お前は何故そんなにも強いんだ?
強い?冗談だろ。俺が強いっていうのなら、一夏なんて最強じゃねぇか。
まぁ、俺はさ・・・貧乳が好きだ。好きなものを守るのは、当たり前のことだろ?大好きなものなら、誰だって戦うだろ?
そうか・・・。
俺はお前を守る。なんて無責任なことを言うことはしない。けど・・・。
けど?
隣でお前の手を握ってやることは出来る。一緒に隣を歩くことは出来る。だからさ、もう一人で戦うの、やめないか?
ラウラ・ボーデヴィッヒ。つまり、私はそこで目が覚めた。眼帯は取れ、自分の忌み嫌う金色の左目があらわになっている。
「私は・・・・」
不意に左手に感触を感じた。暖かくて和む。握っているだけで自分の心が穏やかに、まるで何かに満たされるようにリラックス出来る。
視線をその左手に移すと、穏やかな寝息をたてて眠っている一人の男がいた。
男の名前は森島千早と言った。こいつは会った時からおかしな奴だった。私の胸を見るたびに襲いかかったり、わけの分からないことを言ったり。
本当に・・・おかしな奴だった。
「目が覚めたか・・・」
「教官・・・」
思いめぐらしていた気持ちを一旦しまいこみ、目の前にいる教官に今回のことについて話を聞いた。
「何が・・・あったんですか?」
「一応重要案件であり、機密事項なんだがな。VTシステムは知っているな?」
その名前には聞き覚えがあった。
「ヴァルキリー・トレースシステム」
「そう・・・IS条約で研究は愚か。開発、使用、その全てが禁止されている。それがお前のISに積まれていた」
そんな・・・VTシステムが、シュバルツァ・レーゲンに・・・私が掴んだ、求めた力は・・・・。
「精神状態、蓄積ダメージ、そして何よりも操縦者の意志・・・・いや、願望によって発動するよう仕組まれていたらしい」
「私が・・・望んだからですね」
すると、教官が強く言った。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ」
「は、はい」
「お前は誰だ?」
「私は・・・・」
その言葉に積まる。
「誰もないなら丁度いい。お前は今からラウラ・ボーデヴィッヒだ」
一体、どういう?
「お前は私にはなれない。だから、お前自身を作れ。そして、生きろ・・・私がお前に教えてやれることは、もうこれぐらいだ」
教官は立ち上がって膝立ちでベットに上半身を預けている千早を見ながら言った。
「こいつは考えなしのバカじゃない。考えありのバカだ。自分のやっていることを自覚しながらもそれでも自らバカをしでかす、大バカだ者だ。だがな、それでもこいつは・・・純粋だ」
「っ!」
「少しは信じてやってもいいと思うがな・・・」
それだけ言うと、教官は立ち去っていった。残された私は体を起こして窓から見える夕日を見た。
ラウラ・ボーデヴィッヒになれか・・・はは。
「ははっ・・・」
何故だか笑えてくる。笑が絶えない。そして、笑いが収まり、静かに呟いた。
「私は・・・ラウラ・ボーデヴィッヒじゃなかったんだな」
不意にぐっすりと寝ている千早を見た。彼の頬に短い赤い線を見つけた。何かで切ってしまったのだろうかと私は考えた。
それでもここの設備ならばこんなかすり傷程度どうということはない。もしくは、全て治療される前にここに来たのか・・・。
「まったく、しょうがない奴だな・・・」
そう言って彼の頬に口を近づけて、頬にキスをした。私の唾液にはナノマシンが含まれており、これぐらい三十秒もしないうちに治る。
頬にキスをし終わった後に、自分がやったことへの気恥ずかしさが出てきて、ほんのり顔が赤くなるのを感じた。
もしかしたらそういうことなのだろうか。この気持ちは本当にそういうことでいいのだろうか。
少しの自問自答の後、今はまだ出さなくてもいい・・・彼の言うとおり、ゆっくり一緒に歩もうではないか。と。
そう結論を出してしまった。
さて、私、ラウラ・ボーデヴィッヒのことは一旦ここで終了しようかと思う。何故そんなことを言うかと絶賛熟睡中のこの男はもう暫く起きそうにないからである。
では、今は取り敢えずこの寝ぼすけの為にこのボサボサの髪を整えるべく、手グシでもしてやるか。
私はそう思い、その黒髪を優しく撫でた。
という感じになってきました。
ていうか、見たらブクマが400超えててビックリ(°д°)しました。
みなさん、ありがとうございます。
次回もよろしくお願いします!