五河士道には、チートな彼女が"いた" (旧題:デート・ア・マニアックス)   作:エター

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 更新は速くならないと言ったな。
     ―――アレは嘘だ!!


 評価を貰いました。
 ☆9が二つ……と思ったら片方が☆5に。
 あれ? 何でだろうと思っていたらその人から感想が来ました。

 ……まあ、そうでしょうね。
 納得しつつも、もやもやとした感覚を抱きつつ今回の文の見直し作業。

 こうなったら!、神様転生タグついていても高評価を出さざるをえない位の文を書いてやるぜ!!


 …………

 …………

 ………いや、無理だな。文才無いし


 さて、そんな茶番はほどほどにして二章投稿です。


二章 奏の最期

 煙が立ちこめる。

 

 目にもとまらぬ速さで飛来したドリルの様な槍は、呆然とする奏に突き刺さり、大きく土煙を上げた。

 

 〈プリエステス〉が手を一振りすると、風が巻き起こり煙を吹き飛ばしてゆく。

 

 煙が消えると中からは、膝をつき、脇腹を押さえ、血の涙を流す血みどろの奏の姿があった。

 

『随分と随分じゃない。どうしたの? 私を殺すんじゃなかったの? 刺殺? 絞殺? 射殺? 斬殺? 撲殺? 爆殺? なんでも良いからやってみなさいな。アハハハハハッッ!!』

『………』

 

 奏は全身から血を吹き出し、立っているだけでやっとなのか、顔を上げずに俯いていた。

 様子からして直撃ではなさそうだが、それに近い当たり方をしたのだろう。

 

『………』

『アハハハハハ………ハハハ………はぁ……がっかりね。少しは楽しめそうだと思ってたのに。この程度だとは思わなかったわ』

 

 奏は、俯いたままで何も言わない。

 いや、何も言えないのだろう。この出血量では、口を開けることすら辛いはずだ。

 

『武装の創造は、まあ及第点をあげてもいいわ。発想は悪くなかったし、武器も十分私に通じるものだもの。私以外の精霊だったら間違いなく殺せていたでしょうね。

 けど無理よ。私は殺せない。CR-ユニットからの延長線上の武装では、私を殺すのは”不可能とは言えない”といったレベルが限界ね。

 私を殺したいなら、精霊を三人くらいつれてくるべきだったわね。まあ、そんなこと無理でしょうけど』

 

 〈プリエステス〉はそんな奏のそばまで歩くと、手に持った蒼く光る剣を振り上げる。

 

『正直、期待はずれも良いところだわ。

 Good-bye、悪い夢でも見てなさい』

 

 〈プリエステス〉は、剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ごめん。約束、守れそうにない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――剣は、奏の身体に触れる直前で止まった。

 

              いや、止められた。

 

 

 

 剣が止められた場所に、〈プリエステス〉が持つ剣と全く同じ色、形の剣が出現する。

 その出現と同時に、奏の全身が微かに光り輝き、全身の傷をあっと言う間に修復した。

 

『うそ………でしょう。こんな土壇場で………』

 

 〈プリエステス〉は戦き、僅かに後ずさりする。

 

『違うわ。土壇場だからやってるのよ。

 あなたの力、全て模倣させてもらったわ』

 

 奏が手にしたその剣は、まさしく〈プリエステス〉の剣。二つと無いはずのそれを、奏は手にしていた。

 

『覚悟しなさい〈プリエステス〉。私は、もう後先考えることは止めたの。

 私の全身全霊をもって、圧殺滅殺撲滅根絶虐殺した上に駆逐してあげる』

 

 奏は、手に持った剣を〈プリエステス〉へと向け、そう言った。

 

『………調子に乗らないでよ。私の剣を側だけ模倣した程度で、魔術師風情が私に勝てると思っているの』

『側だけじゃないわよ。中身も最後までチョコたっぷりにできてるわ。

 それに、逆に返す様だけれど、

 この剣しか取り柄のないあなたが、同じ剣をもった私に勝てると思っているの』

『死ね』

 

 〈プリエステス〉が、突然斬りかかった。

 奏はその一撃を、〈プリエステス〉の剣で受け止める。

 

『煽り耐性なさ過ぎでしょう』

『黙りなさい。私の剣を侮辱するのはいいけれど、私の力を侮辱するのは許さないわ』

『よく言うわ。散々私を馬鹿にしてきたあなたが言えた話かしら』

 

 お互いに話しつつ、斬り結ぶ手を緩めない。

 しかし、いかなる方法か身体を完全に治した奏に対して、〈プリエステス〉は少し冷静さを欠いているせいか、動きが奏よりもかなりぎこちなかった。

 

『ほら、遅いわよ』

『ちっ!』

 

 いや、違うのだろう。

 〈プリエステス〉がぎこちないのではない。奏の動きが軽快すぎるのである。

 

 奏のその動きは、ついさっきまでの奏とは大きく異なり、力強さとしなやかさを両立した、人間とは思えない速度の動きだった。

 

『私の身体は、ついさっき私の随意領域範囲内にあなたが入ったことで得られた情報を活用して、精霊に近い存在に改造してあるわ。それも、今の私の身体の70%程度は、精霊のような存在と言ってもいいほどに。

 身体としての強度も、霊力や魔力に対する親和性も、そして身体能力も、今の私はあなたとほぼ互角。さらに言えば、あなたの力もこの手にある』

『だ、か、ら、何よっ!』

 

 〈プリエステス〉によって振り下ろされる刃、奏はそれを全て躱し、そらし、受け止める。

 

『つまり、あんたと私、条件は同じって事よ』

 

 一閃

 

 奏が放った一撃は、〈プリエステス〉の手に持った白銀の斧、そしてその腕に巻かれた鎖を両断した。

 

『っ!?』

『だったら、何であんたが押されているのかわかるわよね。あんたはそこまで愚かじゃないもの』

『………私が、貴女より技術的に劣っているからだって言いたいの』

『違うわ、私とあんたの純粋な技術は殆どない。それはあんただってわかってるでしょう』

 

 一閃

 

 今度の奏の一撃は、〈プリエステス〉に受け止められる。むしろ、力では奏の方が劣るためか、僅かに押し返されすらしていた。

 

『ほらね、差は無いのよ。

 あんたのザコいところは技術の差じゃない。覚悟の差よ』

 

 奏の背後に巨大な黒い鋼鉄の球体が浮かび上がる。黒い球体には不気味なライトパープルの目のような光が灯っている。

 明らかに、奏が今までに作り上げたものと比べ異彩を放っていた。

 

『覚悟?』

『そう、覚悟よ。

 あんたは、特に理由がないから、退屈だから私と戦っている。だから弱い。

 私は、あんたを殺したいから戦っている。すべてを捨ててでもあんたを殺す覚悟を持っているから、そして実際に捨てているから、あんたより強い。それだけよ』

 

 奏は押しのける様にして飛び引き、刺突を行う。

 精霊に近い身体能力から繰り出されるそれは、最早高速という言葉を使うことすら憚られる程に速かった。

 

『舐めんなっ!!』

 

 〈プリエステス〉は、その一撃を奏の剣先を自身の剣で払うようにして、躱そうとした。

 しかし、剣先に刃が届く直前に、急に〈プリエステス〉の身体が止まる。

 

『うそっ!?』

『相手の固定は、随意領域の使い方の基本中の基本だって事忘れたの?』

 

 奏の剣は、〈プリエステス〉の腹をえぐる。

 そのまま押すような形で加速し、〈プリエステス〉を延長線上に存在したビルに縫い止めた。

 

『………ぁ………ぅ………』

『私は、あんたを殺すために未来を捨てたの。身体の70を人間ではなくした私は、おそらくあと10分の命。恋人に会うことすら難しいわ。私は、私の未来を担保にして、あんたを殺したの。

 正直、思考も安定しないし、私自身いま何を言っているのかもちゃんと認識できてない。それでも、あんたを殺すっていう意志だけを頼りに動いてるのよ。

 それが差。同じ身体能力、同じ武器、同じ技術を持つ私達を分ける決定的な差よ。〈プリエステス〉、あんたにそんな状態でも動ける私と、同じだけの覚悟があるかしら』

『………そう………その、差ね。………それなら………納得だわ』

 

 奏は、自らの後ろに浮かぶ球体を手に取り、大きく振り上げる。

 

『それじゃあね、―――。安心して死になさい』

 

 〈プリエステス〉は、鉄球に押しつぶされた。

 

 

       ◇

 

 

「この後、奏は死んだわ。死因は、自己改造の副作用の錯乱による自爆」

「………自爆、ですか」

「まぁ、今思えば特に錯乱したから自爆したんじゃないとわかるけど、公式にはそういうことになってるわ」

 

 自爆、か。

 

「自己改造の副作用っていってましたけど、いったい奏は何をしたんですか」

「……えーっと、奏のCRユニットにあった演算のログデータとさっきの奏の言葉からの推測だから、これが正解だとは限らないって事だけは一応言っておくわ。

 奏は、随意領域内にいる〈プリエステス〉の身体をスキャンか何かして、精霊の身体のデータを取得。そのデータを元に物質変換などを駆使して、自分の身体を精霊のものに置き換えた、って言われてる」

「身体を精霊のものに置き換えるって、そんなことできるんですか」

 

 日下部さんは、紅茶を一口口にするとそれに答えた。

 

「それ自体は可能よ。そもそも、魔術師のほぼ全員は程度の差こそあれどその処置が行われているわ」

 

 日下部さんは、飲んだ紅茶が冷めてしまって少し苦かったのか、再び羊羹を口にする。

 

「勿論、身体に悪影響が殆どない、数パーセント程度だけれどね。魔術師っていうのは、そうでもしないと生き残れないのよ」

「……精霊は、それだけ強力な存在って事ですか」

「そりゃあね。何せ世界を滅ぼせる可能性のある災害だもの」

 

 再び紅茶を口にして、一息つく。

 

「話を戻すわ。身体を精霊のものに置き換えるって言うのは可能よ、ただしそれには専用の機器が必要になるの」

「専用の、機器……顕現装置ですか」

「ええ、それも医療用のに特化したタイプの顕現装置ね。魔術師は、CRユニットを使用できるように手術を受けるときに、その手術もついでに受けるわ。手術の時間はおよそ2~3時間ってところかしら。その内の20~30パーセントがその手術だと言われているから、置き換えには本来は最短でおよそ25~30分程度はかかると見ていいわね」

 

 ……そうだとしたら、奏はどれ程規格外の魔術師だったんだろうか。

 

「奏が置き換えに使用した時間は、およそ5秒。これを見ても奏が規格外だっていうのは明かよ。

 

 さて、そろそろ、〈プリエステス〉の天使に関して触れた方がいいかしら?」

「〈プリエステス〉の天使、ですか?」

 

 〈プリエステス〉の天使、となると、あの剣のことだろうか。

 ……そういえば、どうして奏はどうして天使を複製できたんだ? 新しい武装を作り出していたりしたから、天使を作ったりした瞬間は気にならなかったが、冷静になってみればそれはおかしい。

 よく考えれば、天使は普通の物質でできていないんだ。物質変換をいくら駆使したところで、天使の複製はできないはずだ。

 

「多分、どうして魔術師に天使の作成ができるのか、気になったりなかった?」

「まあ、言われてみれば気になります」

 

 奏は、〈プリエステス〉の天使を複製してみせた。実際にできたと言うことは、おそらく理論上は可能なのだろう。

 しかし、俺には違和感が拭えなかった。

 もし、仮に天使の複製が可能であるとしたら、もう少し魔術師の戦い方は変わっていたと思うんだ。具体的に何が違うのかと言われたら、返答に困るんだが……

 

「結論から言いましょう。

 ―――天使の複製は不可能よ。CRユニットを販売しているDEM社が昔それをやろうとして、公式に不可能だって言う論文を発表してるわ」

 

 ……え!?

 

「―――本当に不可能なんですか!?」

「ええ、DEMはちゃんとその理由も発表してるわ。

 演算しきれない、みたいに不可能な理由はかなりの数があるのだけれど、特に大きなものは三つね。

 一つ、随意領域を使用したスキャンなどでも、天使の材質が解析できない。

 二つ、人間は魔力は作れても霊力を精製できない。

 そして三つ目、天使を作り、運用できるほどの霊力を精製できたとしても、精製した霊力に人間の身体が耐えきれない。

 どんなに頑張っても、理論上は不可能なのよ」

「なら、奏はいったいどうやって〈プリエステス〉の天使を複製したっていうんですか」

「わからないわ。わからないから、この後半部分の映像は佐官未満の魔術師達には秘匿されてるの。

 こういうことをあなたに言うのもあまり良くないとは思うのだけれど、上層部の一部が奏が精霊だったのではないか、とかわけのわからない戯れ言を吐くくらいには、このことはあり得ない事態なのよ。この映像が公開されるのは、きっと精霊がに関する研究がもっと進んでからになるでしょうね。この映像はいろんな意味で価値があるものだから、しばらくは公開されないと思うわ。

 って話がそれたわね。とにかく、奏がどうやって〈プリエステス〉の天使を複製したのかは、私たちにはわからないわ」

「そう、ですか」

 

 

          ◇

 

 

 ―――これは、あなたにあげる。

 

 俺は、日下部さんの家から出て、自宅への帰路についていた。

 

 あの後、俺は日下部さんにあのDVDをもらってしまった。

 こういうのは問題だろうから断ろうかと思ったが、どうせ見せてしまった以上もう変わらないと言われ、無理矢理渡されてしまった。

 これは、どうするべきだろうか。

 家に置いておけば、きっといつか琴里達〈ラタトスク〉に見つかってしまう。だから置いておけない。

 折紙に渡すか? いや、日下部さんがこの映像を俺に渡したことが、自衛隊関係者に伝わったりしない方がいいだろう。万が一問題になるようなことは避けたい。

 

 悩みながら歩いていると、気がつけば家の近所まで歩いてきていた。

 周りの様子が気にならないほど悩んでいた、と考えると俺は相当だろう。

 

 しばらくすると、急に雨が降り出した。

 

「雨、か」

 

 今はまだ五月の終わり、少しずつ暑くなり始めたが、まだまだ涼しいことが多い時期だ。あまり長く雨にあたっていると、風邪を引くかもしれない。

 鞄の中から折りたたみ傘を取り出し、スイッチを押してさした。

 

「それにしても、随分急な雨だな」

 

 天気予報だと今日一日降水確率0%ってなっていたはずなんだが……珍しいこともあるもんだな。

 

 ふと、そんな時背後から視線を感じた。

 反射的に振り返る。

 

 ……よく見てみるが、誰もいない。

 

「気の、せいか?」

 

 この感じ、この視線、どっかで似たような視線を感じた事があるような気がするんだが……

 思い出そうとするが、なかなか出てこない。

 

 まあ、思い出せないものを無理に思い出す必要は無いか

 

 考えるのをやめ、前に向き直る。

 

 するとそこには、さっきまでいなかった少女が、雨に打たれながら、電柱の陰に座って俯いて泣いていた。




 いったい何糸乃なんだ………

 感想を書いてくださった皆様、本当にありがとうございます。
 これからも感想募集中です。
 以前書いてくださった方も、まだ書いてない方も、是非書いていってください!!
 可能であれば、ボロクソにこき下ろして頂けるとありがたいです。
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