真・恋姫†無双〜中華に響く熱き歌〜   作:ま未来への咆哮

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お久しぶりです!
今回の話は前回以上に難産でした。
いつもは3000字程度ですが、今回は5000字を初めて超えました。
あと、今回は地の文が多く、作品中のキャラたちが
この子はこんなキャラじゃねえよ!
この子はこんなしゃべり方しねえよ!
というような部分が多いと思います。
あらかじめご了承ください。
では、どうぞ!
※後書きに今回の話のネタバレがあります。


第14話 嫉妬

祠に住んでいる化け物こと呂布、真名は恋と歌にて心を通わせたバサラ。

そこでとんとんが呂布になぜこんな化け物の振りをしてまで食べ物を置かせていたのか尋ねる。

それに呂布は

 

「・・・」

 

無言で近くの繁みを指差す。

そこからは

 

『あん!あん!』

 

大量の犬が出てきた。

 

「・・・この仔たちのご飯、もらうため・・・」

 

そう言いながら近寄ってきた犬たちを撫でる。

 

「・・・悪いことだとは分かってた。けど、恋は恋がお腹いっぱい食べれなくても、この仔たちはお腹いっぱい食べてほしかった。」

 

「そうだったんですか・・・」

 

呂布の言葉を聞き、とんとんはそんな声を上げてしまう。

とんとんから見た呂布は、武の腕は西涼にて鍛えられてきた自分から見ても見たことがないほどだった。

それ程の腕を持ちながら、とても澄み切った水のように純粋な心の持ち主でもある。

そんな人物がこんなことをやるには何か理由がいる。

そう思っていたとんとんは呂布の言葉で納得した。

その一方でバサラは、

 

「なんだなんだお前ら。そんなにおれの歌が聴きたいのかよ。

なら聴かしてやるぜ!いくぜ!突撃ラブハート!」

 

と足元や周辺に寄ってくる犬たちに歌っていた。

だが、その曲調はいつもと違っていた。

いつもなら曲がテンポ良く早く流れ、歌もそれに合わせて歌うが、今歌っているのは曲はゆっくり流れ、歌もそれに合わせている。

そのため、いつもの早いテンポで勢い良く歌わずに、ゆっくりと言葉一つ一つに思いを込めるかのように歌う。

それを聴いていたとんとんは少し驚きながらも笑顔であった。

村や祠で歌っていたバサラの歌は熱く燃え上がるかのような、胸の奥から何かが込み上げてくるかのような歌だった。

だが今はどちらかと言えば静かに落ち着かせるような、さながら子供を眠らせるために子守唄を歌う母親のようであった。

 

(バサラさん、こんな歌い方もできるんだ。この人はいろんな歌を、歌い方を聴かせるために、どれだけの努力をしてきたんだろう・・・)

 

そう思うと、改めてバサラに尊敬の念を抱くとんとんであった。

 

 

それから一晩を祠で過ごし、村へと帰った。

村人たちに今回の件の報告へと戻ってきたのだが、村人たちは、呂布のような女性が化け物の正体であることに驚いていた。

それは大の男が3人がかりでも持ち上げられそうにない岩をたった1人で動かし、あまつさえ祠の入り口に置いてしまったのだから、しょうがない。

当の呂布は何を驚いているのか分からず、首を傾げている。

そこでとんとんは、呂布を村に置いてくれないかと頼む。

これは、呂布がこの村に迷惑をかけたことは重々承知の上でのことである。

最初とんとんは、呂布から感じた武の才から軍に入ってはどうかと勧めようとした。

だが、呂布はこれまで見たことが無いほどの純粋さも合わせ持っていた。

今回の件は拾った犬たちのご飯が目当てということがそれを証明していると思った。

そのため、呂布を軍に勧誘するのを躊躇っていた。

それに今回の件で呂布だけでなく役人の対処にも問題があると考えていた。

そして、この『并州の刺使』として責任を感じていたため、呂布のことを村人が歓迎しなければ、軍に勧誘するのを躊躇ってはいたが、私のほうでなんとかしようと考えていた。

だが、村人は呂布1人ならともかく、犬たちの面倒まで見ることはできない、今の世の中で犬に食べ物を回すくらいなら村の人に回す方がいい、と答えた。

とんとんは村人にそれ以上何も言えなかった。

 

とんとんが村人に呂布のことをお願いしてから少しして

 

「すみませんでした、呂布さん。お役に立てなくて。」

 

「・・・とんとんが謝ることじゃない。悪いのは恋。」

 

2人は呂布とその犬たちが村に住むのを断られ、お互いに自分が悪いと謝罪していた。

その後にこれからどうしようかと話していた。

そこでとんとんが

 

「あの、もしよろしければ、私の家に来てはどうでしょうか。呂布さんと犬たちの面倒くらいなら見れると思いますし。バサラさんもどうですか?」

 

自分の家に来るように誘ってきた。

それに呂布とバサラは

 

「・・・いいの?」

 

「いいのか?」

 

とそれぞれ口にした。

それにとんとんは

 

「はい!是非いらして下さい!」

 

と笑顔で答えた。

こうして、2人はとんとんの家に行くことになった。

 

 

 

村を出て1日程歩き、并州の太原にある晋陽に着いた。

陳留と比べたら少し小さいが、活気のある街である。

 

「へえ・・・なかなか元気そうな街じゃねえか。」

 

バサラがそう評した。

そこでとんとんが

 

「ふふ、ありがとうございます。それではさっそく私の家に行きましょう!」

と言った。

笑顔で大変嬉しそうである。

 

「?なんか嬉しそうだな、あいつ。」

 

はしゃぐとんとんにバサラは首を傾げながらそう呟く。

 

道中で食べ物屋の食べ物の前で呂布が物欲しそうに見てその食べ物屋で肉まんをたくさん買ってはむはむと頬をハムスターのように膨らませながら食べたりしていた。

その様子をとんとんは笑顔で可愛いものを見る目になっていた。

分かりやすく言うと骨抜きになっていた。

そうこうしながらとんとんの家に着いた一行だった。

が、

 

「ただいま戻りました。」

 

「お帰りなさいませ、『董太守』様。『賈詡軍師』がお探しでしたよ。」

 

「ありがとうございます。私も賈詡軍師にお話しがありますので、ちょうど良かったです。賈詡軍師を呼んでください。」

 

「はっ!分かりました。」

 

と衛兵らしき男と会話をするとんとんがいた。

それ以外にもとんとんが家と言っていたのは晋陽の街の中央に位置する一際大きな建物であった。

つまり、とんとんは相当な権力者の関係者であることが分かる。

そして、建物の中を歩き、ある部屋に入ったとんとんとバサラと呂布とその犬たち。

ちなみに途中建物の中で何人かとすれ違うが、犬たちの姿を見て驚いている様子であった。

部屋の中を見ると目の前に大きな机があり、その上には細い竹の束や筆が乗っている。

その机の前にとんとんが行き、バサラたちの方を向いた。

 

「バサラさん。呂布さん。ようこそ我が城へおいでくださいました。

そしてバサラさん、呂布さんに謝罪したいことがあります。」

 

「謝罪?なんだあ?」

 

「・・・?」

 

とんとんの言葉にバサラと呂布が首を傾げる。

 

「それは、あなたたちに偽名を名乗ってしまったことです。実は私はこの并州の刺使を任されています。城下に出る際に本名を名乗ってしまったら、お忍びで出る意味がありませんし、何よりいらぬ争いの元を作ってしまうかもしれません。そのために偽名を名乗っていました。本当にすみませんでした。」

 

そう言ってとんとんはバサラと呂布に頭を下げた。

 

「別に気にしてねーよ。だから頭上げてくれよ。」

 

「・・・恋も気にしてない。」

 

「ありがとうございます。改めて自己紹介させてください。

私は性は董、名は卓、字は仲穎です。よろしくお願いします。」

 

「おう、よろしくな。」

 

「・・・よろしく」

 

「はい。あと一つお願いがあるのですが、真名を預かっていただけませんか?」

 

「いいのか?」

 

「はい、バサラさんなら。あと、呂布さんにも預かって欲しいのですが、どうでしょうか?」

 

「・・・うん、預かる。この仔たちの面倒みてくれる人なら、悪い人じゃない。」

 

「ありがとうございます!バサラさんはいかがでしょうか?」

 

「ああ、いいぜ。おれは真名は無えから好きに呼びな。」

 

「あ、ありがとうございます。私の真名は月(ゆえ)と言います。」

 

「・・・恋の真名も月に預ける。」

 

こうして、とんとん改め董卓、真名を月の自己紹介が終わった頃にこの部屋の扉を開く音がした。

 

「月!」

 

そう叫んで部屋に入ってきたのは緑色の髪を三つ編みにしていて眼鏡を掛けた小柄な少女であった。

その少女は、月とバサラたちの姿を目にし、バサラたちを何者なのかと疑うような視線を投げた後、月に視線を戻し、月のそばまで歩み寄る。

 

「月!どこに行ってたのよ!出かけるなら、僕に一声かけてよ!心配したじゃない、もう〜。」

 

そう言うが、言葉や態度から本当に心配していたのがはたから見ているバサラたちにも伝わる。

 

「心配かけてごめんね、『詠』ちゃん。どうしても城の外の様子が見たくて、出て行っちゃった。」

 

「だからって、黙って出て行くこと無いじゃない。」

 

「でも詠ちゃんのことだから、事前に言ったら外に出るの許してくれないか大勢の護衛をつけるだろうから、それじゃお忍びの意味が無いかなと思って言わなかったの。」

 

「当たり前じゃない!月はこの并州の刺使なのよ!なにかあったらどうするのよ!少しは自分の立場を考えて!」

 

「うん、ごめんなさい。これからは気をつけます。」

 

そうバサラたちの目の前で会話が行われていた。

それをバサラは

 

(あの緑、『ミレーヌ』みてえだな。)

 

(あいつもなにかと口うるさかったな。)

 

(あいつ、まだ『ガムリン』とくっついてねえのかな?)

 

とかつてのバンドのメンバーのことを考えていた。

考えていることは、本人が聞いたら

 

『どの口が言うのよ、あんたは!』

 

と言いそうなことを考えているが。

そう考えているうちに月と緑の髪の少女の雰囲気が変わっていた。

 

「私からもお話しがあるの。」

 

「話しって?」

 

「3日前に行った村で聞いた話しだけど、その村で問題が起きて、役人に相談に行っても話しを聞こうともしなかったそうなの。」

 

「力の弱い人たちが困っているのに、それを無視するのは民からの信頼を無くす行為だし、何より私たち為政者の意識が低いことの表れだと思うの。だけど、私は3日前に知ったの。どうして私に伝えてくれなかったの?」

 

「そ、それは色んな仕事があって」

 

「それでも報告はするべきだったと思うの。だから、今後はこういうことが無いようにしよう?」

 

「うん、ごめんね、月・・・」

 

2人の間でそんな会話が交わされる。

一通りの会話が終わったのか、緑髮の少女がバサラと呂布の方を見て、

 

「月、この2人は何者なの?それにこの犬たちは?」

 

と聞いた。

 

「この人たちは、お忍びで行った村で会った客人だよ。女性の方は呂布さん。すっごく強くて動物好きな人だよ。あと、食べてる様子がすっごく可愛いんだよ。」

 

「・・・よろしく。」

 

「私は賈詡、字は文和。よろしく。」

 

賈詡が呂布に挨拶を返す。

 

「男性の方は熱気バサラさん。すっごく歌が上手で、3日前の村の問題も歌で解決したんだよ。」

 

「なんですって?歌で解決?それ、どういうこと?」

 

月の話を聞いた賈詡は思わず月に聞き返す。

それにバサラが

 

「村で問題起こしてるってやつに、おれの歌がそいつのハートに響いたんだよ。」

 

「はあ?ハート?響く?何それ?」

 

バサラの歌に賈詡は訳が分からないと言うような反応を返す。

それにバサラは

 

「そいつは、おれの歌を聴けば分かるぜ。」

 

「え?」

 

どういうこと?と言おうとしたが、それを言う前に、

ギターを構えたバサラが

 

「いくぜ!!おれの歌を聴けえ!!PLANET DANCE!!」

と曲名を叫びながら、ギターを引き、歌い出した。

 

 

 

なんなの、こいつ?

いきなり楽器らしきものを弾きだして曲名らしきものを叫んだと思ったら、歌いだして。

その歌や曲を聴いて思ったのが、聴いたことがない、それが思いついた。

だからなのか、この男の歌を聴いていると心が昂ぶるのを感じる。

もっと、もっと聴いていたいと思ってしまう。

だが、それだけではある村で起こったという問題は解決できないだろう。

心の中の冷静な部分がそう告げる。

そう考えていると、

 

「詠ちゃん、すごいでしょ、バサラさんの歌。この歌が村に迷惑をかけた人の心に響かせたんだよ。そして、その人に歌わせちゃったんだよ。」

 

「歌わせた?村に悪さするようなやつを?」

 

「うん。しかも、村の人や私にも歌ったんだよ。村の人なんか役人、いや私達じゃ話も聞いてくれなくて、諦めてたのに、バサラさんの歌を聴いて、バサラさんなら、なんとかできるって思ってバサラさんにお願いしたんだよ。」

 

「私達じゃなくて、あの男に?でも、歌を聴いただけでしょ?」

 

「うん。だけど、バサラさんって、歌も上手だけど、それ以上に自分の歌の力を信じてるし、歌にかける思いもすごい伝わるの。だから、お願いしたんだと思う。それを見て、バサラさんはすごいなって思ったんだけど、同時に少し悲しくなっちゃった。」

 

「そう・・・」

 

月の話を聞いて、この男の歌について合点がいった。

だが、私達には出来なかったことをこの男は、歌で解決したという。

しかも、誰も傷つけずに、あまつさえ問題を起こしていたやつに歌わせてみせた。

この長い中華の歴史でも、そんなこと聞いたことが無い。

それをこの目の前の男は成し遂げたという。

そして、そんな男のことを私の1番大事な親友が笑顔で誇らしげに語る。

そう思うと私はこの目の前の男のことを否定せずにはいられなかった。

 

 

「もういいわ。」

 

バサラの歌が最高潮に達した時、賈詡がそう告げる。

 

「こんな歌、これ以上聴いても時間の無駄だわ。」

 

そう言って部屋を出ようとする賈詡。

 

「おい、待てよ!まだおれの歌は終わっちゃいねえぞ!ちゃんと聴いていけ!」

 

バサラは賈詡を止めようとする。

だが、それを聞かず賈詡は部屋を出る。

それを呆然としながら見ていた3人。

 

「たく、なんだってんだ・・・」

 

頭の後ろを掻きながらそう呟くバサラであった。

 

 

その頃、廊下を歩く賈詡

 

「あんなやつ、あんなやつの歌、認めないわよ・・・」

 

そう呟きながら自分の執務室に向かう賈詡であった。

 

 

 




ありがとうございました。
今回は賈詡、詠ちゃんの話でした。
詠ちゃんとバサラの邂逅はこんな感じにしてしまいました。
詠ちゃんは月ちゃんのバサラに対しての感情への嫉妬、バサラの歌に対しての僻み、そして軍師としての部分がバサラと歌の否定という形にしました。
詠ちゃんは月ちゃん絡みの感情も混じってあそこまで否定してますが、実は軍師としてもバサラの歌については否定してますので、月ちゃん絡みの感情がなくても、否定させるつもりでした。
そして、軍師としての考えは、この作品のアンチというタグの根拠でもあります。
多くは語りませんが、作品中で語れればと思います。
それか番外編という形で説明会と言うべき話を作ろうかなと思います。
次回は、一週間か二週間後を目安に投稿したいと思います。
では、ありがとうございました!

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