貧乳に愛を込めて   作:青野

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第30話 愛は世界を救う

 

 

 ダンダンッ!と、続けて二発放つが、俺を捉えた福音は瞬時に上空へと逃げる。そこを復帰した一夏が追撃する。

 一旦奴を一夏に任せてラウラの傍にいく。

 

「ち、千早・・・」

 

「よう、ラウラ。なんだ、酷い状況じゃないか?」

 

「わ、私は・・・私は・・・」

 

 と、ボロボロとラウラは泣き始める。俺はゆっくり彼女の頭に手を置き、優しく撫でた。

 

「泣くなよ、ラウラ。こっちが泣いちゃうじゃないか」

 

「だって、だって・・・」

 

 俺はラウラの頬を撫でた。そして、そのまま彼女に自分の体を近づけさせ、そっとその唇に自分の唇を重ねた。

 濃密ではなく、ソフトに優しく。

 一瞬、彼女の体がビクッと反応したが、俺は直ぐにラウラから離れる。

 

「千早・・・」

 

「ラウラ、行ってくる。だから、少しばかり待っていてくれないか?」

 

 徐々に俺は空に上がって行く。ラウラはそんな俺に小さくコクりと頷いた。それを確認した俺は上空で戦う二機の騎士の元へと飛んだ。

 

 セカンド・シフトを終えた一夏の機体は雪羅という名であり、外見は若干一回り大きくなっており、左腕には荷電粒子砲が融合していた。

 

「待たせたな、一夏」

 

「ち、千早!お前、大丈夫なのかよ!」

 

「お前に言われたくないさ。他の皆は・・・って、全員ダウンか。それじゃぁ、一夏。二人であの福音を潰すぞ」

 

 俺はガンソードを構えながら一夏に言う。その姿を見て一夏はやっと俺の戦闘参加を認めたらしく、雪片を構えた。

 

「だが、あいつはスピードが桁違いに速い。俺の攻撃が当たるか・・・」

 

「一夏、そう嘆くものじゃないぞ。なんたって、俺はだってセカンド・シフトを終えたんだ。それなりに強くなっているさ。それは、お前もだろ?」

 

「・・・そうだな。ああ、その通りだ」

 

 福音を見る。 

 相変わらずこちらを見下してくるその態度にはイラつきを覚える。

 

「一夏、お前は正面から突っ込め。俺が援護する」

 

「分かった。支援、バッチリ頼むぜ!」

 

 一夏が正面から加速して福音に近づく。

 それを予測していた福音は羽を広げて無数のエネルギー弾を撃ってきたが、一夏はそれを避けようともしなかった。

 何故ならそれは後方から射撃している俺の弾丸が一夏の直撃弾を全て相殺しているからである。

 

『っ!』

 

 焦って一夏の攻撃をバランスを崩しながら避ける福音に俺は追撃の射撃を行う。すると、先に俺が邪魔者だと判断した福音はこちらに狙いを定めてきた。

 

 無数のエネルギー弾が襲ってくるが、セカンド・シフトにより細かな動きが出来るようになったラファールにはその全てのエネルギー弾を回避してみせた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 攻撃を振り払い、俺は福音を上から斬り下ろす。福音はどうやらそれを両手をクロスしてガードしてみせたが、弾かれるのと同時にガンソードを一回転させて銃口を福音に向けて肩に二発ほど弾丸を浴びせる。

 

『キィィィィィィィン!』

 

 予想外の戦闘行為に対して福音は俺から距離を取ろうとして一気に空に飛んだ。

 そして、俺と一夏が入る範囲に向かって体を回転させ、全方位に向かって無数のエネルギー弾を放った。

 

「一夏!」

 

「ああ!」

 

 視界から一夏の姿が消えるのを確認した俺は機体を器用に動かしてワザとに何発か受けつつ、福音の前から後退した。

 その行動に勝利を感じ取った福音はそのまま何もせずにこちらの次の手を予測していた。

 

 だが、その時間が勝利の鍵となる。

 

 太陽の上から一夏が瞬時加速で福音に向かって一気に飛んできたのだ。その手には雪片こそ握られていないが、左手のアインアンクローで振り向いた福音の首を捉えた。

 

 

 

 ガリガリガリガリガリガリガリガリッ!

 

 と、金属金属が激しく擦り合う音をさせながらも一夏は一切の甘さを捨てて福音を左手で抑えつけながら飛ぶ。

 

「おおおおおおおおおお!!」

 

 叫び声とともに一夏は福音をそのまま小島の砂浜に叩きつけた。バチバチッと回路がショートする音ともに、数秒の戦いの後、福音はその機能を停止させた。

 

「あいつ、本当にやりやがった」

 

 正直、無理だと思って立てた作戦だが、案外最後まで特別何か起きる訳もなく、ことが進んだ。

 

 福音を全力で攻撃させ、大技をワザとに受ける。が、そのデカい隙を突いて最大火力の一夏の全力攻撃。

 大雑把な作戦であったが、それでも上手く行ったことに対しての賞賛が大きいと感じつつも俺は一夏の元へ飛んできた。

 

 そんな俺に反応して一夏は手を振りながらこちらに向く。

 

 と、その時だった。福音の目が微妙にだが光ったのだ。

 

「っ!!!」

 

 野郎!最後の最後までやってくれるじゃねーーか!

 

「一夏!逃げろ!そいつはまだ生きているぞ!」

 

『なっ!』

 

 だが、人が逃げろと言ったところで逃げるような人間ではない。それが一夏である。一夏は再度福音を抑えつけようとアイアンクローで向かうのだが、もとより背中を見せていたのであっさり復活した福音の前に一夏はぶっ飛ばされた。

 

「っ!」

 

 俺が見たのは福音が直線上にいる俺に向かってエネルギーを収束させたところであった。それも莫大な。

 

 俺自身が受けたあの時よりも十数倍以上であり、撃ってしまえば福音は止まってしまう。そんなバカでかいエネルギー量であった。

 

 

 

 眩い光が俺を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラウラ・・・?」

 

 光の中に俺はラウラを見た。

 

「千早。そうだ、私だ」

 

 彼女は俺に近寄る。

 

「なぁ、千早。私はあの時誓ったんだ。一人の人間、ラウラ・ボーデヴィッヒとして生きようって。救ってくれたのは、お前だ。千早が助けてくれなかったら、私は永遠に闇の中を彷徨っていただろう」

 

「そ・・うか」

 

「私はお前に全く伝えていない多くの言葉があるんだ。多くの言葉が・・・」

 

 そっとラウラの手が俺の胸を触る。

 

「だから、絶対に帰ってきてくれ」

 

 俺はその彼女の手をそっと握り締めた。

 

 感じる、分かる。彼女の意思が、彼女の声が、彼女の存在が・・・・・・・全てが混じり合って俺の心に直接届く。

 

「ラウラの手は荒々しく、果敢としている。それでも、優しくて、あったかくて・・・やわらかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、突き出したガンソードが向かってきた全てのエネルギーを弾いた。エネルギーはガンソードの剣先を起点として後ろへと流れいく。

 

『キィィィンッ!』

 

 それを理解してか、いないか、分からないが俺が倒れていないことに福音は更なるエねルギーを増してきた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 莫大なエネルギーをガンソードのみで弾き、尚且つ俺は照準を福音に合わせる。普通であればそんな芸当出来る訳がない。俺も頭の中で無理だと思っている。

 

 だけど、そうじゃない。

 

 理屈だけじゃ説明出来ないことだってあるんだ。例えば愛がそうだ。愛なんてものを数値に表すことは出来ない。

 だから、だから無限なんだ。

 

 俺がラウラを愛する心が俺に無限の可能性を与えてくれる。それが、こいつが俺にくれた最高の力なんだ!

 

「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 俺は引き金を引いた。

 放たれた一発の弾丸はエネルギーをかき分け、直線上にいた福音へと吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 




主任「これだからおもしろいんだ、人間って奴は・・・・」
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