絶対絶望馬鹿   作:閻魔刀

8 / 8
すげぇ…… この作品に至っては4か月も投稿していなかった。

恐ろしく時間だけが経つのが早く感じる……
そう言えばいつの間にかダンガンロンパの3作目が出来るって話が出ていましたね……
速く出てくれないか楽しみで仕方がありません。




第5話

明久side

 

 

 

 

 封鎖されていた扉を明久の武器で強引に開けた一行は降りた先の光景に驚愕していた。

 

「ちょっ、一体どうなってるっすかこれ!?」

「両手がドリルのロボットに…… モノクマキッズの観客ってまるでオトナ狩りの為のコロシアムみたいじゃないか!?」

「ふぇぇぇぇぇぇぇぇ……」

「……アア、実につまらない。 ……先程ゲームを叩き壊した時の方がほんの一ミリ分だけ面白かったというのに」

 

 一行の眼前に広がる光景。 それは謎の闘技場とその中で戦わされているオトナ達とロボットの姿であった。

 すでに何人ものオトナが惨殺されており、残るオトナ二人も体力が残っていないのか、膝が震えて倒れそうである。

 

「ちえっ、お前ら意外と粘るよな。 地下鉄に逃げ込めると思い込んで罠に引っかかったバカなオトナ共がこんなタイミングでやってくるなんて思ってもいなかったぜ」

 

 明久達が入り込んでくるとは思ってもいなかったのか、地団駄を踏んで悔しがる男の子。

 

「その乱入してきた魔物共に改めて自己紹介してやるぜ! 俺っちこそ、希望の戦士の超絶リーダー、『超小学生級の体育の時間』こと、勇者の大門大(ダイモンマサル)だぁーいッ!!」

『ワァァァァァァァァァ!!』

「あ、あの子は……」

「瑞希さん、あの子の事を何か知っているのか!?」

「え、ええ…… あの子、”希望の戦士”というモノクマキッズのリーダー格の一人なんです……」

「”希望の戦士”?」

 

 塔和シティに入ってから碌に情報を仕入れていない明久は瑞希の言葉に戸惑っているようだ……

 

「『一人』なんて雑魚扱いすんなー! オレっちは希望の戦士のリーダーなんだゾ!」

「なるほど…… 自分だけ特別扱いされないと納得いかないなんて典型的な『ガキ大将』という訳ですわね」

 

 瑞希の言葉に怒り心頭の大門。 地団駄を踏みながら両手から何かを打ち出すように連続で突き出し続けている……

 

「おいそこのドリルツインテール! ガキ大将なんてつまんねー呼び方すんなよ。 オレっちは威張っているだけで隠れてばっかの、オトナ共のリーダーぶった連中とはちげーんだ。 誰よりも先頭に立って最前線で勇敢に闘い、後に続く仲間と手下を引っ張る最高のリーダー…それが『勇者』大門大様なんでぇーいッ!!」

『キャアアアアア!!』

「えへ、えへへへ…だよな、俺っちって頼もしくってカッケーよなぁ…」

 

 モノクマキッズ達の歓声を受けて照れている大門と呼ばれた少年。

 完全に雰囲気に酔っており、周りが見えなくなってしまっている。

 

「お?もしかしてお前らビビってる?いきなりリーダーが出てきてビビっちゃったってか?」

「なっ、ビビってなんかいないもんね! いきなり希望の戦士のリーダーとか、瑞希さん達に変な腕輪を付けた奴らの一人が来たとか言われても訳が分からなくなってきているというだけで……」

「そうだそうだ! 吉井のアニキは頭の要領が少なくて状況を呑み込めていないというだけで決してビビってるっていう訳じゃねーからな!!」

「雪丸君、フォローしているつもりでしょうけど実際には明久君をバカにしているだけですからね!?」

「そーだよなー、いきなり最強の俺っちが暴れちまってんだから、怖くてションベンちびっちまっても仕方ねーよなー?」

「「人の話を聞けよ!」」

「でも情さけねーなぁー!それでもチンチンついてんのか?チンチン無い奴は弱虫で頭悪いおバカさんだ!」

「…………あ、あの。 …………大門君だっけ?」

「何だよ、この牛乳女」

「牛乳女!? 酷いです!酷いです!! ここ数日は平和だった塔和シティで少し太っちゃいましたけど、最近はその分は痩せてスリムになってきているんですからね!!」

「「ツッコミ所はそこか(ですか)!?」」

「って、あのこチンチンって……チンチンって言いましたわ! 不潔です不純です! 男はやっぱり小さいうちからでも汚らわしい豚同然の存在だという事ですね!」

「はい清水さんも、そんな不潔な言葉を大声で連呼しない!」

「なんて破廉恥なんですの…… 大きなチンチ・……痛いですわね! 何するんですの!?」

 

 コドモ特有の下ネタトークのせいでパニックになっている清水の頭に軽くゲンコツをすることで元に戻す明久。

 

「よーし、覚悟しろよ乱入してきた魔物共! 今戦っている魔物共々まとめてぶっ殺してやるんだーい!」

 

 両手をピストルのイメージで構え、指先に息を吹きかけたかと思うと右手を高らかに上げて殺害宣言を決める。

 

「殺す……ですか? お子様である君ごときがですか?」

「舐めんなよ! オレっちはお子様じゃねぇ、希望の戦士のリーダーなんだ! お前ら”魔物”を相手に狩りを続けてレベルアップした勇者なんだーい!」

 

 大門の宣言と共に下の扉が開く。 その中から飛び出してきたのは…………

 

 

「「なっ!!」」

 

 残虐の限りを尽くされ、無残にも殺された何十…… いや、何百にもなるかもしれない程のオトナの死体の山であった……

 

「「きゅうぅぅぅぅぅぅぅ……」」

「瑞希さん! 葉月ちゃん!?」

「わ、私も大人の豚野郎どもは大っ嫌いですが、ここまでしたいとは思った事はありません……」

 

 目の前の残虐非道な光景に耐えきれず瑞希と葉月は気絶してしまった。

 男嫌いの清水でさえも、流石にあそこまで無残な手で殺され腐るまで放置されている男達の死体が相手だと流石に同情を禁じ得ないようだ……

 

「こいつらは俺っちが狩った魔物だーい!へっへっへ…、雑魚ばっかだったけど、いっぱいいるだろー?一兆億満点だろー?」

「……雑魚ばかりではつまらない。 精々12点と言った所でしょうか」

「ちょっ! カムクラさん!?」

 

 カムクラだけは全く動じておらず、明久も流石に彼の態度には驚かざるを得ないようだ……

 

「…こいつらは、ちょっと産んで育てたってだけで、この客席にいる皆を『支配』していた魔物だ… それを勇者であるオレっちが狩って、皆を自由にしてやったんだーい!」

『ワァァァァァァッ!!!』

「えへへ…そんなに褒めなくたっていいってぇ…。リーダーとして当然のことをしただけだってばぁ…」

「何でだ……」

「アニキ?」

「何で、こんなことが出来るんだ! いつかはお前らが言う汚い”オトナ”になるんだぞ!! バカな僕だってそんなこと位は分かるのに何で……」

「……”オトナ”になんかなってたまるかバーカ!!」

 

 大門の悲痛な叫びに思わずたじろいでしまう明久達。

 カムクラだけは全く動じていなかった上に、まるで全く話を聞いていなかったかの様にいきなりなにか考え込んでいるようである。

 

「オレっちは”希望の戦士”の皆と約束したんだ! モナカちゃんと約束したんだ… 汚くて醜いオトナになる位ならコドモのままで死ぬんだって!」

『ワアアアアアアアッ!!』

「ほら聞こえるだろ? 皆オレっちに感謝してるんだ…… オレっちは皆の勇者なんだ…… オレっちが魔物を全部狩ればもうみんな怯えないで済むんだ…… あいつ等の理不尽な暴力に怯えないで済むんだ!!」

 

 その言葉はまるで自分の事の様に悲しく、激しく、それでいながら…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、怯え…ないで…」

 

 

 

 弱弱しく響いていた……

 

 

「お、怯えないぞ…怖くなんか…ないぞ…!」

「な、なんですの…… 急に情緒不安定に……」

 

 急に態度が変貌した大門の行動に清水がたじろぐ……

 

 

「痛いのも、酒臭いのも、暗いのも怖いのも痛いのもッ!もう、怖くなんかないんだぞ…。いくら殴られても、殴られても、殴られても殴られても殴られても…もう、怯えたりなんか…」

「なるほど、本当につまらない理由でつまらない事をしてくれたものですね……」

「つ、つまらないって…… あなたは人としての情と言う物が無いんですか!?」

「カムクラさん、清水さんいったいどういう事っすか? 俺にはいったい何がどうなってるかがさっぱりで……」

 

 

 そして彼の左手が震え出したと思ったその時だった!!

 

「…ッ!!止まれ、止まれよッ!!」

 

 その震えてしまった左手をどうにか押さえつけようとする。 が、それでも左手の震えは止まらず、ついには腕同士を殴りつけ、地面に叩き付けてまで止めようとする。

 その姿には先程まで自信に満ちていた”勇者”としての彼の面影は残されておらず、オトナへの恐怖に怯え、恐怖から目を背け続けているただのか弱い子供にしか見えなかった……

 

「何考えてるんだあの子! 急いで止めないと……」

「吉井君、待ちなさい」

 

 情緒不安定になり、自らの腕を傷つけ続ける大門を止めようと前に出ようとする明久だが、いきなりカムクラによって止められてしまう。

 

「吉井君、ここは今生き残っているオトナ全員を連れて外に脱出しましょう」

「なっ、何を言ってるんだ!? あの子を止めないとこのままじゃ……」

「貴方はそもそも何の為にここまで来たというのですか?」

「だが……」

「あの子供が情緒不安定になってくれているおかげで今私達を阻むものはあの金網だけです。 ならばあそこで”恐怖を克服する事”と”恐怖から目を背ける事”の意味をはき違えている雑魚など放置してこの場から戦えないオトナを避難させる事こそが一番の優先事項のはずです」

 

 カムクラの言いたいことも分かる明久だが、彼の元来の性格ゆえに大門の事も放っては置けないのである。

 

「でも、あんな子供を放って何もしないなんて……」

「この類人猿!! 別にお前だけの命なら平気で捨ててもいいと思っています。 あんな子供の事情だって知った事ではありません。 ですが、お前が死んで悲しむ人間が何人いると思っているのですか?」

 

 そして、清水は言葉を続ける……

 

「類人猿の貴様に私から命令します。 助けるべき人間はどちらなのかきちんと考えて動きなさい!!」

 

 一体どういう立場で命令しているのかが分からない明久だったが、先程のショックで気絶している瑞希と葉月ちゃんの事を思い出した明久は大急ぎで彼女達の元に向かう。

 

「でも現実問題どうする気っすか? あの柵、意外と頑丈そうっスよ?」

「まあ、吉井君のハンマーなら簡単に破壊できるでしょう」

 

 そう言っている間に先にコロシアム内に閉じ込められていた大人二人と気絶している瑞希と葉月ちゃんを連れて戻ってきた明久。

 

「……”勇者”はなにも怖くなんかないんだ…、”死ぬ”のも”殺す”のも、怖くなんかないんだッ!だから…止まれ、止まれよぉッ!!止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!止まってくれよォォォォォッ!!!!」」

 

 その一方で大門は手どころか左腕そのものが完全にドス黒くなっても震えが止まらずにさらに左腕を床にたたきつけてその震えを強引に止めようとしている。

 

「よし、南風、言刃”ダブルリロード”!」

 

 南風以外の武器を一度アタッシュケースに入れた明久はそのまま雪丸に預けて武器を構える。

 

「今回は某”鉄槌の騎士”っぽく……『ラケーテン……』」

 

 そして、言刃の力でハンマー投げの様に高速回転。 そのまま扉に突っ込んで行き……

 

「『ハンマァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』」

「「いちいち中途半端に古い作品からネタ持ちだすな(さないでくさい)!!」」

 

 そのまま柵を強引に突破、その先の扉まで粉々に砕いてしまった。

 

「よし、みんな行こう!」

 

 明久に続いて瑞希をおんぶで運んでいる雪丸、葉月ちゃんをお姫様抱っこしている清水(本人要望……)、カムクラがそのまま扉から脱出。

 大人二人は唖然として驚いているが、すぐに我に返り、大急ぎで脱出して行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…は、はは…やっと、言うこと聞きやがった…はははは…」

 

 痛々しすぎるほどに痣だらけになった左手をだらりと下げさせたまま立ち上がる大門。 逆に痛覚が無いのか狂気に染まった笑みがこぼれている……

 

「さっきからお子様とか12点だとかつまらないとか言ってくれたよなぁ~? その言葉を思いっきり後悔させて……」

 

 どうにか左手を落ち着かせたと思い、コロシアムの方に振り向いた先には、わずかな死体と先程までマモノ狩りで使いこんでいたロボットだけしか残っていなかった……

 

 

 

 明久side end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こまるside

 

 明久達が先に地下鉄へと突入しようと階段を下りて行ってしばらくした頃、こまる達は明久チームが通った地下鉄入り口の近くにて休息を取っていた。

 

「……でもあたしも不思議に思っていたのよ、あまりにも都合が良すぎるって。 未来機関が駆け付けたのを合図みたいにモノクマ共が街を襲って来たじゃない?」

「……『じゃない?』って言われても私達一般人からしてみればいきなりモノクマに襲われたとしか感じない」

「揚げ足取ってじゃないわよ! 普通に可愛いだけのお嬢(笑)ってだけのくせにぃ! とにかくそう言うタイミングだったの。 偶然にしては出来過ぎているわ……」

「十神さんが言うには未来機関に匿名の救助要請があったからだって言っていたけど……」

「それ自体も罠だとみるのが妥当でしょう…… 白夜様をダシに使いおって! しかもこの私に変な腕輪まで…… あの子供たちは少々手荒くオシオキが必要なようですね……」

「つー事はこの街を襲ってオトナを殺して回っているのは狙いが未来機関でしかなかったってだけか?」

「知らないわよ。 ただ、その可能性もあるって言う話なだけ…… それにしたって未来機関になんの用があるのかって話だけど……」

「……ただ、子供だからって舐めてかかったら外で生き残った私達でも痛い目を見る事になる」

「うう…… これ以上の大事にならないと良いんだけど……」

 

 そろそろ移動しようと各自の荷物や装備を纏め、誰かが強引にこじ開けたと思われるシャッターの先に進もうとしたその時だった……

 

「よし、脱出成功!」

「アニキ待ってほしいっす~!」

「あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない……」

 

 見覚えのないオトナ3人と共に大慌てで階段を駆け上ってくる明久達の姿がそこにはあった……

 

 

 

 こまるside end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、脱出成功って一体どういうことか教えてもらおうか?」

「あ、うん。 雄二達と別行動した後の事なんだけどね……」

 

 

 取り敢えず明久は、これまでのいきさつを雄二に説明する事にした。

 

「それで、簡単に開けられる道を安易に選んだ結果、そこには希望の戦士とかほざくガキが待ち構えてて、論戦になったら勝手に情緒不安定になってトチ狂いやがったからその隙に脱出したって訳か」

「取り敢えずそう言う事。 だから今度は瓦礫で埋まっている方を叩き壊して先に進もうと思っているんだ」

「吉井さん、意外とパワフルなんですね」

「ああ、こいつは文月学園にいた時もBクラスの教室の壁をぶち抜いて部屋に特攻かけやがったからな」

 

 明久の意外な一面にこまるも苦笑いで返す。

 

「それで、こちらの人達は一体誰なんですか?」

 

 こまるが指を指した先には先程明久達が助けたオトナ二人とカムクラ。

 だが、オトナの一人は先程まで殺されそうになった恐怖からか人格が壊れており、まともに話などできなさそうである。

 ひとまず明久はカムクラを紹介する事にした。

 先程からもう一人の髪の長い女性が明久の事を恨めしそうに見ているのは気のせいだと思いたい……

 

「明久、お前あの女に何かやらかしたのか? さっきからお前の事をにらんでるぞ?」

 

 雄二がそう言って指を指しているが、明久は気が付かないことにしたいのか冷や汗をダラダラと流しながら無言で黙り込んでしまう。

 

「ねぇ…… アンタ、絶対にアキでしょう?」

「だ、誰かな? その”アキ”って人は……?」

「へぇ~…… どうしても”ウチ”の事に気が付かなったって事にしたいのかしら?」

 

 あくまでもとぼけようとする明久に反応させたいのか、いきなり清水から適当なヘアゴムを借りて髪を”ポニーテール”にしてまとめ上げる……

 

「……イエ、ナンノコトダカサッパリデス」

「アンタ本気でぶん殴るわよ?」

「心の底からすみません!」

 

 それでも知らない誰かを貫こうとする明久に対して激怒した女性は壁に拳をめり込ませて脅迫までしてきた。

 

「全く、アキだけならともかくなんで坂本まで気が付かなかったのよ? アキ達に取ってウチの事は記憶に残らない位どうでも良かったのかしら?」

「そ、そんな事は無いよ! ただ最後に会った時からより男らしく変わって、勇ましい英雄のような顔立ちに……」

「ダ・レ・ガ……男らしい風貌ですって! 最近は少し胸も大きくなって来たし、昔使っていたリボンが完全に切れて使い物にならなくなってしばらく髪を纏め上げていなかった分より女らしくなったっていろんな男共に言われるようになったってのに! アキのバカあああ!!」

「別に大して変わってもいな……ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 余計な一言を発したばかりに足の関節を極められて悶絶し続ける明久。 あまりの急展開にこまる達は付いていけなくなり言葉も出ないようである……

 

「オイその辺にして置け”島田”。 そろそろ本気で骨がやばい事になるぞ?」

「…………分かったわよ」

 

 坂本の仲裁もあって解放して貰えた事を喜ぶ明久。

 

「で? もういい加減ウチの事思い出してもらえたでしょう?」

「ごめん…… 実は僕っ、本物の美波だって最初から気が付いてたんだよ?」

 

 その言葉にキレた美波が後頭部に回し蹴りを叩き込んだ結果、言葉通り地面を転がりながら勢い余って壁に叩き付けられて悶絶してしまう明久。

 

「アニキ! このアマ、一体何しやが……」

 

 いきなり明久が蹴り飛ばされた事で美波に詰め寄る雪丸。

 

「何よ?」

「すんませんでしたあああああああ!!」

 

 だが、その勇ましい行動も虚しく彼女に睨まれただけで恐れをなして土下座してしまっていた……

 

「ったく、あのバカ何やってんだ?」

「……初めて会う人が多いから紹介する。 ……私達の仲間で文月学園での友達の『島田美波』」

「初めまして、島田美波です。 今気絶しちゃっていますけど、小さい方の『島田葉月』の”姉”で、信じられないでしょうけどさっきウチが蹴り飛ばしたアキの仲間でもあります」

 

 美波から一通りの自己紹介が済んだ後、各自自己紹介をしていく皆。

 彼女との再会を喜んだ清水が思いっきり抱き付いて来た為にその場が大混乱に陥ってしばらく収集が付かなくなってしまった。

 しかもその騒ぎのせいで先程まで気絶していた3人が目を覚まして状況がさらにカオスな物となってしまい、落ち着きを取り戻したのはそれから5分も経ってからだった。

 

「つーか島田、お前はお前でいったい何やってたんだ? 確か明久が希望ヶ峰学園に避難してしばらく後で、はぐれてそれっきりだったよな?」

「ええ、確か坂本達とはぐれた後なんだけど、その後ウチはしばらくあても無いままいろんな場所を転々としていたの。 その途中で瑞希と葉月の二人と合流出来てね、そこからさらに適当に食料や消耗品を強奪…………”調達”しながら」

「島田美波さんでしたかな? 先程、強奪と言いかけた件でお話があります」

「おじいさんがいったい何の話をしたいのか分からないけど…………

とにかくいろんな場所を転々として何か月たったかしら? 坂本の仲間だって言う人からここの話を聞きつけてね」

「はい、それで美波ちゃんと葉月ちゃんの三人で頑張ってここまでやってきまして……」

「事情を説明してゴハンや住むための部屋をここの人達が用意してくれたですっ」

 

 いつの間にか目を覚まして明久を介抱している瑞希と葉月ちゃんが説明に割って入ってくる。

 

「取り敢えず、今度は明久の武器を使って改札口の方をこじ開けるぞ。 どうにか明久には起きて貰わねぇと……」

 

 雄二が明久の頭を小突きながら南風の方を取り出した。

 自分でも扱えないか試しているようだ。

 

「えっと…………こりゃだめだな、なにか認証の様な物が必要みたいで俺には扱えそうにねぇ」

「あ、雄二さん、わたしのハッキング銃の方も指紋認証みたいなのがかかってて他の人達では使えないようになっているみたいなんです……」

「どうやらコイツの刀やハンマーも似たようなロックがかかっている様ね……」

 

 明久の武器が他人には扱えない物であることを知った皆の視線が自然と美波の方に移る。

 

「わ、悪かったわよ……」

 

 いたたまれなくなった美波は素直に謝罪する……

 

「とは言っても、ここから先に進めないのでは話になりませんね。 私の方でもどうにかこじ開けられないか試してみましょう……」

 

 そう言ったカムクラはひとまず瓦礫を幾つか確認しだした。

 そこからどうにかこじ開けられないか模索しているが……

 

「分かってはいましたが人間の力だけでは開けられそうにありませんね。 仕方ありません、私は私の方で別の道を探ろうと思います」

「……一緒に行かないの?」

「霧島さん、私はなし崩しに吉井さん達と一緒にいましたが、本来別の目的があってこの街にいまして、これ以上ここで足止めを食らう訳には行かないんです」

「おいおい、そいつはちょっと身勝手過ぎねぇか?」

「そうですっ、もう少し力を貸してくれてもいいじゃないですかっ!」

 

 勝手に離れようとしているカムクラに反対の声を上げる雪丸と葉月。

 

「いや、本当なら俺達と何の接点もねぇこいつがここまで明久達に力を貸してくれてんだ。 都合があるってんならもう自由にしてやってもいいだろ?」

 

 だが意外なことに雄二がカムクラの擁護をする。

 

「ありがとうございます坂本さん。 では、この辺で失礼します」

「おう、縁があったらまた会おうぜ」

 

 そう言って道をふさいでいたコンテナを簡単に飛び超えて行くカムクラ。

 その身体能力に皆驚きを隠せずにいる。

 

「坂本君、本音はどうなんですか?」

「あいつ、何処か危険なにおいがして落ち着かねぇ」

「実際あいつの身体能力からして異常よ。 まあ、運動系の超高校級ならあれくらい簡単にやってのけるから確かな事は言えないけど」

「超高校級って一体……?」

 

 希望ヶ峰学園へ入学した総長がどれだけ異常な存在か改めて認識させられた雪丸……

 

「うーん……」

「あ、バカなお兄ちゃんが起きたですっ」

「おいさっさと起きろこのバカ!」

「ぶっ!!」

 

 いきなり蹴りを入れられて起きて早々に悶絶する。

 

「このバカ雄二! いきなり何するんだ!」

「なかなか起きねえバカに喝を入れてやってんだ。 落ち着いたらさっさとそのハンマーであの瓦礫をぶっ壊せよ」

 

 明久を起こす為の蹴りが原因で大喧嘩に発展してしまう二人。

 両者共に絶望の世界での経験を経てレベルアップしており、もはや喧嘩のそれを超えた戦闘に発展しているが……

 

「喰らえ”秀光(ひでみつ)”」

「痛い痛い! 何だよその鞭! ちょっ、それメッチャしなるな!」

「腐川さん……笑顔の吉井さんがなぜかSMの女王様に見えるのは気のせいかな?」

「あたしに振るんじゃないわよ…… さっきからメイド服で戦い続けている変態が一緒ってだけでもイライラしてるのに……」

 

 明久はとうとう我慢の限界なのか(そもそも我慢していたのかどうかも怪しいが……)新しい武器を取り出して性能テストまでしていた。

 雄二の事を鞭でぶっ叩きまくっている明久は楽しくなって来たのか、物凄くあくどい笑顔となっていた。

 

 

 秀光、見た目はただの革製の鞭なのだが、この鞭にはコトダマ”踊(オドレ)”だったプログラムが込められており、この鞭でモノクマを叩くとモノクマが立ち止まったままハァハァと興奮した瞳で叩いて来た人物を見つめだしたり、モノクマ特有のダンスを躍らせたりすることが出来る非常に便利な鞭なのである。

 因みに対人用に使えるようにも調整されているので、殺傷力は意外と低い……

 

「……吉井」

「何、翔子さん?」

「この街から脱出出来たらその鞭を譲ってほしい。 雄二への性教育用に使いたい」

 

 一体、彼女は雄二をどういう方向に導くつもりなのだろうか……

 

「うん、いいよ。 翔子さんなら”間違った”使い方はしないだろうし」

「おい! 鞭の使い方に正解も間違いのへったくれもな……」

「……静かに」

「アバババババ!!!」

 

 雄二の抗議の声も無視してスタンガンで気絶させる明久。

 こちらのスタンガンは先程まで彼女が使っていたスタンガンの方ではなく明久の新武器の一つである。

 名前の方がなぜかにじんでしまって読む事が出来なかったが、コトダマ”痺(シビレロ)”のプログラムが込められており、特性は触れさせた敵をしびれさせて動けなくするという物である。

 とは言っても、その出力は強弱の落差が激しく、弱なら普通のスタンガンと変わらない出力なのだが、中でモノクマならショート、強に至っては水を介して感電させただけのモノクマがドロドロに溶けてしまうほどに強力だとせつみ所にまで書いてある。

 それだけの高出力だともちろん強にした時の燃費の消費も激しく、強での使用時間は100%充填された状態でも4秒が限界である。

 

「よしっ、今度はこっちの改札口の方を開ければいいんだね。 さすがに南風だけじゃきつそうだから、姫丸も使って……」

 

 そう言って明久は二つの武器を構えて、全力で切りかかる。

 切り崩せるところは姫丸の刃で切り裂き、必要に応じて南風のブーストアタックで砕いて行く方法で一気に瓦礫を排除していく。

 その結果、かなりの言刃を消費してしまったが、一分後には瓦礫が跡形も無く消え去り、改札口の先が見えて来た。

 

「よし、皆行くぞ! ……っと、その前に」

 

 先程スタンガンで気絶させてしまった雄二の頭をつかんだ明久は、とても優しい満面の笑みで……

 

「時間も気にせず、ゆっくりして逝ってね♡」

 

 全力スイングで頭突きを叩き込む。 今度は逆に雄二の方が痛みによってのたうち回り、悶絶して苦しんでいる。

 「ボクってば、サイキョーだね!!」と言いながら偉そうにしているその姿は某おバカなサイキョー妖精を連想させるものがあった。

 

「アキ! バカやってないではやく行くわよ? 他の皆はもう先に進んじゃって、もうここに残ってるのはウチとアキ達だけよ」

 

 そう言う美波が指さす先では、「せめて明かり位ついてると良いけど、もしあたしが思ってるより暗かったらすぐに引き返すわよ」「大丈夫だよ、私も一緒だし!」「アンタが一緒だからって何よちょっとは明るくなったりするっての?」「雰囲気はとても明るくなるですっ!」「雰囲気の話をしてるんじゃないのよ!!」などと明るい会話が聞こえた。

 

「ちょっ、みんな待ってー! 置いてかないで~!!」

「明久テメェ、待ちやがれ! 俺にも一発ぶん殴らせろ!」

「お・こ・と・わ・り・だ!」

 

 大急ぎで皆を追いかけて中に入り込んでいく二人。

 だが、彼らは気が付いていなかった。 中に入り込んでいく彼らを尾行して見ていた存在達に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 another story ???side

 

 

「ほう? まさか希望の戦士と戦わずして先に進むとはいろんな意味でやりおるな」

「まあ予定が狂ったのは事実だけどな。 そのせいでこいつを渡しそこなったじゃねぇか……」

 

 そう言う作業服の男の右手には同じ形をした色違いののスティック。

 

「おう、それなんだ? あいつが出てってからずっとそれにかかりっきりだった見てーだけど?」

「これか? これはあのバカに渡した武器のバッテリーみたいなもんだ。 コイツを差し替える事で、あいつが使ってる言刃って奴をまた使える様になるってわけだ」

「?? なんかよく分からんが、一応分かったぜ」

 

 褐色肌の女性は分かってもいない癖に納得いったような顔をしてうなづいている。

 彼らの予想通りに事が進めば、彼らがこまるの支援をすることで希望の戦士の一人を倒してから戻って来るはずだったのである。

 しかし、結果としてカムクラの勝手な行動により総員が戦う前に撤退。

 ほとんど言刃を消費することなく戻ってきてしまった明久に交換バッテリーを渡すタイミングを脱してしまったのである。

 

「まっ、別にいいんじゃねぇの? この後で必ず渡す機会があるだろうしさ」

 

 だが、当の本人達は思い通りに進んでいない展開を全く気にしていないようで、へらへらと笑いながら明久達が通った階段を下りて行く。

 戦いは、まだ始まったばかりだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここでまさかのボスをスルーwww
一応戦いの展開が思いつかなかったと言う訳ではありませんよ? 本当ですよ?
今後にもしっかりと出番を与える予定だってあるんだからねっ!

と、いう訳で本編第1章に当たる部分はこれで終わりです。
次は第2章になります。 この辺でまだまだ出てきていないキャラもたくさん出していきたいと思います。

次回もお楽しみに!
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