艦これ 反改   作:RS

8 / 14
第2-5話

 

「だぁめだぁああああ……」

 

全身筋肉痛の吹雪が、

夜風に当たるため岬に佇んでいる。

 

戦いを通してわかる、

自分の不甲斐なさに打ちのめされていた。

 

「折角旗艦で皆にいいところも見せられるかも―って、

 思ってたのに……イイトコ全然ないし……」

 

 

駆逐艦が旗艦を務める機会は早々無い。

あったとしても、遠征や、比較的安全な海域での、

哨戒任務が常である。

 

演習や戦闘においては、

重巡や戦艦などが旗艦を務めることが多い。

 

 

月が海を照らそうとしているが、

黒いうねりはどこまでも黒く、

光の侵入を許そうとはしない。

 

 

「……なんのために呼ばれたんだろう、私」

 

 

前にいた鎮守府から通達されたのは、

今いる鎮守府への編入。

荷造りなどは全て、前の提督が行っていたので、

吹雪は皆にさよならを言う間もなくここへと来た。

 

 

座学だけなら誰よりも積んでいた。

だから旗艦になってもそれほど慌てずにすんだのだ。

 

「きっと、いらなかったんだよね……」

 

最後に見た提督の顔は、

苦しげに、無理やり笑っていた。

気を使う反面、裏に見えた顔が、

吹雪の心に若干の刺を残している。

 

 

吹雪はここに来て、赤城の姿を見て、

一目で憧れて、頑張ってみた。

 

ところが今日の演習を見る限り、

吹雪は、ここにいる意味がわからなくなりかけている。

 

 

皆強くて優秀なのだ。

 

今日演習をした全員、

強烈な個性を持っている曲者ぞろいであるが、

同時に強力な戦闘力を持っている。

 

自分では到底すぐには追いつけないほどに。

 

 

そんな鎮守府に、素人を送り出したとしても、

戦力になるとは思えないし、

足手まといになるかもしれない。

 

吹雪は自己嫌悪の渦中にいた。

 

すると、背後に気配を感じる。

振り返れば、旗艦2人がいた。

 

 

「Heyブッキー!

 こんなところで何してるですか?」

 

「吹雪ちゃんお疲れー。

 ねぇねぇ、牛乳とコーヒー牛乳あるけど、

 どっちが飲みたい?」

 

 

戦艦金剛、軽巡洋艦那珂がそこにはいた。

金剛は艤装を完全にとった状態で、

那珂は艤装どころか服も寝巻きの状態だ。

 

 

「あ、え、……はっ!

 お、お疲れ様です!」

 

 

すぐに敬礼する吹雪に、

金剛も那珂も笑う。

屈託なく笑う2人を見て、

素直に素敵だと、吹雪は思った。

 

 

「ブッキー何しょげてるですかー?

 もしかして、負けたからですかー?」

 

「その、えっと……はい」

 

「駄目だよ吹雪ちゃん。

 女の子は笑顔が大事なんだからねっ☆

 はい、牛乳! カルシウムだよー」

 

 

牛乳ビンを吹雪に渡し、

那珂はコーヒー牛乳を開けた。

 

 

「Oh、中々美味しそうですね」

 

「だーめ。これは那珂ちゃんのだから、

 金剛先輩は自分で買ってきて」

 

「つれないよ那珂ちゃーん。

 1口だけ、1口だけでも~」

 

「だーめ。アイドルは、

 間接でもちゅーしちゃ駄目なの」

 

 

唇を尖らせた金剛は、

どこからともなくティーセットを取り出し、

ポットから紅茶を出した。

湯気が夜風に当たってくゆる。

 

 

「ふふ~んだ。

 英国にはコーヒーよりも紅茶があるから、

 全然、ほんと全然良いんだもんネ~」

 

 

吹雪は牛乳を飲む前に、

「あのっ」と口をはさむ。

 

 

「お、お二人共、私なんかのために……」

 

 

そう言葉を繋いでいくと、

金剛がムッとして吹雪にでこピンした。

 

 

「あいてっ!?」

 

「『なんか』なんて、いっちゃ駄目でしょー。

 もっと自信を持ってくださーい」

 

「そうだよ吹雪ちゃん。

 アイドルは誰もがセンターに立つ、

 そういう気合いで行かなきゃいけないの!

 自信がないならつければいいの。

 那珂ちゃんを見て!

 この溢れ出る艦隊のアイドルとしての自信!!」

 

「す、凄いですけど、

 私アイドルじゃあ」

 

「女の子は誰だってアイドルになれるの。

 つまり、女の子はアイドルのタマゴ!

 そう那珂ちゃんが、皆のハートを、

 釘付けにするの!」

 

「HAHAHA!

 那珂ちゃんは本当に可愛いでーす!

 ブッキー、今日の戦いですが、

 皆まだまだ強くなれます!

 今度やる時は、私に一撃当てて唸らせてみてクダサーイ!」

 

 

ほどなくして、

嵐のごとく金剛と那珂は帰っていった。

自己嫌悪に陥っている暇はない。

吹雪は岬から鎮守府へと帰っていった。

 






次回予告

 那珂「いっくよ~!」
 阿賀野「ユニットライブ!」

資材。円盤。ファンクラブ。
この世の全てを手に入れた女、
トップアイドル軽巡棲鬼。
彼女の撃沈前に放った一言は、
全艦娘をスポットライトへと駆り立てた。

「ワタシノファンカ……ホシケレバクレテヤル。
 サガセ! ワタシノスベテヲオイテキタ!」

艦娘たちはレジェンドロードを突き進み、
夢を追い続ける。
世はまさに、アイドル戦国時代!


次回 艦ピース!

第1話「センター那珂ちゃん!」

デュエルスタンバイ!!
















異常に強い那珂ちゃん。
如何でしたでしょうか。
二次創作だとあまり見かけませんでしたので、
やってみた次第です。

神通という鬼教官。
それが姉にいるのですから、
強くないわけがないというわけで、
こんな強さになりました。

実際改ニになれば強いですし。


さて、次回はアニメでもかなり話題になった3話。
明日の最終回次第で、
この3話の価値がはっきりするはずです。
如月ちゃん……無駄に沈んだんじゃないならいいんだ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。