五河士道には、チートな彼女が"いた" (旧題:デート・ア・マニアックス)   作:エター

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エピローグ

「おはよう!シドー!」

「ああ、おはよう十香」

 

 休み明けの月曜日、俺は十香と同居をしていた。

 

 

 結局、あの後俺と十香は〈ラタトスク〉の人たちに回収された。

 その後、霊力封印で少し問題があったが大きな問題なく話が進み、気がつけば十香は俺と同じ高校に入学することになった。

 うん、わけわかんねぇ。

 

 というか、十香のこと折紙に何も言ってないんだよな。どうするべきなんだろうか。

 

 ………取りあえず、保留だな。

 

 今日の朝食は昨日の残りのカレーライス。昨夜は恐ろしい量を十香に食べられてしまったが、その分を考えて作ったため十分にあまりがある。

 具体的に言えば、レジャー用の鉄鍋が二つほど。

 

 奏の好物がカレーだったこと、そして何より俺自身どちらかというと凝り性であったこともあってからか、カレーのスパイスの調合ができる俺は、このカレーを一晩おくと市販のルウを使ったものよりも美味しくなるように調整しておいた。

 琴里曰く、お皿を舐めたくなるほど上手いらしい。

 

「十香、琴里を起こしに行ってくれないか」

 

 最近、琴里は疲れているためか、起きるのが遅い。

 〈ラタトスク〉の仕事、学生生活、友達とのつきあい、色々両立するのは大変なんだろう。

 

「うむ、わかった」

 

 妹っぽさがあった頃ならともかく、今の琴里の部屋に入るのは少々躊躇われるため、琴里を起こすのは十香に任せている。

 琴里がああいう性格なら、家族といえどある程度配慮する必要があるだろう。女の子の部屋に勝手に入るのはあまりよくない。

 

 十香は、階段を上って琴里の部屋に向かっていった。

 

 

 十香がいなくなったリビングで、俺は一人考える。

 

 

 ―――結局、これでよかったのだろうか。

 十香は生きている。それには納得しているし、とても嬉しく思っている。

 

 けれども、精霊が死んでいないことに納得していない俺もいる。

 なんだかんだ言って、十香を精霊とみている面もあるということか。

 

 これは、時間が解決することを待つしかないのだろう。

 この思いも、いつか気にならなくなると信じることにしている。

 

 

 

 二階がなんだか騒がしい。きっと、十香と琴里が口論でもしているんだろう。言いくるめられてふくれている十香と、腰に手を当てて勝利の笑みを浮かべている琴里の姿が浮かんで、思わず笑顔がこぼれた。

 

 

 

 〈プリエステス〉についての問題もある。あの後、十香と俺が〈プリエステス〉と戦っている姿は〈ラタトスク〉に記録されていた。

 なんでも、〈プリエステス〉に関するデータは非常に少なく、まともに参考になる記録は、CR-ユニットを製造しているDEM社とイギリスの対精霊部隊、アメリカの対精霊部隊、そしてASTの四カ所しか保持していないらしい。それらは、〈ラタトスク〉の力を持ってしても手に入れるのは難しいほど厳重に隠されており、今回の俺と十香の記録はとても貴重なものとなったようだ。

 

 〈ラタトスク〉の上の方の人達が俺にとても感謝していた、と琴里が不機嫌そうに教えてくれた。

 

 

 

「シドー! 朝餉だ!!」

「士道、休みだからってぼさっとしないの!」

 

 十香と琴里の二人が、騒がしくリビングに入ってくる。少し琴里が怒ったように見えるのは、きっと学校に遅刻しかかっているからだろう。時間を見れば七時十一分、随分とギリギリの時間だ。

 笑顔で二人に返事をし、テーブルの上に三人分のカレーライスを持ってゆく。勿論、十香の物は凄まじい量なのは言うまでもない。

 

 

 

 

 世界では空間震はなくなっていないし、精霊は今でも暴れている。

 折紙のような魔術師は精霊を殺すために奮闘し、表面上ではあるが世界は平和なままでいられている。

 

 なら、俺も戦わなければ。

 彼らとは違うけれども、空間震が少しでも減るように、俺なりに頑張ってみよう。

 

 きっと、それが俺にできることだから。

 

 

 

 二人を見ながら、俺はそっと復讐心に蓋をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一人目、〈プリンセス〉封印完了。

 あと、八人くらいかなぁ。もっと頑張らないと」

 

 

 ―――期待してるよ、五河 士道




7月25日(土)11:04編集
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