睦月「大変だよぉ! 如月ちゃんが沈んじゃいそうなの!」
如月「大丈夫。ほら、この綺麗な肌。傷ひとつ無いわ」
睦月「ど、どうして!?
戦艦タ級フラグシップのゼロ距離射撃を顔面に受けたのに!」
如月「それはね、美の女神様が祝福してくれたのよ♪」
どんな轟沈にもフラグクラッシュ!
応急修理女神は、500円!!
睦月「アナタに祝福を!」
睦月・如月「シャイニー☆」
「各艦、散開。
偵察の結果、敵機は駆逐艦4隻です。
慌てず焦らず確実に、
日々の訓練を活かして下さい」
「はい!」「了解です」「ぽい!」「おうっ!」
神通は吹雪に付き添い、
睦月と如月は連携を組み、
島風、夕立はそれぞれ単独で、
一隻づつ相手取る。
大きな口を開け、
その中には砲身がある。
深海棲艦はその漆黒を海に浮かべて、
魚の目のようなものを艦娘に向けている。
大きさは軍艦に比べれば遥かに小さい。
体当たりを受けたとしても、
並みの軍艦なら揺れる程度だ。
しかし、持っている攻撃力は軍艦と遜色ない。
小柄で的も小さく、波の抵抗も殆ど無いので、
機動力も高速かつ縦横無尽。
同じサイズ、同じく縦横無尽に海原を駆け抜ける、
艦娘であるからこそ太刀打ち出来る相手といえる。
「こっちよ、撃っちゃうわね!」
如月の先制射撃が水柱を立てる。
反応した敵駆逐艦が如月にその身を向けて、
砲身を覗かせた。
「如月ちゃん!」
睦月の射撃は敵駆逐艦の側面を叩いた。
着弾を示す黒煙が上がる。
敵は砲撃のタイミングがずれて、
如月から大きく外れた方向に砲弾を走らせた。
「かったいわねぇ」
如月は射角を調整し、弾着地点を定め、
「やっちゃうわよ!」
敵駆逐艦への口内射撃で、
内蔵されていた魚雷などに誘爆し、
敵駆逐艦は爆散した。
「連装砲ちゃん、いっくよ~!」
島風は快速で砲弾をかわし肉薄、
両側面に連装砲ちゃんを配置、
挟み撃ちで動けなくしたところに、
魚雷を投げつけた。
海の中ではなく海上で爆発した魚雷は、
ひときわ大きく炸裂する。
「沈むのはっや~い」
「わ、わ! 撃ってくる!
ちょっと必死っぽい!?」
感覚を鋭敏にした夕立は、
敵駆逐艦の射角を目視して、
安全圏に避難をする。
魚雷を発射した敵駆逐艦を見て、
瞳を光らせて正面から急接近。
「魚雷っぽい!」
魚雷を持って放物線上に投げ、
余った手で右側面に射撃。
たまらず左に逃げ込んだ敵駆逐艦、
そこに置き撃ちされていた魚雷に着弾し、
海の藻屑と化した。
連携攻撃、
強襲と捕捉、
三点同時攻撃。
瞬く間に撃沈された敵駆逐艦を見て、
吹雪は圧倒されていた。
自分も負けられない。
「ええい!」
残る一隻に射撃を行うも、
全く出鱈目な方向に水柱が立った。
「基本は挟叉です。
如月さんのように、
弾着地点を修正し、
慌てず狙いを定めて下さい」
神通にそう言われたものの、
吹雪は敵の攻撃を回避するので精一杯で、
誤差修正など不可能に近い。
激しく動くことで、
どういう角度で撃っていたかも忘れてしまい、
相変わらず狙いが的を外れている。
「当たりませんん! 助けてくださいい!」
「そうですか。挟叉は今度練習するとして、
では確実に当てる方法を教えます」
吹雪に狙いを定める敵の、
背後に回って急発進。
神通は静かに、
気付かれることなく敵駆逐艦の背後に着いた。
「この距離なら、多少外れても大丈夫です」
金属のひしゃげる音と、
砲撃の音が海に幾度か響き、
急速回頭した駆逐艦に肉薄したまま、
神通は砲撃のみで駆逐艦を沈黙、
撃沈させた。
「怪我はありませんか? 吹雪さん」
「は、はいいぃい……」
回避だけに専念していたためか、
かすり傷ひとつない。
他の面々も同じで、
弾薬を消費したこと以外は無傷だ。
「初の戦闘お疲れ様です。
先ほどまでは浮かぶことも叶わなかったのに、
いまではすっかり回避まで出来ています」
「あれ……そういえば、はい、
出来てました! 私!」
「これで砲撃もあたっていたら、
アイスの1つでも差し入れしていたのですが。
……今はこれで上出来でしょう」
散開していた第三水雷戦隊が再び集まり、
本来の目的である遠征に向かった。
「でも、神通さん、何だか忍者っぽい……」
「吹雪ちゃん、
『ぽい』は夕立の台詞だから取らないで!」
「忍者……神通さんのお姉ちゃんが、
忍者みたいだからねえ」
そのまま何事もなく遠征は成功。
資源を確保して帰投する。
港で艤装を預けると、
全員が持ち場に戻った。
「今度、特訓しましょうね」
神通が最後に吹雪に言い残して去っていく。
途端にお腹が腹減りを告た吹雪は、
睦月と如月に連れられて、
売店に向かった。
「食堂みたいなところはないの?」
「あるんだけど、まだ開いていないんだよ。
本土のお菓子とか買おうと思って」
「燃料の足しにならないけど、
何か食べるのも大事なことなのよねえ」
艦娘は元々はただの一般人が殆どである。
艤装に適性のある艦娘だけが選りすぐられ、
艤装に見合った改修をされる。
人権を主張する団体の発言などもあったが、
飢え苦しむ中でその発言は白眼視されていた。
彼女たちは普通の食事ではお腹の足しに出来ない。
艤装には弾薬を補充し、
彼女たちは燃料を補給する。
燃料といえば油を連想するが、
普通の食事という形で支給される。
ただし、人的に有害なものであるため、
艦娘以外は間違っても食べてはいけない。
「懐かしいお菓子あるかな~」
楽しみな顔を浮かべた睦月。
彼女たちにとってこういった人間の娯楽は、
人であることを忘れないために必要なことなのである。
「売店の店番っぽい」
割烹着を着込んだ夕立が、
売店のレジに立っていた。
ここの売店は日替わりで艦娘が店番をしている。
「夕立ちゃん! 似合ってる、うん!」
「ありがとう吹雪ちゃん。
こういうのも新鮮っぽい」
売店に並んだ商材の中から、
お菓子を選んで幾つか購入。
誰が何を買ったかを打ち込み、
振り込まれた残高以上になっていないかを確認。
「えっと……この……ボタンだったかな?
……うう、夕立こういうの苦手っぽい……。
助けて時雨ぇ……」
苦言を呈しながらも、
夕立は見事正確に打ち込むことに成功した。
彼女たちが楽しむ中で、
戦艦や空母などが食堂に集まり、
何やら企みをしていた。
1-3まで続くっぽい。