超.黒の剣士   作:しもつかれ

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お待たせしました。やっと10話です、シリカちゃんが出ます!

今回は結構長めですが、どうぞ↓


@10 竜と少女

2024年 2月23日 第35層 迷いの森

 

「っ!あ...あぁ...」

 

私は使い魔と森を走っていた。追いかけてくるのは三つの影。一定間隔でマップ構造が変わるこのエリアを走り続けて、消耗した私はついに転んでしまった。

 

「グルァァァァア!」

 

迫る影は猿人型mob『ドランクエイプ』だ。迷いの森内で最強クラスに分類されていて、モンスターなのにスイッチして回復を行うとても厄介な相手だと、ここに一緒に来たパーティの人が言っていた。

 

追ってきた三体のうちの一体は巨大な棍棒を私の前で大きく振りかぶって、真っ直ぐに振り下ろした。

 

(これは躱せない!)

 

短剣を構え、一撃でも耐えようと防御の姿勢をとった。恐らく無駄だけど、体が勝手に動いた。その時。

 

「ピェェェェ!!」

 

私の使い魔のフェザーリドラ「ピナ」が棍棒に突っ込み、吹っ飛ばされる。盾になってくれたのだ。

 

「ピナっ!?」

 

倒れたピナは青い光に包まれ、ポリゴンとなって消えてしまった。

 

「ピナ.....」

 

ピナが消えた事を理解はしていても、今度は体が動いてくれず、短剣を握った手は小刻みに震えている。

そんな私に残る二匹のドランクエイプが棍棒を振り上げ迫ってきた。

 

あぁ、私、もう死ぬんだ...

 

 

 

でも、その棍棒は振り下ろされることはなかった。

 

三体の動きが止まったと同時に、その体はポリゴン片となって空へ舞い上がっていった。誰かが倒してくれたのだ。木々の隙間から差す薄い紫色の光が加わり、私はその少し綺麗な光景をただ呆然と眺めていた。

 

 

エフェクトに包まれて現れたのは、盾無しで片手剣を持った黒服の男の人だった。

 

「...ごめん。君の友達、助けてやれなかった」

 

私とキリトさんの出会いは、こんな感じだ。

 

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(キリト視点)

 

俺は今日、ある目的があってこのエリアに来ていた。そこで、ドランクエイプの集団に襲われている少女と使い魔を発見し助けに入ったが、使い魔の方は死なせてしまった。

 

「いえ、私がいけないんです。一人で森を抜けられるなんて思い上がってて...」

 

「君はどうしてここに?しかもソロで」

 

涙目の少女に、俺は尋ねた。

 

「えっと、来た時はパーティ組んでたんです。でも、そのパーティの人とアイテム分配のことで喧嘩しちゃって...恥ずかしい話ですけど、一人で抜け出して街に帰ろうとしたんです。でも迷っちゃって、モンスターに囲まれて、ピナも...」

 

SAOの感情表現は大袈裟だというが...少女の涙は心からのものだろう。

 

ふと彼女の足元に目をやると、水色に光る羽根がそこに見えた。

 

「...?そこに落ちてる羽根、アイテム名とか付いてるか?」

 

「はい、えっと...『ピナの心』って出てます...ピナ...」

 

アイテム名に思うところがあったのか、また泣き出しそうになる少女。

 

「大丈夫、わざわざアイテムとして残るって事は、蘇生できる可能性がある」

 

「っ! 本当ですか!?」

 

少女は俺の言葉に凄い勢いで反応し、食い入るように見つめてくる。顔近いわ。

 

「47層の『思い出の丘』。そこの最奥にあるアイテムがテイムモンスター蘇生に使えるって聞いたよ」

 

「47層...そんな上層ですか」

 

47層と聞いて、明るかった少女の表情が悲しげなものに戻った。35層最難関のここで苦戦していたあたり、レベルは45前後だろう。思い出の丘の攻略推奨レベルは55以上だった筈だ。

 

「情報だけでもありがたいです...今は無理でも、必ずピナは生き返らせます!」

 

 

 

 

「...無理だ。使い魔の残したアイテムは死んでから72時間で消える。それまでにアイテムを手に入れないと、ピナは生き返らない」

 

「そんな、あたしのせいで...」

 

またも少女は泣き出してしまった。だがこの状況で泣いてる女の子を放置し帰るほど俺は鬼畜ではない。というかそれ以前にアスナに説教されてしまう...

 

「大丈夫だって言ったろ、3日もあるんだ。...トレードウィンドウ開いて待ってて」

 

メニューを開き、アイテムストレージから色々と選択。トレード窓に、≪イーボン・ダガー≫等のドロップ入手した各種軽装を並べ、少女に送った。

因みに、これらは男用だったら是非使いたかった...と思い捨てるに捨てられなかった装備品たちだ。

 

「よし、これ全部装備しとけば7レベルくらいは多く見積もって平気だ」

 

「あの、どうしてこんなに親切にしてくれるんですか?出会ったばかりの私に...」

 

当然の疑問だ。

 

「んー、”怒られちゃうから”かな。...まぁ今の時点でもっと怒られるような事してるんだけど」

 

「...?」

 

「あぁ、あんまり気にしないで。ん、それより名前、聞いてないよな?俺はキリト」

 

「あ!私、シリカです!恥ずかしい...」

 

名乗るの忘れてたのが恥ずかしいのか、少女...シリカは顔を赤くして俯いた。

 

「よし。じゃあこれから少しの間、宜しくな」

 

俺から手を差し出し、握手を求める。自分で言うが出会ったばかりの、それも女の子に握手要求までできるなんて俺も成長したな...

 

「...え、少しの間?」

 

「...ん、どうした?一緒に行くんだろ?」

 

「ええ!?そんな、悪いですって!装備まで貰っておいて一緒になんて...」

 

「いや、俺は完全に同行する気で...」

 

「そ、そうだったんですか...。じゃあ、宜しくお願いします」

 

「お、おう。任せとけ」

 

...ただこういう感じになった時はコミュ障に逆戻りだ。前途多難か...

 

「よし、じゃあ一旦街に戻って明日の準備だな」

 

「はい!」

 

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35層 主街区 ミーシェ

 

「シリカちゃーん!遅かったね!」

 

「今度パーティ組もうよ、好きなとこ連れてってあげるから!」

 

声をかけてきたのは太った男と痩せてる男の2人だ。

 

「お話はありがたいんですけど、しばらくこの人とパーティ組むので...すみません」

 

「「......」」

 

シリカに引っ張られるままその場を去った。≪索敵≫を使うまでもなく背中に刺さる視線には気づく。なぜこんなガン見されるんだろう...

 

「...大変そうだな。随分人気者みたいだけど」

 

「いえ。どうせ皆マスコットみたいなものだと思ってるんです。私と一緒にいる自分を周りに見せつけたいだけなんです」

 

「そうか...わからなくもないよ、その気持ち。俺も似たような経験あるんだ」

 

少し昔のことを思い出してしまった。桐ヶ谷家に来る前のことを...

 

「珍しいテイムモンスターを連れてるからって皆にもてはやされて、良い気になって...」

 

「...必ず間に合う、心配すんな」

 

「...はい!」

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宿屋前

 

「んー、今日は俺もここに泊まろうかな。戻るの面倒だし」

 

他愛のない会話をしつつ、俺たちはシリカがよく使うという宿屋の前までやってきた。

 

「あ、ここのチーズケーキ結構いけますよ...っ」

 

「どうかしたのか?...あぁ」

 

「あら、シリカじゃな〜い」

 

長身赤髪で槍を持った女が数人の男を連れて現れた。シリカの反応から、先ほど言っていたパーティのメンバーだとすぐに気付くことができた。

 

「森から出られたのねぇ、良かったじゃない。あら?あのトカゲは...あ、もしかして、死んだ?はははは!」

 

揉めたメンバーって絶対こいつだな...

 

「ピナは死にました、でも必ず生き返らせます!」

 

「へぇ...『思い出の丘』に行くの。でもアンタのレベルで突破できるのかしら〜?」

 

「それは...」

 

俯くシリカの頭にポンと手を置き、口を開く。

 

「黙って聞いてりゃよく喋るな、行き遅れのオバサン」

 

「あ”ぁ!?」

「キリトさん!?」

 

俺の渾身の一撃が、余裕ぶってた女の表情を怒り一色に変えた。

 

「アンタもこの子に垂らし込まれたクチね...ガキが」

 

「そうだな、年下にイヤミ言って楽しんでる行き遅れよか10倍良いね。それに『思い出の丘』は敵のレベルが高いだけで攻撃パターンは見切りやすい。情報不足だから行き遅れるんじゃないのか?」

 

「チッ...その内お礼はしてやるわ。行くわよ」

 

赤髪の女は仲間を引き連れて去っていった。

 

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宿屋 シリカの部屋

 

(シリカ視点)

 

「よし、んじゃ作戦会議だ」

 

「は、はい!」

 

「...?なんか顔赤くないか?具合悪いなら明日の朝にするけど」

 

「いえ、大丈夫です!」

 

ご飯の後、47層の説明を忘れていたとキリトさんが言うので、あたしはキリトさんを部屋にお招きした。鍵を開ける直前まで下着だったなんて言えない...気付いて良かった...

 

「そうか...よし、準備OK」

 

キリトさんはストレージから何かを取り出して机に置いた。

 

「キリトさん、そのアイテムは?」

 

「『ミラージュスフィア』。種類によって別種のデータを入れて立体像で見られて、これには攻略済みの層のデータが入ってる」

 

キリトさんがスイッチを入れると、青色のホログラム映像が出現した。

 

「...綺麗」

 

「これが47層の全体像。北のほうは迷宮区だから今回は用はないな。南のこの辺が主街区で、『思い出の丘』までは...」

 

指差ししながら解説できるから、凄く便利だなーと思っていると、キリトさんが立ち上がってドアの方に歩いていく。

 

「?」

 

「この道を通って行くんだけど......っ!」

 

「なっ!?」

 

バンッ!と音を立てて開けられたドアの前には、知らない男の人が立っていた。

 

「だ、誰!?」

 

「バレてないとでも思ったか、さっさと依頼人の名前を言え。正直に言えば見逃す」

 

キリトさんが男の人に冷たい声音で言う。

 

「ひっ!?わかった、言うよ!」

 

キリトさんの話では、部屋内の会話は普通ノックしないと外から聞こえないけど、≪聞き耳≫スキルを上げてれば聞こえる場合があるそうだ。

 

「ロザリアって女だよ!一桁層の頃知り合って、俺が≪聞き耳≫を上げてるの知られてて、それでこの部屋を盗聴すれば金をくれるっていうから...」

 

「ロ...ロザリアさん!?」

 

自分のよく知る名前に驚き、思わず声が上がってしまう。

 

「さっきの赤髪の女か?」

 

「はい...」

 

「...そうか」

 

キリトさんはあたしの返事を聞くと、立ち聞きしていた男の人に何か耳うちした。

 

(...アンタ、今後そのロザリアって女に会う時、≪圏外≫で会わないように気をつけろよ)

 

「...?あ、あぁ」

 

「それと、今後俺たちに近付くようなら容赦はしないからな。わかったらとっとと帰れ」

 

 

「...以上が47層と思い出の丘の説明だ」

 

キリトさんはさっきの人を追い返した後、説明の続きをしてくれた。

 

「シリカ、さっきの話を盗み聞きされてたってことは、ロザリアの一派はほぼ100%待ち伏せてる。見つかったら確実に邪魔をしてくるだろう」

 

「はい...わかってます」

 

「向こうはテイムモンスターの蘇生期限を知ってるだろうから、避けてアイテムを取るのは不可能だ。場合によっては戦うことがあるかもしれない。...君には、覚悟はあるか?」

 

本当は、人と戦うのは怖い。でも...

 

「ここで逃げたら、私ずっと後悔すると思うんです。だから、行きます」

 

「...そうか、わかった。じゃあ今日は寝よう、明日は9時に出発だ」

 

 

 

次の日、あたしは『SAO』の本当の姿を知ることになる。

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翌日 47層 思い出の丘

 

「ここですか...」

 

「あぁ。そうだ、これ持っといて」

 

キリトさんが手渡してきたのは『転移結晶』、モンスタードロップか宝箱産限定のレアアイテムだ。

 

「俺は全力で君を守るけど、ダンジョンである以上絶対安全とは言えない。だから 俺が逃げろって言ったら、すぐに転移してどこでもいいから逃げるんだ」

 

「わかりました、約束します」

 

「よろしい、じゃあ出発するか」

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道中

 

何度か戦闘を繰り返し、私のレベルが1上がって45になったとき、ふと気になっていたことをキリトさんに尋ねた。

 

「キリトさん。昨日、私と似た経験がある...って言ってましたよね。どんな事か聞いちゃダメですか?」

 

「...どうして聞きたいんだ?」

 

「リアルの事でしたら、聞くのはマナー違反ですけど...あの時のキリトさん、すごく悲しい顔してて、気になって...」

 

「そっか...」

 

溜息をついて、キリトさんは自分の事を話してくれた。

 

「...両親の顔、見た事ないんだ。俺が産まれてすぐ事故で死んじゃってさ」

 

「...!すみません、失礼な事聞いちゃいました」

 

「いや、覚えてないからそんなに気にしなくていいよ。それで、父方の親戚に引き取られたんだけど、そこの家が結構な名家でさ...小さい頃からコンクールやら大会やら無理やり出されて、よくわからないまま賞とか取りまくったんだ。それをいい事に俺への要求がエスカレートしていった。多分良くできる俺を持ってる自分をアピールしたかったんだろうな。

...って事があったから、なんか似てるなーと思ってさ」

 

自分と似ているところもあるけど、キリトさんの話はだいぶオブラートに包んでるというか...簡略化されている気がした。本当はもっと辛いことがあったのかもしれない。

 

「あ、あたしは!...あたしは弱いから力にはなれませんけど...お悩みならいつでも聞きますから!」

 

「!...ありがとう。さぁ、話も済んだし早く先に進もう」

 

キリトさんはとても強くて、優しい。だから、今の声が震えていたのは、きっと私の気のせいだ。

 

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ダンジョン最奥

 

「...シリカ、あそこだ」

 

BGMが変わり、ダンジョン最奥に辿り着いたあたしたち。光る台座の前に立つと、一輪の花が咲いた。

 

「『プネウマの花』...これでピナが生き返ります!キリトさん、本当に...本当にありがとうございます!」

 

「良かったな。だけど、蘇生は街に帰ってからにしよう。この辺は強いモンスターが多いし、ピナもその方がいいだろう」

 

「はい!」

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帰り道

 

「シリカ、ストップ」

 

「...はい」

 

キリトさんの声が低くなった。

 

「...隠れてないで出てこいよ、ロザリアさん」

 

木の陰から現れたのは、やはりロザリアさんだった。

 

「なんだ、バレてるなら話は早いわ。なら私が今からすること、わかるわよね?」

 

「大方、≪プネウマの花≫狙いだろ。それと、俺たちの命」

 

「命...!」

 

「そ。シリカちゃんは気付いてなかったみたいね」

 

昨日キリトさんが言ってた覚悟って、こういうことだったんだ......

 

「シリカ、『タイタンズハンド』は知ってるな?」

 

「最近有名なオレンジギルドですよね...?」

 

「こいつはそこのギルマスだ」

 

「そんな...!でも、ロザリアさんのカーソルは緑ですよ?」

 

「オレンジギルドって言っても、全員オレンジカーソルな訳ないでしょ。あたし達グリーンが街に入ってアイテム補充や獲物の下調べをして、オレンジの実行部隊にやらせるのよ」

 

そうか...この二週間同じパーティにいたのも、戦力やアイテム、お金の集まり具合を調べるため...

 

「ていうか、アンタそこまでわかっててこの子についてきた訳?本当に馬鹿なガキね」

 

「...あんたこそ、俺が全て知ってるのに何故わざわざ来たのか考えなかったのか?本当に馬鹿な行き遅れだな」

 

「...アンタのその生意気な口を聞くのも、これで最後よ!」

 

キリトさんの挑発に乗ったロザリアさんが合図をすると、仲間と思われる7人の男プレイヤーが木の陰から現れた。そのうち数人はオレンジカーソルだ。

 

「...まだわかってないみたいだな。良いぜ、相手してやる。全員まとめてかかってこいよ」

 

キリトさんが剣を抜いて構える。

 

「調子に乗るなァ!やっちまえ!」

 

同時に、7人の男が迫る。でもキリトさんは攻撃を避けようとしない。

 

「知名度あるのは良いけど、顔ももうちょい覚えて欲しいんだけどな...っ!」

 

キリトさんが左手で≪クイックチェンジ≫の操作をすると、何もなかった左手に真っ黒な剣が現れた。

 

「二本...?」

 

二本の剣を握りなおすと、向かってくる男たちの武器を全て弾いて、破壊していく。

最後には全員の武器を壊して、戦えなくしてしまった。

 

「...すごい」

 

「何してんのよアンタたち!」

 

「だから馬鹿だと言ったんだ、集団で襲ってくるのがわかってるのに、負けるようなレベルならわざわざ来ない」

 

「≪二刀流≫に≪武器破壊≫、全身黒のコート...!間違いない、こいつ攻略組の『黒の剣士』だ!」

 

キリトさんにやられた男の一人の言葉に、私もロザリアさんも耳を疑った。

 

『黒の剣士』といえば、『聖騎士』や『閃光』と並ぶ攻略組3強の1人...キリトさんがいろいろすごいのも、納得がいく。

 

「冗談でしょ、このガキが『黒の剣士』!?なんでこんな中層に...!」

 

「あんたら、10日くらい前『シルバーフラグス』ってギルドを襲ったな?リーダー以外の4人が殺されて、ギルドは壊滅した。

...リーダーだった男はな、最前線の転移門前で朝から晩まで仇討ちしてくれるやつを探してた。しかもあんたらを殺すんじゃなく、牢獄に入れてくれってな」

 

「...あいつか!」

 

ロザリアさんの顔が歪む。キリトさんはそれを気にせず続けた。

 

「これは彼が所持金全額叩いて買った回廊結晶だ。今からコイツで、全員牢獄に行ってもらう。

...あ、因みにあんたらが用意してた援軍だけど、昨日のうちに俺の相棒とヒゲが始末しておいてくれたから、回廊の向こうで待ってると思うぜ」

 

「...!?」

 

キリトさんが回廊結晶を掲げると、牢獄につながっている回廊が現れた。

 

「そいつらは良くてもグリーンカーソルのアタシを傷付ければ...!」

 

瞬間。

 

「殺すなとは言われたけど、事故で1人死んだって文句は言われないよな...?」

 

私の前に居たはずのキリトさんが、一瞬でロザリアさんの前まで移動して、首元に剣を突きつけていた。

 

「あ...あぁ...」

 

ロザリアさんはなす術が無いようで、構えていた槍を離した。

 

「俺たちを”殺す覚悟”はあったくせに、自分が”殺される覚悟”は無いとか言うなよ?」

 

...キリトさんが言った”覚悟”の本当の意味はこれだった。この世界では、”殺す覚悟”も”殺される覚悟”もしなくてはいけない。

だからこの人は強いんだと、この時わかった気がした。

 

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宿屋

 

「さてシリカ...ピナを蘇生する前に、謝らないといけないことがある」

 

「...はい」

 

「昨日俺が君を助けた時、ピナを助けられなかったと言ったけど...嘘だ。正確には、間に合ったのにわざと助けなかった。あいつらを纏めて圏外に出せるように、一緒にプネウマの花を取りに行く機会を作ったんだ」

 

「...薄々わかってました。あんなに強いのに、タイミング良く私だけ助けるのはおかしい...って」

 

「シリカもピナも無事で済むとはいえ、俺はピナの命とシリカの気持ちを弄ぶようなことをした。本当にごめん。君の気がすむなら、どんな罰でも受け入れる」

 

「したこと自体は確かに酷いかもしれない...けど。キリトさんが私にかけてくれた言葉や昔の話は、全部本当のことなんですよね?」

 

「あぁ、勿論だ」

 

「なら許します。だって、データだってわかってるのに”ピナの命”なんて言ってくれる人、良い人に決まってます」

 

「...ありがとう」

 

「...ひとつ、お願いしても良いですか?」

 

「あぁ、なんでも聞くよ」

 

「...その、あたし、キリトさんが...」

 

「シ、シリカ?顔近くないか?」

 

「キリトさん、私と...きゃあっ!?」

 

「危ないっ!...大丈夫、か...ご、ごめん!!わざとじゃない!」

 

 

 

 

「あ、あの...良い、ですよ?」

 

「えぇ!?い、いや、俺にはアスn「キリトくん!?ここ!?」ガチャ

 

「...え!?ど、どちら様ですか!?」

 

「...言い残すことは?」

 

「いや、これは事k「問答無用!!!」

 

ギャァァァァァァァァ..........

 




読んでくださりありがとうございます。シリカちゃんは今後もちゃんと登場する予定です。てか最近アスナさん空気...?

次回もよろしくおねがいします!
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