このゲームに課金したい!!   作:片仮名キブン

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 お久しぶりですキブンです。
 いやー何とか二ケタまでこぎつけました。
 遅いっすねー次は頑張ります。(これ、やらないやつだー)と思った人、今に見てろよ(涙)


七話 Battle

ガツンと岩肌にこぶしをぶつける。手が岩にめり込み、少し引いても装備が岩に引っ掛かり戻ってこないことを確認すると上を見上げまだまだ頂上が先である現実を思い知らされ、ため息が口から洩れた。数えたくなくなるほど登っては落ち登っては落ちを繰り返した。その結果俺が身に着けたもの、それは……。

 

(見たらだめだ、見たらだめだ、見たらだめだ、見たらだめだ、見たらだめだ……。)

 

 高所恐怖症だった。

 

 ヤバイ、下を見ず愚直にただひたすら上を目指してきたが上を見上げた瞬間自分の腕が止まり、下を見そうになった。首を上に固定し心が落ち着くのを待つ。足が震え装備したスパイクが振動し外れそうになるのを岩にめり込ませてない左腕で押さえつける。思い出すのは地面に衝突した時の衝撃、(無限中立フィールドでは、通常のフィールドよりも痛覚遮断があまい)まるで体中がバラバラになったような……。

 

 落ち着けまずは深呼吸だ、吸ってー吐いて―吸ってー吐いて―心臓が徐々にリズムをおとし足の震えも収まってきた。手を震えてた膝から放し仕切り直しと左腕を振りかぶった。

 

 ――聞きたくなかったりーん、りーんというこの世界のあらゆるものが音を鳴らしているような鐘の音とともに、空中に浮かんでいたオーロラがうねりを上げて地表を飲み込んでいく世界の模様替え《変遷》だ。

 

 当然俺がへばりついていた旧東京タワーも巻き込まれる。めり込ませたこぶしが浮き上がり、世界から拒絶される。塔から約三十センチメートルにはじかれた両手は何も掴むことなく、重力という世界の法則に抱きしめられた体は地表への帰路についた。 願うことはただ一つ。

 

(どうかいたくありませんように)

 

 

 

 

 

 

 

 死亡して世界が灰色にかわり、幽霊のような状態で三十分ほど地面をゴロゴロ転がり痛みに悶え終えた俺は今回のクライミングについて考えていた。

 

「ちっ今回は奮発して錬金までしたのにダメだったかー……はぁ」

 

 落下中にアイテムストレージに収納した装備、貫通力を高める《働き者の手》とあしをひっかけるための《スパイク》これらを装備しても三百三十三メートルの壁を登りきることはできなかった。

 

「だけど変遷さえなかったらもうちょっとだったんだけどなーはぁ」

 

 自分の運の無さが恨めしい、あのタイミングで起こらなくても良かったのではないだろうか。くちを開くと溜息ばかりが漏れネガティブな思考に陥ってしまう。もう別にあそこに登らなくてもいいのではないだろうか、いくら新しいアビリティの目覚めたとはいえ相変わらず財布の中はかつかつだ。

 

 「あの剣はとりもどさないとなー」

 

 あきらめそうになる自分を奮い立たせる。もう一度《オズマンサス》を作ろうと思えば最低でも二百BP同じ能力が付くと思えないから実際にはもっと掛かるだろう。それに《心意》のこともある。

 

 レイカーに落とされしばらくすると群がってきたエネミーどもからの攻撃を泣きながらかわしていると、アッシュが壁を下りながら叫んできた内容をまとめるとこうだ。

  

 一つ、お前のせいで今日の修行死にそうになった

 

 二つ、上にたどり着かないと剣は取り戻せない

 

 三つ、この塔を登りきることも心意の修行のひとつだ

 

 ほかにも綸のことや本来ながらぶん殴ってやりたいところだがトゥデイの俺様は機嫌がいいので感謝しろなどのたまいながら、塔を下ってきた勢いそのまま俺から離れていった。俺に出来たことといえば、友人のことを見捨てていった裏切り者に意味の解らない罵詈雑言を叫ぶことだけだった。

 

 

 

 

 

 

 空は埃っぽい薄黄色、赤茶けた巨石が立ち並び風化によって破壊された岩の形は一つも同じ形もの物はなく、中には真ん中だけが細くなかなかいいくびれを持った岩などがあり実にユニークだ。時折吹く突風の所為で、体の関節に砂が入り動かすたびにジャリっと音が鳴る。そのステージの名前は《荒野》昔見た西部を舞台にした映画(名前を思い出せない)を彷彿させるような光景だ。

 

 来るべき戦いのために赤色の岩を砕き、投擲用と必殺技ゲージをためておく。こんなことをしていないで早く再チャレンジしろという声もあるかもしれない。俺も登りたいしかしそれをするわけにもいかない理由がある。それは……。

 

 砂埃を上げて何かが迫ってくる。やがてギャーギャーと雄叫びが聞こえ始め塔を背にバリケードの後ろに隠れる。

 

「二度と会いたくなかったぜエネミーさん」

 

 これで三度目の対面である。どうやらこのエネミーたちなぜか俺の方に寄ってくる。今のところ有力な説は《オーラム・オーラ》の能力だ。効果敵を引き付ける常時発動とかマジ勘弁してほしい。無視して登ればいいと言う人もいるだろう、しかしこいつらの中には俺がほしくてやまない遠距離攻撃を持っている奴がいるのだ。そんな中壁にへばりついておくなんて自殺行為でしかない。最低でも五十メートルは登らなければ撃ち落とされるのが関の山だ。

 

 目の前には八体のエネミー第一陣にしてはまあまあの数だ。そいつらを見ながら落ちてから新しく習得したアビリティ《山師の目》を発動する。これはエネミーの中のレア物(俺がそう呼んでいるだけ)をっ見つけるためのアビリティだ。レア物とは倒したときに他の個体よりも多くのBPをもらえるやつのことを指す、この《山師の目》は所持しているBPが多ければ多いほどかがやいてみえる。これのおかげで効率よくBPを稼ぐことができる。死んだり、使ったりしたせいで300をきってしまったBPは現在ではこれのおかげでようやく200後半まで戻ってきた。

 

 (一番BPの多い奴はあいつか)緑色の体毛をもった腕が異常に太いゴリラみたいなやつ、おれはそいつに狙いをつけると《金の亡者 ウェルズ・パーシスター 》(10)を発動する。このアビリティはBP5ごとにステータスを0.5倍ずつアップさせていく技で効果は必殺技ゲージげなくなるまで使用できる。今回は(10)消費したのでステータスは二倍、向かっていくおれを迎い討とうととゴリラは腕を振りかぶっている。最初の予定通り急ブレーキをかけると横に飛びのき――ゴリラの後ろから出てきた二本の牙が見えるサーベルタイガーが噛みつこうと出てきた。しかし俺が急に止まってしまったので獲物はおらず虚しく空気に噛みつくことしかできなかった。ゴリラのパンチはサーベルタイガーに直撃しタイガーのHPを三割ほど減らした。

 

 そう俺の作戦とは同士討ち、こいつらは俺の攻撃など雀のなみだほどしかダメージを与えられないが、バカみたいな防御にはバカみたいな攻撃を与えればいい。幸いにもこいつらはおつむの出来はあまりよくないらしく今のところおおむね順調である。

 

 すぐにバリケードのところまで戻ると、赤いこぶし大の石をサーベルタイガーに向かって投げつける。HPは減っているように見えないが、消費し続けている必殺技ゲージは幾ばくか回復した。残りのエネミーも黙ってはおらず、咆哮をあげながらこちらに向かってくる。――俺は怒号をとばし自分を奮い立たせる。目指すは最初に狙いをつけた緑。

 

 

 

 

 

 

 

 避ける――ただひたすら、牙を、爪を、拳を、尾を。視覚だけは目の前のゴリラに、他の四感はすべて後ろに――左斜め後ろから地が裂ける音がする。ドーピングされた体の性能を信じて体制を低くする――スライディング。

 

 風圧を感じながら影の中から光る双眼を睨めつけ、また抜けを成功させる。

 

 スライディングしながら寝返り、慣性に逆らい足の筋肉が悲鳴を上げるのにも構わずゴリラの背に飛び乗った。

 

 威力はなくても構わない。ただ速く手数だけを増やす。腕についたトゲで二発分稼ぎ、殴るとサーベルタイガーの牙――跳びのいてかわし金ではなく緑に牙が突き刺さる。

 

 しかしその手は悪手だった。後ろの控えていた砲台を持ったエネミーに穿たれる。

 

「あ˝あ˝あ゛ーーー」

 

 痛い――最初に建造していたバリケードも投擲用オブジェも何もかも使い切った。体はボロボロで瞼は重い、だがそれでも立ち上がらなければならなない。

 

「派手に楽しくカッコよくてな」

 

 自分を奮い立たせる言葉、おそらくこの獣たちには理解できないだろう。でもそんなことは関係ないとばかりに地面に足をめり込ませ立ち上がる。

 

「派手にいくぜー」

 

 亡者と獣の叫びが突風に乗せられ空に舞い上がった。

 

「……あらあら」

 

 傍観者はそれを見降ろしていた。

 




テイカー戦マジどうしよ……次回原作主人公登場予定。感想、お気に入り登録ありがとうございました。
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