※3/16 タイトル変更しました
この作品のSAOでは、スキルスロットは次のように増える設定になっています。
初期2つ
lv5で3つ
lv10で4つ
lv15で5つ
lv20で6つ
その後はlv10毎に1つ増えていく...という感じです。
2022年 11月 6日 ホルンカ村近くの森
「っ...はぁぁっ!」
振り下ろされた触手を紙一重で仰け反って躱し、ガラ空きの胴体に片手剣単発ソードスキル≪スラント>を叩き込む。
クリティカルヒットした≪スラント≫が、植物型mob『リトルネペント』の4割程残っていたHPゲージを削りきり、ポリゴンの粒子となって爆散する。
「....ふぅ。コイツで70匹目...だったか?」
クラインと別れてから5時間くらい経っただろうか。
俺は今、≪アニール・ブレード≫を手に入れるためのクエスト「森の秘薬」に挑んでいる。
≪アニール・ブレード≫は、一層で手に入る片手直剣では最高の性能を誇り、強化していけば四層の前半くらいまで使える武器だ。因みに、俺はβ時代にも四層に上がるまではこの剣を使っており、愛着もあったため早めに手に入れたかったのだ。
『森の秘薬』は、病気の少女のために、森に稀に出現する「花付き」の『リトルネペント』を倒し、ドロップした素材アイテム(薬の材料になるらしい)を渡してクリアというシンプルなクエストだ。
しかし、この「花付き」の『リトルネペント』、出現率が超低いのに加え、外見がよく似た「実付き」の『リトルネペント』の実の部分を攻撃してしまうと、周囲のネペントを引き寄せるフェロモン的なものを発するのだ。もし今のデスゲームと化したSAOで実を割ってしまえば、集まったネペントに囲まれ、恐らく100%死ぬだろう。
だから慎重に慎重を重ね、4時間半もかけているわけだが.....
「....出ないな、花付き...」
おかげさまで初日にして7レベルまで上がってしまった。別に悪いことじゃないけどな。
...それにしても、気になるのは茅場さんの行方だ。あの赤ローブの中身は大体わかっているが、茅場さんの方は全く見当がつかない。どうにか連絡が取れれば、状況の整理が付くんだがな...。
だが、ただ一つ言えることは、茅場さんは恐らくプレイヤーとしてログインしているだろう。何故ならあの人は、自分で作ったゲームを見てるだけで満足する人ではないからだ。とすると茅場さんも、ココから出られな......い.....
「いたぁぁぁぁぁ!!」
何と花付きネペントがこっちに歩いて来たのだ。
花付き!!キタコレ!!っしゃあ!!
内心超大喜びで、逃がさないように≪疾走≫スキルアシスト全開のダッシュ切りを放った。
剣はネペントの右側の触手を切り裂き、2本あるHPゲージの1本目がささやかに削れた。
そしてグギャァァァという悲鳴とともに、戦闘BGMが流れ始める。だがその時。
「フッ...やっと会えたな」
何と、見知らぬ白い鎧が特徴的な盾持ち片手剣使いが、ネペントを切りつけたのだ。どうやら同じネペントを追っていたらしい。
ということはあいつも『森の秘薬』を進行中のプレイヤーだろう。しかし、だったら尚更花付きをくれてやるわけには行かないし、揉め事になったら面倒だ。そこで、
「なぁそこのアンタ!協力しないか!?アイテムはドロップした方の物ってことでさ!」
と、攻撃を躱しつつウィンドウを操作し、パーティ申請を送った。
すると男は、「了解した」とだけ呟いた。次の瞬間、視界左端に新たなHPバーと、そいつのアバター名が表示される。
なになに、名前は「Heathcliff」...ヒースクリフ?変な名前だな...っと、今は戦闘のことだけ考えないとな。
SAOのパーティ戦闘では、ダメージを多く与えたプレイヤーほど多く報酬が与えられる。つまり、ヒースクリフより多くダメージを与えれば、俺の方にキーアイテムがドロップする確率が高くなるわけだ。しかし、初日にこのクエストを受けているあたりこいつも恐らくβテスターだ。そう簡単にはいかないだろう。
ヒースクリフはネペントの触手を盾で器用にいなし、触手を剣で切りつけた。どうやら防御直後にカウンターという安定した戦闘スタイルのようだ。
見た所コイツはかなり強い。この戦法も、一度でも死ねないデスゲームに適している。第一、この時間、この状況でここまで来れて、かつ冷静に戦えてる時点で相当な手練だ。だが、与ダメージに関しては盾無しスピード型の俺の方が多いハズ。
俺はネペントが吐き出した溶解液をステップで躱し、射程距離の長めな片手剣単発ソードスキル≪ソニック・リープ≫で胴体に斬撃。この一撃で、1本目のHPゲージが残り4割程から残り2割程まで減った。
その後も攻撃し続け、敵2本目のHPゲージが残り2割強まで減少した。
よし、このまま一気に....何っ!?
「しまった...!」
なんと、先程の溶解液が着弾した地面に穴が。
油断した俺はすっ転んでしまい、転倒状態となった。
βの時は、液は暫くしたら消えて何の変化もなかったのに...
起き上がろうとしたが、目の前でネペントが大口を開けた。この前動作は噛みつき攻撃だ。普通なら避けるのは簡単だが、ネペントの攻撃パターンの中で1番威力がある。今の俺のHPは丁度半分。ノーガードでコレをくらったら...
その時。
「むんっ!」
なんとヒースクリフが片手剣単発ソードスキル≪ホリゾンタル≫をネペントの牙に当て、両者が大きくノックバックしたのだ。
「今だ立て!スイッチ!」
「うぉぉぉぉっ!」
立ち上がった俺は片手剣単発ソードスキル≪レイジスパイク≫を放ち、ネペントを一閃。お決まりのグギャァァァとポリゴンの爆散、おまけにレベルアップ音と共に、視界にCongratulations!の文字が表示される。
その下の入手アイテム欄にはなんと≪リトルネペントの胚珠≫の文字が。どうやら俺の方にドロップしたようだ。まぁ初手でタゲ取って、ラストアタックもキメたんだから当然か。
でも。
「ヒースクリフ...でいいんだよな。ほら」
アイテムストレージから件の胚珠をオブジェクト化し、ヒースクリフに差し出す。
「...アイテムはドロップした方の物、じゃなかったのかね?」
「さっき俺を助けなかったら、コレはアンタの物だったろ。俺はこれからもう一匹探すからいいよ。レベルも上がるしな」
そう言って、俺はヒースクリフに胚珠を持たせた。すると、
「フッ、やはり君ならそういうだろうと思ったよ、和人君」
「何だその何もかもお見通しみたい.....な.....
.........ん?」
「実はね、もう既に胚珠は一つ持っているんだよ、和人君」
おい。ちょっと待て。何ヶ所か突っ込ませろ。
「.....あのー、ヒースクリフ...さん?」
「何だね?」
「大変失礼だとは思うんですが....リアルでVR技術とか研究したりしちゃってます...?」
「うむ」
「...ていうか、茅場さん...ですよね?」
すると、よくぞ見破った!みたいな顔して、
「確かに私が茅場明彦だ」とか言ってきた。
そりゃあ強い訳だ...。
「やっぱり.......ていうか、なんでもう一個持ってるんですか?!それより、なぜSAOはこんな事に?それから....」
正体がわかって、山ほどあった聞きたいことが一気に溢れ出した。
「落ち着きたまえキリト君。まずはこの森を抜けようじゃないか」
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2022年 11月 6日 ホルンカ村
村に戻って最初にクエスト報告に向かい、俺と茅場さん...ヒースクリフは無事≪アニール・ブレード≫を入手した。
村を見渡した限り、俺達以外はまだ誰もここまで到達していないようだ。
それはさておき、とにかくまず状況を把握しておきたい。
「で。まず、なんでSAOはこんな事に?」
「うむ。キリト君は、あの赤ローブのアバターが誰か、気づいているだろう?」
「はい、あの中身、須郷さん...でしたっけ?あの人ですよね?」
「そうだ。この事件の発端は、今朝に遡る。SAOサーバーに、須郷君が細工していたようなんだ。どうにかそれを解除しようとしたんだが、正式サービスまでに時間が間に合わなくてね、しかもサーバーの強制停止も使えなかった。」
...やっぱりな。だってあの人、犯罪者みたいな顔してたもんな。
「その細工って、何をしてたんですか?」
「彼はナーヴギアに組み込まれているバッテリーから脳に電流を流し、人間の感情をコントロールする...そんな計画を立てていたようでね。サーバーからソフトを通じて、プレイヤーがログインした瞬間ナーヴギアのcpuにプログラムが上書きされるように仕組んだ。私は、それを防ぐため更にプログラムを上書きし、感情コントロールだけはどうにか防げた。だが、バッテリーを電流に変える命令と、ログアウト機能の消失は止められなかった。それが12時半頃のことだ。」
12時半...サービス開始30分前か。そりゃ間に合わないな。
そして感情をコントロール....?人が人にやっていい事じゃないだろそれ...まぁ防げたみたいでホッとした。
「じゃあ、ゲームオーバーしたら死ぬのをわかってて、なぜ茅場さんはSAOにログインしたんですか?」
「開発スタッフの誰にも言っていなかったが、初めは100層のラスボスは私で、誰かがクリアしたらSAOはサービス終了にし、全員を強制ログアウトさせる...そんな展開の予定だった。だから、クリアしたらログアウト出来る仕様はまだ生きている。そのための戦力になろうと思った次第だ」
よくそれだけでログインする気になりましたね...と言おうとしたが止めておいた。恐らく、ヒースクリフには特殊な能力かスキルか何かがあって、それが攻略に使えるのだろう。
「何より、私には開発者として責任がある」
「...それなら、俺も手伝います。俺だって開発チームの一員、ですよね?」
俺が言うと、ヒースクリフは嬉しそうに笑って、
「そうだな、ではよろしく頼む」と言った。
こうして俺は茅場さん...ヒースクリフと合流し、ゲームクリアを目指すことを強く心に誓ったのだった。
お読みいただきありがとうございます!
現時点でのレベル、スキルです↓↓
キリト lv8
片手直剣、索敵、疾走
主武器-アニール・ブレード
ヒースクリフ lv7
片手直剣 、盾防御、精密動作
主武器-アニール・ブレード
次回もよろしくお願いします!