貧乳に愛を込めて   作:青野

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第25話 カルマ

 

 

 

 状況は最悪であった。

 

 一撃必殺の攻撃力を持つ一夏は意識不明であり、スペック最強を誇る紅椿の操縦者の箒は使い物にならない。そのくせ、織斑先生と来たら俺たちに待機の一言だけ言って作戦室に篭っていた。

 

 クソッ、どうする?このまま黙って時が流れるのに任せるか?いや、そのうち福音が陸に上がって暴れたら被害はここだけに済まない。

 かと言って、ここから福音が補足出来るわけが・・・・あっ。

 

 そう言えばロートには違う形態があるのを忘れていた。

 

 直ぐにラファールを展開してもう一つのモードである、スキャンモードに移行する。

 

『システム、スキャンモードに移行します』

 

 ビンッという音ともに全システムが移行する。全ては情報収集のためのモード。だから、武器を呼び出すことも、FCSも反応しない。

 だが、おかげで福音の位置が正確に分かる。

 

「これなら、いける」

 

 そう思い、俺はトコトコと旅館に戻る。

 

 

 

「あーもしもし、デュノアか?」

 

『何かな?森島君』

 

 コールしてデュノアを呼び出す。

 

「今すぐ出撃準備をしろ。織斑先生に待機と言われたが、お前らもこんなので納得出来る訳がないよな?」

 

『そうだね、そうだよ。今、鈴たちとそれを話していたところなんだ。けど、福音の位置がわからなくて』

 

「それは大丈夫だ。俺のISで確認した。座標データをそちらに送信しておく。それと、箒の様子はどうだ?」

 

『全然ダメだね。全部自分のせいだって言っている』

 

「分かった。箒のことは任せろ。セシリアと鈴音にパッケージの量子変化をするよう言っておけ」

 

『分かったよ。箒のこと、頼んだよ』

 

「ああ、分かっている」

 

 旅館にたどり着いた俺はそのまま一夏のいるはずの部屋に行く。安静にしなければいけないので、その部屋の襖をそっと開ける。

 中には一人、俯いて正座している箒がいた。

 数時間前と違ってその瞳に光はない。

 

「箒、ちょっと来い」

 

 その俺の言葉に箒は黙ってついてきた。俺は箒と一緒に砂浜まで歩く。

 振り向いて見てみるとやはり彼女は黙ったまま何も言いそうにない。表情は何かもが終わってしまった、そんな諦めに入ったような顔である。

 

「まぁ、お前の思っていることぐらい分かる。お前、一々反応がわかりやすいからなぁ」

 

「・・・・・・・」

 

「そりゃ、辛かっただろう。一夏に近づく女は皆、専用機持ちで、一夏もそうだ。だからこそ、今のままではライバルたちと同じ位置にいることが出来ない。差が開いてしまうと」

 

「・・・・・・・」

 

「それで、IS開発者の姉に頼んでみたらあっさりと了承され、他を圧倒出来てしまうISを渡され、浮ついた。自分は強い、自分は一夏の背中を守れるって」

 

「・・・・・・・」

 

「けど、結局は何もできず、錯乱して一夏に守られて、おかげで一夏は今も意識不明。そりゃ自己嫌悪したくなるよな?だがよ」

 

「・・・・・・・」

 

「お前が今やることは一夏に謝り続けることじゃないだろ?」

 

「・・・・・・・」

 

「自分でやったことぐらい、自分で尻拭いしたらどうなんだ?その為だったら俺たちだって協力するさ」

 

「・・・・・・・」

 

 そこまで言っても彼女は何も言わない。もはや俺が何を言ったって彼女の心には何も響かないのかもしれない。

 

「いい加減にしろ!箒!」

 

 俺は箒の胸ぐらを掴み、睨みつける。

 

「一夏も!福音も!全部お前のせいだ!だったら、自分でやってしまったことぐらい、自分で終わらせたらどうだ!」

 

「・・・・・・・・もう、ISは使わない・・」

 

 口を開いたと思えば最大級にイラッと来る一言を彼女は俺に言った。限界に来た俺は思いっきりビンタを食らわせる。

 

 箒はその衝撃によってそのまま砂浜に倒れる。

 

「その笑えないジョーク、センスあるぜ箒」

 

「・・・・・・・・」

 

「IS使うのやめます。はいそーですか・・・って、流せるほど専用機持ちってのは甘くねーんだよ。自分がIS捨てたら何か状況が変わるのか?な訳ないだろうが!」

 

 拳に宿る力が篭るのが見える。

 

「ど・・しろ・・・どうしろと言うのだ!」

 

 と、急に箒は立ち上がって怒鳴った。そこには悔しさと後悔、諦めといった負の感情が聞き取れる。

 

「もう敵の場所も分からない。私だって戦いたい!せめて、それが一夏や皆へ対する贖罪になるんだったら・・・戦いたい」

 

「はっ、それだけ言えるんなら十分だ。箒、今の言葉忘れるなよ」

 

「え?」

 

 その後、復活した箒を連れてその場からみんながいる浜辺へと移動した。そこから箒はみんなにすまない、と一言謝罪し、自分のやるべきことをやる。といった。

 

 もう、その目に迷いは見えなかった。

 

「それでは千早。行くとしよう」

 

 そうラウラが言う。

 

「そうだな。速くしないとあの鬼教師が気づくかもしれないからな。それじゃぁ、行くとするか。お前ら、覚悟はいいな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 セシリアが青いライフルを構え、

 

 鈴音が青龍刀を二本持つ、

 

 デュノアのアサルトカノンの銃口が光り、

 

 ラウラのレールカノンにガゴンと弾が装填され、

 

 箒の装甲が展開する。

 

 

 

 準備は整った。さぁ、始めようか。俺たちの戦争を。

 

 

 

 

 

 




次回はいよいよ福音戦です!
よろしくお願いします!
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