貧乳に愛を込めて   作:青野

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第26話 福音

 

 

 

 

「砲撃開始!」

 

 およそ三キロ先で丸まって防護フィールドを展開している福音に向けてシュバルツァ・レーゲンの砲撃が襲う。

 シュバルツァ・レーゲンの砲戦パッケージの、パンツァー・カノニーアにはレールカノンが二門に物理シールドが二枚装備されている。砲撃、狙撃を想定してあるものだ。

 

 砲弾は直線に飛び、防護フィールドに着弾した。

 

「初弾直撃!次弾装填!」

 

 初弾に続いて次弾が発射されるが、一撃で目を覚ました福音が次弾を回避しつつ、接近してきた。

 

 きた。

 

 福音がラウラに近づいてきた瞬間、上空で構えていたセシリアによる射撃がそれを妨げる。

 それによって福音は目標をラウラからセシリアに向ける。

 セシリアに向かって福音が飛んだ瞬間、後ろから雲の中から飛び出してきたデュノアがショットガンを二丁構え、弾丸の雨を降らせる。

 

 キィィィィィィィンッ!

 

 すると、福音はデュノアに向かって無数のエネルギー弾を射出する。蒼い光の弾がデュノアを襲うが、防御パッケージ、ガーデン・カーテンによって妨げられる。

 

「その程度じゃ落とせないよ!」

 

 そのままデュノアの射撃によって福音は微妙に逃げ場を探し、一旦体制を整えようとするが、そこに既にいた鈴音の龍砲が襲う。

 機能増幅パッケージ、崩山によって二門から四門、更に不可視ではなく拡散衝撃砲へと変化したので今までよりもかなり攻撃力が上がっている。

 龍砲の砲弾を正面から福音は受け、そのままよろめく。も、なんとか体制を整えて鈴音を蹴り、上空へと逃げる。

 

「甘いな」

 

 福音は上空に逃げ、ISの位置を確認しようとしたのだが、周りには誰もいない。全員、雲や島の影に隠れているのだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 次の瞬間、月の光に隠れセシリアより更に上にいた箒が福音を補足していた。そして、そのまま福音をロックしながら一気に急降下し始める。

 

 両手にある雨月、空裂を上段に構えて切り払った。

 

 福音はあまりにも急な攻撃によって思わず回避出来ずにその斬撃を浴びる。福音はその両手で斬撃を受け止めるも、紅椿のその急加速と箒の元から持っている剣の力によって福音は受け止めるも斬撃は片翼を奪う。

 

 福音はその衝撃によってそのまま海に向かって落下して行く。

 

 

 

 

 その様子を俺は遠目からハイパーセンサーで確認していた。

 

『作戦通りだな』

 

 ラウラが言う。

 

『ええ、千早さんの言うとおりでしたわ』

 

 セシリアがラウラに続いてそう言った。

 

 今回の作戦は俺が全面的に指揮を執っていた。

 俺自体は戦闘には参加せず、遠距離からハイパーセンサーで常に戦闘を確認しながら指示を出していた。

 俺は常時、スキャンモードでいたので、福音のエネルギー調整を見ていたので何処でどう来るのかある程度は予測出来ていた。

 

「決して福音の得意とする一対多で戦うのではなく、一人ずつが得意とする戦いに持っていき、順にちまちまと気を散らせる。そして、そこに一撃必殺の攻撃」

 

 俺は海上を移動しながら海に沈んでいく福音を補足していた。

 

「福音、確かにお前の機動と射撃はかなり高い。正面から戦えばまず勝てない。だが、恐らく福音を支配しているシステム自体はさほど賢くないと言えるだろう。基本戦術においては俺たちの方が上だったな。よって、福音。お前は大して・・・」

 

 

 

 強くない。

 

 

 

 海に沈んでいった福音を見ていた。

 信号が弱まっているので、もう少しすれば福音自体の機能は停止するだろう。そうすれば、福音を回収する。あのISは全身装甲なので、機能が停止しても操縦者を守る安全装置は恐らく持続するはずだ。

 人命優先ではない以上は、確実にやつを停止させる必要があった。

 

「ふぅ、勝ったわね」

 

「ああ、これで・・・・」

 

 と、次の瞬間、福音が沈んだはずの水面が光り始めた。その光は徐々に大きくなる。

 

「一体何が・・・」

 

 すると、光を発しているのが福音だと気づき、直ちにその上空にいる皆に指示を出した。

 

「セカンド・シフトだ!全員散開しろぉ!」

 

 次の瞬間、福音の頭上にエネルギーが収束したと思ったら、莫大なエネルギービームが箒を襲う。

 

 紅椿はそのまま煙を上げながら小島へと落下しはじめる。

 

「箒さん!」

 

 セシリアが叫ぶが、福音は次のターゲットをセシリアにする。逃げるセシリアに一気に追いついた福音は、光る翼を大きく展開してセシリアごとブルー・ティアーズを飲み込んだ。

 解放されるが、セシリアは既にやられていた。

 

「は、速い!」

 

 次いでデュノアに向かって箒と同じ攻撃。これにガーデン・カーテンは虚しく粉砕される。

 

 ここまでで三人もやられてしまった。

 

「くそったれ!鈴音!ラウラ!やられた三人の介抱をしろ!」

 

『ちょっと!あんたはどうするって言うの!』

 

『そうだ、千早は何をしようとしているんだ!』

 

『システム、戦闘モードに移行します』

 

 戦闘モードに移行した俺はライフルで福音のターゲットをこちらに向かせる。

 

「何って・・・そんなの決まってんだろう。ただの時間稼ぎだ」

 

 そう言って追ってくる福音の攻撃を避けながらその場から離れる。

 

「追って来い」

 

 後ろから放たれて来たエネルギー弾を器用に機体を動かして回避し続ける。それが無駄だと分かった福音は一気に俺の目の前まで追いついてきた。

 

 両翼の光の翼を展開するが、俺は減速することはなく、そのまま福音に抱きつく。そして、そのまま海上の上を移動した。

 俺が止まると思っていた福音は思わず両翼の展開を止めて、抱きついている俺に正面からエネルギー弾を浴びせてきた。

 

「ぐっ!」

 

 手を放し、福音の蹴りを一撃いれた俺は一度上空へと逃げる。それを後ろから追いかけてくる福音にマシンガンの弾を浴びせるが、もはやこんな豆鉄砲など関係ないかのように福音は接近してくる。

 

「この!」

 

 接近したところで長刀を展開したのだが、福音は俺の足首を掴んでいた。

 

 キィィィィィィィィィンッ!

 

 福音の両翼が展開し、俺はそのまま包み込まれた。莫大なエネルギー波に襲われるも、何故か途中で解放される。

 

 それでもダメージはかなりのもので、そのまま海に向かって落下し始めた。

 

「ぐっ・・・」

 

 まだ、まだだ。まだ、終わっては・・・。

 

 と、不意に福音を見た瞬間、奴は真下の俺をしっかりとロックしていた。そして、奴の頭上にエネルギーが収束していく。

 

「・・・一夏・・・あとは・・・・・・」

 

 俺はなんとかラファールを動かそうとするのだが、その行動は虚しく、俺は光の中に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はちょっぴり短いかもです
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