タッグマッチまで残り数日となった今、俺は織斑先生に頼んで剣の稽古をしてもらっていた。
やはり世界最強だけにあってかなり強い。
「はぁっ!」
「ふっ!やぁっ!」
織斑先生の鋭い斬撃が飛んできた。正面受けようと思ったが、あっさり面を取られる。
「っ!いてて・・・」
「お前は太刀筋は悪くない。だが、やはり一歩引いた位置にいる。それ故に踏み込み位置が悪かったり、中途半端な剣筋になる」
「なるほど・・・しかし、そうすればモロに食らうことになりますよ?」
やはり色々と課題は多い。織斑先生はああは言っているが、俺は我流であり、剣技なんて呼べるものは大して持ってはいない。
そこまで聞いて織斑先生は言った。
「まぁ、お前がそういう奴だということはわかっていたが、そうだな。なぁ、森島。こんな言葉を知っているか?有名な侍の言葉なんだが・・・・・」
今日は楽しい楽しいタッグマッチトーナメント当日。朝から生徒たちがコンディションを確認したり、機体の最終チェックを行っていた。
それに例外なく俺も含まれており、ラファールを鎮座させてチェックしていた。
「布仏、もう少しスラスターの出力上げられないか?」
「えぇ~、もう無理だよぉ。そもそも補助のスラスターなんだからそこまで上げなくてもいいんじゃないの~?」
「まぁ、それもそうなんだが・・・」
一度、ラファールを見る。
ラファール・リヴァイヴ・ロート。俺の相棒であり、女性には扱えない唯一のIS。こいつのコアがどういうものなのかは俺には今はまだ分からない。
だけど、俺の思いに応えてくれるなら。
「そうだな。変に弄るよりかはいつもどおりでいくか」
「うん、それが一番いいよぉ」
俺は布仏の頭をくしゃくしゃと撫で、対戦表を見るべく少し歩き出した。対戦表の前には既に数多くの生徒たちがワイワイとおり、ここで初めて一緒に戦う仲間と相手が発表される。
それで、俺の相棒となりうる存在は・・・・っ!
俺は周りを見渡した。
どこだ・・・どこだ!彼女は一体どこにいる!
クソッ!人が多すぎで分からん!いや、落ち着け。落ち着くんだ。焦るな、そうだ。ゆっくりと。
感じろ。感じるんだ。全身で感じろ。貧乳を・・・。
「はっ!」
後ろに六メートル下がり、右に八メートル移動した。
「い、いきなりなんだ!」
「いやぁ、この聖戦を共に戦い抜く友に挨拶するところなんだが?」
俺の目の前にいるのはちんまりとした銀髪少女、ラウラである。彼女は俺を見るなり明らかに不機嫌そうな顔になる。
「なんだ、その不機嫌そうな顔は?」
「お前と一緒だということがな」
「お褒めの言葉ありがとう」
「褒めてないぞ・・・まぁ、いい。次の試合など私一人で十分だ。死にたくなければ邪魔をするな」
と、彼女は鋭い目で俺を射抜いた。それから視線を外して、先にピットへとラウラはあるきだしたのだ。
「はぁ・・・」
ラウラ・ボーデヴィッヒ。十五歳。シュヴァルツェ・ハーゼの隊長で、階級は少佐。遺伝子強化実験体としてこの世に生まれ、全ての兵器を使いこなす、いわば道具としていた。
ISの登場によってIS適合向上の為にヴォーダン・オージェの不適合により左目が金色に変色。能力を発揮することが出来ず、訓練では常に最下位になり、自身の存在意義を見失う。
が、織斑千冬の登場により、彼女の出した特訓によって再度、部隊最強にまで上り詰める。
「だから・・・あんなにも固執するのか」
自分の道筋を作ってくれたから、自分の存在意義を作ってくれたから。だからこそ、ラウラ・ボーデヴィッヒは織斑千冬を尊敬し、慕う。
そして、その弟である一夏を妬んだ。
だから、排除しようと。だから、消そうと。
欲しいモノがあるなら実力で取る。それは決して間違っていない。だけど・・・だけど、そうじゃないだろう?ラウラ。
対戦表には俺とラウラの名前。神様のきまぐれかどうかしらないが、我らの一回戦の相手は一夏&デュノアペアであった。
アリーナには武器を構えた四人がいた。俺とラウラに対して一夏とデュノアがいる。
『さぁ!ついに始まりました!学年別タッグマッチトーナメント!そして、なーーーんと!一回戦のカードは全員が専用機という強烈なメンツだぁぁ!』
・・・やけにテンションの高い司会だな。
『更に一方のチームには織斑選手とデュノア選手!もう一方にはボーデヴィッヒ選手に森島選手!どちらも企業&代表候補のコンボだぁぁぁ!』
「それで、森島君。一回戦から僕たちと当たっちゃったけど、覚悟は出来ているよね?」
「デュノアか・・・ああ、無論だ」
『おぉぉっと!デュノア選手が森島選手に覚悟の有無を聞いている。男同士の熱い思いがぶつかろうとしているのかぁぁ!』
ちょっと、うるさいな・・・ていうか、ここでの会話が盗聴されてんじゃんっ!丸聞こえじゃん!
「ボーデヴィッヒさんだっけ?セシリアたちになんであんなことしたんだ?」
一夏がラウラにそう問う。
「あんなこと?ただの模擬戦ではないか。それの一体何がいけなかったというのか?」
「明らかにやりすぎだろうが!」
「おいおい、二人共。ヒートアップしすぎだ。少しクールダウンしようぜ」
『なんと織斑選手とボーデヴィッヒ選手の間には何やら因縁らしき因縁があるようだぁぁ!』
いや、だからうるせぇよ。
「けど!千早!お前はそっちの味方なのかよ!」
「だから、落ち着けって。一夏、今は味方とかそういう話をしているんじゃない」
「だけど・・・鈴やセシリアたちがあんなことされたのにお前は何も言わないのか!」
「何も言わない訳じゃないさ」
「じゃぁ、なんであんな楽しそうにしているんだよ!」
楽しそう?ああ、そうか。一夏から見ればラウラは一方的な敵意を浴びせられる相手であり、一夏の言う大切な仲間にまで手を出してしまった。
普通であればそのグループでラウラを恨むことをするだろう。そして、一夏側である俺が何故その敵と仲良くするのか。何故あんなに楽しそうにしているのか。
そいつは酷いことをしたんだぞ?
と。
だが、一夏のその問いについては単純明快。随分と簡単な答えだ。そういえば、鈴音に言われたな。
何故ドイツ女と仲良くするのか。
胸が無いとか関係ないから・・・か。はは、言われたものだ。まったく、どいつもこいつも・・・。
「そうだな。俺は小さい胸が好きだ。それはみんな少しずつ感じていると思うが、ただそれだけがラウラと仲良くしようとする要因じゃない」
『つ、つまり!』
そう急かすな。
「まぁ、そのなんだ」
チラリとラウラを見る。周りの声援は俺と一夏、デュノアに対して。ラウラに対してなどホントにない。
一度息を吸ってもう一度吐き、俺は言葉を紡ぐ。
「だって、こいつ。友達いねぇだろ?」
さて、
次回は久しぶりの戦闘シーン!上手く書けるでしょうか。頑張ります!