五河士道には、チートな彼女が"いた" (旧題:デート・ア・マニアックス)   作:エター

7 / 20
すいません、遅れました。
理由は三つありまして、一つ目はリアルの事情で時間がなかなかとれなかったことにあります。

二つ目は本文を読んでいただければわかると思いますが、購買のシーンで時間を取られてしまいました。

三つ目はこんなどうでもいい考察をしていたからです。

十香とのデートの日はいつ?
・来禅高校の始業式は、四月十日
・リトルマイシドースタートが、四月十一日
・クリアまでが十日間なので、四月二十日
・ただし、その次の日のデートの日に、十日前に空間震が起こったと言っているので、矛盾が発生している。
・よって、デートの日の可能性がある日は、四月二十日又は四月二十一日
・デートの日は月曜日の三日前、よって金曜日

以上のことより、
仮に四月二十日がデートの日であった場合、四月十日は火曜日
四月二十一日がデートの日であった場合、四月十日は月曜日

始業式が火曜日にあるよりも月曜日にあった方が自然なので、デートの日に士道君の視点で士道君が思考した『十日前に空間震が起こった』という描写を無視して、本作品『デート・ア・マニアックス』では、デートの日を`四月二十一日´と設定します。

………で、考察を終えた後に二巻を読んでいたら、二巻に封印した日が二十一日だって書いてありました(笑)


五章 四月二十日

「話はわかった」

 

折紙の家のリビングで、俺は折紙に昨日あったことを伝えていた。

 

空間震の際、妹の琴里の携帯のGPSが近所のファミレスを指していたことに気が付いたこと。琴里を迎えに行くとき精霊に出会ったこと。そして出会った〈ラタトスク〉のこと。彼らが、精霊と対話することで平和的に空間震を解決しようとしていること。

ただ、万が一を考えて、〈ラタトスク〉の司令が琴里であることだけは話さなかった。

 

そして、俺がその交渉役として働くことで、ASTが精霊を殺すための隙を作ろうと考えていることを告げたとき、折紙は口を開いた。

 

「危険。即刻辞めるべき」

 

まあ、折紙ならそう言うだろうとは考えていた。

実際、琴里は『士道なら一回ぐらい死んでもニューゲームできる』とか馬鹿なことを言っていたが、人というのは死んだらそれまでなんだ。ニューゲームも糞もない。魂だ、あの世だ、天国だといくら口で言っても、死んでしまえば、一緒に話をすることも、買い物に行くことも、映画を一緒に見ることもできない。

 

俺は、半年前からそれをよく知っている。

 

「悪い。もう決めたんだ」

 

それを理解した上で、俺は彼女の善意の言葉をを振り払った。

 

「精霊がどれほど危険な存在かも知ってる。

 精霊との交渉なんて、正気じゃないのも理解してる。

 こんなこと、命がいくつあっても足りないことなんて、それこそわかってるつもりだ」

「それなら、それが―――」

「―――わかってる、わかってるさ。

 それでも俺が精霊を殺すには、奏の仇を取るためにはこれしかないんだ。これ以外に道はないんだ」

 

俺がASTに入ることは、両親が許さないだろうし、琴里が〈ラタトスク〉の司令をやっていることを考えれば、裏から手回しされ試験すら受けられない可能性だってあり得る。〈ラタトスク〉という組織の規模を考えれば、それくらい簡単にできてもおかしくない。

だから、俺が精霊を殺すにはこれしかない。

 

「………」

「………」

 

静まり返る。

俺も彼女も、どちらも両方の想いを理解していた。

彼女は、俺にそんな危険を冒して欲しくない。けれど、自分の精霊を殺す動機が復讐であるために、あまり強く俺の言うことを否定できない。

対して俺は、見ていることしかできなかったため、彼女が言っていることの意味も、思いも十分理解できる。しかし、それでも精霊への憎しみは抑えられない。

 

静かになって5分ほどしたころ、折紙は立ち上がりリビングを後にする。しばらくして戻ってくると、小さな黒い機器を二つ手にしていた。

 

彼女は、再び俺の隣に座ると、手に持った二つの機械を無言で俺に差し出してくる。

それを俺が受け取ると、今度は懐からスマートフォン位の大きさの端末を取り出した。

 

「その二つは、小型の発信機と盗ち―――小型のマイク」

 

彼女はその二つを俺から優しく奪い返すと、何とも言えないような視線でそれらを見つつ、静かにテーブルの上に置く。

 

「スイッチを入れれば―――」

 

二つにある小さなスイッチを入れると、折紙が手に持った端末のモニターに今いる場所の地図が表示され、この部屋に響く時計の音が、端末から聞こえてきた。

 

「―――この端末に、位置情報と音声が送信されるようになっている」

「折紙………」

 

「私は、あなたに死んで欲しくない。

 だから―――」

 

 

―――気をつけて。

 

「ああ、ありがとう。折紙」

 

     ◇

 

「―――終わった!!」

 

〈ラタトスク〉監修の恋愛ゲーム、『恋して、リトル・マイ・シドー』を始めて十日目。初日を除いた九日間、休み時間や放課後の全ての時間を費やし、ようやく格キャラクターのエンディングを終え、全てのCGをコンプリートすることができた。

 

「お疲れさま、シン」

 

ここは、来禅高校の物理準備室。今は、昼休みになって十分程したところだ。

今日は7時間目まであったので、今日こそ帰りが遅くならないよう頑張っていたため、本当に終わって良かったと思っている。

 

右手に持ったコントローラーを机の上に置き、背もたれに身を任せる。

 

これで、訓練は終わり。彼女の復讐に一歩近づいた。

 

「さてとっ!」

 

脱力した身体に力を入れ、立ち上がる。

まだ昼飯を食べていなかったので、令音さんに一言伝えてから購買へと向かう。

普段、俺は弁当なので購買を利用することはないのだが、連日夜遅くまでギャルゲーをしていたためか、今日は寝坊してしまい弁当を作ることができなかった。だから、今日は弁当を持ってきていない。そのため、昼食をとるには購買で買わないといけない。

 

購買に着けば、そこは生徒達で混み合っていた。

 

「悪いが、このあんパンはいただいていく」「何故パンを買うかって?、そこにパンがあるからさ」「別に、買い占めてしまってもかまわんのだろう?」「弁当がないなら、パンを買えばいいじゃない」「いったい何時から―――そこにパンがあると錯覚していた?」「―――行くぞ購買四天王、武器の貯蔵は十分か」「奥義・英雄墜落(イカロス・フォォォォォル)ッ!!」「ぐぅぐぅお腹がすきました」「べ、別にメロンパンが欲しいわけじゃないんだからね!!」「何よりも―――速さが足りない」「―――買ってこれるか」「―――てめぇの方こそ買って来やがれ!!」「大人買い、ああなんと素晴らしい響きか」「パンを買うためなら、神様だって殺してみせる」「これが………俺のパン………」「購買(戦場)は、油断したものから死んでゆく」「す、すいません。急いでて………」「きなこパンを買え!―――今はそれだけでいい」「このクリームパンは私が貰っていくわねぇ―――〈贋造魔女〉(ハニエル)!」「悪魔でいいよ、悪魔らしいやり方で、パンを買わせてもらうから」「パンまでの最速のラインを見つけ出し、その道を駆け抜ける!」「パンはこの手の中にある!」「買いもせず食べようとすることが、そもそも論外なのだ」「食らえ、我が死の芳香を!」「パンは命より重い………!」「パンを買いたいではなく、パンを食べたい」「カレーパンが欲しいです………」「パンを買うことを……強いられているんだ!」「なら俺によこせ」「せっかくだから俺はこの赤のパンを選ぶぜ」「小麦粉製のダグウッドサンドイッチが質的崩壊によりパライソに達する…わかるね?」「わかりません」

 

―――なんだか随分混沌としているなぁ。

購買には、金属をぶつけ合うような音が響き、まばゆい光が煌めく混沌とした場となっていた。

何人か出てくる作品を間違えている人間がいる気がする。

普通に買おうとしてたら買えなかっただろうな。

 

「すみません、予約していた五河です」

「ああ、五河君ね。一応学生証見せてもらえるかしら………はい、いいわよ。ちょっと待ってなさい」

 

購買のおばちゃんから、事前に予約しておいたレインボークリームパンを受け取り、物理準備室へと戻る。

 

準備室では、令音さんが俺のいない間に別の恋愛ゲームをやっていた。

 

「それ、なんですか?」

 

「………ああ、シン。戻ってきたのか

 これは君がここ数日やっていたゲームを、私達〈ラタトスク〉が制作する際に参考にしたゲームの一つだよ」

 

そう言って、令音さんはゲームのパッケージを一つ渡してくる。

 

ゲームの題名は『フェアリーテイル・ガールズ』

製作会社は、トライウォーベン・カンパニー…………聞いたことないな。

 

「令音さんって、こういうの好きなんですか?」

「好き、と言うわけではないんだが、わざわざ貰ったものを使いもせずに棄てるのは、なんだか悪い気がしてね」

 

ってことは、これって令音さんが買ったわけじゃないのか。

 

「いったい誰から貰ったんですか」

「………シン。君に〈ラタトスク〉について説明していたとき、コンソールを弄っていた人が何人かいただろう。その中にいた内の一人が、この手のゲームに詳しくてね。その彼が私にくれたのさ」

 

そうやって、令音さんと、合間にパンを食べながら、たわいもない会話をしながら休み時間を消化していった。

 

そうしてちょうどパンを食べ終わった頃、予鈴のチャイムがなったので、令音さんに一声かけて教室に戻ることにした。

 

 

      ◇

 

放課後、物理準備室へと向かうと、そこには琴里の姿があった。

 

「来たわね

 それじゃあ、次の訓練を始めるわ」

「おう、次のはどんなゲームなんだ?」

「馬鹿ね、あんたギャルゲーで口説ければ現実でも口説けるとでも思ってんの?

 はぁ、これだから童貞は」

 

そう言って肩を竦める琴里。

 

「士道、次は生身の女性を口説いて貰うわ」

「………はぁ!?」

「シン、君が精霊を口説き落とす際、インカムを付けこちらの指示に従って対応してもらうことになる。だから、実際に女性を口説くよりも楽ではあるはずだ。とはいえ、いきなり本番を迎えるわけにも行かないだろう」

 

そう言って、令音さんは懐から1枚の写真を取り出す。

そこには、われらが担任、タマちゃん先生の姿が写されていた。

 

「…………え、まさかタマちゃんですか」

「何か問題でもある?」

 

琴里が不思議そうに尋ねてくる。が、よく見れば、眼が笑いっていることがわかる。俺をからかって遊ぶつもりか。

 

「いや、問題だろ。教師と生徒だぞ、俺が良かったとしても、タマちゃんが駄目だ。万が一タマちゃんに変な噂が立ったらどうするんだよ」

「その点に関しては問題ないわ。〈ラタトスク〉のエージェントに人払いはさせるから、目撃者による噂が発生する心配はないし、本人が言いふらすこともないでしょうから、噂が立つことは無いでしょ」

 

〈ラタトスク〉のエージェントが学校にいるのか。

ということは、折紙と精霊のことについて学校で話すことはかなり危険になるな。まあ、今までに学校で精霊のことについて話したことなんて、数えるほどしかないが。

 

「それで、やるの、やらないの、どっち?

 もっとも、仮にやらないにしてもぶっつけ本番で口説くのは自殺行為だから、誰かしら口説いてもらうことになるけれど」

「………わかった。頼む」

 

俺の言葉を聞くやいなや、令音さんが机の引き出しから小さな機械を取り出し俺に渡してきた。それに次いでマイクと、ヘッドフォン付きの受話器のようなものを机におく。

 

「………これは?」

「先ほど言ったインカムだよ。自動で特定の音声以外をカットする機能を持った、高性能の集音マイクも内蔵しているスグレモノだ」

 

随分高性能だな。少なくとも、これって前に奏に見せて貰ったASTで使われているヤツよりもいいものじゃないか。

さっそく、耳にはめる。

 

『………聞こえるかい』

「はい、大丈夫です」

 

机の上に置かれたマイクに令音さんが呟けば、その声ははっきりとした音声となってインカムを通して俺の耳に響く。

 

『………ふむ、感度良好。音量も問題なさそうだね』

 

「それじゃあ士道、訓練を始めるわよ」




購買の四天王のことを初めて知ったのは、とある士道君が中二病な二次創作を読んでからだったのですが、その時は彼らが公式キャラだとは知りませんでした。
随分ぶっ飛んだキャラ作るなぁーとか思っていた覚えがあります。

知らない人の為に、購買のシーンからセリフを抽出すると

「奥義・英雄墜落(イカロス・フォォォォォル)ッ!!」
「食らえ、我が死の芳香を!」
「す、すいません。急いでて………」

の三人が四天王にあたります。

名前は上から順に

〈吹けば飛ぶ(エアリアル)〉鷲谷 瞬助
〈異臭騒ぎ(プロフェッサー)〉烏丸 圭次
〈おっとごめんよ(ビッグポケット)〉鷺沼 亜由美

です。

え?四人目は誰だって?それはもちろん某ASTの人です。この人ホントにシリアスにネタキャラしてますね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。