してからの方がいいでしょう。 この先に”希望の戦士”の内の誰かが防衛網を張っていてもおかしくはありませんからね……」

 

 皆が大喜びの中あえて空気を読まずに不安をあおるようなことを言い出すカムクラ。

 いくら道が開けたからと言って、今はまだ危険地帯の中なのだ。

 それを考えるとこの場で安心することは出来ないだろう……

 

「それでももう少しで出られるかもしれないですっ! なら急いで先に進むべきだと思うですっ!!」

「葉月ちゃん落ち着いて。 階段で転んだりしたら危ないからゆっくり降りてから行こう」

「ぷーっ、葉月はもう中学生の年齢ですっ!」

「あはは、ごめんごめん」

「この類人猿、女と言う物はいつの間にか成長しているんですよ。 いつまでもお前なんかになついて」

「でもあともう少しなんですよね?」

 

 だが、あと少しの所だからと言って若干気が緩んでいたのかもしれない……

 少なくとも降りた先で子供の下手な落書きが壁に所狭しと書き込まれていることを気に留めないくらいには……

 

 

 

 

明久side end…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やーい! このぬり壁まな板メス魔物め! お前は希望の戦士の”勇者”にして超絶リーダーの大門大(ダイモンマサル)が退治してやるんだーい!」

「言ってくれるじゃない! ウチが簡単にやられると思ったら大間違いよ!

まってて葉月、お姉ちゃんが急いで迎えに行くからね……」

 

 

 

 

 

 

 




ここで一度カムクラさんが登場です。
とは言っても自分はダンガンロンパはゲームの方しかしてなくてラノベ版は全く見ていないものですからカムクラに関してはかなり独自の設定を入れてしまいました。

時折ギャグを入れつつも絶望的な展開を入れて行きましたが、自分はこれでもバカテスのキャラクターは大好きです! 今回の被害者が出て来るような展開を書くことになれていない事もあり正式にストーリーとして書き込む時にはかなりの抵抗感がありました。
そんな展開が書けたことに関して喜ぶべきか悲しむべきかも分かりませんが、それでもこの作品を読んで感想や評価を入れてくれる方がいたらうれしいとも思っています。

この話を投稿するまでの間に評価を入れて下さった方ありがとうございます。


P.s最近プリ〇ュア熱が再燃し始めています。
少しだけネタになっているのはそのせいですwww
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