いや、ロストソングが楽しくてですね、更新が益々亀ですね。キリトさんリーダーでスタバ無双するのがもう楽しいのなんのって...
それではどうぞ!
2022年 12月3日 第一層 トールバーナの街
「みんな!ついに今日はボス攻略戦本番だ!」
集まったプレイヤー達に向け、ディアベルが話し出した。
「1人も欠ける事なく集まってくれて、俺すげー嬉しいよ!早速だけど、アイテムや装備の状態は全員平気か?確認しておいてくれ!それから....」
「...立派なものね」
集団の装備や情報の確認を、1人で進行させているディアベルに向けてだろうか、フェンサーが言った。
「そうだな。でもフェンサー、それが『新規プレイヤーなのにリーダーとして立派』って意味なら、ちょっと間違ってるな」
俺がそう言ってやると、フェンサーはムッとした顔になって続けた。
「どこが間違ってるっていうのよ。それと、昨日から言おうと思ってたんだけど、そのフェンサーっていうのやめてくれない?恥ずかしいんだけど」
アレ、お気に召さなかったか?
「えっと...じゃあアスナ?」
「...それでいいわ」
なおも膨れっ面のフェン....アスナを見やって、俺は言った。
「...まぁいいや。んで、どこが間違ってるかっていうとな、彼の盾見えるだろ?ホラ、あの剣のマーク入ってるやつ」
ディアベルの盾を指差すと、アスナがこくっと頷いた。
「あの盾は、一層で手に入るバックラーの中では最高の性能を持ってる。とあるクエスト報酬なんだけど、そのクエ受ける場所がかなり見つけづらくてな、見つけたのはβ終了間際だった」
βテストで定員千人がほぼ全員活動して、2ヶ月で発見されたクエストを、たかが50人程しか活動していない攻略メンバーが一ヶ月で発見できる確率はかなり低いだろう。つまり....
「何が言いたいかっていうと、ディアベルはβテスターの可能性が高いって事だ」
「えっ...?」
大きく目を見開いたアスナは一瞬ディアベルを見ると、こちらに向き直った。
「...情報屋さんからクエストの情報を買ったんじゃないかしら?」
「ああ、それはノーだ」
アスナ情報屋なんて知ってたのか...
「実はそのクエ、俺がβテスト最終日に見つけたんだ。製品版に向けて一層に戻って色々調べててな。公開してないから、知ってるのは俺みたいに偶々見つけた奴くらいだろう」
そう、俺は製品版に移った際にスムーズにゲームを進められるよう、序盤層の高報酬のクエや良い宿などを色々探しまわっていたのだ。
「じゃあ...何故彼は正体を隠してレイドリーダーに?」
「さあな。まだ『かもしれない』ってだけだし、仮にそうだったとしても特に何かある訳じゃない」
ディアベル...『悪魔』の名は、素性を隠している事を示唆するものなのだろうか。そしてその目的は...?
「準備は出来たかな?それじゃあ、迷宮区塔に向けて出発!」
ディアベルの声に、プレイヤーたちが「おぉー!!」という勢い良い叫ぶと、剣士達は迷宮区へと歩き出したのだった。
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一時間半後 第一層迷宮区塔20階
流石に腕に自信のあるプレイヤーが44人いるだけあって、一人の死者もなく早い時間でボス部屋前までたどり着けた。
「みんな!聞いてくれ!」
床に剣を突き刺して、ディアベルが言った。
「俺から言うことはたった一つだ。勝とうぜ!」
ディアベルは扉の方に向き直り、スッと扉を押した。
いよいよ最初のボス戦が始まる。単純な強さで言えば、この扉の先にいるモンスターは一層で一番強い。2000人が死んだフロアの最後のボスだ、苦戦は免れないだろう。しかし、俺は昨日の会議でβテスターであることを明かし、あらゆるソードスキルの情報を伝えた。曲刀、両手剣、両手斧、そして刀。最初に持っている片手斧より火力が高い武器はこの四つだけで、その中級までのソードスキルの開始動作を全て教えた。
大丈夫だ、誰も死なない。
剣を握り直し、俺は開く扉の先をじっと見つめていた。
扉が完全に開いた。ディアベルを先頭に、プレイヤー達は薄暗い部屋を進む。そして、部屋の中央にたどり着いた。
「グルォォォォォォ!!」
馬鹿でかい鳴き声が部屋に響き、赤色の体の獣人が玉座から飛び降りて、斧を構え走ってきた。
すると、王の周りが光り、中から鎧を着込みポールアックスをもった衛兵が四体現れた。
湧きが一匹多い...読み通りだったな。
「攻撃開始!!」
ディアベルの指示とともに、各パーティが一斉に動き出した。
「行くぞアスナ!」
「了解!」
俺とアスナは、センチネルに向かって走り出した。
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戦闘開始から15分は経っただろうか。
ヒースクリフ達C隊が一撃見舞うと、ボスのHPゲージは残り1本に差し掛かった。同時に、更に四体のセンチネルが出現する。
すると、イルファングは片手斧とバックラーを投げ捨て、腰の武器を引き抜いた。
あれは...野太刀!
「スイッチ!」
新たに湧いた衛兵に≪バーチカル≫を打ち込むと、アスナが後方から飛び出し、≪リニアー≫で一閃する。この二撃で敵のHPが四割強削れる。
「アスナ!回避・防御優先で二十秒持ちこたえてくれ!」
「了解!」
アスナの返事を待つ間も惜しみ、俺はボスと戦っている本隊の元へ『疾走』スキル補正全開で走り出した。
「あれは刀だ!囲むとスタン付き範囲攻撃をしてくる!前方向への攻撃は無理に回避しないで、しっかりガードすれば致命傷は受けない!」
数秒で本隊に辿り着くと、必要最低限の指示だけして、すぐにアスナの元へ駆け出した。
「大丈夫か!」
「問題ないわ!」
走りながら剣を構え、少し距離がある衛兵に射程の長めな≪レイジスパイク≫を放ち、敵のポールアックスを弾く。
「スイッチ!」
「セァァァァッ!」
アスナの単発重攻撃技≪オブリーク≫で、センチネルのHPが更に削れる。やや下向きの技なので、≪リニアー≫より威力が高い。
その後一回のスイッチ攻撃で、センチネルのHPはゼロとなった。
このまま行けば問題ないな。全員落ち着いて対処できていたし、平均HPゲージも全隊まだ緑だ。後は最後まで何も変化がなければ...ん?
何かが変だ。玉座が......2つ?βの時は1つだった筈....
ちょうどボスのHPゲージが半分に入ったその時、玉座の方からSAO特有のしゅわぁぁんという出現サウンドが鳴った。小さい音だったが、確かに聞こえるボリュームで。
「...嘘だろ!?」
「...もう一匹!?」
俺とアスナが声を上げたのはほぼ同時だった。
二つ目の玉座に現れたのは、青い体の獣人だった。頭上には、『イルファング・ザ・コボルドクイーン』の文字と四段のHPゲージが表示されている。
この状況はヤバい!本隊はまだクイーンに気づいてない!とにかくクイーンが迫ってくる前にロードを倒さないと...!
「クソッ!アスナ、本隊に合流するぞ!」
「わかった!」
僅か数秒程でロードの元に着くと、背を向けている王のウィークポイントである後頭部に向け、助走付きで三連撃技≪シャープ・ネイル≫を放つ。すると、残り一割強程だったHPゲージがゼロになり、ロードはポリゴン片と化した。
視界にリザルトとラストアタック・ボーナス獲得のウィンドウが表示されるが、今はそれどころではない。
「予測外だった、二体目のボスだ!陣形を立て直して、HPが少ない奴は下がって早く回復しろ!」
LAを強引に攫っていったことに対してだろう、ディアベルを含む数人が何か言いたげにこちらを見つめていたが、クイーンを見るなり唖然とし、咎めてはこなかったのは救いだった。やはり彼はβテスターなのか...いや、それは後だ。
問題はクイーンの武器...あれはサイス!
「全員聞け!あの鎌が紫に光ったら絶対避けろ!即死攻撃が来るぞ!」
鎌は、βの最高到達層数である十層までには出てこないモンスター専用のスキルだ。まさか出てくるとは思わず、昨日は伝えていなかった。
「動ける奴は全員来い!」
出せる最大の声を発しクイーンに向かって走り出したが、『即死攻撃』というワードに気圧されたのか、ついてきたのほんの数人。アスナとヒースクリフ、確かB隊リーダーの黒い肌が目を引く両手斧使いの巨漢と、彼の仲間2人だけだった。他のレイドメンバーを見やると、立っている者の方が少ないほどだ。
「通常攻撃は殆ど縦方向だからステップで躱せる!ソードスキルは構えが横からなら薙ぎ払い、ガードできる!斜めからは即死攻撃だ!絶対避けろ!」
「了解!」やら「おう!」の返事をもらったところで、早速クイーンが薙ぎ払い技≪ワイド・ノック≫を放ってくる。
俺とアスナはジャンプして躱し、他の四人は防御で耐える。アスナ以外は直接パーティを組んでいないのでHPゲージを確認できないが、視界左の各パーティの平均HPゲージの減り具合を見た限り、重武装なら大したダメージはないだろう。俺とアスナは回避すればいい。
「はぁぁぁっ!」
スキル後の硬直の隙を突き、俺は水平二連撃技≪ホリゾンタル・アーク≫を、アスナは≪オブリーク≫を、ヒースクリフは≪シャープ・ネイル≫を、B隊の三人は単発技≪スマッシュ≫をそれぞれ繰り出す。するとクイーンのHPゲージは一段目の黄色ゾーンまで一気に削れた。どうやらスキルがヤバい分、HPはそこまで高くないようだ。
「よし、この調子で行くぞ!」
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元々のHPが低いからか、僅か3分でクイーンのHPバーの最後の一段が赤くなった。途中からセンチネルが追加で、しかも常時湧いたが、俺たちが抜けた分はダメージを負っていなかった隊のメンバーがカバーに加わった。
「あと少しだ!最後まで油断するなよ!」
すると、クイーンが鎌を斜に構えた。二連撃技≪ソウル・スライサー≫の構えだ。因みに実際に即死効果がある訳ではなく、この技は一撃目が当たると二撃目が必ずクリティカルするという恐ろしい効果付きで、それが即死攻撃の所以だ。
よし、ステップで躱してトドメを....
「うわぁぁぁっ!」
その時、真後ろで叫び声が聞こえた。他の隊が逃したセンチネルに、B隊の一人がスタンさせられたようだ。位置はクイーンのスキルの範囲ど真ん中。まずい、彼はもう...いや、ダメだ。最初のボス戦で、死人を出す訳にはいかない。彼を助けるには、あの鎌を...
ソードスキルで撃ち落とすしかない。
考えろ。どのスキルなら、どのタイミングなら止められる?チャンスは一瞬。あの細く尖った鎌の先端に、僅かなズレでも起こせば彼も俺も死ぬ。普通に考えれば無理ゲーだ。だが。
「楽しくなってきたぜ...!」
血湧き肉躍るってこんな感じなんだろうな。命を懸けたゲームで、一瞬の判断で生死が分かれる。これほど燃えたことが現実であっただろうか。
振り下ろされた紫に光る鎌を正面にし、剣を構える。
「...今だ!!」
俺は鎌に向け≪ホリゾンタル≫を放った。クイーンの鎌と俺の≪アニール・ブレード+6≫が激突し、大量の火花エフェクトが散る。
「...落ちろぉぉぉぉ!」
俺の咆哮とともに、両者がノックバックした。すると俺のアニール・ブレードからピシッという音が聞こえ、刀身には薄くヒビが入っていた。丈夫さ強化しといて良かった...
ディレイしているクイーンの横から、俺と後ろの彼を除く四人がソードスキルを浴びせる。最後はアスナの≪リニアー≫で、クイーンの体はポリゴンの欠片となった。
少し長い沈黙の後、Congratulation!の文字とファンファーレに続いて「「「わぁぁぁぁーーー!!!」」」というプレイヤー達の歓声が部屋中に響いた。
「はぁ、はぁ.....マジで死ぬかと思った......アンタ、大丈夫か?」
座り込んだまま、後ろでスタンしていた男に声をかけると、「ありがとう...本当にありがとう...」と泣きながら礼を言ってきた。
「あぁ、礼ならいいよ。おかげで面白い発見があったから」
俺にとって、ここは現実より現実だってこととかな。
そんなやりとりをしていると、視界に細くて白い手が現れた。
「お疲れ様」
「お疲れ、アスナ。えと、この手は何ですか...?」
何か取られるのか俺は?
「何もかもないでしょう、立つのに手を貸してあげてるのよ」
なんだそれだけか良かった。...ちょっとビビった。
アスナの手を取り立ち上がって、礼を言う。
「サンキューな。...あっ、あとLA獲得おめでとう」
「それはどうも。でも、今回の一番の功労者は貴方よ」
すると、先程の巨漢とその仲間、そしてヒースクリフが歩み寄ってきた。
「やったなキリト君、流石の剣術だ」
「Congratulation、素晴らしい剣技と指揮だった。...そういえばまだ名乗ってなかったな、俺はエギル。仲間を助けてくれて、ありがとよ」
「いや、俺の方こそありがとうだ。あの時、アンタらが臆せず付いて来てくれなかったら、きっと勝てなかった」
そういえば俺ってこんな風に互いを称え合ったりしたことってないな。なんか、こういうのもいいな...
「キリトさん」
後ろから声をかけてきたのはディアベルだった。
「ディアベル...LA奪うような真似して悪かった。コレは返すよ」
先の視線で、ディアベルはLAを狙っていたことがわかった。やはりβテスターだったようだ。恐らく、リーダーとして強くあらねば、と思ってのLA狙いだったのだろう。後々確執を残さないためにトレードウィンドウを出そうとしたが、ディアベルに手で制された。
「アイテムはゲットした人の物だ。一度言ったことは突き通すさ。ナイトだからね」
「...そうだったな。じゃあ、ありがたく貰っておくよ」
装備画面に移動し、≪コートオブミッドナイト≫を選択すると、今まで着ていたグレーのレザーコートが消え、深い黒色のロングコートが現れる。
「それと、指示したりとか、勝手なことやって悪かった」
「いいんだ。青い方が出てきてから、俺は殆ど役立たずだったからね。とにかく、全員無事だったのはキリトさんの尽力あってのことだ。本当に、ありがとう」
ディアベルは集団の方に向き直ると元気良く言った。
「みんなのお陰でボスを倒すことができた!さあ、二層へ行こう!」
かくして、アインクラッド第一層のボスは倒され、プレイヤー達は第二層へと進んだ。この大きな一歩は、約8000人のプレイヤー達の考えを大きく変え、遠くない未来に現実への帰還を思わせた。
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「なぁアスナ」
「何?」
長い階段を登る44人の一番下、最後尾の少年は、隣を歩く少女に言った。
「俺とコンビ組まないか?」
読んでくださり、ありがとうございます!
原作のキリトさんは戦闘中にキレるって言ってましたが、このキリトは戦闘中楽しくなっちゃいます。
キリト Lv14
片手直剣、索敵、隠密、疾走
アスナ Lv12
細剣、疾走、軽技、精密動作
次回もよろしくお願いします!