貧乳に愛を込めて   作:青野

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第32話 愛を込めて

 

 

 

 時間にして夕方は過ぎ、夜に移り変わろうとしていた。砂浜に一人佇むのは銀髪の髪の少女。ラウラ・ボーデヴィッヒであった。

 彼女と視線が合うなり、微笑みながら手を振ってきた。こちらも手を振り返しながらゆっくりと歩を進める。

 

「よっ、ラウラ」

 

「あ、ああ・・・お疲れ様だ。千早」

 

 ラウラの足元にはビニールシートがおいてあったので、俺はその隣に腰を下ろした。お互い浴衣姿で星空を眺める。

 

「綺麗だな」

 

「そうだな。昨日今日の戦いが嘘のように感じる・・・」

 

 手榴弾にアサルトカノン、荷電粒子砲やマルチミサイル。高出力レーザーに砲弾。硝煙や黒煙とは程遠い世界に俺とラウラは心を落ち着かせていた。

 

「なんだか、意外だな」

 

「?」

 

「ラウラは軍人だからこういったものはあまり好まないんじゃないかと思ったんだがな」

 

「なっ、そ、そんなことはない。私だって可愛いものとか、美しいものにだって興味ぐらいある!」

 

 と、ついこの前までのラウラからは全く聞かれない言動が耳に入ってきた。ここ最近のラウラの変化は凄まじいものだ。それは今を知っているからこそ、言えるものであった。

 

「「・・・・ぷ・・ぷはははははは!!」」

 

 そこまで言って俺とラウラは同時に笑ってしまう。

 互いの笑い声が止まり、沈黙をラウラが破った。

 

「私はただ只管に強くあろうとした。そこに私が生きる理由があると信じていた。誰よりも臆病だからこそ、誰よりも怖がりだからこそ、私は強くなければならなかった。だけど、千早。お前に会って本当に私が探し求めていたものが分かった気がするんだ」

 

 ラウラはそう言いながら俺の手に手を重ねる。

 

「俺もだよ。ラウラ。俺も臆病なんだ。不安にならないように声を出し続けた。けど、それでもこの声は本当は届いていないんじゃないかって思うんだ。取り繕って、調子のいいように合わせて・・・いつしか俺って一体なんなのか分からなくなったんだ」

 

「千早・・・」

 

「自分の存在は一体なんなのか。だけどさ・・・今はそれでもいいって、答えのないものを探し続ける、矛盾した存在で構わないって思えるようになったんだ」

 

「そうなのか」

 

「ああ、そうだよラウラ」

 

 お互いに空へと視線を流していたが、いつの間にか互いに目を合わせていた。

 すると、ラウラは自らの眼帯を外してその黄金の瞳を俺に晒す。

 

「ど、どうだろうか・・・」

 

 きっとラウラはその目にコンプレックスを抱いていたのだろう。ナノマシンのせいでこうなってしまった自らの瞳を。

 

「綺麗だよ、ラウラ」

 

「ほ、本当か?な、なら良かっ・・・ん!?」

 

 俺はそんなラウラの唇をいきなり奪った。二度目のキスにして強引にしてしまったが、俺も我慢の限界が来てしまい、キス程度で済んだことに賞賛をしてほしい。

 

「ぷはっ・・・ち、千早・・・今のは・・・」

 

「今のはって、今更だろ。福音の時に俺はお前にキスしているんだから」

 

 ポケェとしているラウラの頭を撫でながら俺はその場に立ち上がった。夜空の星の輝きは増している。ふと手を伸ばすが、掴んだその掌には何も入っていない。

 そんなものは知っている。だけど、手を伸ばさずにはいられない。

 

「ラウラ、これが俺の気持ちだ」

 

「わ、私は・・・」

 

 ラウラが俺の言葉を紡ぐように慌てて立ち上がるが、先に言葉を言う。

 

「この先何があっても俺はお前の隣にいる。年を取っておばあちゃんになって、いつか何かを後悔する日があったとしても、俺はいつだってラウラの隣にいる。愛する人ともにこの世界で生きていきたいんだ」

 

「私もだ。これから先千早が倒れて動かくなったとしても、私がお前の目となり、

体になる。時が過ぎてもそのヨボヨボな手を握っていてやる。わ、私も愛する人と一緒にこれからのトキをこの胸に刻みたい・・・だから・・・」

 

 俺はラウラを抱き寄せる。

 

「分かっている。絶対に俺はいなくなったりしない」

 

「もし約束破ったら劣化ウランを撃つからな」

 

「はは、それならこの手を離すわけにはいかないな」

 

 胸の中にある鼓動が大きく跳ね上がるが、それも次第に落ち着きを取り戻し、暖かく心地良い鼓動へと変わる。

 

「ラウラ・・・俺はお前を愛している」

 

「千早・・・私はお前を愛している」

 

 唇が近づき、再び俺とラウラは熱いキスをした。

 偽ることのない、正直な気持ち。そして、迫る驚異を破壊させて俺たちはやっと一つの答えを導き出した。

 傍から見ればあまりにも極端で、深さのふの字もないように見えるのかもしれない。

 

 だけど、俺がラウラを愛している限りはそんな妄言の一つや二つ聞く訳もない。恋は盲目とはまさにこのことだろう。だって好きなんだから仕方ないじゃん。別にいいじゃん。

 

 愛する人とともにこの世界で生きていけるなら。

 

 

 

 さて、ここで森島千早。つまりこの俺の人生の物語の一部はこれにて一旦終了させてもらう。俺とラウラが出した答えが結果何を生んだのかは今からは何も言えないだろう。

 はっきりと言えることは俺たちにはこれから多くの苦難や困難がやってくる。だが、そんなもの俺とラウラのラブラブパワーがあれば紙クズも同然なので、何も心配する必要はないだろう。

 

 そして、この熱い気持ちは結局のところ何処へ向かうと言われれば・・・貧乳に愛を込めて・・・・いや、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒに愛を込めて。

 

 

 

 




はい、ということでブクマ、閲覧、評価などなど読者の皆さんここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。
ノリとテンションで書き始めてしまったこの小説も皆さんのおかげで無事にエンディングまでたどり着くことができました。

正直なところ、割とおかしな点が多々あったんじゃないかなと思いますが、そこはもう今更・・・ということで目をつむってもらえると嬉しいです。
し、何か少しグダグダっとなってしまった点もあり、読み返すと頭が痛くなります。それでも、よく失踪もせずにここまで来たなと思います。

千早とラウラが今後どのような人生を送るのかはみんなさん次第だと思いますが、この二人の熱い愛があればどんな困難でもきっと乗り越えてというか、主人公も紙くずと言っていたのにでちゃっちゃとクリア出来そうですねww

さて、それでは皆さん長々とお付き合いありがとうございました。

また、どこかでお会いしましょう。ではではヽ(*´∀`)ノ

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