いや、ホントに学校が辛くてですね・・・
チャプン
「うぃぃぃぃぃ、極楽娯楽。やっぱ旅館と言えば露天風呂だよなぁ」
温泉の熱い湯が遊びで疲れ、固まってしまった筋肉をゆっくりとほぐしていく。熱い湯に対して胸から上を外のひんやりとした空気と接し、随分と気持ちがよい。
そう言っていると体を洗い終えた一夏が俺の隣に腰を下ろして、俺と同じような声を出して露天風呂を堪能する。
「ふぅ、落ち着くなぁ・・・」
「それには同意する」
背中を岩に預け、空を見上げる。真っ黒な空に光り輝く星が見える。これを見ているだけでも更に疲れが消えていく。
「なぁ、千早。お前って、ラウラのことが好きなんだろ?」
と、いきなり一夏がそんなことを言ってきた。なるほど、こいつも恋愛に興味にあるのか。だけど、これで鈍感とかタチが悪いな。
「いや、俺は貧乳が好きだ」
「えっ!?」
「って、思った時もあった」
一夏は一瞬驚いたのち、その言葉聞いて落ち着きを取り戻す。
「最初はただ貧乳が好きだった。けど、俺はもっと大事なそいつ自身を見ていなかった」
「・・・・・・」
「一緒にいればいるほどラウラの人生が見えてくる。どんなふうに思い、どんなふうに育ったのか。彼女を理解した、全部わかっている。なんて都合の良い事を言うつもりはない」
「そうか・・・本当に好きなんだな。ラウラのことが」
「・・・そうだな。俺はラウラが好きだ。どうやら彼女はそう簡単に守らせてはくれないらしいよ。けど、この感情に嘘偽りはないさ」
「・・・・・・」
「なぁ、一夏。ラウラのこと、どうか許してやってくれないか?」
「許すも何も・・・別にいいさ。って、水に流せるほど俺も器は大きくないけど、徐々に仲良くなればいいんだよな?」
「おう、その通りだ」
一夏にラウラのことを許してやってほしいと言うと、一夏は快く承諾してくれた。一夏は自分の仲間を傷つけた者を絶対に許しはしない。
それは、乱入してきた無人機やラウラのことを見れば明らかであった。
それだけ一夏は仲間意識が高いということなのだろうか。
別に悪いことじゃない。けど・・・何かが引っかかる。それは俺には理解出来ないことで、一夏が一夏である為の一つの要素なのだ。
「なぁ、一夏。これから先、ホントに分からないことがあるかもしれないけどさ・・・みんなのこと、頼むぜ」
「なんだよそれ、まるで死ににいく兵士みたいだぞ?」
「はいはい、俺だってボケばっかりやるわけにはいかないだろ?偶にはしんみりさせろよ」
「これが、日本の和食というものなのか?」
俺の隣にいるラウラは正座しながら夕食である刺身や、味噌汁などを見てそう言った。ドイツで生まれ育ち、IS学園でもその食生活から離れていなかった彼女にとっては異国の食事を初めて摂ることになる。
「おお、その刺身はワサビと醤油を少しつけると旨いぞ」
「ふむ、生魚か。ドイツでは一度も口にはしなかったが・・・どれ・・・」
ラウラは俺の言葉を聞いて、醤油とワサビを刺身につけて口にした。数度頬を動かし、ラウラは目を見開いた。
「こ、これが日本の刺身という食べ物か」
「どうだ?」
「・・・・・美味しいな」
「そうか・・・それは良かった。俺もさっき食べてみたいが、かなり美味だな」
そう言いながら俺とラウラは夕食を食べ進む。向かい側の席にいる一夏を見ていると、何故かわからんがセシリアに「あーん」などという行為をしている。
あの野郎、あいつは周りが見えないのか?
すると、それを見ていたラウラが何故かモジモジしながらこちらをみる。
「ん?どうかしたか?ははーーん、慣れない正座で足が痺れてきたとか?」
「な、何を言うか。これぐらいのことぐらい、一ヶ月間ナイフ一本だけ渡されてジャングルでサバイバルするよりかはマシなことだ!」
「何と比べてんだよ。んで、何か食えない物があったのか?」
「い、いや、何でもないぞ。特にこれといってアレルギーとか嫌いなものがあるわけではないぞ!」
Σ(-ω-*)フム
困ったお嬢ちゃんだ。ラウラは一体何を求めているのだ?直球にいってもラウラはきっと答えないしな・・・・。
・・・。
・・。
・。
。
不意に今一度前を向いた。
「ああ・・・そうか。なんだよ、ラウラ。言ってくれれば俺はなんでもするのによ」
「えっ・・あ・・・ん?」
可愛らしく首を傾げているラウラを無視して俺は彼女の皿にある刺身を一つ取り、醤油にワサビとつけて彼女の口へと持っていく。
「はい、あーん」
「えっ・・な、何をする!?」
「何って、あーんだけど?」
「と、当然のように答えるな!」
「じゃぁ、こいつは俺がもらおう。同じのをラウラの皿に置いておいてやるから」
「うう・・・千早のいじわる」
と、ラウラはその口でパクリと刺身を食べた。
モグモグと数度咀嚼してゴクリと飲み込んだ。
「どうだい?」
見ればラウラは顔を真っ赤にしながら俯いていた。よほど恥ずかしかったのか、彼女は暫く黙ったままであった。
それでも、満更でもなさそうにその後は嬉しそうに食事を進めるのであった。
もう一口どうだと提案しようとしたのだが、その淡い希望は織斑先生という厄災によって遮られてしまった。
ぐう・・・あの、鬼教師め。
食事を終え、後の時間は各々で好きなことをやっている。俺は一夏が自分で自慢していたマッサージとやらを受けに一夏の部屋まで来ていた。
ということは偶然にも鬼教師もいるという訳で。
「あ・・・ん・・・そこ、あ・・・」
そんな鬼教師も一夏のマッサージの前では骨抜きされているらしく、何故か色っぽい声を出している。
エロいな、先生。
まぁ、それだけ一夏のマッサージが上手いということで今は納得していこう。
そう考えていると、何故かふすまが部屋の中に向かって倒れて来た。まるで、誰かがもたれかかっていたかのように。
ふすまが倒れ、そこには五人の知り合いの顔がそこにはあった。
「お前ら・・・何やってんだか」
たったの数秒で彼女らを横一列に正座させ、缶ビールを開けながら織斑先生は椅子に座る。
うわぁ、飲酒しちゃってるよこの人。
とかやっている間にセシリアの浴衣を捲ってマセガキなどと言っている。いや、マジでこの人酔ってんじゃねーの?
「おい、一夏と千早。飲み物を買ってこい」
「えっ、そんなの一人でいいんじゃないのか?」
「うるさい、一夏。さっさと行くぞ」
俺は織斑先生から分かってるじゃないかと視線と財布を受け取り、一夏を引っ張りながら部屋を後にした。
「お、おい。千冬姉おかしいと思わないか?飲み物なんて一人で十分なのに」
とか言いつつも俺の隣に一夏はつく。
「まぁ、男の俺たちがいちゃ出来ない話だって若い少女らとしたいんだよ」
「?」
俺と一夏はホールの自販機で飲み物と先生が好みそうなつまみを購入する。そのまま部屋に帰っていくのだが、俺は立ち止まって月を見た。
千早と一夏が部屋から出て、千冬は正座している五人と同じ畳に座る。
「おい、いつもの馬鹿騒ぎはどうした?」
「いえ、その・・・」
「織斑先生とこうして話すのは初めてというか」
みなそれぞれそう口にした。
千冬は缶ビールをグビグビと飲む。その姿はさながらおっさんのようであるが、本人にその自覚がないのだから困ったものだ。
「それで、お前らあいつのどこがいいんだ?」
お前らとは、箒、セシリア、鈴音、デュノアことであり、あいつは紛れもない一夏のことを指していた。
「まぁ、確かにあいつは役に立つ。家事も料理も中々だし、マッサージも上手い。付き合える女は特だな。どうだ、欲しいか?」
という甘い誘いに乗って四人は身を乗り出して「くれるんですか?」と言った。
「やるか馬鹿」
「「「「えーー」」」
「女なら奪うぐらいの覚悟でいろ。それが大人の恋愛だ。それで、ラウラは何故あいつなんだ?」
と、次はラウラの話題になる。
「まぁ、あいつは確かに顔もそこそこいいし、成績も学年トップクラスだ。将来は有望だが、少々変態過ぎる場面がある」
「私を助けてくれてかっこよかったから、柔軟に思考を切り替えたり、他の者とは認識が違うから。とか、いっぱいあります。ですが、一番の理由は私があいつのことを好きだからです」
「?」
「私が好きだから好きなんです。やっとたどり着いた一つの答えなんです。だから、この気持ちを大切にしたいんです。まぁ、あの性格なんで私からは中々いけないんですけど」
「・・・ほう、千早め。ラウラのここまで言わせるとわ。まぁ、いい。精進しろ」
「はいっ、教官!」
千冬にそう励まされ、ラウラは元気いっぱいに返事をした。
GWだぁぁぁぁぁぁぁきゃっほい!O(≧▽≦)O
次回もよろしくお願いします。