今後は生存報告とかしていきますし、書き溜めもあるので定期的に投下していきます。では↓
2023年 4月16日第26層主街区 宿屋
「ねぇキリト君、これ見て」
「.....おいおい、何だコレ」
25層の激闘から一夜明け、晴れて(ゲーム内で)婚姻関係となった俺とアスナは、アルゴ発行の新聞に目を通していた。因みにこの新聞、各層各街の一番大きい宿屋には必ず置いてあるので、ここにもフロントに行けば置いてある。しかしこんな朝早くに、いつ置いてるんだか.....
「『黒衣の剣士、ソードスキル連撃によりフロアボスを圧倒、驚異の50連撃!』.....って」
誰が撮ったのか、記録結晶によるスクリーンショットまで載せられていた。誰かは知らないがあの状況で写真撮ってる余裕があるなら、1ダメージでも与えたらどうだ。
「大袈裟にも程があるな...大体なんだよこの50連撃って、実際アイツ見てないだろ」
はぁー、と長く溜息を吐き、更に細かい字の文を読んでいくと、特徴的なサウンドが鳴り、目の前にメッセージ受信を知らせるウインドウが表示された。
「ん、メッセージ...ヒースクリフか」
「そういえばキリト君、ヒースクリフさんと仲良いの?いつもは無表情なのにあの人、キリト君と話してると何か生き生きしてる感じがするから」
夫婦の中とはいえ流石に彼の素性をバラすのはマズいので、今のところは誤魔化しておく。
「あー、リアルで知り合いなんだ。
なになに...『キリト君。25層クリアおめでとう。先の戦いでの剣技、見事だった。
本題だが、できるだけ早く第3層の主街区まで来てもらいたい。詳しくはそこで話そう。勿論アスナ君も共に来てくれたまえ。』...と」
第3層を指定してきた辺り、ギルド関係の話だと予想ができる。
「まぁ、取り敢えず行くだけ行ってみるか?」
「.....」
立ち上がろうとした時、白くて細い手が後ろから俺の胴に回され、ギュッと抱きしめてきた。
「それじゃあ、今までと同じじゃない。私達新婚だよ?」
「う...悪かった」
ウインドウの返信ボタンに触れ、本文を素早く入力、送信ボタンに触れる。これでOKだ。
「ヒースクリフには、明日にしてくれって頼んでおいたから、今日はどこか行こうか」
「本当!?やった!」
アスナは笑顔で、ぴょんぴょん跳ねて喜んだ。こんなになるほど喜んでくれるとは...旦那冥利?に尽きるな。
「んーと....そうだ、22層に綺麗な湖があってさ....」
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翌日 第3層主街区 カフェ
「キリト君、アスナ君、よく来てくれた。座ってくれ」
約束のカフェに入った俺達に、奥の方に座っていたヒースクリフが手招きしてきた。店の奥に進み、彼の前に腰掛ける。NPCの店員に飲み物を注文してから一瞬でやってきたコーヒー(に近い何か、らしい)を片手に、ヒースクリフは話し始めた。
「では早速だが、君たちを呼び出した理由について話そう。まずはこれを見てもらいたい」
「昨日の情報屋新聞ですね。これが何か?」
「記事をよく読んでくれ。『現最強プレイヤー』、『ゲームバランス崩壊寸前のシステム外スキル』、『一人でボスのHPの7割強を削った』...君ならばもうわかってくれただろう」
大体わかった。
「このままだと攻略に出てくる人数が減り、ゲームクリアが遠ざかる...」
「まだ危惧している段階だがね。そこでだ」
一拍置いて、ヒースクリフが次の言葉を発するその前に、俺は口を開いた。
「ギルドを作る...ですか?」
「そうだ」
...やっぱり。
「ここで新たに強力な攻略ギルドを立ち上げることで、プレイヤー達の士気を高めて行きたい。そこで君達二人を勧誘しに来た訳だ」
俺の顔を見て、アスナが声をかけてくれた。
「私はキリト君についていくよ」
ギルド...クライン達を見て、少しギルドへの憧れはあった。だが。
「有難いですけど、断らせてもらいます」
「そうか...理由を聞いても?」
「はい。確かに大きなギルドがあればプレイヤー全体の士気が上がるけど、今の俺にはギルド以前に守るべきものがあります。一部のプレイヤーからはβテスターでありチート紛いのシステム外スキルを使えるって事で良く思われてないから、そのうち狙われる事があるかもしれません。俺はアスナと自分を守ることで手一杯ですから...すみません、勝手を言って」
自分の正直な気持ちを言葉にした。本当はギルドに入りたい気持ちもあるが、今の俺にはアスナがいる。なんで顔赤いんだアスナ。
「いや、気にしないでくれ。聞いたところ二人はギルドそのものが嫌だという訳では無いのだろう?」
「はい、ですから機会があればまた誘ってください」
「その時は、いい返事を期待しているよ。ではキリト君、アスナ君。次のボス戦で会おう」
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数日後、ヒースクリフを含む12名の攻略組プレイヤーがギルド血盟騎士団を設立した事がアルゴ新聞に掲載された。初陣である26層フロアボス戦には2パーティで全団員が参加、臆することなく戦い、他プレイヤーに少なからず影響を与えることとなった。
「しかし強かったなー、ボスもKOBも」
「そうだね...私達この先大丈夫かな」
因みにヒースクリフはアルゴ新聞のインタビューで『いずれ血盟騎士団をアインクラッド最強のギルドにまで育てる』とまで語っていた。
「ソロより全然マシさ。ヒースクリフはまだ俺たちを勧誘する気でいるみたいだし、本当に厳しくなったら厄介になろうぜ。それに、どんなにヤバい状況でもアスナは絶対に俺が守るから」
「なんでそういう恥ずかしい事をはっきり言うのよ...」
何故か赤くなったアスナが小声で何か言っていた。
「とにかく、私達も負けないようにかんばりましょ」
「そうだな、じゃ行くか」
お互いに「出会った頃とは大分変わったなぁ」とか思いながら、俺達は27層の主街区を目指して歩き出した。
読んでいただきありがとうございます。今回は短めでした。今後はオリジナルの武器やスキルを登場させていく予定です。
次回はあの娘が...?