「・・・・・え、う、うそだろ、な、なんであの毛利元就がここに??」
「君がどう想像しているのか知らないけど、私は毛利元就というただの人間だよ」
華琳に呼ばれ玉座に来たはいいものの、突然現れた男は自分のことをたいしたものではないというがごとく
しれっと自己紹介をした。
「いやいやいやいや・・・毛利元就さんって日本・・
いや、日の本の中国地方一帯を
たった一代で征服した
あの毛利元就さんなんですか?」
「おや、君は私のことを知っているのかい?」
「マジかよ・・・あ、俺は北郷一刀っていいます。
ここにくる前は元就さんの400年後の日の本にいたんです。だから元就さんのことも知っているんです」
『ふむ、私のようなことになった者がここにいたとはね、これならさっきの曹操殿の反応も頷ける』
先程の華琳との会談の際、彼は華琳が一瞬だけ一人納得したような表情をしたのを
見逃さなかったのである。
「あら、やっぱり一刀の知り合いだったの?」
「いや、知り合いというより俺がこの人を一方的に知っているんだ。なんせ、俺のいた時代では有名人だからね」
「ねぇ、一刀、今、あなたが元就の国で400年後を生きていたっていったわね?ということは、元就も天の国から来たってこと?」
「ああ、そういうことになるな」
「一刀君、天の国ってなんだい?もしかして・・・」
「日の本のことですよ、何故かここでは天の国って呼ばれて増すけどね」
「この時代でいうと、たしか倭国って日の本はいわれてたと記憶しているんだけど?」
「たぶん通じないと思う」
これには元就も頭を掻くしかない。
「ちょうどいいわ、一刀が元就のことを知っているのなら、元就がどんな人なのか教えてくれる?」
華琳が一刀に訪ねると、一刀は自分の知っている毛利元就のことについて話し始めた。
元々は弱小の豪族であったこと、謀略を駆使して強者になびいて力を強めていったこと、吉川、小早川に自分の息子達を養子に出すなど他の勢力を懐柔していったこと、最終的には日の本の中国地方一帯を征服して
天下にその名を知らしめ、謀神とまでいわれるように
なったこと、など、知っていることを出来るだけ
華琳達にも理解できるように説明した。
「・・・・・と、これぐらいだな、俺の知っていることは」
「ありがとう、フフッ、どうやら、かなりの拾い物をしたようね」
「ハハッ、そこまで、後世では私は有名になっているとはね・・・さすがに少し恥ずかしいな」
「それほどあなたが実力があるってこと、そうね、ただ者ではないと思っていたけどもさっきの一刀の
説明を聞いてみて、惜しいわねそんな人材をしばらくの間だけここにおくのは・・・ねえ、元就、私に仕えなさい、私はいずれ覇王として
この国に君臨する。あなたの才、私に必要になるに
違いないわ」
「華琳様・・・また悪い癖が・・・」
「なるほど、思っていたとおりの人物だね、でも、
その前にいくつか聞かせてくれないか?」
「華琳様からの仕官の誘いだぞ!黙って従え!!」
「春蘭、あなたは黙ってて、それで私に聞きたいことって?」
いじける春蘭をよそに華琳は元就に促す。少し春蘭に同情しつつも元就は口を開いた。
「まず、君はこの国をどう思う?」
「この国は腐っている。朝廷は宦官どもが政治の実権
を握り、役人たちは私服を肥やすことにしか興味がなく、税を重くし民たちのことを省みることはない。民たちの中にもまともに食べていけずに賊に身を落とす者もいる、いずれ大きな動きがあるわ」
「じゃあ次に、君のことだし、その大きな動きに
乗じて名をあげ、力を得ようとするだろう、その時、民たちが君についていけないと判断し、他の人物が治める国に逃亡しようとする。その時君はどうする?」
この質問には華琳たちは面を喰らった、春蘭、秋蘭は
殺気立ち、一刀も怒りの表情を浮かべている。
「面白いことを聞くわね」
「大事なことだ、答えてくれないかい?」
本人はそのことに異も介さない。その目には智者の輝きがあった。
「私は民が逃げたくなるような状況を作ることは
ないわ」
笑みを浮かべつつ、華琳は返答した。
『なるほど、そうくるとはね・・・さすがだ。
自分のやることに確固たる自信を持っている。
それに、そもそもこの質問に笑いながら
答える人なんてめったにいない、いや、彼女だから
こそなのかもしれないな』
「他にはもうないのかしら?」
「最後に一つ、君はここにいる元嬢殿達のことをどう思っている?」
「天下を統一し、その後も共に歩んでゆく配下であり
、私の足りないところを補う仲間よ」
しばらく元就は思案し、
「わかった。君はただ天下を統一するだけでなく
民を救うことも考えている、ということだね?」
「ええ、そうよ、民のいない国なんて
国とはいえないわ」
ふむ、と元就は呟くと今までのことを考えた。
何故自分は死なず再び生を受けたのか、そして天下を
所望する人物の下にきたのか、かつて、中国地方一帯を制し望めば掴むことを可能だったかもしれない天下に興味を示さず、天下を平和へと導くことをしなかった罰なのかもしれない。そうなると元就がこれからやるべきことそれは、
「わかった、毛利元就、曹孟徳に仕え、君の
天下取りへの手助けを微力ながらするとしよう」
子どもに声をかけるような穏やかな口調であったが、
その目には覚悟が宿っていた、天下統一をこの目で
見ようと。
「フフッ、覚悟したようね、私の考えとあなたの考え
は異なるかもしれないのに」
「っ!?気付いてたのかい?」
「最初に会った時から気付いてたわ、でもね、私についていけないような人を誘うことなんて、
私はしないわ」
「あははっ、どうやら君にはかないそうにないな」
当然よ、と華琳は言うと
「私の真名は華琳よ、以後はそう呼んで構わないわ」
「いいのかい?」
「だって、これからはあなたも私たちの仲間でしょ」
「フフッ、そうだね違いない」
「華琳様が許すなら私も許す!!私の真名は春蘭だ!」
「私の真名は秋蘭だ、以後よろしくな、元就殿」
「ええと、俺のことは一刀でいいよ、君付けされるのは、なんだかむずかゆいし」
「わかった、皆、今後はよろしくね」
こうして、元就は華琳に仕えることになった。
信長に似て、信長に似ていない華琳に元就は興味を
持ったのである。それは、信長にはない部下への優しさを持っていること。かつて、上月城を見殺しにした
信長に元就はわずかながらに怒りを覚えた。
あの状況下では仕方ないとはいえ、あんなにもあっさりと決断したのには得心がゆかなかったのである。
だが、華琳は違う、味方が危機に陥ったら自らの危険を省みずに助けに行くだろう。どちらかというと羽柴秀吉に似ていると感じた。敵であろうと才あるものは
味方に入れたがり、
味方が窮地の時は助けようとする。
『さしずめ、私は半兵衛、官兵衛と言ったところか』
非情な判断を必要とする軍師でありながら、なんだかんだで味方を見捨てようとせず、上月城を見捨てなかった二人の軍師を思い浮かべ、元就は苦笑いを浮かべた。
『そして、これから大きくなっていく彼女たちのことも見守っていかないとね』
長い人生を歩んできた元就にとって華琳達はまだまだ
青い存在なのである。
「よし!元就、さっそく、外に来い、
私と手合わせしろ!!」
「・・・・・へ?」
「まったく、姉者は聞いてなかったのか、さっきの
一刀の話から元就殿は明らかに知略の人だ、そうだろう?元就殿」
「ああ、私は基本的に頭脳労働専門だよ」
そういうと秋蘭に近づいて
「君の姉君はああいう人なんだね」
「ああ、策を立てた時姉者にはわかりやすく別で説明
してくれ」
お互いに溜め息が出た。
「?何を話してるんだ、二人は?」
「知らないでいいわ、春蘭」
「なんだか、今なら元就さんが考えていることが
想像できそうだよ・・・」
「???」
春蘭以外に溜め息が広がった。
毛利元就の容姿ですけど
戦国無双4から戦国無双3になった
ということで